イオンは2月28日、2009年2月期から3年間の中期経営計画の基本方針を発表しました。
国内の新規出店やM&A(合併・買収)の抑制、総合スーパーやデベロッパー事業など中核事業への経営資源の集約、非中核事業の再編や統合、保有不動産の流動化など、収益力の強化がうたわれています。事実上、拡大路線からの撤退宣言です。
1997年、第一勧業銀行の総会屋への利益供与事件で当時の社長が逮捕され、創業者の長男である岡田元也・現社長(岡田克也・民主党元代表の実兄)が登板。上場企業で世襲社長が登場するあたりはさすが(笑)ですが、2001年にジャスコからイオンに社名を変更、全国でおなじみの総合スーパー・ジャスコを看板に、グループの拡大にひた走ってきました。
もっとも、ガタイがデカくなっただけで、利益が上がるものではありません。昨年の中間決算会見で発表した連結営業利益予想(2008年2月期)は2000億~2100億円でしたが、2月28日の説明会では、1520億円と大幅に下方修正されています。特に、サラ金に手を出したのがまずかったようです。
もともと、イオンの自己資本比率の低さ(今日現在25.82%)は、投資家たちから懸念されていました。つまり巨額の借金をかき集めてM&Aを繰り返し、強引に拡大路線を取っていたわけです。このような手法は言うまでもなくハイリスクなもので、破綻は時間の問題でした。
僕はもともと、イオンの看板事業であるジャスコそのものに、いい印象を持っていません。
近所にもジャスコがありますが、かつては、店内で高校生が堂々と喫煙していても、警備員は見てみぬふりをしていました。
何より、ただ広いだけでお金を使うところがない、品揃えが悪すぎます。ヒマつぶしに寄ることがあっても、ちゃんとした買い物は、結局大型専門店です。人が集まっても、それに見合ったお金が落ちないビジネスモデルなのです。
赤字を覚悟でこのような無駄の多い店を経営し続ける理由が分かりません。やはり見栄でしょうか? しかし、イメージで指標の数字はごまかせません。
2006年初頭に3000円を超えていた株価も、現在では1323円(2008年2月28日)と半値以下に暴落。
虚栄の王国が、崩壊のときを迎えています。
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