映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

イタリア映画『天空の結婚式』 同性婚を望むゲイカップル〝が巻き込まれる〟騒動!

2020-12-19 | 映画感想
映画『天空の結婚式』
Puoi Baciare Lo Sposo上映日:2021年01月22日製作国:イタリア上映時間:90分





舞台はイタリアのチヴィタ・ディ・バニョレージョ。



『天空の城ラピュタ』のモデルとも言われてまして(確かに縦横に入り組んだアーチがそれっぽい)、
個人的には『マスターキートン』11巻「鉄の砦」の舞台として使われていた場所としての印象があります。

美しい観光地でもあるんだけど、要塞都市としての一面もある。
しかも2500年以上前に作られた町。

そこを舞台に人類のアプデ案件を描くコメディ映画です。




****


結婚を決めたゲイカップル。母は賛成だけど父は反対で……。というスタート。

ライトなコメディ映画、という皮を被ってますけど
なかなか芯の通った力強い映画でしたね。

原作は2003年初演の舞台『My Big Gay Italian Wedding』

16年前のものですが現在まで断続的に上演されて
おそらくその都度アップデートされてるでしょうし、
この映画も明らかに今日的なアップデートがなされているのがわかる話の展開になっています。


主役というか、話の主軸はお父さんですね。

演じたディエゴ・アバタントゥオーノの演技が素晴らしいですし、実際今作の演技で助演男優賞候補になっているとのこと。
イタリアでは有名な実力派俳優でもあり、コメディアンでもあるんですね。
だから顔は死ぬほど怖いんですけど、かわいらしくて面白いんですよ。
このお父さんは村の村長さん。
リベラルな考えの持ち主で変化を否定しない人物。
しかし、息子が男と結婚!となると急に差別発言連発で堂々と思考停止しちゃう。
ホントは息子を受け入れたいのに、それが難しい、、、という人物。




こういうタイプの映画でありがちな〝融和〟じゃないのがすごく良いです



この映画はもちろんアントニオとパオロの2人の話なんだけど
描きたいのは、周囲の人物の受容過程。
(でもま最終的にはその点も含めて批評的に描かれます)
いろんな人物がいますが、重点が置かれて描かれるのはやはりお父さん。
同性婚を頭から否定してるわけじゃないけど自分の身内となると…、というのはリアルな反応ではないでしょうか。
このお父さんの心もようを丁寧に描いているというのが、この映画の大きなポイント。
やさしいポイントかと。


***


こういうタイプの映画でありがちな〝融和〟じゃないのがすごく良いです。

異文化とか異人種とか異なる宗教とかの対立と融和を描くとき、
当人同士が釣りしながら語り合ったり
2人とも奥さんに追い出されて語り合ったりして
お互いをよく理解することで融和しました、あ〜良かったねっていう映画、よくあるんですけど。

この映画はそうではない。

無理ですからね。
「全ての事象」について深く知ったり、
「全ての属性を持っている人」とゆっくり語り合うなんて、物理的に無理なことなので。

よくわかんないから拒絶する、という理屈は成立しない。

この映画はそうしない。

これがとても良い。
どういう感じなのかは本編を観てくださいな。



そもそも〝成人〟が〝お互いに〟決めた結婚に対して許すも許さないもないんよね。。。



****



ラストの展開がこの映画のほんとの肝なんですけど、、
やっぱラストのことなんで書くわけにいかないんですよね。。。

結構、痛快。痛烈。

「騒いでんじゃねえよ」っていうことですかね。
「関係ねえよ」ってことですかね。。

大好きだし、ものすごく納得の展開とラストの締め!


ラストネタバレは、公開後に!!!




最新の画像もっと見る