源氏物語歌集-悠山人編

『源氏物語』中の短歌(和歌)のすべてを、
原作の順序にしたがって、紹介する。→日本初!

04夕顔19 過ぎにしも

2007年05月14日 | 01桐壺~04夕顔
源氏物語歌集 044
巻四 夕顔 19 源氏

    過ぎにしも けふ別るるも ふた道に
    行くかた知らぬ 秋の暮かな

2007-0514-ysg044
Kad01-150

□「思へど、あやしう人に似ぬ心強さにても、ふり離れぬるかな」と思ひ続け給ふ

けふぞ冬立つ日なりけるもしるく、うち時雨て、空の気色いとあはれなり。
ながめ暮らし給ひて、「過ぎにしも・・・□(角文版)

04夕顔18 蝉のはも

2007年05月13日 | 01桐壺~04夕顔
源氏物語歌集 043
巻四 夕顔 18 空蝉

    蝉のはも たちかへてける 夏衣
    かへすを見ても ねは泣かれけり

2007-0513-ysg043
Kad01-149

□こまかなる事どもあれど、うるさければ書かず。
御使ひ帰りにけれど、小君して、
小袿の御返りばかりは、聞えさせたり
。□(角文版)

04夕顔17 逢ふまでの

2007年05月12日 | 01桐壺~04夕顔
源氏物語歌集 042
巻四 夕顔 17 源氏

    逢ふまでの 形見ばかりと 見しほどに
    ひたすら袖の くちにけるかな

2007-0512-ysg042
Kad01-149

□伊予の介、神無月のついたちごろに下る。女房の下らむにとて、たむけ、
心ことにせさせ給ふ。またうちうちにもわざとし給ひて、こまやかにをかしきさまなる。
櫛、あふぎ、多くして、ぬさなど、わざとがましくして、かの小袿もつかはす。□(角文版) 

04夕顔16 泣く泣くも

2007年05月11日 | 01桐壺~04夕顔
源氏物語歌集 041
巻四 夕顔 16 源氏

    泣く泣くも けふは我がゆふ 下紐を
    いづれの世にか とけて見るべき

2007-0511-ysg041
Kad01-147

□この程まではただよふなるを、いづれの道に定まりて赴くらむ、と、思ほしやりつつ、
念誦をいと哀れにし給ふ。頭の中将を見給ふにも、あいなく胸さわぎて、かの撫子の
おひたつ有様。聞かせまほしけれど、かごとにおぢて、うち出で給はず。□(角文版)

04夕顔15 ほのめかす

2007年05月10日 | 01桐壺~04夕顔
源氏物語歌集 040
巻四 夕顔 15 女

    ほのめかす 風につけても したをぎの
    なかばは露に むすぼほれつつ

2007-0510-ysg040
Kad01-146

・・・ 首尾よく届いた文。女は、忘れらていなかったと、嬉しさを隠せない。すぐに、
返すのも得意技の一つ。源氏が目を通すと、筆も出来栄えも、さしてとは思えない。
そうは言っても、あまり意に留めない女の様子を思い出して、満更でもない。 ・・・

04夕顔14 ほのかにも

2007年05月09日 | 01桐壺~04夕顔
源氏物語歌集 039
巻四 夕顔 14 源氏

    ほのかにも 軒ばの荻を むすばずは
    露のかごとを 何にかけまし

2007-0509-ysg039
Kad01-146

・・・ もうひと方の女は、蔵人の少将と結婚したそうだが、それは異なこと。様子を、
小君に探らせる。どう思っているのか。丈の長い萩を選んで、その先に手紙を付け、
見つからないように、と言い含める。ま、私と分かったら、許してもくれよう、と。 ・・・

04夕顔13 空蝉の

2007年05月08日 | 01桐壺~04夕顔
源氏物語歌集 038
巻四 夕顔 13 源氏

    空蝉の 世はうきものと 知りにしを
    また言の葉に かかる命よ

2007-0508-ysg038
Kad01-145

・・・ [乱れ書きをした消息は美しかった。蝉の脱殻が忘れずに歌われてあるのを、
女は気の毒にも思い、うれしくも思えた。こんなふうに手紙などでは好意を見せ
ながらも、これより深い交渉に進もうという意思は空蝉になかった。](晶子訳)
 ・・・

04夕顔12 とはぬをも

2007年05月07日 | 01桐壺~04夕顔

源氏物語歌集 037
巻四 夕顔 12 空蝉

    とはぬをも などかととはで 程ふるに
    いかばかりかは 思ひ乱るる

2007-0507-ysg037
Kad01-145

・・・ 伊予の介の家の小君に、君から託すこともない、この頃。女は、嫌がられたか、
と案じ、消息を出そうとしたところへ、病に、と聞いて、見舞の便りを。お出ましなく、
どうなさったかと、心細い日日。時も経つうちに、病と伺って、まずは、と詠う。 
・・・ 


04夕顔11 見し人の

2007年05月06日 | 01桐壺~04夕顔

源氏物語歌集 036
巻四 夕顔 11 源氏

    見し人の けぶりを雲と ながむれば
    夕べの空も むつまじきかな

2007-0506-ysg036
Kad01-144

・・・ 夜になっても、女は不安げ。源氏の君は、それならと、近くに寝所を取らせる。
夜更け、君の枕元に、物の怪が立つ。
と同時に、邸内の紙燭の火が消える。もしや。
女の許へ駆けつけると、すでに息がない。翌日、思い出に浸りながら、詠う。 
・・・


04夕顔10 光ありと

2007年05月05日 | 01桐壺~04夕顔

源氏物語歌集 035
巻四 夕顔 10 女

    光ありと 見し夕がほの うは露は
    たそがれ時の そらめなりけり

2007-0505-ysg035
Kad01-125

・・・ ところで、夕露に光った蕾は、どうなったのか、と源氏の詠い掛けに、たぶん、
それは見間違いだったのでしょうね、と女。ここへ来て、じらされる一方の君。せめて、
名前だけでも、と聞けば、海人の子ですもの、と。とうとう、そのまま日が暮れる。 ・・・