胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

パラフィンブロック全部乗せ【胃がんバイオマーカー検査】

2024-07-04 | 胃癌全般
パラフィンブロック全部乗せ胃がんバイオマーカー検査

HER2検査を生検組織で行う場合、5個以上生検することで切除検体との陽性率が一致すると報告されています。
パラフィンブロックが、2個とか3個ずつに分かれている場合、できるだけ”全部乗せ”をすることが望まれます。
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Claudin 18 (CLDN18) vs. Mucin (MUC5AC, MUC6)

2024-07-02 | 胃癌全般
Claudin 18 (CLDN18) と胃粘液マーカーの対比
( por2>>tub2, Poorly cohesive carcinoma )

写真の右上に非腫瘍性の腺窩上皮(過形成あり)(MUC5AC+)と幽門腺(MUC6+)がみられます。
それ以外は癌で粘膜内がtub2、深部浸潤部はpor2です。CLDN18の方が”胃型”細胞を広く拾い上げていますね。CDX2は少々発現してましたが、MUC2は陰性。


- CLDN18
上皮細胞と内皮細胞のタイトジャンクションに存在する膜貫通タンパク質Claudinファミリーのひとつ。CLDN18には2種類のスプライスバリアントが存在(CLDN18.1およびCLDN18.2)。CLDN18.1はII型肺胞上皮細胞、CLDN18.2は胃上皮細胞(の全て)で発現します。胃癌や膵癌において、CLDN18.2の発現が認められます。CLDN18(43-14A)はCLDN18.1 と CLDN18.2 の両方を検出しますが、胃粘膜では CLDN18.2 が発現します。
- MUC5AC:胃腺窩上皮に染まります。
- MUC6:頸部粘液細胞、幽門腺、ブルンネル腺に染まります。



大日ヶ岳(岐阜県)の”胸突き八丁”にて(写真クリック)。ジジイには厳しい。


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胃がんバイオマーカー4点セット

2024-04-27 | 胃癌全般
胃がんバイオマーカー(免疫染色による)4点セットです.


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領域性とは:GA-FG(OGA)を対象として

2023-01-19 | 胃癌全般
 腫瘍診断に領域性、大事ですね。見出し写真は(クリック!)は胃底腺型腺癌 Gastric adenocarcinoma of fundic gland type (GA-FG)あるいはoxyntic gland adenoma (OGA)といわれる病変です。腫瘍内MUC5AC陰性は確認済み。

 ちょっと拡大しました(写真クリック!)。非腫瘍(正常)胃底腺との境界がわかりますか?


 境界部に線(赤点線)を描いてみました(写真クリック!)。


 軍事境界線 Military Demarcation Line (MDL) ホンマもんのデマルケーション・ライン(DL)です。私にとってDLとはDL (Diesel Locomotive) ですね。DF50とかDD54。

(2015-3. 판문점 板門店にて Dr. Qussie撮影)
 なお、見張りの兵隊さんを”歩哨”と言いますが、英訳するとsentinelセンチネル・リンパ節のセンチネル)です。
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Prolapse-type misplacement vs. True expansive invasion

2022-12-20 | 胃癌全般
Oxyntic Gland Neoplasia (OGN); Gastric Adenocarcinoma of Fundic Gland Type (GA-FG) 胃底腺型腺癌 またはOxyntic Gland Adenoma (OGA)です(写真クリック!)。

腫瘍腺管がちょくちょく粘膜下組織に入り込みます。ほとんどの症例で間質反応(desmoplastic reaction)はありません。

粘膜下組織に腫瘍が入るのだから、invasionと思いきや、欧米の文献ではprolapse-type misplacementとかherniationと表現されています。

こいつらは粘膜筋板を国境と思っていないならず者なのか?
粘膜筋板に根性がないのか?


海上保安庁 Japan Coast Guard, JA906A Bell412EP
ならず者から主権を守ってください!
(海上保安大学校にて)

地対空誘導弾ペトリオット(PAC-3)
ならず者から主権を守ってください!
(防衛大学校にて)

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ラズベリー"raspberry" ポリープ, foveolar adenoma/dysplasia/adenocarcinoma, 腺窩上皮型腫瘍

2018-12-17 | 胃癌全般
ラズベリー様外観を示す胃腺窩上皮型腫瘍です。
スキャンした汚い内視鏡写真ですみません。

H. pylori陰性(未感染)胃に発生する上皮性腫瘍といえば,きれいなsignet,Dr Curry typeがんとこのラズベリー様腺窩上皮型腫瘍です。
ラズベリー様外観とは,2016年に出雲地方でチカちゃんが呟いたのが最初で,高輪ゲートウェイ近くの研究会で「最優秀症例賞」,そして,ようやく英文論文がacceptされたようです。結構な頻度でみつかるので,最近の内視鏡系学会でよくみかけます。日本の研究会では腺窩上皮型がんと発表されていますが,WHO分類ではfoveolar-type dysplasia/adenomaになります。

Speaking of epithelial tumors in the H. pylori uninfected stomach, Dr Curry type fundic gland neoplasia, a certain kind of signet-ring cell carcinoma and this raspberry-like polyp are well-known. I hear, Chika-chan first murmured “it looks like raspberry!!” in 2016 in Izumo. She received an award near Takanawa Gateway, and the original article in English has finally been accepted. Raspberry-like polyps are often presented at recent endoscopic conferences in these days. It is usually presented as foveolar-type adenocarcinoma in Japan, but is called “foveolar-type dysplasia/adenoma” overseas if it is confined to the mucosa.
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H. pylori陰性,粘膜下腫瘍様病変より,GACCD vs. NET

2016-12-09 | 胃癌全般
H. pylori陰性(たぶん未感染)胃粘膜.胃底腺領域にみられた粘膜下腫瘍様病変です.
Carcinoid (NET)でしょうか?Dr Curry type胃がん(GACCD, OGP/OGA)でしょうか?
免疫染色像は次回.

国鉄「津」駅にいた少年
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H. pylori陰性がんと除菌後がん

2014-05-30 | 胃癌全般
 写真はH. pylori陰性胃粘膜に発生したsignet-ring cell carcinomaです(同様の記事を2011-1-16に投稿しています)。萎縮や炎症のないとてもきれいな胃粘膜を背景に小さな退色域として発見され、ESDされる症例が少しずつ増えてきたようです。陰性がんとしてはこのようなきれいなsignet-ring cell carcinomaや、純粋な胃型腺がん(Dr Curry typeやfoveolar type)がみられるようです。われらがPGAも陰性背景で発見されることがあります。
 
 一方、H. pyloriの除菌療法が保険収載されてから10年以上が経過し、除菌後胃癌の報告も増え、学会で除菌後胃癌が特集されるようになりました。頻度については色々な報告がありますが、除菌をしても二次がん(異時性がん)の発生が完全になくなるわけではありません。油断大敵です。
 
 陰性胃がんと除菌後胃がんは別物と考えた方がよさそうです。それぞれを特集した雑誌もありますのでご覧ください。

 長らくご無沙汰しておりました。閲覧数も50万越えです。ご愛顧感謝します。銀座の街が恋しい今日この頃です。
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Marking atypia, ESD, 変性異型

2012-12-19 | 胃癌全般
 テキスト類には載っていませんが、何度か相談を受けた所見を紹介します。ESDの検体で、腫瘍とは別のところに突然強い核異型を示す細胞が出現します。よくよく見るとESD前に、切離範囲を決めるためのmarking部に一致します。病理総論的には変性異型というのでしょうが、私は勝手にmarking atypiaとよんでいます。写真は胃ですが、食道でも紛らわしいことがありますね。
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metastatic stomach carcinoma

2012-11-07 | 胃癌全般
 胃生検の組織のみでは、原発性のpor-sigとbreast carcinomaのmetastasisとの鑑別はしばしば困難です。内視鏡所見でも鑑別困難なことが多いとされています。病歴をしっかり把握した上で診断に臨む必要があります。
 写真はinvasive lobular carcinomaの胃へのmetastasisです。右上はER, 左下はHNF4A免疫染色です。metastatic carcinoma cellと胃上皮がそれぞれERとHNF4Aに染まっています。HNF4Aについては部活の後輩が書いた英文誌をご参照ください。
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潰瘍瘢痕(2): Ul-Ⅱs, ESD検体,再生粘膜(島)

2012-07-31 | 胃癌全般
 胃癌のESD検体の病理診断では潰瘍瘢痕の有無の判定が重要です。同様の記事は2010-10-11にも書いています。当院では伝統的に腫瘍の広がりだけでなく,消化性潰瘍の領域もマッピングするように指導されていました。私もこちらに来てから学びました。
 写真は粘膜内分化型癌(tub 1)のESD検体の一部です。腫瘍病変内にあった再生粘膜(島)のところです。赤点はtub,青点は再生粘膜,そして黒点は粘膜筋板が途切れ,平滑筋のかわりに膠原線維が増生している領域です。この様な黒点のところを潰瘍瘢痕としてマクロ写真上でマッピングすると内視鏡や肉眼像の潰瘍瘢痕(一点集中像)とよく合致します。腫瘍内の再生粘膜(島)は未分化型癌の0-Ⅱc病変でよくみられますが,このように分化型癌でも観察されることがあります。
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肝様腺癌、肝細胞癌、SALL4

2011-05-10 | 胃癌全般
 胃癌の特殊型のひとつに肝様腺癌 hepatoid adenocarcinomaがあります。AFP産生胃癌のひとつとしてもよく知られています。昨年のDr.ウッシー(クッシーではない)の論文に感銘を受け、SALL4を購入しました。この系列の腫瘍診断に大変重宝しています。
 写真上の二枚は肝様腺癌です。SALL4が核にびまん性強陽性を示しています。
 写真下の二枚は肝細胞癌の胃転移です。SALL4は全く染まりません。
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H. pylori-negative gastric carcinoma ヘリコバクター・ピロリ陰性胃癌

2011-01-16 | 胃癌全般
ヘリコバクター・ピロリ陰性胃癌の写真です。写真左の腺頸部あたりに印環細胞癌の増殖がみられます。右側は萎縮はなく細胞浸潤も生理的範囲内の胃底腺粘膜です。胃癌の背景粘膜には分化型癌でも未分化型癌でも90%以上の症例でH. pylori胃炎がみられますが、H.pylori陰性胃癌も希に遭遇します。今後相対的に増えるかもしれません。前の施設にいる時、私達も陰性癌のことをDig Dis Sciに少し書きました。胃癌をみたら背景粘膜にも注目したいところです。
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潰瘍瘢痕Ul-IIs: 0-IIc, Ul(+)

2010-10-11 | 胃癌全般
 胃のESD適応などで潰瘍瘢痕の有無が問題になりますが、実際のところ潰瘍瘢痕の有無はどのように判定されるのか教科書には載っていません。当院では癌細胞の広がりだけでなく、伝統的に潰瘍や潰瘍瘢痕の領域もマッピングしています。一例を紹介したいと思います。
 見出し写真(クリック)は0-IIc病変で癌組織の辺縁にUl-IIs(+)と診断した症例です。写真の中央部3/4~2/3くらいの領域では粘膜筋板の構造が読めません。癌は写真の左上の粘膜内に少量みられるだけです。
 潰瘍瘢痕の領域は「粘膜筋板の断裂」を最も重視してマッピングしています。消化性潰瘍によって断裂した粘膜筋板のところは膠原線維で置き換えられてきます。平滑筋も再生しますが、元通りのきれいな平行線にはなりません。この潰瘍瘢痕の左側では筋板の断裂部が比較的わかりやすいですが、右側はやや難しいです。
 粘膜筋板の断裂に伴って粘膜下層に線維化が広がりますが、逆に粘膜下層の線維化=潰瘍瘢痕領域と読んでしまうと、広く読みすぎてしまい、肉眼像とは合いません。
 また、がっつりした上手な生検部位でも粘膜筋板が断裂しますが、生検瘢痕を消化性潰瘍瘢痕と読んではいけません。
 
 私はきれいな粘膜筋板のことを京都・草津間複々線と呼んでいます。
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特殊型胃癌(2) リンパ球浸潤癌

2010-10-10 | 胃癌全般
先ほどの症例の粘膜内病変部です。EBER-1 ISHですが、陰性領域があります。意味深です。
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