リビア内戦で自律型致死兵器システム(LAWS)が使用された疑いが報じられた。
疑惑は、リビア内戦を監視する国連安全保障理事会の専門家パネルが報告したもので、昨(2020)年3月頃に暫定政府軍が使用したとされている。諸情報を総合すると使用されたLAWSはトルコ製の無人小型ドローンであったようであるが、事実とすれば世界で初めてLAWSが戦闘に投入されたことになる。
LAWSについては、世界各国で研究開発が行われているとされているが、未だ国際的には明確な定義や規制がないものの、地雷等と同様な非人道的兵器の範疇と考える人がいる一方で、兵士の死傷が局限されるために用法によっては人道的な兵器とする主張もあり、さらには、機雷のように100年以上も前から自動的に作動・爆発する機構を持っている兵器もあり、LAWSはそれらの発展形に過ぎないという見方も存在する。
現在研究されているLAWSには、動く物体は何でも攻撃する物、顔認証を搭載して特定の人間のみ攻撃する物、敵味方識別システムで敵の兵器や兵士のみ攻撃する物と様々であるが、既に中国では無人戦闘機や無人潜水艦を完成させたとも報じられている。
日本学術会議の軍事技術研究禁止を考えれば、LAWS研究は軍需企業以外では行われていないと思えるが、離島防衛には極めて有効な兵器システムにも思える。例えば、尖閣諸島の魚釣島にLAWS機銃を設置すれば不法上陸は阻止できるし、LAWSミサイルでは中国軍の着上陸を遅らせることが期待できるので、中国の直接行動への対抗措置である防衛出動の発令に時間を要するであろう現状から考えると、日本にとって極めて有効な兵器システムに思えるので、秘密裏であっても研究・開発を加速させて欲しいと思う。
リビア暫定政府軍が使用したLAWSはトルコ製とされているが、トルコ以外の関与もあるように思える。国連から「正統なリビア政府」と承認されているトリポリの統一政府に対して、ベンガジを拠点とするリビア暫定政府は、エジプト等の中東諸国は公然と、ロシア・フランスは密かに武器等の支援をしているとされている。このことから考えるとトルコ製LAWSというのも、いささか眉唾に思える。武器先進国が、代理の勢力に開発中の先端武器を提供して実用実験の場とすることは、これまでにも数多く知られており、そのことから考えれば、今回使用したとされるLAWSについてもトルコの商標を付けたロシア若しくはフランス製であることも十分に考えられる。