富島健夫作品 読書ノート ~ふみの実験記録

富島健夫の青春小説を読み感じたことを記録していきます。

風車の歌

2010-07-26 10:33:41 | ジュニア小説


(春陽文庫 昭和50年3月初版 海津正道さんのイラスト、素敵ですね…)


ジュニア系の4編が収録された短編集。


「風車の歌」は中学生、「月曜日の眸(ひとみ)」「二輪の花」は高校生が主人公。
どれも初めての“恋心”にとまどう少年少女の物語だが、
特に、男の子の心情がよく描かれている。


「風車の歌」の正則は『制服の胸のここには』の京太のように、
先生に、好意を持つ雪子と「同じクラスにしないでくれ」と頼み込み、
「月曜日の眸」の田村は学校をさぼってみたり、
「二輪の花」の良吉と雄作は決闘してみたり(そこに男の友情も見える)。


恋する少年は彼らなりの美学や哲学を持つようだ。
それがあまりにもぶっきらぼうなので、女の子は全然気づかないのだが。


特に気に入ったのは「月曜日の眸」

ラスト

「あした来たら、ぼくはまた同じことをきみに求める」
「…………」
「来るかい?」


電車の中で読んでいたのだが、またしてもひとりもだえてしまった。


ひざをついてふすまを開けた良美のほうを、ゆっくりとふり返った。


こんな何気ない一文の中にも、女性の優雅さと美しさが現れていてどきりとする。



さて、残る一編なのだが…



「初恋」

これがノンフィクションを思わせる、もうひとつの『雪の記憶』といった感じの作品なのだ。

というわけで改めて詳しく書きたいと思う。

(2010年7月25日読了)


リアルタイムより、ずうっと富島作品を愛し続けておられる方よりメッセージいただきました!
やっぱり、いらっしゃったのですね!しょうさん、ありがとうございます



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