源氏物語歌集-悠山人編

『源氏物語』中の短歌(和歌)のすべてを、
原作の順序にしたがって、紹介する。→日本初!

12須磨48 やほよろづ

2007年11月16日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 216
巻十二 須磨 48 源氏

    やほよろづ 神もあはれと 思ふらむ
    犯せる罪の それとなければ


2007-1116-ysg216
Kad03-063

□海のおもてうらうらと凪ぎわたりて行くへも知らぬに、
来しかた行くさき思しつづけられて、 (源氏)「やほ・・・れば」
と宣ふに、にはかに風吹きいでて、空もかきくれぬ。□


12須磨47 知らざりし

2007年11月15日 | 09葵~12須磨

源氏物語歌集 215
巻十二 須磨 47 源氏

    知らざりし 大海の原に 流れ来て
    ひとかたにやは ものは悲しき


2007-1115-ysg215
Kad03-063

□いとおろそかにぜじやうばかりを引きめぐらして、
この国にかよひける陰陽師召して、祓へせさせ給ふ。
舟にことごとしき人形のせて流すを見給ふにも、よそへられて、(源氏)「知ら・・・」□


12須磨46 たづかなき

2007年11月14日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 214
巻十二 須磨 46 中将

    たづかなき 雲居にひとり ねをぞなく
    翼ならべし 友を恋ひつつ


2007-1114-ysg214
Kad03-062

□・・・、かくなりぬる人は、昔のかしこき人だに、
はかばかしう世にまたまじらふ事かたく侍りければ、何か、
都のさかひをまた見むとなむ思ひ侍らぬ」など宣ふ。宰相、(中将)「たづか・・・□

12須磨45 雲近く

2007年11月13日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 213
巻十二 須磨 45 源氏

    雲近く 飛びかふたづも 空に見よ
    我は春日の くもりなき身ぞ


2007-1113-ysg213
Kad03-062

□・・・、かへりみのみしつつ出で給ふを、見送り給ふけしき、
いとなかなかなり。(中将)「いつまた対面は」と申し給ふに、
あるじ、 (源氏)「雲近く・・・身ぞ かつはたのまれながら、・・・□

12須磨44 あかなくに

2007年11月12日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 212
巻十二 須磨 44 中将

    あかなくに かりの常世を たちわかれ
    花の都に 道やまどはむ


2007-1112-ysg212
Kad03-061

□・・・かりがね」 宰相さらに立ちいでむ心地せで、
(中将)「あかな・・・まどはむ」 さるべき都のつとなど、
よしあるさまにてあり。あるじの君、かくかたじけなき御送りにとて、・・・□


12須磨43 ふる里を

2007年11月11日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 211
巻十二 須磨 43 源氏

    ふる里を いづれの春か ゆきて見む
    うらやましきは 帰るかりがね


2007-1111-ysg211
Kad03-061

□おのがじしはつかなる別れ惜しむべかめり。
朝ぼらけの空に雁つれてわたる。あるじの君、
(源氏)「ふる里・・・□

12須磨42 いつとなく

2007年11月10日 | 09葵~12須磨

源氏物語歌集 210
巻十二 須磨 42 源氏

    いつとなく 大宮人の 恋しきに
    桜かざしし 今日もきにけ


2007-1110-ysg210
Kad03-059

□・・・、南殿の桜さかりになりぬらむ、ひととせの花の宴に、
院の御けしき、内の上のいときよらになまめいて、
わが作れる句を誦し給ひしも、思ひいで聞え給ふ。(源氏)「いつと・・・□

 


12須磨41 友千鳥

2007年11月09日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 209
巻十二 須磨 41 源氏

    友千鳥 もろ声に鳴く あかつきは
    ひとりねざめの 床もたのもし


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Kad03-057

□・・・とひとりごち給ひて、例のまどろまれぬ暁の空に、
千鳥いとあはれに鳴く。 (源氏)「友・・・たのもし」
また起きたる人もなければ、かへすがへすひとりごちて臥し給へり。□

12須磨40 いづかたの

2007年11月08日 | 09葵~12須磨

源氏物語歌集 208
巻十二 須磨 40 源氏

    いづかたの 露路にわれも 迷ひなむ
    月の見るらむ 事も恥づかし


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Kad03-056

□・・・、はかなき旅の御座所は奥までくまなし。
ゆかの上に夜ふかき空も見ゆ。いりかたの月影すごく見ゆるに、
(源氏)「ただこれ西に行くなり」とひとりごち給ひて、(源氏)「いづ・・・□


12須磨39 山賎の

2007年11月07日 | 09葵~12須磨
源氏物語歌集 207
巻十二 須磨 39 源氏

    山賎の いほりにたける しばしばも
    こととひこなむ 恋ふる黒人


2007-1107-ysg207
Kad03-056

□・・・、これや海人の塩やくならむと思しわたるは、
おはします後の山に柴といふものふすぶるなりけり。
めづらかにて、 (源氏)「山賎の・・・□