ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「ブラック・ジャック・キッド」

2008年07月27日 | 書籍関連
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手塚治虫の名作「ブラック・ジャック」をこよなく愛する小学生の織田和也。ブラック・ジャックの見て呉れを真似るべく、ブラックジーンズに白いボタンダウンシャツ、そしてスポーツ用品売り場で購入した婦人用の黒いロングコートを羽織り、「患者」を捜して団地を駆け回る毎日。しかし、そんな彼にも厳しい現実が否応無く影を落として行く。両親の離別、転校、虐め・・・。

転校先の小学校でも、孤独な日々を送っていた和也。しかし或る日、近所の児童館内に在る図書室で二人の同級生に出遭い、次第に仲良くなって行く。少女漫画に夢中の宮内君と、眼鏡を外すと超綺麗な泉さんだった。そしてクリスマス・イヴの晩、駅の向こう側の見知らぬ街に姿を消した泉さんの弟・健太を捜して、三人の大冒険が始まった。
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久保寺健彦氏の小説「ブラック・ジャック・キッド」の梗概だ。久保寺氏は塾講師を務め乍ら小説も執筆し、2007年には「すべての若き野郎ども」で第1回ドラマ原作大賞に於いて選考委員特別賞を受賞。そして先日紹介させて貰った「みなさん、さようなら」で第1回パピルス新人賞、今回の「ブラック・ジャック・キッド」で第19回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞する等、新進気鋭の作家の一人と言っても良い。

昨年、「人間が生き物の生き死にを自由にしようなんて、おこがましいとは思わんかね。」という記事でも触れた様に、「ブラック・ジャック」は自分も好きな作品。だから今回の小説の中に鏤められたブラック・ジャックの言葉等には、ついついニヤッとしてしまう。ファンタジー小説だけ在ってストーリー中には非現実的な描写も一部見受けられるが、その多くは一人の少年の日常を描いている。何処と無く懐かしく、又、映画「スタンド・バイ・ミー」で感じた少年期のほろ苦さがこの作品には在る。

唯、「みなさん、さようなら」もそうだが、この作品も一般の評価が結構高いのは不思議。悪い内容では無いが、と言ってそれ程高評価を得る内容とも思えない。

総合評価は星3つ

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