有機化学にっき

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Chem. Commun. 2005, 3391-3393. and 3394-3396.

2005-07-12 07:18:39 | 新着論文
Dyamic nanoscale Borromean links(3391)
Nanoscale Borromean links for real (3394)

3つの環の交差したnanoscale Borromean ring (BR)(Science, 2004, 304, 1308)の反応性、性質の検討。
1報目はピリジンのパラ位をCl, Br化したものを構成ユニットとしてBRを構築。混合して、TFA,MeOHで加熱すると、スクランブリングしたBRが得られることをNMR, ESIマスで確認。BRの構造において、単離後でも動的な平衡過程に参加できること、きれたりつながったりしていることを実験的に証明。

二報目では、イミンを還元して環がkineticに切れないようにした後、テンプレートのZnを除去メタルフリーなBRを合成。また還元条件をきつくしてBRの一本を切断すると、2つのマクロサイクルと一つのlinearな分子が得られ、ナノスケールでのマクロなトポロジーを実現。

スキームだけをおっかけると、当然の出来事のように見えましたが、NMRの解析、超分子のMSなど目がちかちかする丁寧な仕事でした。ちと何を目指している仕事なのかわかりづらく、コミュニケーションよりもフルペーパーでまとめた方がわかりやすい気がしました。