源氏物語歌集-悠山人編

『源氏物語』中の短歌(和歌)のすべてを、
原作の順序にしたがって、紹介する。→日本初!

09葵13 とまる身も

2007年07月30日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 120
巻九 葵 13 源氏

    とまる身も 消えしもおなじ 露の世に
    心おくらむ ほどぞはかなき


2007-0730-ysg120
Kad02-113

□・・・、「なさけなくや」とて、紫のにばめる紙に、
(源氏文)「こよなう程経はべりにけるを、思ひ給へおこたずながら、
つつましき程は、さらばおぼし知るらむやとてなむ。 (源氏)とまる身も・・・□

09葵12 人の世を

2007年07月29日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 119
巻九 葵 12 御息所

    人の世を あはれときくも 露けきに
    おくるる袖を 思ひこそやれ


2007-0729-ysg119
Kad02-113

□・・・、菊のけしきばめる技に、濃き青鈍の紙なる文つけて、
さし置きて往にけり。今めかしうもとて見給へば、御息所の御手なり。
(御息所文)「聞えぬ程はおぼし知るらむや。 (御息所)人の世を・・・□

09葵11 限りあれば

2007年07月28日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 118
巻九 葵 11 源氏

    限りあれば うすずみ衣 あさけれど
    涙ぞそでを ふちとなしける


2007-0728-ysg118
Kad02-111

□・・・、くやしきこと多くおぼし続けらるれど、かひなし。にばめる御衣奉れるも、
夢のここちして、「われ先立たましかば、深くぞ染め給はまし」と、おぼすさへ、 (源氏)限りあれば・・・□

09葵10 のぼりぬる

2007年07月27日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 117
巻九 葵 10 源氏

    のぼりぬる 煙はそれと わかねども
    なべて雲居の あはれなるかな


2007-0727-ysg117
Kad02-110

□八月廿よ日の有明なれば、空の気色もあはれ少なからぬに、
大臣のやみにくれ惑ひ給へるさまを見給ふも、ことわりにいみじければ、
空のみながめられ給ひて、 (源氏)「のぼり・・・□

09葵09 嘆きわび

2007年07月26日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 116
巻九 葵 09 霊

    嘆きわび 空に乱るる 我がたまを
    結びとどめよ したがひのつま


2007-0726-ysg116
Kad02-105

□身の上のいと苦しきを、しばし休め給へと聞えむとてなむ。
かく参り来むともさらに思はぬを、物思ふ人の魂は、
げにあくがるるものになむありける」と、なつかしげに言ひて、 (霊)「嘆き・・・□

09葵08 あさみにや

2007年07月25日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 115
巻九 葵 08 源氏

    あさみにや 人はおりたつ 我が方は
    身もそぼつまで 深き恋路を


2007-0725-ysg115
Kad02-101

□・・・、「いかにぞやもある世かな。心もかたちも、とりどりに捨つべくもなく、
又思ひ定むべくもなきを」苦しうおぼさる。御返り、いと暗うなりにたれど、
(源氏)「袖のみ濡るるやいかに。深からぬ御ことになむ。 あさみにや・・・□

09葵07 袖ぬるる

2007年07月24日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 114
巻九 葵 07 御息所

    袖ぬるる 恋路とかつは 知りながら
    おりたつ田子の みづからぞ憂き


2007-0724-ysg114
Kad02-101

□(源氏文)「日頃少しおこたるさまなりつるここちの、
にはかにいといたう苦しげに侍るを、え引きよがでなむ」 とあるを、
例のことつけと見給ふものから、 (御休所)「袖ぬるる・・・□

09葵06 くやしくも

2007年07月23日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 113
巻九 葵 06 典侍

    くやしくも かざしけるかな 名のみして
    人だのめなる 草葉ばかりを


2007-0723-ysg113
Kad02-097

□(源氏)「・・・あふひを」 女は、「つらし」と、思ひ聞えけり。 (典侍)「くやしくも
・・・ばかりを」 と聞ゆ。 人とあひ乗りて、簾をだに上げ給はぬを、
心やましう思ふ人多かり。「一日の御有様のうるはしかりしに、・・・□

09葵05 かざしける

2007年07月22日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 112
巻九 葵 05 源氏

    かざしける 心ぞあだに おもほゆる
    八十氏人に なべてあふひを

2007-0722-ysg112
Kad02-097

□(女車)「・・・待ちける 注連の内には」とある手をおぼしいづれば、
かの内侍のすけなりけり。あさましう、「ふりがたくも今めくかな」と、
にくさに、はしたなう、 (源氏)「かざしける・・・□