海外では、古くから食欲抑制剤として使われることがあるフェンフルラミン(日本では未承認)がドラベ症候群患者での発作抑制に有効との報告があり、昨年から欧州で臨床治験が実施されていますが、米国でも臨床治験が始まるとのニュースがあったので要点だけ紹介します。
フェンフルラミンは、食欲抑制剤としてイギリスやフランスでは承認されている医薬品だが、日本では承認されていない。
フェンフルラミンの構造は、フェネチルアミンの骨格を有し、覚せい剤であるアンフェタミンと類似しており、鎮咳薬としてまた覚せい剤原料として用いられているエフェドリンの構造とも類似している。
フェンフルラミンの作用は、中枢神経を興奮させ、満腹中枢を刺激することによって食欲を抑制するとされる。
(ダイエット食品とフェンフルラミン)
近年、既存の治療薬にフェンフルラミンを追加することによって、ドラベ症候群の患者の発作頻度を減少させる効果が少数ながら報告されてきている。
Eur J Neurol. 2017: Low-dose fenfluramine significantly reduces seizure frequency in Dravet syndrome: a prospective study of a new cohort of patients.
Epilepsia. 2012: Successful use of fenfluramine as an add-on treatment for Dravet syndrome.
Old Drug for New Indication? Fenfluramine and Dravet Syndrome
Zogenixという会社がZX008としてドラベ症候群の治療薬としての承認を目指した、臨床第三相治験を昨年から欧州で開始
Zogenix Announces Initiation of Multi-National Phase 3 Clinical Trial for ZX008 in Dravet Syndrome
今年2月から米国とカナダでも臨床治験を拡大することになった。
研究の方法はスチリペントール・クロバザム・バルプロ酸の治療にフェンフルラミンを追加するRCT
Zogenix Announces Initiation of Clinical Efficacy Portion of Study 1504 for ZX008 in Dravet Syndrome
米国の患者団体でも臨床治験への参加を紹介、サポート
CURRENT CLINICAL TRIALS FOR DRAVET SYNDROME Dravet Syndrome Foundatiion
日本での治験の予定はないですが、欧米のEMAやFDAで承認されれば、日本国内での議論も活性化されるかもしれません。
また、臭化カリウム等もそうですが、新薬だけでなく、既知の薬剤の評価にも、国際的な評価確立のための臨床治験等が必要と言えそうです。