源氏物語歌集-悠山人編

『源氏物語』中の短歌(和歌)のすべてを、
原作の順序にしたがって、紹介する。→日本初!

16関屋03 あふさかの

2008年01月12日 | 13明石~16関屋
源氏物語歌集 272
巻十六 関屋 03 空蝉

    あふさかの 関やいかなる 関なれば
    茂きなげきの 中を分くらむ


2008-0112-ysg272
Kad03-159

□今はましていと恥づかしう、よろづの事うひうひしき心地すれど、
めづらしきにや、え忍ばれざりけむ、 (空蝉)「あふ・・・らむ
夢のやうになむ」と聞えたり。□

16関屋02 わくらばに

2008年01月11日 | 13明石~16関屋

源氏物語歌集 271
巻十六 関屋 02 源氏

    わくらばに 行きあふみちを 頼みしも
    なほかひなしや 塩ならぬ


2008-0111-ysg271
Kad03-159

□佐めしよせて、御消息あり。「今は思し忘れぬべきことを、心は長くもおはするかな」と、
思ひゐたり。(源氏)「一日は契り知られしを、さは思し知りけむや。
わく・・・ぬ海 関守のさも羨ましくめざましかりしかな」とあり。□


16関屋01 行くと来と

2008年01月10日 | 13明石~16関屋

源氏物語歌集 270
巻十六 関屋 01 空蝉

    行くと来と せきとめがたき 涙をや
    絶えぬ清水と 人は見るらむ


2008-0110-ysg270
Kad03-158

□・・・、いとあはれに、思し出づる事多かれど、おほぞうにてかひなし。
女も、人知れず昔のこと忘れねば、とりかへしてものあはれなり。
(空蝉)「行く・・・らむ と知り給はじかし」と思ふに、いとかひなし。□


15蓬生06 年を経て

2008年01月09日 | 13明石~16関屋
源氏物語歌集 269
巻十五 蓬生 06 姫

    年を経て 待つしるしなき わが宿を
    花のたよりに 過ぎぬばかりか


2008-0109-ysg269
Kad03-153

□今のどかにぞ鄙の別れにおとろへし世の物語も聞え尽くべき。年へ給ひつらむ、
春秋の暮らし難さなども、誰にかはうれへ給はむとうらむもなく覚ゆるも、
かつはあやしうなむ」など聞え給へば、 (姫)「年を・・・りか」□

15蓬生05 藤波の

2008年01月08日 | 13明石~16関屋

源氏物語歌集 268
巻十五 蓬生 05 源氏

    藤波の うち過ぎがたく 見えつるは
    松こそ宿の しるしなりけれ


2008-0108-ysg268
Kad03-153

□・・・、まばゆき御有様なれば、つきづきしう宣ひすべして出で給ひなむとす。
ひき植ゑしならねど、松の木高くなりにける年月の程もあはれに、
夢のやうなる御身の有様も思し続けらる。 (源氏)「藤波・・・けれ□


15蓬生04 たづねても

2008年01月07日 | 13明石~16関屋
源氏物語歌集 267
巻十五 蓬生 04 源氏

    たづねても われこそとはめ 道もなく
    深き蓬の もとの心を


2008-0107-ysg267
Kad03-151

□惟光も、「さらにえ分けさせ給ふまじき蓬の露けさになむ侍る。
露少し払はせてなむ、入らせ給ふべき」と聞ゆれば、
(源氏)「たづ・・・心を」 とひとりごちて、なほ降り給へば、・・・□

15蓬生03 なき人を

2008年01月06日 | 13明石~16関屋

源氏物語歌集 266
巻十五 蓬生 03 姫

    なき人を 恋ふる袂の ひまなきに
    荒れたる軒の しづくさへ添ふ


2008-0106-ysg266
Kad03-149

□・・・、さめて、いと名残悲しく思して、漏れ濡れたる庇の端つ方おしのご
はせて、
ここかしこの御座引き繕はせなどしつつ、例ならず世づき給ひて、
(姫)「なき・・・添ふ」 も心苦しき程になむありける。□


15蓬生02 玉かづら

2008年01月05日 | 13明石~16関屋

源氏物語歌集 265
巻十五 蓬生 02 侍従

    玉かづら 絶えてもやまじ 行く道の
    たむけの神も かけてちかはむ


2008-0105-ysg265
Kad03-147

□(侍従)「ままの遺言はさらにも聞えさせず。年頃の忍び難き世の憂さを過ぐし侍りつるに、
かく覚えぬ道にいざなはれて、はるかにまかりあくがるること」とて、
(侍従)「玉か・・・はむ 命こそ知り侍らね」など言ふに、・・・□


15蓬生01 たゆまじき

2008年01月04日 | 13明石~16関屋

源氏物語歌集 264
巻十五 蓬生 01 姫

    たゆまじき 筋を頼みし 玉かづら
    思ひのほかに かけ離れぬる


2008-0104-ysg264
Kad03-146

□・・・、わが御髪の落ちたりけるを取り集めてかづらにし給へるが、
九尺よばかりにて、いと清らなるを、をかしげなるを、をかしげなる箱に入れて、
昔の薫衣香のいとかうばしき、一壷具して賜ふ。 (姫)「たゆ・・・ぬる□


14澪標17 消えがてに

2008年01月03日 | 13明石~16関屋
源氏物語歌集 263
巻十四 澪標 17 斎宮

    消えがてに ふるぞ悲しき かきくらし
    わが身それとも 思ほえぬ世に


2008-0103-ysg263
Kad03-130

□宮はいと聞えにくくし給へど、これかれ、(人々)「人づてには、
いと便なきこと」と責め聞ゆれど、にび色の紙の、いとかうばしうえんなるに、
墨つきなどまぎらはして、 (斎宮)「消え・・・世に」□