世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

NY株下落、引き金は欧州財政危機とBP  The time has come

2010-06-10 | 米国・EU動向
2010年6月10日(木)

数時間前に引けたNY市場では、午前中市場心理にとり重要な1万ドル台(the psychologically important 10000 level)にまで載せたが、その後その上昇は悪い材料によって入り帳消しにされ。結局ダウ工業株30種は40.73ドル(0.41%)安の9899.25ドルまで下落した。

午前中の上げを支えたのは、バーナンキFRB議長の米国景気の先行きに関する楽観的な議会証言と、5月に対前年比で50%近く増加した中国の輸出回復のニュースであった。

一方大引けにかけて一方的な下げに転じた大きな理由としては、まずドイツのメルケル首相が「景気刺激策を撤回する時が来た」(Chancellor Angela Merkel of Germany says the time to withdraw stimulus has come.)と宣言したことが欧州の景気後退懸念を強めたことがある。

さらに、メキシコ湾の原油流出事故の補償問題で、オバマ政権の強い圧力によってBPが配当の減額ないしは中止に追い込まれるとの懸念が広がったことである。年金ファンドをはじめ機関投資家はじめ投資家は一斉にBP株を売りに出た。

BPの株価は、水曜日15.8%安の29.20ドルまで下落したが、事故発生から7 週間で、時価総額は半分になり、金額にして8.2兆円を失ったことになる。BPの社債の価格は下落し、債務保証保険の料率も跳ね上がっている。

BPについては、他社による買収や、破産のうわさが市場関係者の中で広まりつつあることが嫌気を増幅したとBloomberg放送が伝えているが、同社の今後の帰趨に関しては、米国内の政治状況が強い影響を持ち始めている。

議会内には、原油流出阻止に資金を優先的に使うべきだとする意見が強まり、オバマ大統領も、「一銭たりとも損失補償責任から見逃さない」と言明している。現在BPの損失額は、3.3兆円程度と推定されるとThe Wall Street Journalは報じている。

BPは関係4州政府には対策費用を支払い始めているが、個々の企業・個人からの損害賠償請求にも支払いに応じている。小額の請求にはすべて満額支払ったとしており、その額も49億円になっている。

オバマ大統領は先の「一銭たりとも(a dime) 」という発言に続けて、BPに対して、「個人請求者を見殺しにするな」と警告を発している。( Mr. Obama warned BP not to "nickel and dime" claimants.)





最新の画像もっと見る