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サブカルとサッカーの話題っぽい

【ラノベ】僕と彼女のゲーム戦争

2011-06-14 | ライトノベル
僕と彼女のゲーム戦争 (電撃文庫) 僕と彼女のゲーム戦争 (電撃文庫)
価格:¥ 662(税込)
発売日:2011-06-10

 読了。

 このラノベ、発売前にちょっと話題になった(作者の人が募金の桁をひとつ間違えたとか、絵師の人が売れ線のエロゲンガーだとか)せいか、妙に品薄のようですね。少なくとも僕は書店で並んでいるのを見ていないんですが、この様子だと早いうちに重版かかるんじゃないでしょうか。

 ちゅうわけで、話題性が先行した感が否めない作品ではありますが、なかなか面白かったです。普段からゲームに触れていて、かつさほどコアなゲーマーじゃないっていう、僕みたいな「ライトゲーマー以上、ヘビーゲーマー未満」の人なら楽しめるんじゃないでしょーか。
 あらすじをざっくりと説明すると、このラノベは政策的に「テレビゲーム」がもてはやされているパラレルワールドが舞台になっています。テレビゲームが文化的に保護されており、例えば親が子供にゲームを与えることに(現実よりも)躊躇しない世の中になっているというか、このへんは某『咲-saki-』を思い浮かべて頂けるとわかりやすいと思います。つまりアレでいう「麻雀」が「テレビゲーム」になっている感じですね。
 で、主人公の岸峰健吾は、そういった世界観において、「テレビゲームを一切プレイしたことがない」という変わり者です。というのも、他の同年代の子供たちがゲームに夢中になっているとき、彼は唯一無二の趣味である読書に没頭していて、成長した今も尚、日々を読書に費やしているからなんですけど。
 とまあ、そんな彼が、いきなり近隣の元女子校に転入することになり(唐突やなwwww)、その元女子校にあるテレビゲーム部に勧誘される(唐突やなwwww)というところから物語が始まるといった感じの内容になっております。文章に起こすとすっげー唐突ですけど、実際はラノベには珍しく、丁寧すぎるくらい丁寧に導入を描いていました。
 以下雑感。

・無粋な突っ込みではあるんだけど、「もし10年前に政策的にゲームが奨励されていたら」というパラレルワールドが舞台になっているのに、作中で描かれる〝現代〟は、基本的に僕たちが生活する〝現代〟とほとんど変わらないため、いわゆるSF的な考証などを突き詰めているわけではなさそうなのが残念。個人的には、実際にこういう「if」の変化が起きたら、ゲーム文化はもっと革新的な進化を遂げていると思うんだけど、作中ではゲームが(現実よりも)広く受け容れられているとか、(現実と違って)毎週のようにゲームの大会が行われているとか、そういった物語における小道具的な役割しか果たしていないのよね。まあ、実在するゲームをプレイするというのが、この作品における大きなウリになっているから、「if」の10年前から地続きのパラレル現代を考証するって部分は敢えて排除してるんだろうなと勝手に納得。

・上にも少し書いたが、導入が非常に丁寧な反面、物語の進行が遅いためテンポの悪さを感じる。元々続刊前提だからという部分はあるんだろうけど、350ページかけてようやく岸峰が入部するってのはスローペースすぎるかもしれない。登場キャラが限られていることもあり、今後はどういったペース配分で物語が進んでいくのか完全に不透明なので、色んな意味で次の巻を読まないと評価が難しい作品だと思います。ハイ。

・挿絵最強。八宝備仁は無敵。最初のカラーページの上半身下着でブルマの裾を直す天道を見たら大抵の人はレジに持っていってしまうんじゃなかろうか。どうでもいい話(どうでもよくないけど)、巨乳キャラの下着姿を描くときブラ紐を鎖骨のラインから浮かせて描く絵師さんを僕は全力で支持したいのでありますことよ? でも正直、挿絵で顧問登場しすぎなので、もう少し女子比率を上げて頂きたいというか、ぶっちゃけ貴重な八宝挿絵は女子だけに使ってくれよォ!

・顔見せ登場した金髪キャラも巨乳。現在、物語に絡みそうな位置にいるキャラは皆巨乳。師走トオルさんって巨乳作家さんだったのか――

・作中に『涼宮ハルヒ』などのパロ(?)が出てくるのは、んー、今回程度ならスルーできるけど個人的にはあまり多用して欲しくないかも。そもそも、お嬢様学校だからゲームやる人が少ないとかわざわざ世界観を否定するような設定にしておきながら、「あれってハルヒ?」とか呟く生徒がいるのはおかしくないだろうか……。

・しっかし、岸峰の「本やゲームの中に没入できる能力」って、ギャルゲにも活用できそうですよね。『加奈~いもうと~』とか『こなたよりかなたまで』とかプレイさせたらどうなるのか見てみたいわ。前者はともかく、後者はガチでシャレにならない結果になりそうで困る。

 というわけで、続きも買いますよということで一つ。
 そういや、某『神のみぞ知るセカイ』も「現実よりもギャルゲが幅をきかせてる」って感じのパラレルワールドでしたね。あっちはほっとんど〝現代〟と変わらない体で物語が進んでいるので、今となっちゃどうしてあんな(ゲーム開発者が桂馬のHPを見て心を入れ替える)エピソードを挟んだのかわかりませんが。