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アメリカ合衆国憲法  日本語訳 第2章[執行部]

2010-09-25 00:34:30 | 市民には何も知らされていない
第2章[執行部]
第1 条[大統領と副大統領、選出方法]

[第1 項]執行権は、アメリカ合衆国大統領に属する。大統領の任期は4 年とし、同一の任期で選任される副大統領とともに、つぎの方法で選出される。

[第2 項]各々の州は、その立法部が定める方法により、その州から連邦議会に選出することのできる上院議員および下院議員の総数と同数の選挙人を任命する。但し、上院議員、下院議員および合衆国から報酬または信任を受けて官職にあるいかなる者も、選挙人に選任されることはできない。

[第3 項]【選挙人は、各々の州で集会して、無記名投票により2 名に投票する。そのうち少なくとも1 名は、選挙人と同じ州の住民であってはならない。選挙人は、得票者と各々の得票数を記した一覧表を作成し、これに署名し認証した上で、封印をほどこして上院議長に宛てて、合衆国政府の所在地に送付する。上院議長は、上院議員および下院議員の出席の下に、すべての認証書を開封したのち、投票を計算する。最多数の投票を得た者の票数が選挙人総数の過半数に達しているときは、その者が大統領となる。選挙人総数の過半数に達した者が2 名以上あり、かつ、得票数が同数の場合は、下院は直ちに無記名投票により、その中の1 名を大統領に選出しなければならない。過半数に達した者がいないときは、得票者一覧表の中の上位得票者5 名の中から、同一の方法で下院が大統領を選出する。但し、この方法により大統領を選出する場合には、投票は州を単位として行い、各州の議員団は1 票を投じるものとする。この目的のための定足数は、全州の3 分の2 の州から1 名または2 名以上の議員が出席することを要し、大統領は全州の過半数をもって選出されるものとする。いずれの場合にも、大統領を選出した後に、選挙人の投票の最多数を得た者が、副大統領となる。但し、その場合に同数の得票者が2 名以上あるときは、上院は無記名投票でその中から副大統領を選出しなければならない。】[修正第12 条により改正]

[第4 項]連邦議会は、選挙人を選任する時および選挙人が投票を行う日を定めることができる。投票日は合衆国全土を通じて同一の日でなければならない。

[第5 項]出生により合衆国市民である者、または、この憲法の成立時に合衆国市民である者でなければ、大統領の職に就くことはできない。年齢満35 歳に達していない者、および合衆国内に住所を得て14 年を経過していない者は、大統領の職に就くことはできない。

[第6 項]大統領が罷免され、死亡し、辞職し、またはその職権および義務を遂行する能力を失ったときは、副大統領が、大統領の職務を行う。連邦議会は、大統領と副大統領がともに罷免され、死亡し、辞職し、または執務不能に陥った場合について、法律により、いかなる官吏に大統領の職務を行わせるかを定めることができる。この官吏は、執務不能の状態が解消される時または大統領が選出される時まで、大統領の職務を行う。

[第7 項]大統領は、その職務に対して定期に報酬を受ける。報酬額は、その任期中増額または減額されない。大統領は、その任期中、合衆国または州から他のいかなる報酬も受けてはならない。

[第8 項]大統領は、その職務遂行に先立ち、つぎのような宣誓または宣誓に代る確約をしなければならない。「私は、合衆国大統領の職務を忠実に執行し、全力を尽して合衆国憲法を維持し、保護し、擁護することを厳粛に誓います(確約します)。」

第2 条[大統領の権限]

[第1 項] 大統領は、合衆国の陸軍および海軍ならびに現に合衆国の軍務に就くため召集された各州の民兵団の最高司令官である。大統領は、行政各部門の長官に対し、それぞれの職務に関するいかなる事項についても、文書によって意見を述べることを要求することができる。大統領は、弾劾の場合を除き、合衆国に対する犯罪について、刑の執行停止または恩赦をする権限を有する。

[第2 項] 大統領は、上院の助言と承認を得て、条約を締結する権限を有する。但し、この場合には、上院の出席議員の3 分の2 の賛成を要する。大統領は、大使その他の外交使節および領事、最高裁判所の裁判官、ならびに、この憲法にその任命に関して特段の規定のない官吏であって、法律によって設置される他のすべての合衆国官吏を指名し、上院の助言と承認を得て、これを任命する。但し、連邦議会は、適当と認める場合には、法律によって下級官吏の任命権を大統領のみに付与し、または、司法裁判所もしくは各部門の長官に付与することができる。

[第3 項] 大統領は、上院の閉会中に生じるいっさいの欠員を補充する権限を有する。但し、その任命は、つぎの会期の終りに効力を失う。

第3 条[大統領の義務]

大統領は、随時、連邦議会に対し、連邦の状況に関する情報を提供し、自ら必要かつ適切と考える施策について審議するよう勧告するものとする。大統領は、非常の場合には、両議院またはいずれかの一院を召集することができる。大統領は、閉会の時期に関し両議院の間で意見が一致しないときは、自ら適当と考える時期まで休会させることができる。大統領は、大使その他の外交使節を接受する。大統領は、法律が忠実に執行されることに留意し、かつ、合衆国のすべての官吏を任命する。

第4 条[弾劾]大統領、副大統領および合衆国のすべての文官は、反逆罪、収賄罪その他の重大な罪または軽罪につき弾劾の訴追を受け、有罪の判決を受けたときは、その職を解かれる。



第3章[司法部]
第1 条[連邦司法権]

合衆国の司法権は、1 つの最高裁判所、および連邦議会が随時制定し設立する下位裁判所に属する。最高裁判所および下位裁判所の裁判官はいずれも、非行なき限り、その職を保持することができる。これらの裁判官は、その職務に対して定期に報酬を受ける。その額は、在職中減額されない。

第2 条[連邦裁判所の管轄事項]

[第1 項] 合衆国の司法権はつぎの諸事件に及ぶ。この憲法、合衆国の法律および合衆国の権限にもとづき締結された、または将来締結される条約のもとで発生するコモン・ロー上およびエクイティ上のすべての事件*。大使その他の外交使節および領事にかかわるすべての事件。海事法および海事裁判権に関するすべての事件。合衆国が当事者の一方である争訟。2 以上の州の間の争訟。【州と他州の市民との間の争訟。】[修正第11 条により改正] 異なる州の市民間の争訟。同じ州の市民間の争訟であって、異なる州から付与された土地の権利を主張する争訟。1 州またはその市民と外国またはその市民もしくは臣民との間の争訟。

 *英米民事法はコモン・ローとエクイティと呼ばれる歴史的に形成された二つの実体法体系から成り、コモン・ロー事件は損害賠償請求事件、エクイティ事件は差止めや履行強制を求める事件が中心。

[第2 項] 大使その他の外交使節および領事にかかわるすべての事件、ならびに州が当事者であるすべての事件については、最高裁判所は、第一審管轄権を有する。前項に掲げたその他の事件については、最高裁判所は、連邦議会の定める例外の場合を除き、連邦議会の定める規則に従い、法律問題および事実問題の双方について上訴管轄権を有する。

[第3 項] 弾劾事件を除き、すべての犯罪の裁判は、陪審によって行われなければならない。裁判は、当該犯罪がなされた州で行われなければならない。但し、犯罪がいかなる州においてもなされなかったときは、裁判は、連邦議会が法律で定める1 または2 以上の場所で行われるものとする。

第3 条[反逆罪]

[第1 項] 合衆国に対する反逆罪は、合衆国に対して戦争を起こす場合、または合衆国の敵に援助と便宜を与えてこれに加担する場合にのみ、成立するものとする。何人も、同一の外的行為についての2 人の証人の証言、または公開の法廷での自白によるのでなければ、反逆罪で有罪とされない。

[第2 項] 連邦議会は、反逆罪の処罰を宣言する権限を有する。ただし、反逆罪を理由とした私権剥奪の効力は、血統汚損*または、私権を剥奪された者の生涯の間を除き、財産没収に及んではならない。

 *私権剥奪された者の血統が汚損されたとして財産を相続し、または相続させる権利、相続した財産を保有する権利がないとすること。



第4章[連邦条項]
第1 条[十分な信頼と信用条項]

各々の州は、他のすべての州の一般法律、記録および司法手続に対して、十分な信頼と信用を与えなければならない。連邦議会は、一般的な法律により、これらの法律、記録および司法手続を証明する方法ならびにその効果につき、規定することができる。

第2 条[市民権条項、逃亡犯罪人・奴隷の引渡し条項]

[第1 項] 各々の州の市民は、他州において、その州の市民が享有するすべての特権および免除を等しく享有する権利を有する。

[第2 項] いずれかの州において反逆罪、重罪その他の犯罪につき告発された者が、裁判を逃れて他州で発見された場合には、その逃亡した州の執行部の要求があれば、当該犯罪につき裁判権を有する州に移送するために、この者を引き渡さなければならない。

[第3 項] 1 州において、その州の法律によって役務または労務に服する義務のある者は、他州に逃亡しても、その州の法律または規則によってかかる役務または労務から解放されるものではなく、当該役務または労務を提供されるべき当事者からの請求があれば、引き渡されなければならない。

第3 条[新州および連邦財産条項]

[第1 項] 連邦議会は、新しい州がこの連邦へ加入することを認めることができる。但し、連邦議会および関係する州の立法部の同意なしに、既存の州の領域内に新州を形成し、または2 つ以上の州もしくはその一部を合併して1 つの州を形成することはできない。

[第2 項] 連邦議会は、合衆国に属する領有地その他の財産を処分し、これに関する必要ないっさいの準則および規則を定める権限を有する。この憲法中のいかなる規定も、合衆国または特定の州の請求権を損なうように解釈されてはならない。

第4 条[共和政体条項]

合衆国は、この連邦内のすべての州に対し共和政体を保障し、侵略に対し各州を防衛する。合衆国は、州の立法部または(立法部が集会できないときは)執行部の要請があれば、州内の暴動に対して各州を防護する。



第5章[改正]
連邦議会は、両院の3 分の2 が必要と認めるときは、この憲法に対する修正を発議し、または、3 分の2 の州の立法部が請求するときは、修正を発議するための憲法会議を召集しなければならない。いずれの場合においても、修正は、4 分の3 の州の立法部または4 分の3 の州における憲法会議によって承認されたときは、あらゆる意味において、この憲法の一部として効力を有する。いずれの承認方法を採るかは、連邦議会が定める。但し、1808 年より前に行われるいかなる修正も、第1 章第9 条1 項および4 項の規定に変更を加えてはならない。いかなる州も、その同意なしに、上院における平等の投票権を奪われることはない。



第6章[最高法規]
[第1 項] この憲法成立前に契約されたすべての債務および締結されたすべての約定は、この憲法の下においても、連合規約の下におけると同様に、合衆国に対して有効である。

[第2 項] この憲法、およびこれに準拠して制定される合衆国の法律、ならびに合衆国の権限にもとづいて締結された、または将来締結されるすべての条約は、国の最高法規である。すべての州の裁判官は、州の憲法または法律に反対の定めがある場合でも、これらのものに拘束される。

[第3 項] この憲法に定める上院議員および下院議員、州の立法部の議員、ならびに合衆国および各州のすべての行政官および司法官は、宣誓または宣誓に代る確約により、この憲法を擁護する義務を負う。但し、合衆国のいかなる官職または信任による職務に就く資格条件として、宗教上の審査を課してはならない。



第7章[成立手続]
この憲法は、9 州の憲法会議の承認があれば、承認した州の間で成立するものとする。

西暦1787 年、アメリカ合衆国独立第12 年、9 月17 日、憲法会議において列席各州全会一致の同意により、この憲法を定めた。これを証するため、われらはここに署名する。

ジョージ・ワシントン
議長にしてバージニア州代表

ニューハンプシャー州
ジョン・ラングドン
ニコラス・ギルマン

マサチューセッツ州
ナサニエル・ゴーラム
ルーファス・キング

コネチカット州
ウィリアム・サミュエル・ジョンソン
ロジャー・シャーマン

ニューヨーク州
アレグザンダー・ハミルトン

ニュージャージー州
ウィリアム・リビングストン
ウィリアム・パターソン
デイビッド・ブリアリー
ジョナサン・デイトン

ペンシルベニア州
ベンジャミン・フランクリン
トマス・フィッツシモンズ
トマス・ミフリン
ジャレッド・インガソルロバート・モリス
ジェームズ・ウィルソン
ジョージ・クライマー
グーブナー・モリス

デラウェア州
ジョージ・リード
リチャード・バセット
ガニング・ベッドフォードジュニア
ジェコブ・ブルーム
ジョン・ディッキンソン

メリーランド州
ジェームズ・マクヘンリー
ダニエル・キャロル
ダン・オブ・セント・トマス・ジェニファー

バージニア州
ジョン・ブレア
ジェームズ・マディソンジュニア

ノースカロライナ州
ウィリアム・ブラウント
ヒユー・ウィリアムソン
リチャード・ドッブス・スペイト

サウスカロライナ州
ジョン・ラトレッジ
チャールズ・ピンクニー
チャールズ・コーツワース・ピンクニー
ピアース・バトラー

ジョージア州
ウイリアム・フュー
エイブラハム・ボードウィン

書記ウィリアム・ジャクソン、これを認証する。



註釈 アメリカ合衆国憲法
鈴木 康彦
国際書院

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