胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

大腸腺癌の粘膜内病変(この細胞で腺癌を疑う理由)

2011-04-02 | 大腸腫瘍
 先ほどの粘膜下層浸潤癌の粘膜内病変を何カ所か示しています。上の写真で、核の多くは不整な類円形に腫大し複数の核小体を持っています。私は若い先生に「芽の出た不揃いな男爵芋の様な核は怪しい」と教えています。欧米基準でもhigh-grade dysplasiaとしたいところです。
 下の写真は、粘液産生の目立つところです。前の記事の、粘膜下層に浸潤した腺管も同じ様な形態を示しています。粘液が豊富な腫瘍細胞は一見異型性に乏しいですが、よく見ると類円形に腫大した不整な核が認められます。また、緊満感のあるような杯細胞型(あるいはgloboid型)の細胞が腫瘍腺管内に目立ち、その高さや方向が揃っていない時は明らかな癌(あるいはhigh-grade dysplasia)と言えないまでも、それを疑うようにしています。
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大腸癌の粘膜下層浸潤

2011-04-02 | 大腸腫瘍
 大腸高分化腺癌です。弱拡大で一見したところ「これが癌かよ?」という印象を受けますが、腫瘍腺管が粘膜下層に浸潤しています。したがって、global基準でも腺癌です。
 「偽浸潤では?」という英米系の病理医もおられるかもしれませんが、ドイツの師匠にならった理由(2008-11-20の記事「Was ist Invasion?」参照)から、私は粘膜下層浸潤ととらえています。この粘膜下層浸潤部の腺管の拡大をよく見て下さい。そして、次の記事も読んでください。
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