ジョニーのメモリアルナイト

センチなジョニーの独り言

興奮

2006-04-03 14:54:53 | 本と作家
若い頃は「興奮」という言葉をみるだけで、ちょっとHな感じがしてドキドキしたものだ。この「興奮」は本のタイトルだ。D・フランシスの競馬ミステリシリーズの中で一番好きなタイトルだ。

レース後、異様に興奮しているが馬からは薬物が検出できない。しかし、何か薬物は投与されているはずだと、英国競馬界のお偉方は考える。オーストラリアの牧場主が英国競馬界の理事から頼まれて、馬丁に扮し、怪しげな厩舎に潜入して薬剤投与疑惑を解明するという物語だ。

この物語の中で一番好きな部分は、疑惑解明のためなら身なりや虐待もいとわないけれど、密かにあこがれる人の前では自分の正体はこうなんだと明かしてしまいたいとかられ、明かすと任務がまっとうできないと悩むプライドの葛藤部分だ。

素敵な人から一番好きな本は?と聞かれた時に答えたのが「興奮」だった。もう少し格好つけて大江健三郎の「洪水はわが魂に及び」とでもいえばよかったかもしれないが、ボクの人格形成に大きな影響を与えた小説だからしょうがない。純文学だろうと大衆小説だろうと、学ぶべきものはどこにでもあるのだから。