自己免疫性胃炎を内視鏡的に診断する指標として残存胃底腺(remnants of oxyntic mucosa: ROM)が注目されています。ROMと萎縮が進んでいる粘膜とのちょうど境目から生検された組織像です。

ちょっと拡大をあげてみました。

写真の左側が進行最盛期(florid phase)に相当する萎縮領域です。わずかに壁細胞が残っていますが、偽幽門腺化生進行中で、深部優位に高度のリンパ球浸潤がみられます。逆に腺窩上皮は過形成性です。
写真の右側がROMに相当する、あまり萎縮していない胃底腺粘膜です。壁細胞と主細胞の層構造が残っていますが、偽肥大を示す壁細胞が深部まで分布しています。弱いリンパ球浸潤が全層性にみられます。初期のAIG相当です。
何が言いたいか?「AIGの炎症・萎縮は不均等に分布・進行するのです」

聖地巡礼”JR北海道苗穂工場(旧国鉄苗穂機関区)”(写真クリック)

ちょっと拡大をあげてみました。

写真の左側が進行最盛期(florid phase)に相当する萎縮領域です。わずかに壁細胞が残っていますが、偽幽門腺化生進行中で、深部優位に高度のリンパ球浸潤がみられます。逆に腺窩上皮は過形成性です。
写真の右側がROMに相当する、あまり萎縮していない胃底腺粘膜です。壁細胞と主細胞の層構造が残っていますが、偽肥大を示す壁細胞が深部まで分布しています。弱いリンパ球浸潤が全層性にみられます。初期のAIG相当です。
何が言いたいか?「AIGの炎症・萎縮は不均等に分布・進行するのです」

聖地巡礼”JR北海道苗穂工場(旧国鉄苗穂機関区)”(写真クリック)
パラフィンブロック全部乗せ【胃がんバイオマーカー検査】

HER2検査を生検組織で行う場合、5個以上生検することで切除検体との陽性率が一致すると報告されています。
パラフィンブロックが、2個とか3個ずつに分かれている場合、できるだけ”全部乗せ”をすることが望まれます。

HER2検査を生検組織で行う場合、5個以上生検することで切除検体との陽性率が一致すると報告されています。
パラフィンブロックが、2個とか3個ずつに分かれている場合、できるだけ”全部乗せ”をすることが望まれます。
Claudin 18 (CLDN18) と胃粘液マーカーの対比
( por2>>tub2, Poorly cohesive carcinoma )

写真の右上に非腫瘍性の腺窩上皮(過形成あり)(MUC5AC+)と幽門腺(MUC6+)がみられます。
それ以外は癌で粘膜内がtub2、深部浸潤部はpor2です。CLDN18の方が”胃型”細胞を広く拾い上げていますね。CDX2は少々発現してましたが、MUC2は陰性。
- CLDN18
上皮細胞と内皮細胞のタイトジャンクションに存在する膜貫通タンパク質Claudinファミリーのひとつ。CLDN18には2種類のスプライスバリアントが存在(CLDN18.1およびCLDN18.2)。CLDN18.1はII型肺胞上皮細胞、CLDN18.2は胃上皮細胞(の全て)で発現します。胃癌や膵癌において、CLDN18.2の発現が認められます。CLDN18(43-14A)はCLDN18.1 と CLDN18.2 の両方を検出しますが、胃粘膜では CLDN18.2 が発現します。
- MUC5AC:胃腺窩上皮に染まります。
- MUC6:頸部粘液細胞、幽門腺、ブルンネル腺に染まります。

大日ヶ岳(岐阜県)の”胸突き八丁”にて(写真クリック)。ジジイには厳しい。
( por2>>tub2, Poorly cohesive carcinoma )

写真の右上に非腫瘍性の腺窩上皮(過形成あり)(MUC5AC+)と幽門腺(MUC6+)がみられます。
それ以外は癌で粘膜内がtub2、深部浸潤部はpor2です。CLDN18の方が”胃型”細胞を広く拾い上げていますね。CDX2は少々発現してましたが、MUC2は陰性。
- CLDN18
上皮細胞と内皮細胞のタイトジャンクションに存在する膜貫通タンパク質Claudinファミリーのひとつ。CLDN18には2種類のスプライスバリアントが存在(CLDN18.1およびCLDN18.2)。CLDN18.1はII型肺胞上皮細胞、CLDN18.2は胃上皮細胞(の全て)で発現します。胃癌や膵癌において、CLDN18.2の発現が認められます。CLDN18(43-14A)はCLDN18.1 と CLDN18.2 の両方を検出しますが、胃粘膜では CLDN18.2 が発現します。
- MUC5AC:胃腺窩上皮に染まります。
- MUC6:頸部粘液細胞、幽門腺、ブルンネル腺に染まります。

大日ヶ岳(岐阜県)の”胸突き八丁”にて(写真クリック)。ジジイには厳しい。

包埋の方向性の悪い,”輪切り”標本.写真下中央に”違和感を覚える異型腺管2本”
初回の診断意見:Metaplastic gastritis, with atypical glands, indefinite for neoplasia, Group 2

深切り標本
追加報告:Metaplastic gastritis, Group 1
腸上皮化生の増殖帯なんかが輪切りされると悪く見えてしまいます.要注意
H. pylori除菌後に顕在化した自己免疫性胃炎です(見出し写真クリック!).胃底腺領域より6か所生検されています.
内視鏡医による生検も,包埋の角度など臨床検査技師による標本作製技術も素晴らしいので,どうぞご覧ください(各写真クリック❣).以下の6枚は全て同じ倍率です.
これだけみると,比較的早期のAIGの典型像を理解していただけると思います.






病理医は〇〇になったら一人前(昭和時代)なんと35年前の免疫がまだ残っている!
私はT-POINTカードをもっていないので、T-SPOTカードを持つことにした。

注:T-Spot検査は過去に感染を経験したことのある方も陽性になり、治癒判定には利用できない、とのこと。
内視鏡医による生検も,包埋の角度など臨床検査技師による標本作製技術も素晴らしいので,どうぞご覧ください(各写真クリック❣).以下の6枚は全て同じ倍率です.
これだけみると,比較的早期のAIGの典型像を理解していただけると思います.






病理医は〇〇になったら一人前(昭和時代)なんと35年前の免疫がまだ残っている!
私はT-POINTカードをもっていないので、T-SPOTカードを持つことにした。

注:T-Spot検査は過去に感染を経験したことのある方も陽性になり、治癒判定には利用できない、とのこと。
H. pylori未感染で萎縮のない体部粘膜に発生してきたラズベリー様ポリープ raspberry-like polypからの生検でfoveolar-type adenoma/dysplasiaと診断したので、CSPされました。
ところが、最初の切片に腫瘍が見当たらないので、深切り切片を作ってもらいました(Fig. A: 見出し写真クリック!)。

ルーペ像右端の切片です。腫瘍がない!腺窩上皮過形成のみ!どないしょう!(Fig. B)

ルーペ像左端の切片です。腺窩上皮型腺腫 foveolar-type adenoma/dysplasiaあり!ほっとした(Fig. C)。
(低異型度な腺窩上皮型細胞が領域性とフロントが明瞭な増殖を示しています。毛細血管豊富で広い間質も特徴的です。Fig. Bのfoveolar hyperplasiaと比べてください)
”深切り切片”と”連続切片”を使い分けて、正診に迫りたいところですが、やりすぎるとせっかくの検体がなってしまうことがあるのでほどほどに。
SLダイヤ情報の”深切り切片””連続切片”(Fig. D:写真クリック)

ところが、最初の切片に腫瘍が見当たらないので、深切り切片を作ってもらいました(Fig. A: 見出し写真クリック!)。

ルーペ像右端の切片です。腫瘍がない!腺窩上皮過形成のみ!どないしょう!(Fig. B)

ルーペ像左端の切片です。腺窩上皮型腺腫 foveolar-type adenoma/dysplasiaあり!ほっとした(Fig. C)。
(低異型度な腺窩上皮型細胞が領域性とフロントが明瞭な増殖を示しています。毛細血管豊富で広い間質も特徴的です。Fig. Bのfoveolar hyperplasiaと比べてください)
”深切り切片”と”連続切片”を使い分けて、正診に迫りたいところですが、やりすぎるとせっかくの検体がなってしまうことがあるのでほどほどに。
SLダイヤ情報の”深切り切片””連続切片”(Fig. D:写真クリック)

幽門腺腺腫は幽門腺という名前が付いていますが、多くは萎縮のある胃底腺領域粘膜に発生します(見出し写真クリック!)。偽幽門腺化生・幽門腺化生が関連しているからです。したがって、頚部粘液細胞~幽門腺の形質を持つ細胞が主体となります。
以前から、欧米の報告では背景粘膜として自己免疫性胃炎が多いと記載されていました。日本で経験する症例はこれまでほとんどがH. pylori胃炎による萎縮性胃底腺粘膜からの発生例でした。
最近、自己免疫性胃炎を拝見する機会が多くなり、そこに発生する幽門腺腺腫もしばしばみるようになりました。
本例は内視鏡像とあわせると内反性増殖をするタイプのようです。

滋賀県名物サンドウイッチとサラダパン
以前から、欧米の報告では背景粘膜として自己免疫性胃炎が多いと記載されていました。日本で経験する症例はこれまでほとんどがH. pylori胃炎による萎縮性胃底腺粘膜からの発生例でした。
最近、自己免疫性胃炎を拝見する機会が多くなり、そこに発生する幽門腺腺腫もしばしばみるようになりました。
本例は内視鏡像とあわせると内反性増殖をするタイプのようです。

滋賀県名物サンドウイッチとサラダパン
Claudin18(CLDN18)(43-14A, 研究用)を染めてみました。見出し写真では、胃腺が全て(腺窩上皮から深部腺まで)膜に強陽性を示しています(写真クリック)。切れ味のいい抗体です。

完全型(小腸型)腸上皮化生のところ(写真右より)は染まっていません(写真クリック。以下同様)。

不完全型(胃腸混合型)腸上皮化生のところは種々の程度に染まります(生検です)。

十二指腸ブルンネル腺は基本的に陰性(写真右側)ですが、何か事があると(潰瘍の近くなど)うっすら染まってきます(写真左側)。ブルンネル腺は「胃になりたがる」ようです。

十二指腸ブルンネル腺内の胃腺窩上皮化生の部位です。そこだけ真っ茶に染まっています。

十二指腸表層に出現している胃腺窩上皮化生です。よく染まっています。小腸上皮は陰性です。

CLDN18ではなく、大井川鐵道のC108号です。昭和5年生まれの蒸機ですが私より元気です。

完全型(小腸型)腸上皮化生のところ(写真右より)は染まっていません(写真クリック。以下同様)。

不完全型(胃腸混合型)腸上皮化生のところは種々の程度に染まります(生検です)。

十二指腸ブルンネル腺は基本的に陰性(写真右側)ですが、何か事があると(潰瘍の近くなど)うっすら染まってきます(写真左側)。ブルンネル腺は「胃になりたがる」ようです。

十二指腸ブルンネル腺内の胃腺窩上皮化生の部位です。そこだけ真っ茶に染まっています。

十二指腸表層に出現している胃腺窩上皮化生です。よく染まっています。小腸上皮は陰性です。

CLDN18ではなく、大井川鐵道のC108号です。昭和5年生まれの蒸機ですが私より元気です。
何度もみたことあるような組織像ですが(写真クリック!)、Lymphocytic esophagitis(LyE)という診断は日本ではあまり馴染まれていません。
外国人病理医仲間達の会話を聞いていて、この病名がよく呟かれていたので、気になっていました。内視鏡的・臨床的にEosinophilic esophagitis(EoE)を疑って生検された検体です(胸部食道)。好酸球浸潤はほとんどなく、リンパ球ばっかりの浸潤です。しかし、見出し写真と下の写真の一枚目をみると、Civatte body??があるようにみえ、lichenoid esophagitisと言われるかもしれません。
その他の生検像(いずれも胸部食道)です(下記、小写真クリックください)。
はたしてdistinctな病名になるかどうか??参考文献は(PMID: 30370453)
This is an image of an esophageal biopsy as often seen in routine gastrointestinal pathology work (click on the picture!). The term of the disease "Lymphocytic esophagitis" is not very familiar in Japan.
This is the name of the disease I am concerned about, since it has been often talked about by my close foreign GI-pathologists. This specimen was biopsied with endoscopic and clinical suspicion of eosinophilic esophagitis (EoE) (taken from the thoracic esophagus). There is almost no eosinophilic infiltrate, and the infiltrate is almost all lymphocytes. If you look closely, however, it could be regarded as "lichenoid esophagitis" because of some “civatte bodies?” seen in the headline photo and in the first photo below.
Other biopsy images (also taken from the thoracic esophagus) (click on the small pictures below).
Will this be a distinct disease? For references (PMID: 30370453)




隣国の病理学会に行って来ました。大阪から2時間弱なので1泊2日です。

胃炎の成り立ち-内視鏡診断のこれまで、これから
外国人病理医仲間達の会話を聞いていて、この病名がよく呟かれていたので、気になっていました。内視鏡的・臨床的にEosinophilic esophagitis(EoE)を疑って生検された検体です(胸部食道)。好酸球浸潤はほとんどなく、リンパ球ばっかりの浸潤です。しかし、見出し写真と下の写真の一枚目をみると、Civatte body??があるようにみえ、lichenoid esophagitisと言われるかもしれません。
その他の生検像(いずれも胸部食道)です(下記、小写真クリックください)。
はたしてdistinctな病名になるかどうか??参考文献は(PMID: 30370453)
This is an image of an esophageal biopsy as often seen in routine gastrointestinal pathology work (click on the picture!). The term of the disease "Lymphocytic esophagitis" is not very familiar in Japan.
This is the name of the disease I am concerned about, since it has been often talked about by my close foreign GI-pathologists. This specimen was biopsied with endoscopic and clinical suspicion of eosinophilic esophagitis (EoE) (taken from the thoracic esophagus). There is almost no eosinophilic infiltrate, and the infiltrate is almost all lymphocytes. If you look closely, however, it could be regarded as "lichenoid esophagitis" because of some “civatte bodies?” seen in the headline photo and in the first photo below.
Other biopsy images (also taken from the thoracic esophagus) (click on the small pictures below).
Will this be a distinct disease? For references (PMID: 30370453)




隣国の病理学会に行って来ました。大阪から2時間弱なので1泊2日です。

胃炎の成り立ち-内視鏡診断のこれまで、これから
ブルンネル腺といえば十二指腸の粘膜下組織(粘膜下層)内に鎮座すると思い込んでいる方が多いのですが、粘膜筋板を挟んで上下に存在します。すなわち粘膜内にもブルンネル腺があることを忘れないでください。
したがって、ブルンネル腺を基盤とする(ブルンネル腺由来の)腫瘍様病変や腫瘍の起点となる部位が、粘膜内ブルンネル腺か粘膜下ブルンネル腺かによって、生長(成長)後の形態が大きく変わってくるのです。
粘膜内ブルンネル腺由来ならば、概ね粘膜内の(通常の)上皮性変化を示す病変として、粘膜下ブルンネル腺由来ならば、SMT様の形態を示すことが多いわけです。
・ブルンネル腺をいじれば胃腺窩上皮が生えてきます(胃腺窩上皮の発生母地:PMID: 1038371, 24422755)。
・十二指腸粘膜(ブルンネル腺)内には異所性胃粘膜と言えないまでも、胃底腺型細胞(壁細胞や主細胞)が散見されます(PMID: 25363622)。
すなわち、ブルンネル腺は潜在的に(粘膜内でも粘膜下でも)胃型の細胞(腺窩上皮や胃底腺細胞)に分化する能力があるのです。
->腫瘍になってもその傾向が残るわけです!

今日は鉄道の日(鉄道記念日)ですね。昭和46年京都駅にて(奈良機関区所属C58の運転席)。機関士さんのご厚意で乗せてもらいました。古き良き時代。当時国鉄奈良線にはC58牽引の荷物列車のスジがありました。
したがって、ブルンネル腺を基盤とする(ブルンネル腺由来の)腫瘍様病変や腫瘍の起点となる部位が、粘膜内ブルンネル腺か粘膜下ブルンネル腺かによって、生長(成長)後の形態が大きく変わってくるのです。
粘膜内ブルンネル腺由来ならば、概ね粘膜内の(通常の)上皮性変化を示す病変として、粘膜下ブルンネル腺由来ならば、SMT様の形態を示すことが多いわけです。
・ブルンネル腺をいじれば胃腺窩上皮が生えてきます(胃腺窩上皮の発生母地:PMID: 1038371, 24422755)。
・十二指腸粘膜(ブルンネル腺)内には異所性胃粘膜と言えないまでも、胃底腺型細胞(壁細胞や主細胞)が散見されます(PMID: 25363622)。
すなわち、ブルンネル腺は潜在的に(粘膜内でも粘膜下でも)胃型の細胞(腺窩上皮や胃底腺細胞)に分化する能力があるのです。
->腫瘍になってもその傾向が残るわけです!

今日は鉄道の日(鉄道記念日)ですね。昭和46年京都駅にて(奈良機関区所属C58の運転席)。機関士さんのご厚意で乗せてもらいました。古き良き時代。当時国鉄奈良線にはC58牽引の荷物列車のスジがありました。
”ドロップアウト”とは何か嫌な響きですね(見出し写真クリック!)。
写真の右端の除いて、陰窩上皮が脱落し、粘膜固有層(間質成分)だけになっています。
大腸GVHDの組織学的評価にLerner Systemというのがよく用いられてきました。
Grade I: crypt apoptosis without crypt dropout
Grade II: single crypt dropout
Grade III: contiguous crypt dropout
Grade IV: diffuse crypt dropout with ulceration
最近の論文では同じグループからの論文で
1) Mod Pathol. 2022 Sep;35(9):1254-1261. doi: 10.1038/s41379-022-01065-z. Epub 2022 Apr 1.
PMID: 35365769
2) Mod Pathol. 2018 Oct;31(10):1619-1626. doi: 10.1038/s41379-018-0078-7. Epub 2018 Jun 13.
PMID: 29899549
が参考になるでしょう。
見出し写真は上記文献2)のFig. 2Dに類似しており、”Diffuse crypt dropout with ulceration (grade 4)”に相当するようですが、私の眼ではulcerationではなく、陰窩が抜けたあとのlamina propria mucosaeだと思うのですが。
遺残する陰窩にはアポトーシスがいっぱい(写真クリック)

見出しとは別の切片です。

街路樹のドロップアウト(琵琶湖の近く)(写真クリック!)

Contiguous and focal dropout of roadside trees with ulceration due to herbicide ( in Kusatsu City, Shiga ).
写真の右端の除いて、陰窩上皮が脱落し、粘膜固有層(間質成分)だけになっています。
大腸GVHDの組織学的評価にLerner Systemというのがよく用いられてきました。
Grade I: crypt apoptosis without crypt dropout
Grade II: single crypt dropout
Grade III: contiguous crypt dropout
Grade IV: diffuse crypt dropout with ulceration
最近の論文では同じグループからの論文で
1) Mod Pathol. 2022 Sep;35(9):1254-1261. doi: 10.1038/s41379-022-01065-z. Epub 2022 Apr 1.
PMID: 35365769
2) Mod Pathol. 2018 Oct;31(10):1619-1626. doi: 10.1038/s41379-018-0078-7. Epub 2018 Jun 13.
PMID: 29899549
が参考になるでしょう。
見出し写真は上記文献2)のFig. 2Dに類似しており、”Diffuse crypt dropout with ulceration (grade 4)”に相当するようですが、私の眼ではulcerationではなく、陰窩が抜けたあとのlamina propria mucosaeだと思うのですが。
遺残する陰窩にはアポトーシスがいっぱい(写真クリック)

見出しとは別の切片です。

街路樹のドロップアウト(琵琶湖の近く)(写真クリック!)

Contiguous and focal dropout of roadside trees with ulceration due to herbicide ( in Kusatsu City, Shiga ).