胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

早期胃癌研究会

2008-09-19 | 研究会、学会
 早期胃癌研究会が泉岳寺の近くでありました。
(1) 胃:範囲診断が問題となる、0 IIc+IIb+IIa型の早期癌です。隆起性のところは分化型、平坦・陥凹部では赤色調と退色調のところがあり、前者はtub 2>por、後者はporが優位になっていました。Dr.Harleyがコメントされました。tub 2のところは本ブログでも紹介していますが「手繋ぎ型、横這い型」であり、未分化型への予兆とも思われ、範囲診断がいつも問題になります。
(2) 胃:術前診断は粘膜下腫瘍です。粘膜下異所性胃腺とIFPが重なった症例です。IFPとしての炎症反応は粘膜固有層深部・粘膜筋板あたりから始まると以前Dr.Curryに教わりました。これとそっくりの症例は私の妹弟子が去年病理学会でポスター発表しています。なお、今度の胃癌取扱い規約には腫瘍様病変も掲載される予定で、粘膜下異所性胃腺submucosal heterotopia of gastric glandという名前が用いられるようです。
(3) 胃:胃底腺ポリポーシスに完全胃型の腫瘍性病変が発生した希少例です。FAPの方ではありません。腫瘍の部分は完全胃型の非浸潤性粘膜内病変で、腺腫とするか低異型度癌とするか意見がわかれます。Dr.Qussieは最近、腸型も胃型も「胃腺腫」はかなり限定的に、幅を狭くしているので、胃型腺腫に関連して発生した低異型度・高分化型腺癌としました。
(4) 小腸:小腸出血が診断契機となった症例です。画像診断ではIFPとの意見が大勢を占めていました。粘膜下層で拡張した静脈内に器質化血栓が形成され、それがムギュッと粘膜に露出したような形になっていました。Granuloma pyogenicumとは異なります。Dr.CurryはベースにAVMがあるのではないか?とコメントされていました。
(5) 大腸:表面に上皮性腫瘍の変化があり、その下は柔らかいSMT様の隆起がみられた大腸腫瘍です。表面の病変はNBIでは異型の強い腺腫(または異型の弱い癌)という意見がありました。病理では腺腫の偽浸潤と腺癌の浸潤に意見がわかれました。粘液がパンパンになった杯細胞型の腫瘍細胞は怪しいんダヨ、と築地の親分に教わりました。
 このあと田町でGIPaCの学術交流会がありました。
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