胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

聖母病院(ソウル)、低異型度癌、超高分化腺癌

2010-06-27 | 胃癌全般
 The Catholic Univ. of Korea Seoul, St. Mary's Hospitalに行ってきました。「mild dysplasiaという生検病理診断で切除してみると20%弱の頻度で浸潤癌がある。どうしたことか?」という質問を複数の東西の臨床医から受けました。海外でも英米でいうところのsevere dysplasiaが十中八九adenocarcinomaであることは皆さんよく承知されています。しかし所謂mild dysplasiaが浸潤癌であったら困ります。
 さて、写真は胃型(腺窩上皮型)低異型度癌(超高分化腺癌)です。生検診断と内視鏡診断で手術となりました。英米だったらmild dysplasia(米国のあるグループならfoveolar adenoma?)と診断するかもしれません。細胞異型は乏しく、表層や深部への分化傾向もみられます。なんと右写真(VB-HE)のように粘膜下層に浸潤し静脈侵襲を示していました。
 早期胃癌症例が圧倒的に多い日本と韓国が共同してこのような症例を呈示していかなければなりません。頑張ります。
 但し、腺窩上皮過形成や幼若再生上皮を低異型度癌と過剰診断しないよう注意したいです。
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invasive micropapillary carcinoma、大腸浸潤性微小乳頭癌

2010-06-25 | 大腸腫瘍
 この前の胃と腸大会でも呈示がありましたが、大腸の低分化腺癌でinvasive micropapillary carcinomaといってもよい様な症例が報告され始めています。この名称は1993年はじめて乳癌で使われ、尿路上皮系でもしばしば経験されます。胃の症例報告も見られるようになりました。リンパ管様空隙の中に見られる微小乳頭状構造を特徴としますが、数多くの空隙の中で本当のリンパ管はごく一部です。病理ではinside-out patternというのがキーワードのひとつになっており、MUC1やEMA染色で描出されますが、大腸癌では通常MUC1はあまり染まりません。
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大腸、perineurioma / fibroblastic polyp

2010-06-18 | 非上皮性腫瘍
 common diseaseの記事の次は極めて稀な大腸ポリープを呈示します。大腸のfibroblastic polypあるいはperineuriomaとして文献的に報告され、最近の教科書に登場しているものです。この二つの概念の異同について東海岸の方で議論されていたと骨軟部の先生に教わりました。
 perineuriomaということなのでEMAが陽性を示しましたが、さらにclaudin-1というのも染まりました。個々の紡錐形細胞の長くて細ーい、うねった胞体が特徴的です。100種の腫瘍に染まると言われるS100は本例には染まりません。
 粘膜固有層内への浸潤様式はgranular cell tumorとよく似た感じがします。
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大腸腫瘍、腺腫か腺癌か?深達度は?

2010-06-03 | 大腸腫瘍
 大腸腫瘍です。腺腫でしょうか?低異型度癌でしょうか?
腫瘍成分と連続した粘液が粘膜下層にはみ出ています。もし低異型度癌と判断すると深達度はどうするのでしょうか?
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