ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「婆さん、あの猫は来てるだろうなあ。」 Part2

2006年08月21日 | 歴史関連
[足利尊氏]
上の③の絵は、嘗ての日本史の教科書では「足利尊氏像」と記されて来た。しかし、20年程前からは「伝足利尊氏像(この肖像画は足利尊氏と”伝えられている”。)」に変わり、今では「守屋家本騎馬武者像」となっているとか。

この肖像画が足利尊氏では無いとする根拠には、「尊氏の馬は栗毛という当時の記録が在るのに、この肖像画の馬は黒毛。又、髪を乱して抜き身の刀を持ち、且つ矢が折れているという姿は、征夷大将軍として相応しく無く、普通、そんな風に描く事は考えられない。」というものや、「この肖像画の上に尊氏の子供で在る義詮の花押が据えられているが、子供で在る義詮が自分の父親で在る尊氏の肖像の頭上に、花押を据えるといった無礼を為す筈が無い。」といったものが挙げられる。

では、この肖像画は一体誰なのかという事になるが、この人物が身に着けている馬具や太刀の目貫の家紋が「輪違」で在る事から、尊氏の執事として絶大な権力を揮った”婆娑羅”大名の高師直ではないかという説が出ている。(師直の息子・師詮[もろあきら])という説も在り。)
*****************************

この他にも、「赤穂浪士で有名な大石内蔵助遊郭に通い、男色に走った不良中年だった。」とか「『大岡越前』で有名な大岡忠相の”大岡裁き”の殆ど全ては事実では無く、中国古典の焼き直し。」、「『暴れん坊将軍』で有名な徳川吉宗が8代将軍に就任する迄に、廻りのライバル達が次々と不審な死に方をしているのは、彼の命で暗殺された可能性が捨て切れない。」等、興味深い話が満載。歴史の謎に思いを馳せ、色々想像するのも一興で在る。*1

因みに(Part1の)最上部の肖像画は、新選組で”天才剣士”と呼ばれた沖田総司とされている。美形のイメージで描かれる事が多い彼だが、「総司はヒラメの様な顔だった。」という証言も残っている等、実物はかなり違った様だ。そして、彼は肺結核にて早世するのだが、今回の記事のタイトルに用いた「婆さん、あの猫は来てるだろうなあ。」は、結核菌に脳を冒され、正常な思考を保てなくなっていた総司が、看護の老婆を前にして最期に残した言葉だそうだ。

*1 今回紹介させて貰った話はあくまでも”説”で在り、その真偽は今後も引き続き議論されて行くだろう。ずっと偽者とされていた「スコットランド女王・メアリ・ステュアート(1542年~1587年)の肖像画」が、実は本物だったというニュースが報じられたばかりだが、歴史の検証は斯くも難しく、且つ奥深い。だからこそ、面白いとも言えるのだが。

コメント (3)    この記事についてブログを書く
« 「婆さん、あの猫は来てるだ... | トップ | チュッ チュッ チュッ し... »

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
創られた聖人 (o_sole_mio)
2006-08-21 23:59:39
こんばんは



歴史好き(下手の横好きですが)として思わず反応してしまいました。最近古代史がマイブームなのですが、ご紹介の「聖徳太子不在説」については私も読んだことがあります。



日本書紀は天皇家というよりは藤原家のための歴史書であり、藤原氏の祖である中臣鎌足が中大兄皇子とともに討った蘇我氏を悪人に仕立てるために創られた聖人だというのが要旨だったと思います。そして聖徳太子の功績と言われるものが実は蘇我氏の功績であったという説もあるようです。



確かに用明天皇の息子であった聖徳太子が、女帝である伯母の推古天皇の補佐(摂政)に留まり天皇に即位しなかったというのは不自然なような気がします。
返信する
天才剣士に瓜二つ? (まなぶ)
2006-08-22 02:11:43
giants-55さん、今晩は♪



残暑お見舞い申し上げます。



私は日本史が好きなので、楽しく読ませて頂きました。

あの尊氏の絵は、大河ドラマ「太平記」で、真田広之さん演じる尊氏が悲壮な決意をし、再起するという説得力を加味して演出されていたので、近年、この絵のモデルが尊氏ではないと云う説は、少し残念でした。



もうどのお話も興奮して話せば長くなりそうなので我慢しますが(笑)

近頃の日本史の新説で私が面白かったのは、

「鳥居強右衛門(とりいすねえもん)磔」の絵の話です。

この磔の絵は上下逆さまで、逆さ磔ではないか?という説です。

髪が逆立ち(腋毛まで)、顔が紅くなってる、柱の型等が根拠のようです。

私は「まことちゃん」の逆さ磔を想像して、数日間は思い出し笑いをしてました。

あんな感動を呼ぶ場面が台無しです(笑)

きっとご存知でしょうネ。



1度、史実に則った聖徳太子像のドラマも観てみたいのですが、

昔、本木雅弘さん主演ドラマに不満が残ったし、岡田准一さんの「大化の改新」も今一つでした。

作るにしても、時代考証も問題山積でしょうネ。



ところで「あの」沖田総司の顔ですが、



実は、親や姉、果ては友人までもが、

“お前にそっくりだ”

という始末なのです(笑)

私自身もとっても似ていると思うほどなので、かなり似ていると思います。



でも、決して、自慢じゃあ、ありませんヨ(汗)
返信する
世代間断裂さもありなん。 (破壊王子)
2006-08-22 18:40:36
談志師匠の言葉に「最近は歴史がわからねえ奴が多い。史実ではなく忠臣蔵だとか曾我兄弟とか鍵屋の辻とか、一心太助とか知らない」という趣旨で愚痴ってたのを思い出します。つまり日本人なら知ってて当然の話がある。それがどんどん消えつつあると。

これでは年寄りと若い奴の共通の話題なんか出来るわけがありませんね。ぶっちゃけ小学校の歴史教育なんて偉人伝・英雄伝の羅列でいいと思うし、いちいち負の部分を見せる必要もないでしょう。

つまり歴史教育と歴史研究は別なんです。アメリカで教師が「独立の父であるジェファーソンは陰で奴隷女に子供を産ませていたらしい」なんて話はしません。そのかわりに暗黒面の資料、研究は山ほどあります。どうもこの国はごっちゃにするのを是としてるように見えます。そもそもイメージすら沸かないのに興味を持たせることが果たして可能なのか?ってことですよ。

文科省自ら「歴史嫌い」「日本嫌い」を増やしているのかとも思えてなりません。ま、今の文科相(選挙区はアタシの地元)がアレですから無理もないですが。

返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。