goo blog サービス終了のお知らせ 

映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

社会の暗部をほじくり出す『鵞鳥湖の夜』

2020-04-16 | ネタバレあり

『薄氷の殺人』再びという感じでいいですね、ディアオ・イーナン監督のフィルムノワール!



『薄氷の殺人』は舞台が中国の北部で大体めちゃ寒そうでしたが、今回は中国の南部。
暑く蒸し蒸しした夜の物語。
昼のシーンも多いし、暑いはずなんだけどなぜか昼間のシーンは寒々しい色彩。

***

四コマ映画『鵞鳥湖の夜』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2494

***

鵞鳥湖という架空の湖の町は、警察の管轄が複雑でちゃんと統治されてなくて、雑多な人種が混じり合って犯罪も多いとこ、という設定。

この映画の一番の魅力は水浴嬢ですね。
水浴嬢という言葉の威力。水辺の売春婦とのこと。海の中でなさったり、泳げない水浴嬢は浜の茂みでなさったりするそうです。

ヒロインのグイ・ルンメイは鵞鳥湖の水浴嬢。

***

この謎しかない美女と、うっかり警察を殺しちゃったイケメンの、逃走劇、でもないんだな。

イケメンは逮捕される前にやらなきゃいけないことがあって、そのために「妻に会いたい」。
美女はその計画に協力するっぽい感じで登場するんだけど、
警察やヤクザたちも絡んできて入り組んできて、一体誰を信じればいいのか、
誰が信用できて、誰が裏切り者なのかが分からなくなってくる。。


***

物語は結構ザンザン進んでいくし、
画面がとにかくずっと素晴らしいので飽きることはない。

いろんな立場の人たちが入れ替わり立ち替わり出てくるけど、それそれのキャラクターの奥行きが素晴らしい。
2時間弱なのに、これだけのことを描けるのかと感嘆しますよ。

***

ただ「この人は誰だろう、敵かな?味方かな?」と一瞬不安になって
ちょっと集中力切れそうになると
ビッッッッッッックリするシーンが何度もバーンとやってきますので。ご安心を。

電飾付きスクーターの行き先にあるものとか、ジンギスカ〜ン♪とか、二人前の麺類を食べるイケメンとか、ワンタッチ傘とか、ボートの上での一夜とか、
これ一つの映画だったのか、と思うくらいに名シーン多すぎ。。

ちゃんとご飯食べるのもいいですね。こういう映画の場合あんまご飯食べませんけど。
あとこの監督、中国のだっさいポップス好きですね、それをBGMにダンスをさせる。。

***

あらすじは読んでから観た方がいいと思いますよ。

話をわかりやすく説明してくれる便利な人はいないし
回想シーンも不意に始まったりするので。

***

まぁ画面はずっとカッコいいし、
社会や時代から切り離されたような鵞鳥湖を舞台に描くことで現代の社会問題をグリグリほじくり出してくるのもいいし
「いや〜映画っていいですねえ」って思いますよ、このレベルの映画を観ると!


四コマ映画『鵞鳥湖の夜』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2494



 

『鵞鳥湖の夜』ネタバレは以下の3分割のリンクからどうぞ。
 
 


最新の画像もっと見る