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トランプの反知性主義的ブログ活用法(anti-intellectualism)

2017-01-09 | 米国・EU動向
昨日ここで、トランプ氏がそのブログで”Stupid people or Fools"と「バカ」呼ばわりするのは、共和党主流派、Obama大統領やClinton氏を頂点とする民主党幹部、民主党選挙対策本部を盗聴したのはプーチン大統領の指示と断じたCIAなどの諜報機関、Trump氏を攻撃してきたマスコミなど、これまで米国をリードしてきた既成知的エリート層であると書いた。

しかし、かれは、真正「バカ」を「バカ」呼ばわりしているわけではない。そして暴力的言辞を駆使するかれ自身も決して「バカ」ではない。その真の攻撃対象は、きわめて知的水準の高い、自由・平等・正義・グローバリズムといった価値観を表す言葉をもとに世論をリードし、米国の政治を動かしてきた上にあげたような人たちである。トランプのメッセージは、「もうバカの好きにはさせないぞ」ということである。ここが大衆に支持されるところとなっている。それにどうも自分がトランプ支持とは公言したくない「隠れトランプ信者」が結構いる節がある。

文明や文化の成果の集積と、教育による再生産で、我々の知的水準は向上し、世の中はよくなってきたと普通は思う。しかし、しばしばその恩恵に浴すことのできない人々と、その息苦しさと偽善性に耐えられない人々の割合が一定レベルに達すると、揺り戻しが起こる。それは、「反知性主義」(anti-intellectualism)という現象として知られている。

トランプ氏は、選挙期間中一貫して、トランプ批判に回りクリントンにくみした米国マスコミエリートに対して、これからも執拗に「復讐」を続けるであろう。米国の金融・証券、ジャーナリズムと映画産業はユダヤ人脈に支配されていることも合わせ考えておくと、これから起こることの理解も進むかもしれない。どう考えても、彼は趣味でブログで咆哮しているのではない。彼の言うところの「バカ」の巣窟であるマスコミの報道に頼っていては、勝てるわけはないと計算したのだろう。大衆とリアルタイムで直結するブログで勝負に出ようと。いわば「バカ抜き」である。


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