胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

CMV, apoptosis, GVHD

2020-05-14 | 小腸非腫瘍
移植歴のある方の十二指腸生検です。
写真の左方にサイトメガロウイルス封入体が2,3個あります。
写真の右方の陰窩上皮内にはアポトーシス小体が2,3個あります。
(Web講義受講中の医学生さん、それぞれどれでしょうか??)

粘膜固有層には好中球浸潤が強く、今まさに剥がれんとす、です。
1.CMV感染だけでもapoptosis bodiesは出現します。
2.GVHD+CMV感染の併存かもしれません。

Duodenal biopsy of a patient with a history of transplantation. Click the photo.
Cytomegalovirus inclusion bodies are seen on the left side, and apoptotic bodies are identified in the crypt on the right side. The superficial mucosa is erosive with strong neutrophil infiltration.
1. Apoptotic bodies may appear only with CMV infection.
2. Co-existence of GVHD + CMV infection is also possible.
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胃・十二指腸ランタン沈着症 gastroduodenal lanthanosis

2017-08-17 | 小腸非腫瘍
大変ご無沙汰しています。更新します。ここ最近、注目が集まっているランタン(lanthanum)沈着症です。写真は十二指腸粘膜で、内視鏡的には白色顆粒状でした。絨毛の固有層に赤いものを食った組織球が集簇しています。
隣町の公立病院や隣県の県立病院の症例は見せていただいたことがあるのですが、ここでは初めてです。

前回「GACCD vs. NET」の正解はCarcinoid (NET)です。


室蘭本線栗丘・栗山間です(中学生時代)。
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十二指腸、胃上皮化生、ブルンナー腺、高麗大学(2)

2010-01-26 | 小腸非腫瘍
 先ほどの続きです。ブルンナー腺から伸びてきた胃腺窩上皮型細胞からなる腺管はやがて十二指腸の最表層に達します。この結果できた構造を私は勝手にBrunner's gland/Foveolar duct unitと呼んでいます。これが十二指腸における胃上皮化生発生経路の一つです。
 十二指腸球部には胃上皮化生が多発するように、同部にできる胃癌には胃型のものが多く認められます。

【写真:Brunner's gland/Foveolar duct unit】
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Crohn's rosary クローンのロザリオ

2009-02-28 | 小腸非腫瘍
 クローン病を診断する上で重要な所見のひとつに「全層性炎症」があります。この用語からは、消化管壁にびまん性に慢性炎症細胞浸潤があるという印象をもってしまいますが、実際のところはリンパ球集簇巣が飛び飛びにみられることがほとんどです。
 欧米の教科書にはCrohn's rosary「クローンのロザリオ」という西洋文化的な表現があり、クローン病を病理学的に診断する上で重要な所見であると記載されています。ロザリオは主にカトリックの方がお持ちの数珠のことです。
 さて、この標本は縦走潰瘍のところにはうまくヒットしていませんが、腸間膜付着側の固有筋層直下に膿瘍(穴のあいたところ)がみられます。粘膜面では浮腫性でプクプクになった絨毛が目立っていると思いますが、上から見ると敷石に見えたりします。
 IBDやその類縁疾患では、潰瘍と血管の関係などをしっかり観察する必要があるので、基本的にはこのように消化管が輪切りになるように切り出してくださいね。
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