(春陽文庫 昭和50年3月初版 海津正道さんのイラスト、素敵ですね…)
ジュニア系の4編が収録された短編集。
「風車の歌」は中学生、「月曜日の眸(ひとみ)」「二輪の花」は高校生が主人公。
どれも初めての“恋心”にとまどう少年少女の物語だが、
特に、男の子の心情がよく描かれている。
「風車の歌」の正則は『制服の胸のここには』の京太のように、
先生に、好意を持つ雪子と「同じクラスにしないでくれ」と頼み込み、
「月曜日の眸」の田村は学校をさぼってみたり、
「二輪の花」の良吉と雄作は決闘してみたり(そこに男の友情も見える)。
恋する少年は彼らなりの美学や哲学を持つようだ。
それがあまりにもぶっきらぼうなので、女の子は全然気づかないのだが。
特に気に入ったのは「月曜日の眸」
ラストの
「あした来たら、ぼくはまた同じことをきみに求める」
「…………」
「来るかい?」
電車の中で読んでいたのだが、またしてもひとりもだえてしまった。
ひざをついてふすまを開けた良美のほうを、ゆっくりとふり返った。
こんな何気ない一文の中にも、女性の優雅さと美しさが現れていてどきりとする。
さて、残る一編なのだが…
「初恋」
これがノンフィクションを思わせる、もうひとつの『雪の記憶』といった感じの作品なのだ。
というわけで改めて詳しく書きたいと思う。
(2010年7月25日読了)
リアルタイムより、ずうっと富島作品を愛し続けておられる方よりメッセージいただきました!
やっぱり、いらっしゃったのですね!しょうさん、ありがとうございます