源氏物語歌集-悠山人編

『源氏物語』中の短歌(和歌)のすべてを、
原作の順序にしたがって、紹介する。→日本初!

05若紫07 宮人に

2007年05月21日 | 05若紫~08花宴
源氏物語歌集 051
巻五 若紫 07 源氏

    宮人に 行きて語らむ 山桜
    風より先に 来ても見るべく

2007-0521-ysg051
Kad01-166

□・・・、なかなかにも思ひ給へるべきかな」など聞き給ひて、おほみき参り給ふ。
(源氏)「山水に心とまり侍りぬれど、内よりおぼつかながらせ給へるも、
かしこければなむ。今、此の花の折り過ぐさず参り来む。 宮人に・・・
□(角文版)

05若紫06 さしぐみに

2007年05月20日 | 05若紫~08花宴
源氏物語歌集 050
巻五 若紫 06 僧都

    さしぐみに 袖ぬらしける 山水に
    すめる心は 騒ぎやはする

2007-0520-ysg050
Kad01-165

□・・・騒ぎやはする 耳なり侍りにけりや」と聞え給ふ。/明け行くいといたう霞みて、
山の鳥どもそこはかとなく囀り合ひたり。名も知らぬ木草の花ども、
いろいろに散り交り、錦を敷けると見ゆるに、・・・
□(角文版)

05若紫05 吹き迷ふ

2007年05月19日 | 05若紫~08花宴
源氏物語歌集 049
巻五 若紫 05 源氏

    吹き迷ふ み山おろしに 夢さめて
    涙もよほす 滝の音かな

2007-0519-ysg049
Kad01-165

□「よし。かう聞えそめ侍りぬれば、いと頼もしうなむ」とて、おしたて給ひつ。
暁方になりにければ、法華三昧おこなふ堂の懺法の声、山おろしにつきて聞えくる、
いと尊く、滝の音に響き合ひたり。 (源氏)「吹き迷ふ ・・・
□(角文版)

05若紫04 枕ゆふ

2007年05月18日 | 05若紫~08花宴
源氏物語歌集 048
巻五 若紫 04 尼君

    枕ゆふ 今宵ばかりの 露けさを
    深山の苔に くらべざらなむ

2007-0518-ysg048
Kad01-163

□「あな、今めかし。この君や、世づいたる程におはするとぞ思すらむ。さるにては、
かの若草を、いかで聞い給へることぞ」と、さまざまあやしきに、心乱れて、
久しうなれば、なさけなし、とて、(尼君)「枕ゆふ・・・ざらなむ ・・・
□(角文版)

05若紫03 はつ草の

2007年05月17日 | 05若紫~08花宴
源氏物語歌集 047
巻五 若紫 03 源氏

    はつ草の 若葉のうへを 見つるより
    旅寝の袖も 露ぞかわかぬ

2007-0517-ysg047
Kad01-163

□・・・、うち出でむ声づかひもはづかしけれど、(女房)「いかなる方の御しるべにかは。
おぼつかなく」と聞ゆ。(源氏)「げに、
うちつけなり、とおぼめき給はむも道理なれど
 はつ草の・・・かわかぬ と聞え給ひてむや」と宣ふ。□(角文版)

05若紫02 初草の

2007年05月16日 | 05若紫~08花宴
源氏物語歌集 046
巻五 若紫 02 女房

    初草の おひ行く末も 知らぬ間に
    いかでか露の 消えむとすらむ

2007-0516-ysg046
Kad01-158

□・・・空なき」 また居たるおとな、「げに」とうち泣きて、「初草の・・・」と聞ゆる程に、
僧都あなたより来て、「こなたはあらはにや侍らむ。けふしも端におはしましけるかな。

この上の聖の方に、源氏の中将の、わらはやみまじなひにものし・・・、□(角文版)

05若紫01 おひ立たむ

2007年05月15日 | 05若紫~08花宴
源氏物語歌集 045
巻五 若紫 01 尼君

    おひ立たむ ありかも知らぬ 若草を
    おくらす露ぞ 消えむ空なき

2007-0515-ysg045
Kad01-157

□・・・、いかに世におはせむとすらむ」とて、いみじく泣くを見給ふも、すずろに悲し。
幼なごころにも、さすがにうちまもりて、伏目になりてうつぶしたるに、
こぼれかかりたる髪つやつやとめでたう見ゆ。
□(角文版)

04夕顔19 過ぎにしも

2007年05月14日 | 01桐壺~04夕顔
源氏物語歌集 044
巻四 夕顔 19 源氏

    過ぎにしも けふ別るるも ふた道に
    行くかた知らぬ 秋の暮かな

2007-0514-ysg044
Kad01-150

□「思へど、あやしう人に似ぬ心強さにても、ふり離れぬるかな」と思ひ続け給ふ

けふぞ冬立つ日なりけるもしるく、うち時雨て、空の気色いとあはれなり。
ながめ暮らし給ひて、「過ぎにしも・・・□(角文版)

04夕顔18 蝉のはも

2007年05月13日 | 01桐壺~04夕顔
源氏物語歌集 043
巻四 夕顔 18 空蝉

    蝉のはも たちかへてける 夏衣
    かへすを見ても ねは泣かれけり

2007-0513-ysg043
Kad01-149

□こまかなる事どもあれど、うるさければ書かず。
御使ひ帰りにけれど、小君して、
小袿の御返りばかりは、聞えさせたり
。□(角文版)

04夕顔17 逢ふまでの

2007年05月12日 | 01桐壺~04夕顔
源氏物語歌集 042
巻四 夕顔 17 源氏

    逢ふまでの 形見ばかりと 見しほどに
    ひたすら袖の くちにけるかな

2007-0512-ysg042
Kad01-149

□伊予の介、神無月のついたちごろに下る。女房の下らむにとて、たむけ、
心ことにせさせ給ふ。またうちうちにもわざとし給ひて、こまやかにをかしきさまなる。
櫛、あふぎ、多くして、ぬさなど、わざとがましくして、かの小袿もつかはす。□(角文版)