巻十二 須磨 12 源氏
うき世をば 今ぞ別るる とどまらむ
名をばただすの 神にまかせて
2007-0930-ysg180
Kad03-035
□・・・みづがき」 といふを、「げにいかに思ふらむ。
人よりけに花やかなりしものを」と思すも心苦し。君も御馬よりおり給ひて、
御社のかた拝み給ふ。神にまかり申し給ふ。 (源氏)「うき世・・・□
源氏物語歌集 178
巻十二 須磨 10 源氏
別れしに 悲しきことは 尽きにしを
またぞこの世の 憂さはまされる
2007-0928-ysg178
Kad03-034
□・・・なくぞふる」 いみじき御心まどひどもに、思し集めむる事どもも、
えぞ続けさせ給はぬ。 (源氏)「別れ・・・まされる」 月まち出でて出で給ふ。
御供にただ五六人ばかり、下人もむつまじき限りして、御馬にてぞおはする。□
源氏物語歌集 177
巻十二 須磨 09 入道の宮
見しはなく あるは悲しき 世のはてを
背きしかひも なくなくぞふる
2007-0927-ysg177
Kad03-034
□大将、よろづの事かき集め思し続けて泣き給へる気色いと尽きせずなまめきたり。
(源氏)「御山に参り侍るを、御言づてや」と聞え給ふに、ともに物も聞え給はず。
わりなくためらひ給ふ御気色なり。 (入道の宮)「見しは・・・□
源氏物語歌集 174
巻十二 須磨 06 源氏
行きめぐり つひにすむべき 月影の
しばし曇らむ 空なながめそ
2007-0924-ysg174
Kad03-031
□いみじとおぼいたるが、心苦しければ、かつは慰め聞え給ふ。
(源氏)「行き・・・ながめそ 思へばはかなしや。ただ、知らぬ涙のみこそ、
心をくらすものなれ」など宣ひて、明けぐれの程に出で給ひぬ。□
源氏物語歌集 172
巻十二 須磨 04 紫の上
わかれても 影だにとまる ものならば
鏡を見ても 慰めてまし
2007-0922-ysg172
Kad03-029
□・・・離れじ」 と聞え給へば、 (紫の上(「わかれ・・・まし」
柱がくれに居隠れて、涙を紛らはし給へるさま、なほここら見る中に類なかりけり、
と思し知らるる人の御有様なり。 親王は、あはれなる御物語り聞え給ひて、・・・□