有機化学にっき

気になった有機化学の論文や記事を紹介。

JOC 2005, 70, 10113.

2005-11-30 07:59:29 | 新着論文
Short and Efficient Synthesis of Coronene Derivatives via Ruthenium-Catalyzed Benzannulation Protocol

Ru-carbene種を経由するbenzannulationを用いたpolycyclic aromaticの合成。TpRuPPh3(MeCN)2PF6触媒を用いて末端アルキンと近傍の芳香環との環化。

coroneneの合成や置換基のはえたcoronene合成をしています。他のアルキンを活性化するとされる金属では進行しないそうです。カチオン性のRu触媒を用いて、系を中性に近づけたのが、報告されているRu触媒の系よりもよくなった理由のようです。官能基を足がかりにしてさらに拡大したりすればより有用性を示せたでしょうか。

形式的なsp炭素へのsp2炭素の付加という観点から一般性を広げられないでしょうか。ビニリデン中間体の応用性は高そうですが、どう展開していいのやら。

JACS ASAP

2005-11-29 07:28:30 | 新着論文
Living Ring-Opening Polymerization of N-Sulfonylaziridines: Synthesis of High Molecular Weight Linear Polyamines

aziridineの開環重合。initiatorとしてBnN(H)Ms+KHMDSを用い、PDI~1のポリアミンを得る。

Tosteの名前で読みましたが共同研究のようです。リビング重合とのことでアジリジン上をスルホンアミドとすることが鍵のようです。スルホンアミドでなぜその性質が出るのか、なぜなのか理由がわからない。不思議だ
鎖長が伸びても反応性が落ちる気配がないというのも不思議。光分散で確認したところ溶液中で直線構造ということですが、どういう官能基や構造が影響しているのでしょうか?

ポリアミンが参考文献にあるほど多様な用途に使われていることをしりませんでした。素材、材料に関して勉強しなくてはと思ったり。D論イントロに他分野からの引用を増やすところから始めてみるか。

メモ

2005-11-28 22:22:58 | 日々の研究
つらいことが多いのは感謝がないから
苦しいことがあるのは甘えがあるから
悲しいことが多いのは自分のことしか考えないから
行き詰まりが多いのは裸になれないから


山形大学-三菱化学、包括的研究協力実施へ

2005-11-28 08:30:35 | 新着論文
http://www.m-kagaku.co.jp/newsreleases/2005/20051125-1.html


山形大学と三菱化学は、新規ポリマー材料の実用化に係る合成・改質技術、コンパウンド技術及び成形加工技術並びにそれらの解析技術の開発を主目的とした研究協力の推進について両者協議してまいりましたが、今般、具体的な研究テーマが決定し本年11月より本格的な研究をスタートさせます。

具体的な内容は以下のとおりです。
(1) 三菱化学グループの研究プロジェクトのなかで、高機能・高性能ポリマー材料の開発と基盤技術の高度化について、平成22年3月まで当面5年間の予定で両者が提携し、研究開発を推進する。
(2) 山形大学内に共同研究の場を設け、同大学工学部機能高分子工学科を中心とした研究者チームが当該プロジェクトに参画する。事務局は、同大学東京サテライトオフィス内に設置する。
(3) 三菱化学は、山形大学に研究員を派遣するとともに研究資金を拠出する。

三菱化学は、今年4月から始まった3年間の中期計画「革進-Phase2」の中で、『自動車用ポリマー材料』や『非枯渇資源(植物由来資源)』は、研究開発の重点対象と位置づけられています。今般の共同研究内容である高機能・高性能ポリマー材料の開発と基盤技術の高度化は、これらを実現する上で欠かせないキーテクノロジーとなります。(中略)山形大学はその設立から新しい産業創生を目指した実学志向が強く、特に機能性高分子材料開発の分野では、世界的にも高いレベルにあり、実績もあることから、今回の研究協力により、『自動車用ポリマー材料』『非枯渇資源』分野における三菱化学の研究開発の基盤が強化され、大きな成果を上げることが期待されます。

三菱化学IRより 

山形大学というと高分子とELを思い出しますが、山形大学いろいろ行っていますね。機能材料の競争の激しさは面白いですね

ついでに:三井化学アナリスト向け説明会資料に「強い三井化学グループを目指して~機能性材料分野の拡大加速~」 http://www.mitsui-chem.co.jp/ 11/17付けのIR
こちらも中国の需給減をおりこんで次の製品を考えているのが見えて面白い。

JACS 2005, 127, 4350

2005-11-28 08:13:22 | 新着論文
Stereocontrolled Synthesis and Optical Properties of All-cis Poly(phenylene vinylenes) (PPVs): A Method for Direct Patterning of PPVs

高い位置選択的かつZ選択的なヒドロシリル化、鈴木カップリングを鍵としたall-cis PPV(poly phenylene vinylene)の合成。光を当てるとEへ異性化がおこり、溶解性が減少する。この性質を利用したパターニングを報告。



京都大学小澤先生。下のJOCの子引き。Chalk-Harrod mechanismの中間体を調べないと選択性の起源はわからないことがわかった。孫引き・・・むむぅアルキンのヒドロシリル化では当然過ぎるほど当然の機構なのでしょうか・・・

異性化で溶解性がパターニングができるほど変わるのには驚き。合成で光を当てられないと言うのは相当面倒そうですが、応用を考えると面倒以上のメリットがありそうです。