ガエル記

本・映画備忘録と「思うこと」の記録

「とらわれの日々からの脱出」現在日本の奴隷制度を思う

2018-12-10 05:47:32 | ドキュメンタリー


「とらわれの日々からの脱出」

怖ろしいドキュメンタリーだった。現在の世界でこのようなことがあちこちで起こっている。信じられない事実。自分の身に或いは周囲でこのようなことが起きたら、考えずにはいられないはずです。

番組内容に

世界の奴隷労働や人身売買の問題に迫る大型プロジェクトの6本目。とある東欧の国で暮らすマリッシュは、ある家庭で“囚われの家政婦”となり、外出が許されるのは近隣の工場での清掃業務のみ。携帯電話も許されず、わずかな食事で日々をしのいできた。ある日、彼女の心に変化が…「もう我慢できない」と、電車で逃亡を図る。極私的な世界を印象的なカメラワークで表現し、欧州で権威ある映画祭にノミネートされた作品。

とあります。

とはいえ、外国の事、とまたもや思ってしまうかもしれません。でも、現在日本奴隷と検索すれば色々な記事が出てきます。世界から見れば日本は奴隷が存在する国の上位に挙がってくるのですね。
それは検索しなくても今問題になっている日本への移民問題・外国人研修技能見習い制度の実態のニュースを見ればこの事態を奴隷と言わないわけにはいかないと気づきます。そして多くの外国人が夢を持ってしかも借金を背負って来日し、与えられたのは奴隷の生活だったことに気づかされ違う職を求めることを逃亡と称され、或いはどうすることもできず自殺へと追い込まれていく。精神を病み、体を負傷する人もいます。しかも多くの私を含む日本人はこういうことに気づくこともなく暮らしているのです。日本には奴隷なんかいないと思い込んで。
勿論、ブラック企業と称される会社に入った人の生活もまた奴隷というべきものでしょう。恐ろしいのは日本人であってもそこから抜け出すのが困難だということです。いつまで経っても残業という仕組みを壊すことができない、男女差別を取り外せない、それもまた奴隷制度の一部だと思います。

戦後日本は、という話に必ずなります。がむしゃらに頑張って復興しました。幸福な家庭が築けるよう努力をしてきました。様々な弊害もありながらもとにかく経済的に豊かになるべく邁進したのですね。
しかしやはり様々な弊害というものがここにきて噴出してきているように思えます。
働きすぎをどうしても改善できない、男女不平等がどうしてもなくならない、アジア諸国との関係性の改善がうまくできない、日本はグローバリズムどころかますます孤立していっているように思えます。社会が戦前に戻ってきている、というより鎖国している方が楽しかったなあと思ってる気さえします。
政府は明治時代を理想としているようですから鎖国まではいかないつもりなのかもしれませんが今の日本人が明治時代人になれるわけもなくなっても仕方ないですよね。世界はどんどん進んでいくのに一国だけ昔に戻るわけにはいかない。戻りたいなら鎖国するしかないでしょうが、それをできるわけはありません。空しい論理です。

話が横滑りしていますが、そんなかつての繁栄を取り戻すためには体面を保ちながら奴隷制度を取り入れたいと政府は思うわけでしょうか。
低賃金で長時間酷使して数年経てば国外へ追い出す、を繰り返せば問題は起きない、と思っているわけですかね。それをかつての徴用工と言って今も問題視されていて「そんな事実はない」と政府は言っているわけですが、今回の徴用工の過程は皆覚えているでしょうね。数年後数十年後、どんな問題が起きるでしょうか。
安倍首相が名前だけ変えても歴史は変えられません。


森鴎外「山椒大夫」の結末、安寿と厨子王を奴隷としていた山椒大夫が奴隷制度を廃止して労働者に対し賃金を払い安定した生活を送れるようにしたら却って繁栄することになった、ということを現実に行うことは無理なのでしょうかね。
誰もが幸せである世界を目指さなければ人間の存在する意味などないと思います。



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