防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

空中写真判読

2009年09月15日 | 技術動向
最近久しぶりに「空中写真を見ただけで地すべりの存在がわかるのか」という質問を受けました。

空中写真判読は、地表地質踏査と並んで地域の自然条件、土地の成り立ちを明らかにするために、最もベーシックで重要な技術であり、その割にはインセンティブの低い技術です。最近ではレーザー計測技術や空中電磁波技術などの発達により、膨大なデータをすばやく解析できるようになりましたが、結局空中写真判読と地表・地質踏査で得られた結論・仮説を超えることは殆どありません。

技術者の経験値というものは”値”という文字こそついてはいますが定量化できないものです。数百~数千万円かけて、定性的考察の域を超えない解析機器に投資するよりは、人を育てる方が、安くて正確です。

ついに来た

2009年09月14日 | 雑感
とうとう私の会社にも新型インフルエンザの感染者が出てしまいました。
私は200安打ならぬ、4月から200渓流調査を達成しました。
政権交代によるものと思われる駆け込みぷろぽの嵐。

ああ、そのうち東海地震が、、、

イチロー選手も言っているように、周到な準備が必要なんです。小さなことの積み重ねです。全打席完璧なホームランを狙うような考え方で防災を考えていると、予算が足りなくなるのは自明です。自分の打席で”アウトにならないこと”を最優先に考えれば、それこそ小技、内野安打でもよいのです。

そして、傾向と対策は、防災に関してはなぜかお上任せです。我々技術者は、打席に立ちやすく出塁しやすくするための、現場というデータをもったスコアラーであり、コーチであるはずです。

八ッ場ダムの戦い

2009年09月13日 | 維持管理の時代
TBS系列で放送される「噂の!東京マガジン」は、今日は八ッ場ダムの特集でした。止まらない無駄な公共事業の象徴として、あえてこのままの状態で放置しておけと極論をいう議員もいたとか。以下、アマゾンのレビューを転載します。

昭和27年初夏、なんの予告もなく突如やってきた建設省の1人の高官が、八ッ場ダムの建設計画を発表し、村全体が水没すると宣言する。一度は立ち消えになりながら、13年後の昭和40年に再び建設の話が持ち上がる。それからはいったん決定されたら止まらないダム行政との長く苦しい戦いである。

上級役人は民間人のいうことには耳を貸す気風はなかった。住民と官庁が同じテーブルに着くことはあっても、それは形式だけで、いつも前もって役所側がその考えや方針を決めてきて、会議はそれを押しつけるのが目的だった。

県庁の役人の人事は順送りでどんどん馬鹿が出てくると。旧態依然たる行政の枠内で国政が県政に下降し、役人に出来ることは、たかだか無難な順送りしかない。彼らは卑小な自分のメンツにこだわって、役人根性を丸出しにして、住民が自ら立ち上がって作った解決策をつぶす。

ビートルズ & 地質 で検索

2009年09月12日 | 雑感

 ビートルズのリマスター盤が9月9日に発売されました。私はビートルズファンで趣味の原点ともいえることです。仕事の原点は地質ですので、”ビートルズ”&”地質”で検索したら、ポールの奥さんが地質学者という点で、以下のサイトがみつかりました。記事を書かれたのは、日本建設産業職員労働組合協議会の方で、あながち無関係な業界の方ではないなあという感じです。

http://homepage1.nifty.com/nikkenkyo/4joho/761beatles/761beatles.htm
 解散後数十年経っても、ドラマやCMに使われたり、カバーされる曲の多さでは、群を抜いており、新たな秘蔵録音テープが発見され、新曲が発表されたり、既に発表済の録音状態と違う音源のCD「Yellow Submarine」「Let It Be(Naked)」が発売されたり、新たな編集によるベスト盤が発表されたり、アメリカの独自編集のアルバムがリミックスCDとして発売されたり、またこれらのCDが必ずヒット、チャートを賑わすほど売れている。今の若者にも受け入れられているのである。私が中学生の頃にビートルズと出会った時のように。

話はがらっと変わりまして、地盤工学会誌の最新号に、釜井俊孝先生の地すべり講座が掲載されていました。これによると、地すべり形態の定性的モデルはVanes(1958のち1978に改定)、クリープ現象を用いた地すべりの発生予測をモデル化したのは斉藤(1966)。ものすごいこじつけですが、ビートルズ世代です。ビートルズの代表作『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』が出たとき、今後アーティストがどんなヒット曲を飛ばそうとも、ビートルズの亜流の域を出ないと評した専門家もいたとか、、、地すべりの分野もその防止対策もふくめ本質的な部分では、当時からあまり変わっていないのかも知れません。

さて、もういちど話をビートルズに戻して、先ほどのサイトにビートルズMy Best 10が掲載されていたので、私のMy Best 10を以下に列記します。

1. Don't let me down
2. We can work it out
3, Golden Slumbers ~ The End
4. In my life
5. Day trriper
6. Penny Lane
7. Something
8. All you need is love
9. Birthday
10. Lovely Rita

同じく防災とビートルズを生業としているkuro2さん、いかがでしょうか。


『思考の整理学』を読んでみた

2009年09月11日 | 雑感
先日紹介した『思考の整理学』を読んでみました。とても読みやすく親しみやすい文体です。なるほど、これなら売れるもの納得です。

この本が出版された1986年は、「新人類」という言葉がはやった時代です。その当時は(私が該当世代ということもあり)、新しいといわれても実感がありませんでした。むしろ、1995年にネットが爆発し情報過多になった世代、そしてゆとり教育世代が社会人になったとき、”マニュアル”世代だなあという”新人類”の存在を感じました。

ところが、同じことがこの本の冒頭で語られていました。

・グライダー人間・・・何かに引っ張ってもらわないと飛べない人間
・飛行機人間・・・自力で飛ぶことができる人間
 ○人間には、グライダー能力と飛行機能力とがある。受動的に知識を得るのが前者、自分で物事を発明、発見するのが後者である。両者はひとりの人間の中に同居している。グライダー能力を全く欠いていては、基本的知識すら習得できない。何も知らないで、独力で飛ぼうとすれば、どんな事故になるかわからない。

○グライダー専業では安心していられないのは、コンピューターという飛び抜けて優秀なグライダー能力の持ち主があらわれたからである。自分で飛べない人間はコンピューターに仕事を奪われる。

この表紙も、地下水の浸透も単純じゃありませんよといっているような。。。

専門の技術者は県境の壁を越えられるか - ますます民需喚起が重要 -

2009年09月10日 | 技術動向
民主党のマニフェストに、以下のような一節があります。

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2.特別会計、独立行政法人、公益法人をゼロベースで見直す
【政策目的】
○財政を透明にして、国民の政治に対する信頼を高める。
○税金のムダづかいを根絶する。
【具体策】
○特別会計をゼロベースで見直し、必要不可欠なもの以外は廃止する。
○独立行政法人の実施する事業について、不要な事業や民間で可能な事業は廃止し、国が責任を負うべき事業は国が直接実施することとして、法人のあり方は全廃を含めて抜本的な見直しを進める。
○実質的に霞が関の天下り団体となっている公益法人は原則として廃止する。公益法人との契約関係を全面的に見直す。



28.国の出先機関、直轄事業に対する地方の負担金は廃止する
【政策目的】
○国と地方の二重行政は排し、地方にできることは地方に委ねる。
○地方が自由に使えるお金を増やし、自治体が地域のニーズに適切に応えられるようにする。
【具体策】
○国の出先機関を原則廃止する。
○道路・河川・ダム等の全ての国直轄事業における負担金制度を廃止し、地方の約1兆円の負担をなくす。それに伴う地方交付税の減額は行わない。
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私が以前勤めたことがある会社は、国の出先機関と法人からの仕事が100%というスタイルで何年も着ています。同じようなコンサル会社はいくつもあるでしょう。

もし、このマニフェストが実行されたら、地方の河川・砂防・国道などの事務所の仕事は県に移譲されることになります。そうなると、おそらく県外のコンサルには仕事を出さない可能性大です。しかし、問題解決に当たって高度な知識・経験を持つ技術者は首都圏・関西圏などの大都市圏に偏っているような印象があります。

えらいことです。47都道府県(かそれに近い)支店網を持つ大企業か、少数精鋭の会社しか残らないのではないでしょうか。

医療だと高度な技術を求めて、場合によっては海外まで行くのですが、これはマーケット主体が民間や個人にあるからです。我々もそのようなマーケットインを目指すことが急務です。

だいぶ先走ってます

2009年09月09日 | 雑感

このブログを読んで頂いている方ならお分かりと思いますが、実際の日付より記事の日付が大分さきに走っております。これは、来週現場の予定が入っているためです。ネットが使えないわけではないのですが、疲れる現場なんです。朝早くから日没まで歩きっぱなしですから。しかし、ブログを毎日書いて知恵の脈動を絶やさないという見栄をはりたいので、書きだめしているわけです。


民間需要の喚起

2009年09月08日 | 維持管理の時代
民主党が政権をとって、マニフェストで掲げた財源を確保するために、公共事業・補正予算の見直しなど鼻息が荒いですね。まあ、その是非はともかくとして、どうころんでも公共事業は先細くなる運命なので、民間需要に本気にならなければいけない時期に来ています。

公共事業と民間需要との対応の仕方は、まるで正反対です。まだ未公表ですが、私の論文の挿入図を提示しておきます。

思考の整理学を読んでみた (1)

2009年09月07日 | 雑感
外山滋比古さんの名著『思考の整理学』が、1986年から23年を経て100万部を売り上げたそうです。ちょっと季節は外れますが、山下達郎『クリスマス・イブ』のようなロングセラーです。実は、以前からこの本は知っていたのですが、なにかと読む機会を逸してきました。ですが、やはり古典的名著は読んどくべきなんでしょうね。いろんなところから、エッセンスを抜粋してみます。

○忘れることが「古典化」に不可欠という考え方
「"時の試練"とは、時間のもつ風化作用をくぐってくるということである。風化作用は言いかえると、忘却にほかならない。古典は読者の忘却の層をくぐり抜けたときに生まれる。作者自らが古典を創り出すことはできない。 (中略) きわめて少数のものだけが、試練に耐えて、古典として再生する。持続的な価値をもつには、この忘却のふるいはどうしても避けて通ることのできない関所である」。

地形学・地質学では、”時の試練”に耐えて古くから持続している岩を”いい岩盤”といったりします。また、風化作用については、A、B、CH~CL、Dなどど、風化作用にも”整理”しています。そして、スケッチというかたちでデザインします。

しかし、そこで終わっては仕事はできても商売はできないでしょう。上の文のように、噛めば噛むほど味が出るような表現を考えることは、最もむづかしく、最も重要であるように思います。


勘とは経験の集積

2009年09月06日 | 技術動向
民主党のマニフェストには、やたらと数字が出てきます。私の周りにも公共事業が減るのではないかと不安に思っている人がいます。

数字というのは、世界共通の言語であり、かつ絶対的・圧倒的な説得力を持っています。しかし、それは木であって、それを支える根や土、さらには循環する大気ではないように思います。数値を与えるべき問題点を見つける能力は"勘”ピューターです。

勘とは経験の集積という言葉があります。経験の集積とはつまり、長年様々な事例にあたって意識の底にたまったデータが事に当たって力を発揮する、それが勘の正体、ということだ。とは、野球評論家の豊田泰光さんの言葉です。野球も観察からすべてが始まり、傾向と対策があるように、地質技術も同じなのかもしれません。

牛山先生の講義を技術者がすべき

2009年09月05日 | 防災・環境のコンセプト
静岡県立大学の牛山先生が、防災の日にちなんで講演をされたそうです。その内容は、このブログでも何度も言っている脱マニュアルでした。

http://disaster-i.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-8f57.html

一昔前は,地震の起き方や台風の構造なんかを教えることが「防災教育」だと考えられていました.しかし,最近は,災害が起こった後の助け合い方を教えることが防災教育であるかのような声が強いように感じます.私は,どちらも偏っていると思いますが,最近,前者が軽んじられすぎではないかと思うようになってきました.個人レベルの防災対策のスタートラインは,やはり,自然を知り,危険を知ることだと思います.その上で,どう備えるかは,マニュアル化できることではなくて,個人個人の事情によって話がだいぶ変わってくるものだとおもいます.講演の最後は,次のようにまとめました.

・マニュアル頭から卒業しましょう
・地震「だけ」が災害ではありません
  ※そうなんです。死者・不明者がいちばん多いのは津波なんです。2004年インドネシアの地震では、日本人観光客が、潮の引きを津波と認識できなかったことが指摘されました。
・避難訓練「だけ」が備えではありません
・まずは予想される災害の把握
 土地の歴史は災害の歴史です。ハザードマップは法指定区域図とは違います
・自分はどのような危険に見舞われそうか その上で,自分としての対策
・何が重要かは,人それぞれ違います
・どうなったら自分は困るか? 具体的にイメージ
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具体的にイメージすることは、妄想することではありません。具体的に”描く”ことが大事です。自分の住む大地は、どのような履歴をもっているのかを”見える化”することです。この手作業の教育が最も遅れています。そして、技術者が地域デビューするべきなのです。

戦後初の「理系脳」首相

2009年09月04日 | 技術動向

今度総理大臣になられる鳩山由紀夫氏は「理系」なんだそうです。

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戦後初の「理系脳」専門は問題解決学
http://www.aera-net.jp/summary/090831_001100.html

「10人の女性と順番にお見合いする。その中で一番すばらしい人にプロポーズする確率を最大にしたい。どうしたらいいか」鳩山由紀夫が、客員教授を務める同志社大学の特別講義でよくする話だ。答えは、

「3人目までは見送って4人目以後これが一番という人にプロポーズすればいい」

というもの。最初の人で決めれば1割、最後の人まで待つとするとやはり1割の確率でしか、最高の人と出会えない。実はその間に「行動に踏み切る最少の人数」があって、この場合、3人見送れば、ほぼ4割の確率で10人中1番の人に結婚を申し込める、という。これは、由紀夫の思考法の原点である、OR(オペレーションズ・リサーチ)、いわゆる「問題解決学」的思考法だ。

大蔵省の官僚だった鳩山由紀夫の父、威一郎は大学で応用数学を学んだ由紀夫を捕まえて、こんな議論をしたという。

威一郎「数学って世の中のためになったためしがあるのかい?」
由紀夫「冗談じゃないよ、新幹線が走るのも(数学のおかげだし)、この世の中で数学なしでまともに動いているものはない」
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これを読んでいる限り、”技系のにおい”はあまりしません。西澤潤一先生のエピソードの方が、具体的でユニークで夢があるように思います。そして、実益を上げるためには(マニュアル通りではなく)考えることと手に職をもつこと、眼力をもつことなど、前例なき、形なきものの追及が大事なのですが”財源さがし”に夢中になりすぎて”知価資源”の醸成に及ばないということのないようにしてもらいたいですね。

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http://homepage3.nifty.com/circuit/dokusou/nisizawa2.html
西澤は、よく教え子の結婚式に招待される。
 西澤は、御祝儀を出す代わりに、電気スタンドと筆記用具をプレゼントするそうだ。それを枕元において、使ってほしいそうだ。何故かと言えば、寝ている時いいアイデアが浮かんだら、すぐ 書き留められるからだそうだ。自分も常にそうしているそうだ。独創的研究者らしい話である。

 西澤は、若い時から特許を数多く出願している。西澤が得ている特許料は、年間5億円以上である。この金は全て、自分が研究所長をしている半導体研究所の研究費につぎ込んでいる。西澤は特許について、こう述べている。

『日本では、特許は卑しいものという感覚があります。お金がからんでくるからです。アメリカでは、良い特許を持つ技術者に、フェローなどの待遇を与えます。日本ではアメリカほど評価されていない。
 研究には、アイデアが重要です。アイデアがあって、その周囲を固めた成果が 論文になります。アイデアを登録するのが特許です。だれよりも早いアイデアであることを、何かの形で残すことが、重要です。資源のない日本では、今後とも技術で生きていくしかありません。特許は、外国に対して重要な対抗手段に成り得ます。』


理科系の作文技術と宅建

2009年09月03日 | 資格に関すること
理系の首相誕生か、という話題の後ですが、木下是雄『理科系の作文技術』という不朽の名著があります。1981年に出版されていますから、そろそろ30年を迎えようかいうのですから大変なロングセラーです。

理科系の作文技術
http://www.mi.s.osakafu-u.ac.jp/~kada/course-kitami/textsemi/html/sakubun.html

まあ、このブログにとっても耳の痛い話ですが。

それにしても宅建の問題文はどうにかならんのでしょうか。どんなに長い文章でも、意地でも句点をを使わないぞという意図さえ感じます(はやくも負け惜しみ)

高速道路無料化

2009年09月02日 | 盛土が安定すれば安心
報道ステーションを見ていたら、高速道路の無料化による経済効果を力説されていました。それを含め国民の皆様が心配している財源も確保できるのだと。

しかし、みているとかなり綱渡りの感は否めません。そして、私に言わせれば肝心要の道路防災対策が語られることがありませんでした。東海地震は手ぐすね引いて待っています。そして、盛土の間隙水圧がテロリストのごとく暴れだします。最大のドル箱路線の東名高速道路がどうなるか、、あえてタブー視しているようでもなく、念頭にないのが心配です。

防災の日に因んで - 二番煎じですが。。。 -

2009年09月01日 | 災害の記憶と想像力
いま報道では選挙結果一色ですが、”地すべり的大勝利”とかよく使われますよね。地学用語が、、、っと、なんと太田さんと同じ展開を考えていました。

防災の日に因んで 例えば

○「付加帯」・・・掃除をしていない部屋の隅に集まった洗濯物のこと
   私の場合は既に隆起して地すべりを起こしています。

という具合です。二番煎じですが、私もいくつか考えてみましょう。

・内陸地震的 … 目立つ人の隣にいる地味な人が極端な結果を出すこと
・イエローゾーン … 広げすぎたストライクゾーン。あるいは”黄”上の空論。
・本当の地すべり的勝利 … そのうち細分化して縮小?http://www.kankyo-c.com/landslide/ls_life.jpg