有機化学にっき

気になった有機化学の論文や記事を紹介。

JACS ASAP

2005-07-15 21:57:22 | 新着論文
Kinetic resolution of axially chiral 2,2'-dihydroxy-1,1'-biaryls by palladium-catalyzed alcoholysis

Pd/ジアミン系触媒による2,2'-dihydroxy-1,1'-biarylのビニルエーテルのalcoholysisによる速度論的分割。

軸不斉を有するビアリルの合成です。アトロプ異性の制御に関して、天然物に関してはその熱力学的な安定性からいくつかの報告がありますが、単純なビアリル合成は困難が伴います。ラセミのビフェノール(ビナフトール)のビニルエーテルをalcoholysisにより速度論的分割をしています。krel = 12~36。
最適化された配位子、テトラフェニルフェニルがはえているのですが、なぜこれが良いのか、わかりません。辻先生のグループではこのようなデンドリマーlikeな配位子を開発しているのですが、安定性が向上したり、選択性が向上したりという原因がわかりません。
単純にでかくなると反応性はおちるような気がするのですが、どのように反応場を提供しているのでしょうか?

JACS ASAP and Org Lett. ASAP

2005-07-15 21:55:55 | 新着論文
Asymmetric synthesis of 3,3-diarylpropanals with chiral diene-rhodium catalysts(JACS)
Catalytic asymmetric syntheis with chiral Rh-diene complexes: 1,4-addition of arylboronic acids to unsaturated esters(OL)

Carreiraのグループです。JACSは最近開発したキラルジエン配位子を用い、ロジウム触媒による芳香族ボロン酸のシンナムアルデヒド誘導体への不斉1,4付加を報告しています。生成物は不斉中心を有するジアリルメタンです。OLはエステルでも同じ条件で進行。

まとめりゃいいのに・・・というのが初めの感想。このキラルジエン配位子、確か環状ケトンへの不斉付加までいってたのだっけ?と子引きしてみると、環状、非環状問わずケトン、エステル、アミドまで成功していました(Org Lett 2004, 6, 3873)。・・・・確かにちょっと基質が変わるだけでeeは変わりますが。アルデヒドの方は、官能基共存性を考えるとハードルは高いのはわかるのですが・・・エステルは・・・tableが増えただけ?Letter?速報性が必要?
The use of cinnamic acid esters as acceptors is advantageous for a number of reasons: the wide variety of unsaturated acids that are commercially available, and the increased stability of the esters, which thus make them easily handled starting materials. Of additional importance in pursuing this study was the fact that conjugate additions of arylboronic acids to cinnamate ester acceptors in the presence of metal-diene complexes were lacking in precedence.

この文と「有名な先生」でOrg Lettですか・・・。OL蹴られてfullでJOCに出したことがあるので釈然としないです。
JACSの方は生成物の有用性、官能基共存性を考えることで納得。

・・・・・・・・・・上の文章ester→amideにすれば片手間で一ヶ月で一報書けそうです。(もうどこかに出してるかもしれませんが)