どっこいしょ

リハビリ奮闘記!!

リハビリの視点と個人的な視点を交えて、畳の生活や空間を考える

2016-09-17 16:08:32 | リハビリ

先日のある会議で、

施設の畳は「フラット(平ら)」小上がり(腰かけられる高さ)」

のどちらが良いかという話題が出てきました。

大変興味深い内容であったので、備忘録の意味も兼ねてブログにアップしたいと思います。

 

 


 

◆築30年未満の住宅は畳が少ない!?


 

日本に古くからある伝統的な床材が畳です。

程よいクッション性や、肌触り、い草の匂いなど、想像するだけで座ったり寝転がりたくなります。フローリングの上に直に座るのと畳の上に座るのとでは、抵抗感が全然違います。少なくとも私はですが…。日本にはこの床材が普及していたので、畳の上での生活(食事、TV鑑賞、談話等)が定着していたったのでしょう。

また、日本発祥のスポーツ(武道)の柔道も畳の上でやります。投げられたところがフローリングだったらとても痛いですものね…。また、日本舞踊や茶道や華道も畳の上のイメージが強いです(あくまでイメージです)。

 

現在の新築住宅では「廊下やキッチン等の水回り以外の居室はほぼ和室(畳部屋)」といった住宅は少ないように思えます。私の家も実家も、妻の実家も、「和室(客間)が1~2室もしくは畳コーナーがある」といった様子です。もう数年前になりますが、近くの住宅展示場も大体は和室が1室もしくは畳コーナーがある展示場がほとんどでした。

私の主観になりますが、築30年以下の住宅は畳の生活(和式)とは縁がなくなってきている。つまり、椅子やテーブル、ソファーの生活といった洋式の生活および住宅になってきていますまた、小上がりについても築年数が古い住居はあまり見かけたことがありません。

年齢で表現すると、現在の70歳前後がボーダーラインで、それより上の年齢の方は和式の生活、それより下の生活の方は洋式の生活をされている場合が多い印象です(あくまで個人の印象です)。つまり、高齢者の方は和式の住宅で暮らされていた(もしくは暮らしている)方が多いと思います。

 

 


 ◆床に座るのは身体にとっては不都合が多い


畳に座るということは、床に座るということです。立っている状況から、膝や手を突いて、床に座るということです。これを筋力が弱っていたり病気で身体が不自由な高齢者の方が行うのは容易ではありません。健康な若い方でも「全身筋肉痛で身体を少し動かすだけでバリバリに痛い!」という場合は、おそらく悶絶しながら床に立ち座りすることでしょう。

この1例だけでおわかりかもしれませんが、椅子での立ち座りと比較すると、床の立ち座りはエネルギー(筋力や体力)が消耗されます。

次に、床に座る姿勢を考えてみます。おおまかに列挙しますと

①正座(お母さん座り)

②あぐら(お父さん座り)

③横座り(お姉さん座り)

④長座位(足を前に投げ出して座る)

⑤片膝を立てて座る(だらしがない座り)

⑥横になる(上のイラスト参照。もはや座位姿勢ではない)

だいたいはこの姿勢のどれかに当てはまるのではないでしょうか。

ひとつひとつ解説すると物凄い文字数になりそうなので割愛しますが、背中、腰、股関節、膝等々に悪影響を及ぼす姿勢が多いのです。

あぐらを例に挙げると、背中が丸まり(猫背)、背中が丸まる関係で顎が上がる、股関節が外に開く(ガニ股の原因のひとつ)等、姿勢が崩れる要素がいくつも挙げられます。ただし、なかには大河ドラマのような武将はあぐらでも背筋がピーンとなっている方もいます。ただ、やってみるとわかりますが、背筋をまっすぐに保つのはあぐらではとても疲れます…。

 

これらのことから、高齢者や身体が不自由な方にとっては、床の生活はとても大変で、椅子の生活の方が動作的にも姿勢的にもメリットがあることがわかります。

 

 


 ◆畳の生活は永久に不滅です


さきほどまではあくまでも身体についての視点、つまり、リハビリの視点で考察しました。

とある話によると、畳の生活やこたつを囲んで生活している家族は、そうでない家族に比べて仲が良いという傾向があるようです。そうなのです。やはり日本人のDNAとして、畳が好きなのです。きっと。小上がりのある飲食店とかで、板張りより畳の方が嬉しいのと一緒です。多分。

…と、急に何の根拠もない話になりましたが、おそらく感覚的に同意していただけた方もいると思います。

やはり畳および和室は雰囲気が違います。住宅にもメリハリが出てくると思います。ヒトもメリハリがあった方がいいですよね?

ということで、畳は身体機能や動作うんぬんを超越したメリットもあることも事実だと思います。ベッドでは寝られないけど畳の上に敷いた布団だとぐっすり眠れる方もいますよね。ただ、20~30年後の高齢者は「ベッドじゃなきゃ眠れんわい」という方も多くなる…かもしれません。

 

 


 ◆で、結局フラットと小上がりはどっちがいいのよ


さあ、ようやくここまでたどり着いたわけですが、会議で出た印象に残った台詞を載せます。

 

Q.段差について

「フラット派」

・段差がなくて移動が楽

・転落の危険もない

「小上がり派」

・段差があると空間として仕切られて良い

・ほこりや上から見下ろされる感じが嫌だ

・椅子代わりに使える

小上がり派の、空間として仕切られる感じというのは「確かに」と思いました。ただ、椅子代わりに使えるのは確かにその通りなのですが、畳の本来の機能としては関係ないかもしれません(あくまで副産物)。

 

Q.利点について

「フラット派」

・緊急時にベッドを入れることができる

・ふすまを開けて、ひとつの広い空間として利用できる

「小上がり派」

・空間が違ってくるので、くつろぎやすい

・目線が、立っている人や椅子の人との差が少なくなる

正直なところ、利便性についてはフラットの方が断然有利だと思います。ただ、さきほども記載しましたが、小上がりってやっぱり少し落ち着きますし、スペシャル感がありますよね。

 

ということで、私の個人的な結論からすると

「在宅生活(住居)を考えるとフラットが自然で良い。また、他用途にも使いやすいのが大きい」

「別空間としてのスペシャル感やくつろぎ感を優先すると小上がりが良い」

という結論に至りました(あくまで私個人の)。

 

この話、あくまでも施設の和室についてですので、

「小規模多機能などの在宅生活と密に関わる施設はフラット」

「グループホームなどの生活の場を中心として考える場合は小上がり」

といった対応が良いかもしれません。

 

みなさまも畳に横になりながら、日本人のDNAを感じて見てください。

写真:あったかほーむ中込(小規模多機能 フラット形状)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« またコスモス登場! in デ... | トップ | いしずえで封筒作り »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

リハビリ」カテゴリの最新記事