胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

parietal cell protrusion, PPI

2009-04-21 | 胃腫瘍様病変
 昨年8月23日にも投稿していますが、立派なparietal cell protrusionをみかけたので、アップいたします。今の施設でも、このような胃生検がついつい気になってしまいます。この組織像は
1) pseudoparietal cell hyperplasia/hypertrophy
2) parietal cell protrusion
3) FGP-like lesion
などと呼ばれています。(1)は我らが独逸の腫トルテ先生が名付け親ですが、英米人は(2),(3)が好きなようです。日本の仲間ではあまり話題になりませんが・・・
 PPIの服用または高ガストリン血症の際に壁細胞が尖がった帽子の様になるのが特徴的です。これ自体は見落としてもあまり問題のない所見だと思いますが、カルテを辿っていくと色々なことが見えてくるかもしれません。
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早期胃癌研究会

2009-04-15 | 研究会、学会
 4月度の早期胃癌研究会が田町・品川間でありました。
1) 肛門管の扁平上皮領域に発生したcondyloma acuminatumで、少し異形成がありました。重層扁平上皮の乳頭状病変です。拡大やNBIなどを含めて観察されていました。扁平上皮ということで食道の専門家の出番となりました。多発病変のように見えましたが、平坦な部分の病理所見が問題となりました。
2) 直腸のMALTリンパ腫というご提示でした。いつものようにリンパ系の反応性病変か腫瘍かの鑑別が議論になります。肉眼的にはlymphoid hyperplasiaより結節状で癒合しているようにみえ、組織学的には免疫染色でラムダ鎖が陽性となる細胞が増えていました。腫瘍である証拠をもう少し調べてほしいところです。
3) 胃型の分化型腺癌の症例でした。NBIで絨毛状の表面が少しわかりました。高分化型・低異型度が主体ですが、粘膜下層浸潤部では一部で高異型度になったり、低分化傾向を示すところがありました。
4) いつもながら美しいレントゲンと内視鏡像を示された胃癌でした。0IIa(またはIIa+IIc)の分化型(たぶん腸型)ですが、中心部に向かって一点集中型のfold集中像があり、潰瘍瘢痕(たぶん消化性)を伴っていました。腫瘍の最深部は瘢痕の横でした。
5) 食道扁平上皮癌の一部がECCとBasaloidに分化した、興味深い症例が提示されました。横這い派先生が病理解説されていました。

教育レクチャーはDr.写真館のマクロ写真撮影お作法講座で、大変ためになりました。

写真は春のうららの隅田川対岸(月島)からみた聖路加タワー前の明石町河岸公園です。
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collagenous gastritis (2)

2009-04-07 | 胃炎
 組織学的に、collagenous colitisとの共通点は形質細胞・リンパ球と好酸球の浸潤が強く、被蓋上皮下に炎症性コラーゲンが沈着することです。これも基底膜の肥厚ではありませんよ!!H. pyloriがいると話がややこしくなります。
 胃の場合、collagen bandが最表層~腺頸部あたりに形成されます。腺頸部には増殖細胞帯があるので、こんなところが障害されると上皮細胞の更新ができなくなり、胃粘膜が萎縮していきます。つまり、炎症が生じてcollagen bandが出来たところは萎縮し、そうでないところは萎縮せず残ります。こうして、独特の凸凹した結節状というか、敷石状の内視鏡・レントゲン像を示します。私たちの書いたPINや胃と腸をご参照ください。大腸では、増殖帯が腺管の下の方にあるので、この理屈からはあまり萎縮しないと考えられます。
 写真はコラーゲンタイプ3の免疫染色です。炎症性コラーゲンが沈着していることを示しています。テネイシンというのを染めるともっときれいなのですが、切片が剝がれてしまいました。
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collagenous gastritis (1)

2009-04-07 | 胃炎
 collagenous gastritisが送られてきました。久し振りです。この疾患は独逸のChefであるボルヒャルトが欧州第一例目をDr.Qussieが本邦第一例目を報告しました。collagenous colitisは今や「稀な」大腸疾患ではなくなりつつありますが、胃炎の方はまだまだ超レアです。
 欧米の文献では、やはりスプルーとの関連が述べらているものが多く、その点でcollagenous colitisとの共通点が論じられることがあります。本邦の、collagenous colitisは薬剤性で高年者に多いのですが、胃炎は若い人に多い感じがします。
コメント (2)
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