通過点

昨日行われた「レンジャーズv.s.マリナーズ」戦の初回、イチロー選手（３４歳）がレフト前にヒットを放ち、これで日米通算３千本安打を達成した。１９９２年にブルーウェーブに入団してから１７年目での大記録に、心から祝福の意を表したい。３千本安打達成おめでとう！＊１

日本のプロ野球で３千本安打を達成したのは、“「喝！」のおっちゃん”こと張本勲氏（通算安打数：３，０８５安打）だけだったが、これで２人目となった訳だ。「日本のプロ野球では唯一の３千本安打達成者」という肩書きが使えなくなり、さぞかし張本氏もガックリ来ているのではなかろうか？

「イチロー選手の場合は日米通算だが、私は日本だけで達成した。年間の試合数も彼の方が多いし、意味合いが違う。（→私の方が凄い？）」と子供じみた主張をしていた張本氏。そんな彼に露骨な程ライバル心を見せて来たイチロー選手は、今季も事在る毎に挑発的とも思える発言をしていたのが笑えた。３千本安打達成で張本氏がどんなコメントを出すか注目されたが、「おめでとう。ヒットを打つ事に関しては川上哲治さんも、私も適わない技術。『天晴れ！』だ。彼にとって３千本は単なる通過点。あくまで参考記録だが、日米合算するならピート・ローズの４，２５６安打、更に大リーグ単独の通算３千本安打を目指して欲しい。」という“大人のコメント”だったのは評価したい。（でも良く良くコメントを見ると、「あくまで参考記録だが」という表現を用いている所に、張本氏の歯噛みする気持ちが透けて見える様な気も。）＊２

張本氏が３千本を達成したのは、４０歳目前の３９歳３２２日だったと言う。それに対してイチロー選手は、３４歳２８１日と５歳も若い。日本プロ野球に於ける通算安打数ナンバー１の座を、イチロー選手が今季中乃至は来季の早い段階で奪い取るのは先ず間違い無いだろう。今のペースで行けば、４０歳の時点で日米通算４千本安打達成の可能性も在るとか。張本氏も語っている様に、イチロー選手にとって３千本は通過点に過ぎないだろうし、是非ともピート・ローズ選手の記録を破って欲しいものだ。

「出逢いによって、人の運命は幾らでも変わる。」とつくづく感じてしまう。藤田元司氏が監督で無かったら、斎藤雅樹投手は打者転向を余儀無くされ、平凡な打者で選手生活を終えたかもしれない。藤田元監督との出逢いが在ったからこそ、“平成の大エース”が生まれたと言える。同様にあのまま土井正三氏が監督を続け、仰木彬氏がブルーウェーブの監督に就任しなかったら、今のイチロー選手は無かったかもしれない。

＊１　イチロー選手の“彼氏”・・・では無く、大親友の“あの方”は早速独占インタビューに駆け付ける事だろう。

＊２　記録達成後のインタビューでイチロー選手は、「１９９５年の春に、『３千本を打つのは御前だ。首位打者（７回）を抜くのも御前だ。最終的にヒットの記録を御前に抜いて貰いたい。』と言われた。」と明かしていた。当ブログでも散々茶化しては来たが、張本氏もイチロー選手の凄さをずっと認めていたという事か。