市場拡大に伴い、求められる周辺環境の整備
水素商材市場が拡大する一方で、業者間での主導権争いも目立ち始めている。先月、一部週刊誌が某学者の言葉を借りて、マイナス水素イオンや水素吸蔵サンゴ、活性水素などと謳った一部商材が“偽物”だとする特集を組んだ。本特集は、その学者が開発に携わった商材、もしくは紐付きのメーカーの商材だけが本物と言いたいがために、一部商材を偽物に仕立て上げるという偏った内容だった。今回の報道に対する本紙の取材では、多くの関連企業が「ビジネス上の影響はほとんどなかった」と回答したが、今後もこうしたメディアの偏った報道が消費者に対して、水素全体の印象を「怪しいもの」と誤導させる危険性は否めない。
今回の報道では特に、マイナス水素イオンや水素吸蔵サンゴなど、水素サプリメントに対する攻撃が目立った。水素サプリメントは複数の有名な医療機関などでも使用されており、実績も挙げている。ただ現在、国際論文で発表されている有用性の多くが水素ガスや水素水を使用したもので、サプリメント素材としてのマイナス水素イオンや水素吸蔵サンゴなどによる発表は、まだまだ少ないことも事実。これら素材・商材においては、今後、普及拡大と並行して、エビデンスデータの集積および国際論文レベルでの有用性の発表などが課題と言える。
市場が拡大するにつれ、今回のような業界内での主導権争いが勃発するのはよくあること。本紙の取材では今回の報道に対して、水素の測定方法の根拠に関する疑問を口にする企業も少なくなかった。今後、水素商材の市場が次なるステップに進むにあたっては、今回の報道を教訓とし、業界では測定方法の規格化や客観的な検証を行う産学連携による業界団体の設立など、周辺環境を早急に整備する必要が求められる段階にきていることがうかがえた。
健康産業新聞 第1474号(2013年3月13日)
夢のアンチエイジング商品 水素水論争に最終結論!
誌上実験でわかった「本物」と「偽物」【全文公開】より
その結果、判明したのは驚きの事実だった。「アクティブハイドライド」、「おはよう水素」、「爽快水素プレミアム」、「POWER SUISO」からはほとんど水素が発生していなかったのである。
「この結果を分りやすく言うと、これら4つのサプリメントは、1カプセルで市販の水素水の“1滴にも満たない”分子状水素しか出ていないことになります。インターネットで『おはよう水素』のホームページを見ると、『3~5ppm前後の水素ガスが長時間に渡り発生している』と主張しています。たしかに今回の実験でも、それに近い値が出ましたが、この程度のほんのわずかな水素発生量で、なにか体に効果があるとは到底考えられない」(太田成男教授)
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