有機化学にっき

気になった有機化学の論文や記事を紹介。

JACS ASAP

2005-07-30 14:11:04 | 新着論文
Synthesis of Substituted Oxa- and Aza[3.2.1] and [4.3.1]Bicyclics via an Unprecedented Molybdenum-Mediated 1,5-"Michael-Type" Reaction

パイアリルモリブデン錯体に対して向山aldol、続くパイアリルへの分子内付加によりビシクロ環を合成。Moが補助基となって高い立体選択性。形式的に、1,5-Michael付加。

1,5のマイケル付加型の反応となっているため、oxa-とaza-[3.2.1]bicyclesが得られている。環状化合物の面を利用したユニークな反応。筆者らは天然物への応用も検討しているとの事。

個人的に遷移金属を量論、保護基で使う反応に関して懐疑的なところがあります。面白いし、工夫もされているとは思うのですが、TOSには向いていてもDOS、スケールアップ、再利用など、現在盛んに行われている環境調和型という流れから逆行しているように見えるからでしょうか。

JACS 2005, 127, 10568

2005-07-30 14:05:38 | 新着論文
Facile Diels-Alder Reactions with Pyridines Promoted by Tungsten

pyridine誘導体をタングステン錯体へ芳香環上へ配位させ、2-aza-dieneとしての性質を発揮。電子不足オレフィンとのDA反応を報告。isoquinucidine骨格を効率よく発生。

以前斜め読みしてほったらかしていました。Moパイアリルの分子内反応で架橋骨格を作るのをみて読み直してみました。ピリジン誘導体やオレフィンなど基質の適用範囲は広くなさそうです。しかし錯体の反応性という観点、ピリジン骨格をDAに用いることができる有用性は高いと思います。筆者らは2-置換ピリジン以外へも適用範囲の広い条件を検討すると述べています。
現状ではコミュニケーションの仕事の質と量の気がしました。ピリジンに固定せずに他の電子不足な複素環ではどうなるのでしょうか?2-aza-dieneのイミンとしての性質を活かした官能基変換による脱芳香族化なども面選択性などから応用できそうです。

PACIFICHEM

2005-07-30 09:39:59 | 日々の研究
PACIFICHEM2005の旅行要項が発表になった


(;゜д゜) ・・・

(つд⊂)ゴシゴシゴシ
 
  _, ._
(;゜ Д゜) …!?

    。 。
   //     スポポ-ン
 ( Д )    

4泊6日航空券込み 211700円~90400円

参加登録料 +14000円


・・・船こいでくか?

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ホテルは廉価でも手数料ぼってませんか? 
一泊あたり観光地にしても高い気がするのだが。ドイツはもっと安かった気がする

12/8/05追記 HISさんでツアーや個人での予算の見積もりをお願いしたところ、クリスマスも近いということで、早割などを最大に使った航空券だけでも70k前後とのこと。むーむむむ。疑ってゴメンなさい

JACS ASAP

2005-07-30 07:03:41 | 新着論文
Enantioselective Organocatalytic Intramolecular Diels-Alder Reactions. The Asymmetric Synthesis of Solanapyrone D

MacMillan触媒によるエノンの不斉分子内Diels-Alder(IMDA)反応。トランスの5,6もしくはデカリンが得られる。この反応を利用して、Solanapyrone Dの全合成とType ⅡIMDAに分類されるanti-Bredt olefinを報告。筆者らによれば、有機分子触媒によるIMDAは初めて、Type Ⅱの触媒的不斉IMDAは初めてとのこと。

MacMillanのグループです。分子間に関しては、JACS 2000, 122, 4243で報告しており、今回は分子内を報告しています。IMDAだけではインパクトが弱くなるので、アプリケーションで補っている点が、論文を書く上で見習わなくてはなぁと思いました。

で、実際MacMillan触媒を用いた分子内DAどこかで見た記憶があったのですが、どこだろうと探してみたら
MacMillanのグループのミーティング資料でした。2000年の資料-空白の数年が気になりました。特許がらみで隠してたか、蹴られてデータを貯めなおしたか、邪推が止まりませんw

Angew. Chem. Int. Ed. Early view

2005-07-26 23:54:06 | 新着論文
Hexakis(trimethylsilyl)tetrahedranyltetrahedrane

三角錐二つを向かい合わせた形のtetrahedrane dimerの合成、構造。tetrahedraneの炭素の高いs性のため、その間の炭素ー炭素単結合は1.436Åと非常に短くなっている。筆者らによれば、非環状など歪のない単結合では世界最短とのこと。

筑波大学の関口先生のグループです。合成が非常に苦労しています。tetrahedranyl Liのクラウンエーテル錯体を単離し、シアン化銅/酸素で酸化的にカップリングしています。その収率3%!すごい。(GPC、HPLCを用いているのでかなり複雑な混合物を与えたと思います。)他の酸化剤では全くできなかったとのことです。対称性も非常に高い構造で、X線もよくとれたなぁと関心しきりです。

実験項をみて思ったのですが、酸化カップリング、濃度が<0.04 M という条件で行っています。二分子のカップリング、操作的に限界があるのでしょうが、低収率なのは希釈条件にも問題がある気がしました。
自分は操作上問題がなければ0.2から0.5M、反応が暴走などの問題がなければ1から2Mで無理に反応を行っています。溶媒が少ないと、手に入る器具でスケールを上げられ、後処理、濃縮など短時間で終わるという利点がありますし、速度論の上では早く終わるはずというのがあります。