有機化学にっき

気になった有機化学の論文や記事を紹介。

Org. Lett. ASAP

2006-01-31 08:36:42 | 新着論文
Palladium-Catalyzed Cross-Coupling Reactions of (2-Pyridyl)allyldimethylsilanes with Aryl Iodides

(2-pyridyl)alyldimethylsilaneを用いたPd触媒によるArIとのクロスカップリング反応。2-arylpyridineが得られる。additiveとしてAg2Oが必須。

伊丹先生のグループ。「着脱可能な配位性制御基」のコンセプトで開発したピリジルシリル基の検討中ピリジンがカップリングする系を見出し、発展させた仕事のようです。ケイ素上アリル基があり、additiveとしてAg2Oを用いるとアリルではなくピリジルがカップリング。2-metalのピリジンは安定性が悪くカップリングが難しいとの事情があるので応用。

推定反応機構がピリジン窒素、アリルが銀にたかって、ケイ素には酸素がたかっている機構を提案しています。アリルではなくそちらもピリジルだと試薬の調整に関して楽にならないのかなぁと思ったりしました。


ピリジルの2位は結構面倒なのですね。ピリジン誘導体を作るとき、2,3,4位のハロピリジンを並べてリチオ化したとき、2だけ失敗してやり直したことを思い出しました。亜鉛アートが調べたら有効だった気がします。

Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 465.

2006-01-29 12:58:17 | 新着論文
Unsaturated Fatty Alcohol Derivatives as a Source of Substituted Allylzirconocene

(1-butene)ZrCp2による、末端水酸基を持つ内部アルケンの異性化を伴ったallylzirconocene錯体の調整。

鎖長に関係なく、エーテル溶媒34℃、20 minで反応は容易に進行するところが面白かったです。二置換オレフィンで、出発のシス-トランスは関係ないようなので、混合物からでも得られるのが、有用かなと思いました。適用範囲として、置換基は直鎖アルキルしかテーブルには載っていません。官能基の共存性や二級、三級などもう少し条件を振ってても良いのかなと思いました。得られたアリルジルコノセンを求核剤と反応させていますが、HCl, PhCHO, NCSだけですので、こちらも検討する必要があるのかなと思いました。

論文製本

2006-01-28 14:45:01 | 日々の研究
博士論文を提出する際、決められた様式で製本する必要がある。
製本は中3日とのこと。 それに間に合うペースで呑気にしていたのだが・・・

予算、その他を確認するために印刷を例年頼んでいる業者さんにtel
「いやー、今年はちょっと忙しくてうけられないわー」
ふっかけてんのか?と思ったが、本当らしいw

慌てて生協の製本サービスへ駆け込んで見たところ
「中二日でできますよ」
一安心と思いつつ、様式の確認と予算を聞いたところ
「あ、丸背(で提出と指示がある)製本は3月になりますねぇ」
うーんw

他研究室の方でまだ製本に出していない方に、一緒に業者さんに出させてくださいとお願いしたところOKを頂いたのだが・・・
「製本10日くらいかかるみたいだからもうすぐに出すよ」

(>_< )( >_<)イヤー

かくして突貫工事と相成りました・・・

例年通りと段取りに関してスタッフ他人の言うことを信じた自分がバカでした

日本高純度化学の金メッキ技術

2006-01-28 14:41:18 | 記事
日本高純度化学株式会社
製品・研究開発のページ
めっきの技術トレンドは?


先週の東洋経済を立ち読みして、「ニッポンの技術再発見 日本高純度化学:電子部品を進化させる金メッキ薬」
めっきをする際に有機化合物(配位子)で金イオンを(めっきするニッケル単体を有機化合物で保護しながら)誘導するというような内容で、面白く感じたので調べてみたのだが・・・会社HPから得られる情報が少なすぎ・・・


調べてみたところ e richなヘテロ環を利用しているとの事。
特開2005-307309
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換型無電解金めっき液に関するものである。さらに詳細には、本発明は、無電解ニッケルめっき皮膜上に金皮膜を形成させるための無電解金めっき液であって、ニッケルめっき皮膜中のリン濃度が高い場合であっても、十分なめっき速度およびはんだ接合強度が得られる金めっき皮膜を形成可能な置換型無電解金めっき液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、置換型金めっきは電子部品に施され、通常0.2ミクロン以下の薄膜を形成させるのに使われている。これは、電子部品の実装用接合部を金皮膜で保護する為で、めっき工程で置換金めっきが施された金めっき被覆部には、実装工程で、はんだ等を用いて他の電子部品と接合され、最終的にはパソコン、携帯電話等の電子機器として組み上げられている。
【0003】
近年、電子機器が小型化、軽量化されるにつれ、置換金めっきに要求される特性も多様化、高度化している。例えば、携帯可能な電子機器の場合、機器の落下等、外部から力が加えられることが避けられず、これに対応して、金めっき皮膜上に施されるはんだの接合強度をより強化することが必要になっている。
【0004】
また、近い将来、はんだが従来の鉛含有タイプから鉛フリータイプに代わると、はんだ接合強度は低下するので、金めっき層側を改良してこれを補うことが求められている。
【0005】
更に、電子機器が屋外や、高湿度ないし腐食性環境で使用されることを考慮し、めっき皮膜の耐食性を上げるために下地となる無電解ニッケル皮膜中のリン濃度を高くすることが行われている。しかし、ニッケル皮膜のリン濃度が上がると、置換金めっきを施すのが困難になることが避けられない。すなわち、置換金めっきは、下地のニッケル皮膜をめっき液中にニッケルイオンとして溶出させ、代わりに金イオンを金属皮膜としてとして析出させる方法であるが、ニッケル皮膜の耐食性が高くするほどニッケルイオンが溶出しにくくなって、その結果、金の皮膜形成が抑制されることになるからである。
【0015】
本発明によれば、リン濃度の高い無電解ニッケル皮膜上でも実用的な速度でめっき付けが可能で、かつ得られた金皮膜上に施したはんだ接合の強度が、鉛フリータイプのはんだでも十分な強度を示す、置換型金めっき液を得ることができる
【0026】
酸化抑制剤として有効なπ電子過剰タイプの複素環化合物は、分子中の複数の窒素原子により、下地のニッケル表面に吸着し、π電子過剰の分子構造によりNi表面の酸化を防止するものと推定される。酸化抑制剤はNiには吸着するが、金表面には吸着せず、金めっきによる置換反応が進行するにつれて下地表面から脱着し、置換めっきが終了した時点では金めっき表面には全く吸着していない。