有機化学にっき

気になった有機化学の論文や記事を紹介。

JACS ASAP

2006-12-21 20:40:39 | 新着論文
Regio- and Chemoselective Silylmetalation of Functionalized Terminal
Alkenes

亜鉛アート錯体と触媒量の銅塩を用いた、アルケンの位置選択的silyl zincation。亜鉛部位は様々な求電子剤と反応してケイ素官能基かされた生成物を与える。

理研内山先生。アルケンへの亜鉛-ケイ素試薬の付加反応。
銅塩を用いたのが鍵で、不思議なのが銅アート錯体では反応がいまいちとのこと。
活性種はどうなっているのでしょうか?

位置選択性もさることながら(80%以上の選択性で末端がシリル化)官能基共存性もすごい。二トリル、エステル、アミド、ホスフィンオキシドなどなど。
さらにelectrophileと反応が可能。形式的にオレフィンの末端シリル化を行いながら、内部にC-C bondを作っています。

内部オレフィンは反応性が低く、ひずみのあるビシクロ環のみ進行とのこと。現在のこのリミテーションも亜鉛上の置換基やadditiveでクリアできるかもしれません。
末端ケイ素も酸化によって官能基変換が可能であることまで示しています。

オレフィンの修飾方法として、かなり面白い反応だと思いました。

JACS ASAP

2006-12-18 19:16:15 | 新着論文
Palladium-Catalyzed Benzene Arylation: Incorporation of Catalytic Pivalic
Acid as a Proton Shuttle and a Key Element in Catalyst Design

芳香環C-Hの直接アリール化。bulky and electron richなPd触媒とピバル酸の組み合わせで活性な系を見出した。

以前の報告で見出したカーボネート架橋中間体に着目して、フッ素置換のないベンゼン環でも進行することを見出しています。
検討の途中で見出したのかもしれませんが、リガンドの選定や収率の向上にはかなり苦労したと思います。方向環sp2C-Hから脱プロトンを経由している機構は、かなり面白いし、酸性度の低いものでもリガンドと塩基の組み合わせで反応が進行するというのは展開性としても非常に面白いです。

中間体を見る限り、酢パラとbulky&electron rich phosphineで見出されていてもおかしくなかった気がしますが、フッ素置換の系から検討を丁寧にしていたから見出せたのでしょう。実用には難しいところがありそうですが、展開が非常に楽しみです。


JACS ASAP

2006-12-15 07:47:19 | 新着論文
Using Triethynylphosphine Ligands Bearing Bulky End Caps To Create a
Holey Catalytic Environment: Application to Gold(I)-Catalyzed Alkyne
Cyclizations

トリアルキニルホスフィンのカチオン性金錯体を用いた、acetylenic keto esterの分子内環化反応。高効率に加え、金触媒による1,7-enyneの 6-exo-dig環化は初めてと独特の反応性とのこと。

北大澤村先生のグループ。
トリアルキニルホスフィンは、その構造からリン原始周りの立体に影響を与えずに電子的に影響を制御できるメリットがあるそうです。しかし、配位モードがホスフィンからのη1のみでなくなったりすることから、触媒反応への応用は報告がなかったそうです。末端の立体障害を大きくすることで(トリアリールシリル基)制御しつつ、かつリン周りのキャビティーの大きな配位子を開発というコンセプト。
非常に速やかに環化が進み、また、ホスフィンを各種検討して電子的、立体的な影響を検討しています。現状では断定はできないようですが、コンセプト通りのキャビティーが重要な役割を担っているとのこと。

銅触媒でのホスフィンへのアルキン付加、リン配位子なのに酸化されにくいなど勉強になりました。キャビティーの考え方が立体的なものなのか、活性部位が安定化されているのか、いまいちわかりかねます。デンドリマー触媒のことを思い出しました。構造やこのタイプの配位子が使われると面白そうです。



JACS ASAP

2006-12-12 23:31:53 | 新着論文
Chiral Photocages Based on Phthalimide Photochemistry

新規光反応性保護基の開発。 2-phthalimido-3-hydroxy-propionate 誘導体。
光照射により脱炭酸しつつ、カーボキシレート誘導体を放出。不斉点があり、立体により効率に影響。

光により除去できる保護基は、生体内での濃度や量の制御が可能になるため生化学的な研究に重要とのこと。生化学の方はわかりませんが、固層合成や切り出しに光照射で除去できるortho-ニトロベンジル基などが例。
この場合だと生じるニトロソが反応性が高いため悪さをする場合もあるらしいとのこと。

今回筆者らの開発した新規保護基は、水溶性、副生成物の低毒性、高い量子収率に加え、不斉点があるため、立体によっての違いを検討できるとのこと。いまいち最後の例はピンときません。

放出するものとしてアセテートを例にしていますが、分子が大きくなるとホントに上手くいくのか?が気になります。
原料調整は容易そうなので、実際に不斉点の利用のメリットと、どれだけ広く使われていくかだと思います。広く使われていく保護基になるのではないかと思います。

これを使うだけの固層合成がたくさん報告される気がします。

いいか!? サンタの心を受け継いで、これからは、キミたちが、サンタになるんだよ!!

2006-12-07 19:01:19 | 日々の研究
サンタになれ!

音量を最大にして聞くことをお勧めしますw


島本和彦さんの漫画は「炎の転校生」「逆境ナイン」以来読んでませんね
どこでみたのか忘れたのですが、
あの石森章太郎先生と会った島本先生「同じ人間だ!!俺にもできる!!」

才能がどうだ、育った環境がどうだ、でもなく同類項のかっこが(人間)という分類をしたというエピソードを聞いたことがあります。

有機化学を研究されている皆様、ぜひとも自分の恩師なり世界の有名教授を
「たかが数百報しか論文出してねーじゃん」
「同じことくりかえしてるだけじゃねーか」
と(口に出してはいけませんが)、師匠を乗り越えるつもりで仕事にいそしんでください。

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それはともかく、夢をかなえさせてあげる立場にドンと座ってみたい!!
というわけで
ワールドビジョンジャパンもしくはフォスタープラン
への寄付を考えています。
決めた理由として
・¥出して終わりでなく継続性や自立支援という点
・税金控除と活動が国から認められている点
・後者は財団法人と立場はしっかりしている点

でしょうか。

どちらか一つなどと気にせずどかんと寄付できる甲斐性になれるよう頑張ります。