岳遊のひとり言

日々の暮らしに農作業や好きな山登りのことなどを伝えていきたいです。

幻の蕎麦なるを戴いて

2008-09-29 23:59:35 | 旅行

先日テレビで知った長野県の富倉蕎麦を食べに行こうと、カミさんを誘い息子達を会社に送り出し、8時半過ぎに家を出た。

前日に大分減ったタイヤを新品に取替え車は快調に走り、1時間45分ほどで富倉の入り口まで辿り着いた。

      
      
国道292号線の富倉峠はこんなところ。 刈り取りの終わった稲はハサ掛けにされていた。

       
国道脇には看板が掛かっていて、うっかり見落とすこともない。 今日もテレビで続編が放送されていた、もう一軒の阿部さん宅はこの看板より下で国道の反対側を山手に登ったところ。

      
このお宅がそうだが、テレビの録画が7月の15日、今はすっかり稲穂も垂れて黄金色に実ってた。 予約しか受け付けないこちらは今回は見送り、とりあえずはヤマゴボウの繫ぎを使ったこの地方の蕎麦を食べてみたいと思う。

さて、その一方のはしば食堂はというと看板に従い山道を車で登っていくと直に青い屋根に白い看板のテレビで見たそのままに現れた。

       
      
道路より一軒だけ下がって建つはしば食堂、看板がなければそこで蕎麦が食べれるなんて誰も気づきやしないだろう。 先ほどの阿部さん宅なんかは看板もないから、他で尋ねて初めて分かったくらいだ。

家の横には蕎麦の繫ぎに使うオヤマボクチというヤマゴボウが植えられていた。

      
そしてその傍らの斜面には笹寿司で使う笹が植えられ、正に地産地消の原点だ。

      
草も刈られきれいに手入れされてあった。


      
ここが入り口家人の玄関でもある。 左側に看板はあるのだが、長年の風雪で家にとけ込んで分かりづらく、外で「テレビで見てたのそのままだね」なんて立ち話してたら、中から「何人だい」って声を掛けられ、中へ通された。

まるで普通の家にお邪魔したような感じは現在もお客さんが帰れば家人の住居そのものだからだろう。

      
      
僕らの方でいうオイと座敷の二間を開放しお店にしてる。奥の部屋には仏壇もあり、先に亡くなったご主人の写真などもかざってあった。

      
開店してまだ時間は経っていないのだが、既に先客はおられ色々と話を伺うと皆さん一様にテレビでご覧になり尋ねて来られたとのことであった。

とりあえずメニューはというと

      
ご覧のように蕎麦はザルだけなのだが、お任せにすれば「大盛りと並みだね」と言われた。

これは定番らしく、この後来られたお客さんにも同じように応えておられた。

先に注文した笹寿司が既に出来てあるのか直ぐに運ばれてきた。

       
一つ先に頂戴したので、笹寿司は5個で600円。 味は濃いが、雪深い山村の地方では比較的食べ物はみなそうであるようだ。

一番左が薬味の葱だが、次いで時計周りに黒っぽいのが蕗のキャラブキというより佃煮風で甘じょっぱく、次いでカボチャにその下が枝豆で、これらは席料200円の中に含まれる。

さて肝心の蕎麦なのだが、写真を撮り忘れ店を出るまで気付かず残念(苦笑。

テレビをご覧になった方は覚えておられると思うが、定番の大盛りと並みのセットは直径が30cmほどのザルに二折り下くらいで平に盛られ、色は黒くもなく白くもない一般的な蕎麦の色で中細。

味はと言うと繫ぎのゴボウの葉は癖がないのか蕎麦の風味を損なわず、ラーメンか冷麦の固ゆでの感じで喉越しはいい。

が、僕には正直物足りなく口に含んだ時に味がないというか水っぽく感じるし、汁はこれも味が濃く殆んど残った。

隣りに座った方や他のお客さんも心は同じくか、顔を見合わせ苦笑い。

しかし、それは「幻の」という紹介であまりにも期待が大きかったせいもあるのは本当だろう。

事実、元々そんなに好きでない僕のカミさんなんかは、口元でボソボソ切れる十割蕎麦や太くて硬いものに繫ぎに曲のあるものなどからみれば美味しいと言って、お土産に買って帰ると言い出したくらいだ。

人の好みはそれぞれ、一概に評価は出来ないものだと感じさせられた。

それにしてもここのオバアチャンは元気もので愛想がよくチャーミングな人であった。

帰りにカメラを向けると、ワザワザ出てきて一緒に撮りましょって言ってくれた。

       
遠くから来た僕に肩を組んで納まってくれた。小柄なオバアチャンは僕の背中に手を回し、来月の末になれば新蕎麦が出来るからもう一度いらっしゃいと言った。

多いときは3mほども積もる豪雪地帯、雪が降る前に今度は自然体で訪れたいと思う。