「野村昭子」という女優の名前を知らなくても、「『家政婦は見た!』シリーズでは大沢家政婦紹介所の“会長さん”(大沢キヌヨ役)、『渡る世間は鬼ばかり』では『おかくら』の“タキさん”(青山タキ役)を演じている女優。」と言われれば、「嗚呼、あの人か!」と思われる人が殆どだろう。自分が初めて彼女を知ったのは、「ウルトラQ」(動画)の再放送だったと記憶している。第15話「カネゴンの繭」で“コイン怪獣”カネゴンになってしまった少年・加根田金男の母親役を演じていたのが野村さんだった。今から42年前の作品だが、その当時から既におばちゃん役。今では貴重な脇役の一人だ。
そんな彼女の意外な過去を知ったのは、先月の事だった。1927年生まれと、今年で81歳になられた彼女。この年代の女性の大学進学率は極めて低かったと思うのだが、何と彼女は東京薬学専門学校(現在の東京薬科大学)を卒業しているのだ。薬剤師免許を持ち、女優に転進する前は薬剤師として東京大学の付属病院に勤務していたとも。有名な話なのかもしれないが、全く知らなかったのでビックリしてしまった。
薬剤師と言えば、引く手数多で完全に売り手市場な職種と思っていた。と言うのも、ドラッグストア等で薬剤師の募集広告を良く見掛け、給料等を含めた待遇がかなり好条件なケースばかりだったからだ。ところがAERA(7月21日号)に載っていた記事「連載『医療貧困』① 薬剤師 10年後は『3割失業』」によると、薬剤師は既に“冬の時代”に入っていると言う。
記事の冒頭、「大学卒業後に6年間勤務していた半導体メーカーを辞め、私立の薬科大学に入り直して薬剤師免許を取得し、昨年4月に東北地方の民間病院に薬剤師として就職した37歳の男性。」が紹介されていたが、その初任給は薬剤師の資格手当て込みで手取り19万8千円。結局、1年目の年収は280万円だった。「国家資格を有している薬剤師の給料が、そんなに安いの!?」と記事を読んで驚いたのだが、病院勤務の薬剤師の平均初任給は年約350万円、30代でも概ね400万円台で、これは人気が高い大学病院や国公立病院でも似たり寄ったりの状況とか。「医薬分業が進み、病院内の調剤業務が減った事も在り、薬剤師の地位は決して高くない。」という病院関係者の声も紹介されていた。
小泉純一郎政権下(又、こいつか!)で推し進められた大学設置基準の規制緩和により、薬学部が大幅に増加。2002年時点で46だった薬学部は、現在74を数えるそうだ。薬剤師の需要は年々増加し、1990年の15万人から、2006年には25万人(育児等で一時的に職を離れている「無職」のペーパー薬剤師を含め。)に膨らんだが、現段階で既に薬剤指数は30万人を越えており、供給オーバーな状態。既に「薬剤師余り」の状態と言う。厚生労働省の試算では、試験合格率が現在の水準で推移した場合、薬剤師の需要予測が27~28万人レベルとほぼ横ばいなのに対し、供給数は10年後に36万人、20年後には40万人と大幅に余ってしまう。つまり単純計算で言えば、10年後には薬剤師全体の約3割が失業しかねない状態に在る訳だ。
又、2006年に成立した改正薬事法に基づく新制度「登録販売者」が、更に薬剤師の環境を厳しくさせて行くとも。医薬品は「①医師の処方が必要な医療用医薬品。」、「②市販される一般用医薬品。」、そして「③販売規制の無い医薬部外品。」が在り、現在は薬剤師が常駐していないと①&②は販売出来ないが、新制度はこの内②を3つに分類し、薬の効き目が強い第1類以外は登録販売者が店舗にいれば販売出来る様になる。今年8月以降、都道府県は資格試験を実施し、来年度からこの制度は現場に導入。要するにドラッグストアのみならず、コンビニやスーパーでも従業員がこの資格を取得すれば、薬剤師が居なくても大半の薬を販売出来る様になるのだ。受検には1年以上の医薬品販売の実務経験等が必要だが、大卒で無くても構わず、実際に大勢の従業員に受験準備をさせているドラッグストアやディスカウントストアも現われていると言う。そうなると「手当」の高い薬剤師を切って、自社の従業員で済ませる店も増えるのは必定。
現在ドラッグストアで働く薬剤師の中には本来の業務以外にも、品出しや商品の補充、陳列、掃除、商品発注、そして顧客のポイント・カード作成等をさせられている者も少なく無いと。同業者間の値引き合戦により店の利益が減り、薬剤師にも利益率の高い薬の販売ノルマが課せられ、達成出来ないと店長から罵倒される事も。「顧客に自ら声を掛け、薬の相談に乗る。」という薬剤師らしい仕事すらも厳然とマニュアル化されており、アルバイトでも或る程度は相談に応じられるという事で、「薬剤師といっても、仕事の内容はアルバイトと変わらない。それなのに資格手当が付くので、却って肩身の狭いをしている。」という薬剤師のコメントは、非常に切実だ。
「以前は看護士が遣っていた入院患者の栄養剤のセッティングをさせたり、救急医療チームに参加させたりと、薬剤師の仕事は増えている。」とする昭和大学病院の様に、薬剤師の活躍の場を増やす工夫をしている所も在るが、少なくとも自分が思っていた程、薬剤師の労働環境が薔薇色という訳では無い様だ。
そんな彼女の意外な過去を知ったのは、先月の事だった。1927年生まれと、今年で81歳になられた彼女。この年代の女性の大学進学率は極めて低かったと思うのだが、何と彼女は東京薬学専門学校(現在の東京薬科大学)を卒業しているのだ。薬剤師免許を持ち、女優に転進する前は薬剤師として東京大学の付属病院に勤務していたとも。有名な話なのかもしれないが、全く知らなかったのでビックリしてしまった。
薬剤師と言えば、引く手数多で完全に売り手市場な職種と思っていた。と言うのも、ドラッグストア等で薬剤師の募集広告を良く見掛け、給料等を含めた待遇がかなり好条件なケースばかりだったからだ。ところがAERA(7月21日号)に載っていた記事「連載『医療貧困』① 薬剤師 10年後は『3割失業』」によると、薬剤師は既に“冬の時代”に入っていると言う。
記事の冒頭、「大学卒業後に6年間勤務していた半導体メーカーを辞め、私立の薬科大学に入り直して薬剤師免許を取得し、昨年4月に東北地方の民間病院に薬剤師として就職した37歳の男性。」が紹介されていたが、その初任給は薬剤師の資格手当て込みで手取り19万8千円。結局、1年目の年収は280万円だった。「国家資格を有している薬剤師の給料が、そんなに安いの!?」と記事を読んで驚いたのだが、病院勤務の薬剤師の平均初任給は年約350万円、30代でも概ね400万円台で、これは人気が高い大学病院や国公立病院でも似たり寄ったりの状況とか。「医薬分業が進み、病院内の調剤業務が減った事も在り、薬剤師の地位は決して高くない。」という病院関係者の声も紹介されていた。
小泉純一郎政権下(又、こいつか!)で推し進められた大学設置基準の規制緩和により、薬学部が大幅に増加。2002年時点で46だった薬学部は、現在74を数えるそうだ。薬剤師の需要は年々増加し、1990年の15万人から、2006年には25万人(育児等で一時的に職を離れている「無職」のペーパー薬剤師を含め。)に膨らんだが、現段階で既に薬剤指数は30万人を越えており、供給オーバーな状態。既に「薬剤師余り」の状態と言う。厚生労働省の試算では、試験合格率が現在の水準で推移した場合、薬剤師の需要予測が27~28万人レベルとほぼ横ばいなのに対し、供給数は10年後に36万人、20年後には40万人と大幅に余ってしまう。つまり単純計算で言えば、10年後には薬剤師全体の約3割が失業しかねない状態に在る訳だ。
又、2006年に成立した改正薬事法に基づく新制度「登録販売者」が、更に薬剤師の環境を厳しくさせて行くとも。医薬品は「①医師の処方が必要な医療用医薬品。」、「②市販される一般用医薬品。」、そして「③販売規制の無い医薬部外品。」が在り、現在は薬剤師が常駐していないと①&②は販売出来ないが、新制度はこの内②を3つに分類し、薬の効き目が強い第1類以外は登録販売者が店舗にいれば販売出来る様になる。今年8月以降、都道府県は資格試験を実施し、来年度からこの制度は現場に導入。要するにドラッグストアのみならず、コンビニやスーパーでも従業員がこの資格を取得すれば、薬剤師が居なくても大半の薬を販売出来る様になるのだ。受検には1年以上の医薬品販売の実務経験等が必要だが、大卒で無くても構わず、実際に大勢の従業員に受験準備をさせているドラッグストアやディスカウントストアも現われていると言う。そうなると「手当」の高い薬剤師を切って、自社の従業員で済ませる店も増えるのは必定。
現在ドラッグストアで働く薬剤師の中には本来の業務以外にも、品出しや商品の補充、陳列、掃除、商品発注、そして顧客のポイント・カード作成等をさせられている者も少なく無いと。同業者間の値引き合戦により店の利益が減り、薬剤師にも利益率の高い薬の販売ノルマが課せられ、達成出来ないと店長から罵倒される事も。「顧客に自ら声を掛け、薬の相談に乗る。」という薬剤師らしい仕事すらも厳然とマニュアル化されており、アルバイトでも或る程度は相談に応じられるという事で、「薬剤師といっても、仕事の内容はアルバイトと変わらない。それなのに資格手当が付くので、却って肩身の狭いをしている。」という薬剤師のコメントは、非常に切実だ。
「以前は看護士が遣っていた入院患者の栄養剤のセッティングをさせたり、救急医療チームに参加させたりと、薬剤師の仕事は増えている。」とする昭和大学病院の様に、薬剤師の活躍の場を増やす工夫をしている所も在るが、少なくとも自分が思っていた程、薬剤師の労働環境が薔薇色という訳では無い様だ。
医療とは医師、看護師、薬剤師を含むパラメディカルのみんなで協力して良い形で結実するもの。10年前の医療現場の形態が決して欠点がないものではなかったのですが、例の小泉改悪による医療崩壊状態の現在よりは昔のほうが良かったと思います。「医療亡国論」を信じ込んでいる一握りの厚生労働省の役人のために現場が振り回されただけ(5分間診療を提案したペーパードクターのアフォ役人とかですw)。
そのツケは結果的に患者さんに行ってしまうのですが。。。
この辺の話はtak様が御詳しい訳ですが、指導要綱の度重なる変更により教育現場が大混乱を来した様に、現場を知らない官僚達の机上の空論で医療現場も迷走させられている様ですね。記事内で「又、こいつか!」と記しましたが、数の論理でジャカスカ法案が通された小泉政権での弊害が一気に出始めている近年。それでも「純ちゃ~ん!」なんて黄色い声を上げて応援している連中が居るのですから、全く以ってそのオツムの中を覗いてみたいものです。
知り合いの薬剤師の免許を持つ友人が離婚してパートを探していたのですが、時給2500円と聞いて「いいなあ~」と言い合っていました。
でも、それも「女性のパートにしては良い時給」であっても、男性の家族を養って家を買って・・ほどの収入にはならないですよね。
全然関係ないのですが・・と言うか、少しは関係あるのですが、うちの娘は難病で特定疾患として国費で治療していますが、ここ数年で随分負担金が増えました。
症状によっては難病指定を外れるかも知れません。
お年寄りの事ばかり取り上げられていますが、ごくごく少数の弱者もひっそりと負担を強いられています。
全く、「またこいつか!」ですよ(^^;
記事でも触れました様に、ドラッグ・ストア等で薬剤師の募集が結構好条件で出ているのを何度か見掛けていました。ですから以前、薬剤師をしている方(男性)と話す機会が在った際、「ヘッドハンティングとか凄いのでは?引く手数多で羨ましいなあ。」と話した所、「全然そんな事無いんですよ。薬剤師も厳しい状況に在りますから。」と返されました。てっきり謙遜して言っていたと思ったのですが、この記事を読む限りでは自分が思っていた程良い状況では無い様ですね。
高齢者や病気を抱えた方々等、社会的な弱者が一方的に切り捨てられる世の中というのは本当に遣り切れないもの。「弱い者が悪いのだ。」という“強者の論理”を振り翳す人が結構見受けられるのですが、そういう人達って自分“も”将来的に高齢者になる事や、病気を抱える身になる可能性等には思いを馳せられないのでしょうね。
30代前半で年収200万円というのは、非常に厳しい環境ですね。何時の時代にも富める者と貧しき者は存在するものですが、決して怠惰な訳でも無く、寧ろ必死で働いているのにも拘わらず生活が困窮している人々が居るというのは何とも遣り切れない話。生活困窮者に対して冷ややかな視線“しか”送れない人々も居ますが、決して他人事では無く、誰しもそういった状況に陥る可能性が在るというのに・・・。