胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

H. pylori陰性がんと除菌後がん(2)

2014-06-13 | 胃分化型腺癌
 H. pylori陰性がんといえば、Dr Curry type(GA-CCD)ですね(写真クリック)。前回の記事と同様、背景粘膜に注目してください。きれいな胃底腺粘膜です。いきなり病変(腫瘍)をみるのではなく、レントゲンや内視鏡で背景粘膜から観察することが重要だとH. pylori胃炎に関する昨日の講演で拝聴しました。病理でも同じことです。
 Dr Curry typeはわれらがPGAと兄弟杯関係にあるようです。詳しくは2013年の病理学会英文誌318頁をご覧ください。
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手つなぎ・横這い型がん (6)

2012-01-25 | 胃分化型腺癌
 強拡大です。横方向への浸潤先進部・最前線と思います。腫瘍腺管と既存の胃腺が白兵戦をしているように見えます。軽度ですが,「間質反応」が認められ,'intramucosal invasion'とも理解できる所見です(写真クリック)。
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手つなぎ・横這い型がん (5)

2012-01-25 | 胃分化型腺癌
 先ほどの中拡大です。腸上皮化生そっくりですが,横方向に吻合しており,異常に膨らんだ杯細胞に違和感を覚えます(写真クリック)。大変難しいですが,生検診断のときに参考になります。
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手つなぎ・横這い型がん (4)

2012-01-25 | 胃分化型腺癌
 昨年は「胃生検の小部屋」へのご来室ありがとうございました。新年の挨拶が遅れましたが,本年もよろしくお願いします。さて,小部屋をご贔屓にしていただいている横這い派先生がアルゼンチンのとなりに出張され,「大腸生検の小部屋」を開設されるとのことで,今年の第一報は手つなぎ・横這い型がん(4)にしました。ちょうど,手つなぎ型の「低異型度(超高分化型)腸型腺癌」が粘膜固有層内を横方向へ(写真の左方向へ)横這いしていくような写真が撮れました(写真クリック)。
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胃癌、HER2検査(4)、DISH法、夏の学校、

2010-08-24 | 胃分化型腺癌
 「夏の学校」が故郷の街にある大学で行われました。お招きありがとうございました。
 2010-7-23投稿記事の続編です。同じ切片でDISH法というのを開発中の会社の方に施行してもらいました。DISHはdouble colored ISHと言って、HER2とChr17をカクテルしたプローブを用いて、それぞれをSilverとNaphthol Fast Redで発色するものです(SISH & CISH)。HER2が黒シグナル、Chr17が赤シグナルです。これを用いると、従来のFISHの様に蛍光顕微鏡や油浸レンズを用いることなく、遺伝子の増幅が通常観察でわかります。極端な言い方をすると、右上のように弱拡大で遺伝子の増幅がスキャンできるのです。胃癌の様に多様性heterogeneityの強い組織で遺伝子の変化をみるのにとても有用なツールになりそうです。
 左下の写真をみると同じ胃癌組織の中にHER2-IHC3+腺管とHER2-IHC±の腺管が隣り合って観察できますが、DISH法でみると左側の腺管でHER2のシグナルが増幅していることが一目でわかります。
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胃癌、HER2検査(3)、Heterogeneity、サムスン

2010-07-23 | 胃分化型腺癌
 胃癌のHER2染色で特徴的な所見が得られましたのでアップします。これぞheterogeneityです。韓国では胃癌のハーセプチン治療が、例によって、日本より一足早く認可されています。病院四天王のひとつで電機メーカー系のメディカルセンターの病理と交流していますが、そこでは外科切除標本のほぼ全例にHER2検査をしていると聞きました。

Her2 IHC Scoring Proposal –acc. Pre-ToGA Study
DakoCytomation HercepTest™ (mod. for Gastric Cancer)
0: No / membrane staining in <10% of tumour cells
1+: Faint / barely perceptible membrane staining in >10%; cells only stained in part of their membrane
2+: Weak to moderate complete or baso-lateral membrane staining detected in >10% of tumour cells
3+: Moderate to strong complete or baso-lateral membrane staining in >10% of tumour cells
Biopsy samples with cohesive either IHC 3+ and ⁄ or FISH+ clones are considered positive. Irrespective of size, i.e. <10%
(Hofmann et al. Histopathology 52:797-805, 2008)
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手つなぎ癌、横這い癌 (2), Was ist Invasion ?

2010-05-10 | 胃分化型腺癌
 日本病理学会総会が新宿みなと町(古い!)でありました。消化管病理医の会で呈示した手つなぎ・横這い癌の典型例をアップします。若い先生方の勉強法として、ESDや切除標本でこのような典型的手つなぎ癌を材料にして、自信を持って癌といえる領域から標本を左右にスキャンしていって、非腫瘍と腫瘍の境界を学んでいくのがいいのでは、と提案しました。
 手つなぎ癌、横這い癌は2008-8-19にもアップしています。紛らわしい「偽手つなぎ」は2008-11-26に出しています。特に横切れ、斜め切れの切片で偽手つなぎが出現します。
 この手の癌は「細胞異型が乏しく、構造異型で診断する」と信じられていますが、実のところ、そこそこの核異型もみてとれます。
 構造異型については、それぞれの腺管の軸を結んでいくと無茶苦茶な交叉を示します。腺管の輪郭を追うことが困難です。腺管距離、核間距離が不揃いです。
 鋭角的な分岐・吻合が特徴で、我々伊賀流一門では手裏剣型分岐・吻合と(私が勝手に)言っています。手裏剣が粘膜固有層内を飛び回り、隣接する腺管の基底膜を破壊していくイメージです。なお、正常や非腫瘍性変化でも胃の幽門腺や不完全型腸上皮化生では深部でかなり複雑な「分岐・分枝」をしますが、腺管同士、水平方向への「吻合、anastomosis」というのはかなり異常です。
 細胞が扁平化し、内部に壊死・アポトーシスを貯めたような変性腺管が唐突に、忽然と出現したりします。
 手つなぎ型の形態について、構造異型という先生、粘膜内浸潤像であるという先生色々です。独逸時代のChefであるボルヒャルト先生は、Das ist Invasion.と論文に書いておられますが、残念ながらドイツ語論文(日本語は勿論のこと)なので日の目を見ていません。私はChefに従い、粘膜固有層内浸潤という立場をとっています(築地魚河岸の先代は浸潤とは言われません)。この写真をよく見て下さい。手つなぎ、横這い癌をその目でみると、粘膜固有層内でも腺管周囲に軽い線維化をみる場合が多いです。浸潤に伴う一種の間質反応と考えることもできるでしょう。
 手つなぎ癌をみるときは、構造異型だけでなく、細胞異型や間質反応にも目を向けて下さい。
 日本と同様、内視鏡治療が広く普及し、粘膜下層に浸潤する前に癌診断をしなければならない機会が多くなった韓国でも手つなぎ・横這い癌は注目されています。(韓国の消化管病理の診断基準は米国流、日本流が拮抗しています。ESD,EMR向けには何と言っても日本流でしょう!)
 しかし、過剰診断は禁物です。深切り切片を作り、内視鏡医ともよく話し合って、一緒に悩みましょう。
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胃底腺型癌、Dr Curry type

2010-02-26 | 胃分化型腺癌
 時々話題にしている胃底腺型癌(Dr. Curry type)です。Gastric adenocarcinoma of fundic gland typeというタイトルでDr Curry Teamの論文が米国超有名誌にアクセプトされたそうです。おめでとうございます
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Trastuzumab, HER2, 胃癌, ToGA study (2)

2010-02-03 | 胃分化型腺癌
トラスツズマブの胃癌での実用化が近くなってきました。このためには病理医がhuman epidermal growth factor receptor 2 (HER2)検査を判定する必要があります。胃癌におけるHER2検査に関する集まりが旧GHQビルの近くでありました。胃癌は乳癌に比べてheterogeneityが大変強いのが大きな問題点です。

Her2 IHC Scoring Proposal –acc. Pre-ToGA Study
DakoCytomation HercepTest™ (mod. for Gastric Cancer)
0: No / membrane staining in <10% of tumour cells
1+: Faint / barely perceptible membrane staining in >10%; cells only stained in part of their membrane
2+: Weak to moderate complete or baso-lateral membrane staining detected in >10% of tumour cells
3+: Moderate to strong complete or baso-lateral membrane staining in >10% of tumour cells
Biopsy samples with cohesive either IHC 3+ and ⁄ or FISH+ clones are considered positive. Irrespective of size, i.e. <10%
(Hofmann et al. Histopathology 52:797-805, 2008)
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Trastuzumab, HER2, 胃癌, ToGA study

2009-12-15 | 胃分化型腺癌
 乳癌の治療で広く用いられる様になったトラスツズマブの胃癌での実用化が近くなってきたといわれています。このためには病理医がhuman epidermal growth factor 2 (HER2)検査を判定する必要があります。胃癌におけるHER2検査の勉強にKasselまで行ってきました。胃癌は乳癌に比べてheterogeneityが大変強いのが大きな問題点です。

Her2 IHC Scoring Proposal –acc. Pre-ToGA Study
DakoCytomation HercepTest™ (mod. for Gastric Cancer)
0: No / membrane staining in <10% of tumour cells
1+: Faint / barely perceptible membrane staining in >10%; cells only stained in part of their membrane
2+: Weak to moderate complete or baso-lateral membrane staining detected in >10% of tumour cells
3+: Moderate to strong complete or baso-lateral membrane staining in >10% of tumour cells
Biopsy samples with cohesive either IHC 3+ and ⁄ or FISH+ clones are considered positive. Irrespective of size, i.e. <10%
(Hofmann et al. Histopathology 52:797-805, 2008)

【写真は朝のAschaffenburg駅です。ドイツの長距離列車はICEばかりになってきました。】
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壁細胞染まります。

2009-03-22 | 胃分化型腺癌
 体部腺・固有腺型腫瘍(超高分化・低異型度癌?:Dr Curry type)が送られてきました。壁細胞への分化がHEで強く示唆されたので、Dr. Rugger-manがきれいに染色してくれました。
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「似て非なるもの」(3), Ninja's polyp

2008-12-02 | 胃分化型腺癌
 さきほどのルーペ像の一部を拡大しました。写真上部が胃型腫瘍、下部が過形成の腺窩上皮で、明瞭なフロントがあります。胃型で高分化型かつ低異型度のadenocarcinomaです。腺窩上皮と似ています。英米ではgastric-type dysplasiaでしょうか?本例では腫瘍のところだけp53蛋白の過剰発現がみられました。
 染めるまでもなく、MUC5ACが主体の陽性像を示すはずですが、このような「胃型」腫瘍で、MUC2がパラパラと染まってくることが多いです(胃優位型)。非腫瘍胃粘膜に腸上皮化生が起きるのと同様、腫瘍の部分も腸の方向へ多少は向かうようです。Prof.Ninjaの時代は電顕とPAS染色で胃型と記載されました。十数年前に私が数を増やして焼きなおし論文を書いたときにはGOS、conA(III)とHID-ABに染まるので、胃型やけれども腸方向への分化もあろうと屁理屈をこねました。
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「似て非なるもの」(2) 過形成性ポリープの癌化

2008-12-02 | 胃分化型腺癌
 伊賀流一門の恩師が1985年のJ. Clinical Pathologyに腺窩上皮型過形成性ポリープ内には腸上皮化生があまり見られず、そこに発生する腫瘍は胃型のものが多いと記載し、gastric-type dysplasiaとかgastric-type adenocarcinomaが注目されるきっかけになりました。今もよく引用されています。久しぶりにNinja's polypに遭遇しました。ルーペ像です。どうぞクリックして下さい。
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Was ist Invasion? (4) Das ist Invasion.

2008-11-20 | 胃分化型腺癌
 先ほどの体部腺・固有腺型(Dr Curry type)腺がんの深部強拡大です。クリック!
腺管周囲に軽度ですが同心円状に線維化を伴う反応をみることができました。ここはもう粘膜下層空間です。
 赤い顆粒を持った細胞があります。パネート顆粒だというひともいるでしょう。特染をするとMUC6とpepsinogen 1に染まります。つでにMUC5ACにも染まりました。細胞異型(核異型)は無いに等しいですが、性格としては非常に幼若な胃型細胞と考えられます。経験的に胃型腺腫や腺がんで胞体が赤いものが目立つことがありますが、粘液顆粒等が変性したものではないかと勝手に思っています。リゾチームにも染まります。
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Was ist Invasion? (3) またもやDr Curry typeです

2008-11-20 | 胃分化型腺癌
 またもやDr Curry-type adenocarcinomaをみせていただく機会に恵まれました。0IIa病変、弱拡大です。固有腺・体部腺型の腺がんは粘膜下層に浸潤してもあまり間質反応しないのも特徴のひとつですが・・・→次の記事へ。
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