有機化学にっき

気になった有機化学の論文や記事を紹介。

丸善 HGS 分子模型 

2006-10-29 08:17:11 | 新着論文
分子構造模型 立体化学分子模型 有機化学基本セット1

中古品になりますが欲しい方いらっしゃいませんか?

今はパソコンでモデリングがちょいちょいできますが、それなりに問題解決に役立ちました。短時間で、手を使ってコンフォメーションやAストレインをいじることで位置選択性などを理解できました。
実際に使っていた感想としては、棒球でなくDreidingなので、妙に結合や結合角が動いたりすることなく、立体化学の理解に役立つのではと思います。


欲しい方いらしたらコメントにでもお願いします。


諸事情により有機化学に対するモチベーションが激減しております
年内には切り替えて戻す、と努力中ですが

JACS ASAP

2006-10-23 23:40:04 | 新着論文
Kinetic Resolutions of Indolines by a Nonenzymatic Acylation Catalyst

planar-chiralPPY誘導体を触媒とした2位置換indolineの速度論的分割。

Fuのグループ。反応条件は5%の触媒(4-ピペリジノピリジンの略?)、1.5quiv.のLiBr、0.75equiv.の18-crown-6,065 equiv.のアシル化剤(ヒドロキシオキサゾール誘導体の酸無水物)、トルエン中で反応を行っています。反応はかなり遅いです。3位の置換基の種類にも適用ができるとのこと。

PPY誘導体の置換基やLiBrの添加が必須とのこと。反応機構は不明ですが、NMRによる中間体のメンションが多少。

LiBrと18-crown-6の役割がわかりませんでした。いまいちすっきりしないペーパーでした。

JACS ASAP

2006-10-17 21:06:33 | 新着論文
Pd(II)-Catalyzed Asymmetric Addition of Malonates to Dihydroisoquinolines

ジヒドロイソキノリンのC=N bondへのマロネートのPd触媒を用いた不斉付加。Boc2Oを加えておくのが鍵。

理研袖岡先生のグループ。無水Bocを用いて、アシルイミニウムを経て反応を行っています。芳香環上の置換基を検討して報告しています。マロン酸エステルはイソプロピルエステルがよいとのこと。不斉はBoc,i-Prの立体障害なんでしょうか?ちょっと基質の種類として少ないかなと思いました。

無水Bocと反応後、脱炭酸、酸によって脱t-BuOHしたアシルイミニウムが反応活性種と面白い反応機構です。ぱっと見はよくこんな条件を見つけたなと思いましたが、推定反応機構を見て、活性種を調整してということで納得できました。これだけ平面性の高い骨格で90%以上のeeは凄いと思います。

JACS ASAP

2006-10-16 22:18:35 | 新着論文
Asymmetric Epoxidation of Terminal Alkenes with Hydrogen Peroxide
Catalyzed by Pentafluorophenyl PtII Complexes

Pt触媒と過酸化水素を用いた末端オレフィンの不斉エポキシ化。


Pt(II)とペンタフルオロフェニル配位子が電子的に重要とのこと。
末端の1置換オレフィンを選択的にエポキシ化。直鎖アルキルの鎖長が変わっただけで反応時間やeeにばらつきがあるので、再現性はそこそこの系の様子。
面白いのが、二置換オレフィン共存下でも末端だけが選択的に反応するとのこと。


筆者らは酸化剤ではなく、基質を活性化する系で設計したようなので、反応機構に関して、オレフィンとのスペクトルやできれば晶構造解析など機構に関しても欲しかったです。
電子求引性がきいているのでしょうか?
最近思ったのですが、液晶材料のようにdipoleで強くなる3,4,5-F-phenylだと、電子求引性は落ちるかもしれませんが、触媒活性はどうなるでしょうか?

JACS ASAP

2006-10-11 23:06:34 | 新着論文
Total Synthesis of Antheliolide A

Antheliolide Aの全合成。鍵反応は(1)混合アセタールを経由したケテンの分子内[2+2]反応(2)プロパギルアルコールから、スルフィニルエーテルを経由したPd触媒の[2,3]転移(3)Pdパイアリルと活性メチレンによる9員環形成(4)縮合、[4+2]による三環形成。

Coreyのグループ。9,4,6,5,6員環とその周辺の立体をどのように固定していくかが鍵で、環状構造と分子内反応を巧みに用いています。
上の簡単な説明での鍵反応はC-C bond形成だけをみましたが、本文では、鍵として
(1) 混合アセタールの調整 (2) 4員環上の立体中心のジアステレオ選択的な4員環構築 (3)4員環上での増炭反応 (4)効率的な9員環構築 (5)環のマイルドな酸化的開裂(6) 効率的な三環構築
をあげています。

ラクトールをラクトンに変換するところでは、fusedの5,4,9環を壊さずに変換するために、MeO→PhSe→ OH→ =O とかなりやっかいな変換をしています。
また最終段階でも、反応性の高そうなイノンのエステルをもっていたりと、厄介そうです。
かなり不安定そうな基質で追試をしろと言われても、スムーズに進められるとは思えません。

別途合成ですが、左の三環フラグメントと右フラグメントをつなげて最後にラジカルなり、環縮小を用いて4員環構築を考えましたが、立体がこみいっているので難しいでしょうか。立体を考えてつくるとすると4員環上の置換基は早めに導入した方がよさそうでした。