胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

胃生検あるある:激しいびらんと上皮の剥がれ

2023-01-28 | 胃炎
 びらんが強く、上皮剥離が強いと、一見異型性が強くみえます(写真クリック!)。これで、依頼書にIIcなんて書いてあったら、ヤバいですね。若い先生が「・・・・Group 5」とよく書いてきます。
 多くの核の周囲が白く抜けている(halo?)のも再生・変性異型をみるコツだ、と東京の師匠に習ったことがあります。確かに!

 
 これは"剥き出しの胃底腺”です。こちらも過剰評価あるあるです。

 
 こいつが来るとなんか嬉しいですね。
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SSLD (sessile serrated lesion with dysplasia) その2

2023-01-24 | 大腸腫瘍
 SSLD (sessile serrated lesion with dysplasia)その2です(写真クリック!)。領域性をもって周囲より少し異型性のみられる上皮があります。

MLH1免疫染色です(写真クリック!)。

ついでにPMS2免疫染色です。


 異型性は低いですが、” Stratification of dysplasia into low-grade vs high-grade is not recommended, because it may be difficult and not reproducible due to the heterogeneity of morphological changes and the lack of correlation with loss of MLH1 expression‟ ということなので、low-grade dysplasia (LGD)とは言えません。日本語で何と言えば??"腺腫?” 、”腺腫相当?” 、”癌?” 、”癌相当?” 、あるいはそのまんま”SSLD?”

 Nozomi Super-express bound for Tokyoからきれいな富士山が撮れました!

 領域性をもった宝永火口が右方にみられます。
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AIG最前線!幽門前庭部大弯側生検組織第2弾 biopsy from the distal antrum, greater curvature (A2)

2023-01-22 | 胃炎
 Autoimmune gastritis; AIG (Anti-parietal cell antibody; APA高値です) の幽門前庭部大弯側生検組織です。
 写真の右側では腺頸部以深のリンパ球浸潤が(写真の左側に比べて)強いですよね(写真クリック!)。
 つまり、ここは元々腺境界部粘膜で写真右側が胃底腺側、左側が幽門腺側であって、右側からAIGが攻め寄せている像ではないかと想像しています。壁細胞達は殲滅されています。
 頑張れ壁細胞!
 
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領域性とは:GA-FG(OGA)を対象として

2023-01-19 | 胃癌全般
 腫瘍診断に領域性、大事ですね。見出し写真は(クリック!)は胃底腺型腺癌 Gastric adenocarcinoma of fundic gland type (GA-FG)あるいはoxyntic gland adenoma (OGA)といわれる病変です。腫瘍内MUC5AC陰性は確認済み。

 ちょっと拡大しました(写真クリック!)。非腫瘍(正常)胃底腺との境界がわかりますか?


 境界部に線(赤点線)を描いてみました(写真クリック!)。


 軍事境界線 Military Demarcation Line (MDL) ホンマもんのデマルケーション・ライン(DL)です。私にとってDLとはDL (Diesel Locomotive) ですね。DF50とかDD54。

(2015-3. 판문점 板門店にて Dr. Qussie撮影)
 なお、見張りの兵隊さんを”歩哨”と言いますが、英訳するとsentinelセンチネル・リンパ節のセンチネル)です。
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SSLD (sessile serrated lesion with dysplasia)

2023-01-12 | 大腸腫瘍
 SSLD (sessile serrated lesion with dysplasia)です(写真クリック!)。異型性のない鋸歯状上皮、少し腫瘍性異型のある鋸歯状上皮、そしてあからさまに腫瘍性異型のある鋸歯状上皮が認められます(Multiple morphological patterns of dysplasia often occur in a single polyp)。しかし、"Stratification of dysplasia into low-grade vs high-grade is not recommended, because it may be difficult and not reproducible due to the heterogeneity of morphological changes and the lack of correlation with loss of MLH1 expression"とDigestive System Tumours (5th)に記載されています。

同じ病変内の別のところです(写真クリック)。

粘膜筋板を越えて浸潤しています。これなら世界中のどこでもadenocarcinomaと言ってくれます。

というわけで、本例は"Tubular adenocarcinoma (tub1=tub2), invasive, in SSLD"というタイトルにしました。pT1bで、Ly1(D2-40)でした。


Heterogeneity in 東北新幹線

どっちもwithout dysplasiaです。
 
 
 
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幽門前庭部大弯側生検組織 biopsy from the distal antrum, greater curvature (A2)

2023-01-09 | 胃炎
 Updated Sydney Systemでは5点生検が推奨されていますが、現実的には前庭部大弯(A2)体部大弯(B2)の2点生検を行うことが多いようです。3点生検の場合は胃角(IA)の追加がいいとされています(https://doi.org/10.11280/gee.51.1588)。
 A2の生検組織は"幽門腺型粘膜 pyloric gland mucosa”を代表する部位と思われがちですが、H. pylori未感染の非萎縮性粘膜では、実際のところ見出し写真(クリック!)のように、胃底腺(写真左側)と幽門腺(写真右側)が混在する腺境界部粘膜であることも多いです。主細胞がなくとも壁細胞はしばしば観察されます。また、胃角の粘膜(IA)はほとんどの場合胃底腺粘膜か腺境界部粘膜であり、純粋な幽門腺粘膜であることは極めてまれです(PMID: 32239550)。
 本ブログ「膵上皮化生 pancreatic acinar metaplasia (2) AIG vs. H. pylori胃炎」(2022年11月8日投稿)の見出し写真も前庭部大弯生検(除菌後)です。


 これは上記のガストリン免疫染色です。Vonoprazanの作用で、G細胞過形成が生じていますが、胃底腺側の粘膜ではもともとG細胞はありません(写真クリック!)。
 なお、(B+A型胃炎ではない)自己免疫性胃炎(AIG)で「萎縮がない」と思われているA2生検では、腺密度や粘膜厚としての萎縮はあまりありませんが、やはり壁細胞が減少している印象を受けます(あるいは消失)。IA生検でも壁細胞が減少(~消失)します。したがいまして、AIGでも、体部だけでなく、B2やIAの生検を追加していただけるとわかりやすくなると思います。



線路内立入禁止


年賀状です。明けましておめでとうございます。
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