もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

日英同盟の再構築?

2018年01月05日 | 社会・政治問題

 新聞紙上に「日英同盟の再来」の見出しが躍っている。

 日英外相会談で、英国の新鋭空母「クイーン・エリザベス」の極東海域航行が表明されたことに対する先読み報道であるが、いまさら日英同盟が復活することは考えられない。EU離脱を選択した英国が、経済的には新しいパートナーと枠組みを模索しているのは確かであろうが、軍事的にはNATOの一員であることで十分であるとともに、NATO加盟国以外との独自の軍事同盟を構築する国力はないからである。クイーン・エリザベスの極東巡行についても親善訪問以上の意味はなく、米海軍の「自由の航行作戦」的なプレゼンスはないと思う。現在イギリスは中国が主導する「一帯一路構想」と「アジアインフラ投資銀行」に深く関わっていることから、今回の空母遊弋は中国への秋波作戦と考えるべきではないだろうか。イギリスが七つの海を制していた時代の日英同盟下においては日露戦争の勝利や第一次大戦後に南洋諸島の委任統治を獲得する等の国威発揚があったが、衰退した英国と協調することによって得るものは少ないと考えるものである。

 かって自分は、第一次大戦後に南洋諸島の国連委任統治を獲得できたのは、連合国の一国としてドイツ領「青島」を攻略した成果と思っていが、長ずるに及んで、帝国海軍派遣艦隊の地中海における船団護衛とUボート制圧の功績が評価された結果であることを知った。ここにも、学校教育で等閑視されている歴史があることを知る好機と考えるものである。


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