今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

家庭医とお産

2008-01-30 09:41:30 | 家庭医療
お産はライフサイクルの中でも1大イベントです

米国の家庭医の研修でお産は必須です

日本の家庭医療学会が示した施設認定の基準では、お産は必須にしませんでした

もちろん、研修でお産が必須の米国でも、診療としてお産を続ける家庭医の数は全体の20%ぐらいまで減っています

研修にお産を入れるかどうか?
その後の診療でお産を続けるかどうか?

ここは明確に分けるべき議論です

私は「仮にお産をその後の診療でしなくても、研修としてのお産は必須にした方が良い」と思います

ライフサイクルの一大イベントのお産を研修せずして、その前の避妊教育から、若夫婦が抱える問題や、新生児の健診まで家庭医としてみていくには、ちょっとデメリットを感じるからです

お産を組み込んだ研修を効率的にまわしていく為には、自らがお産診療をする家庭医のロールモデルがいたほうがbetterです

産婦人科の先生に丸投げでなく、また産婦人科の先生とはちょっと違う視点を持った家庭医の指導医がお産の現場にいた方が、研修医の学びは多いはずです

そう考えると、アメリカで研修をした後、日本へ帰国してお産を継続できるようになりたい

その為には、お産をしっかり研修できるレジデンシープログラムを選んで、お産をみっちりやって日本へ帰ろう!

希望的に考えていたのですが、「福島県立大野病院事件」の話(ブログ:天国へのビザ)を読んで、また気持ちが萎えました

この事件について見聞きするたびに、いつも絶望的な気持ちになります

産婦人科の専門医でさえこんな状況ですから

帝王切開を診療範囲に入れずに、産婦人科のバックアップありでお産をしようと考えている自分の診療(家庭医によるお産)は、日本の社会情勢ではまだ受け入れてもらえないのではないかと不安になります

少なくとも助産師さんがOKなら、上記の診療パターンは許容されるはずだと思うのですが(開業の助産師は、提携した産婦人科をバックアップとしてお産をしています。勿論帝王切開は自分でできません)

家庭医によるお産は、産科医師不足に対するよい処方箋のようにも思うのですが、

いったん歓迎されても、いざことが起きると、手のひらを返したようにマスコミに袋だたきにされるとか

気持ちが萎えるというより、不信感でいっぱいです

さらに泣けてくるのが、診療関連死法案

「医学も医療も、死ぬしかない」とはよく言ったものです

一生懸命、家庭医の修行をして帰国しても、国の医療が死んでいたら何をすれば良いのでしょうか?

家庭医という人たち

2008-01-28 00:06:36 | 家庭医療
まだ研修が始まったわけでもありません

現段階でアメリカの家庭医の人たちと接して感じていること

「本当に、いい人が多い」

これまで日本で普通に市中病院で研修をして、内科を経験したあとに

総合診療部でgeneralをやっている多くの人たちとの出会いがありました

人間として尊敬できる人たち、面白い人たちが本当に多い世界だなと思っていましたが

アメリカの家庭医のfacultyと接すると、さらにパワーアップした感覚があります

家庭医という仕事自体が、

「おせっかい」、「お人好し」な人向けであり

ちょっと「割にあわないことを引き受ける」ことが多々あります

さらにアメリカの家庭医は収入で言えば、医者の中で最下層です

それが意味することを感じるのです

つまり「金じゃないんだよ。人間が本当に好きなんだよ」

「きれいごとじゃないの?」と思われるかもしれませんが

そう感じるんです

そのあたり、渡米後じっくり確かめたいと思っています

ちなみに「faculty」と書いたのは、アメリカに入り込んでよい生活をしたいというIMGのレジデントの中には、ちょっとその感覚とは違う人がいるかも?とも感じているからです

そういう彼らも、良きロールモデルに揉まれれば、それなりに成長して「いい人」をプロとして少なくとも実践するのでしょう

世界は狭い

2008-01-26 00:03:02 | 臨床留学
渡米する機内で偶然再開した岐大の先生に、紹介していただいた、タフツ大学系病院の内科のレジデントのI先生※(ご本人の許可を取っていないので実名は出していません)

(※今までもご本人の許可を取らずに実名を出すこともありましたが、それは直接お会いした知己の間柄で、こんな内容だったら許してくれるかなという判断をしています)


そのI先生とようやくお電話で直接お話しすることができました

結局、タフツの家庭医のうわさは余り聞かれていないということだったのですが

なんとピッツバーグの小嶋先生の先輩とのこと

たまたま小嶋先生とお話をしたら「よろしく」ということになっていたのですが、世界は狭いものです

今回は電話だけでしたが、I先生とそのうちどこかで直接遭遇できる日を楽しみにしています

帰りの飛行機(高山病対策)

2008-01-25 04:24:18 | 医療ネタその他
ようやく全てのインタビューを終え、帰国です

行きの機内で頭痛や吐き気を起こしたは高山病である自己診断(思い込み)に基づいて対策をばっちりとりました

1.水分をしっかりとること
 自分の尿量をみつつ、普段の倍ぐらいの水分を取りました

2.カフェインを避ける
 コーヒーは我慢して、ひたすら水です

3.早めのNSAID投入
 案の定、肩こり感に似た感じから、徐々に頭痛が出現したため早めにロキソプルフェンを内服

なんとか大きな体調不良を起こさず、耐えることができましたが、やっぱり以下の小さな症状がありました

1.眠れない
2.体の節々がだる重い
3.めまい(飛行機が安定航行中なのに、ゆっくり下降している感覚が常にありました。前回りの平衡異常があったのでしょう)
4.頭痛

そしてこれらの症状は、名古屋におり着くと全て消失

思い込みの効果がどの程度入り込んでいるか分かりませんが、

「やっぱり高山病が出現した」

というのが今回の変わらぬ感想です

こうして体調のことを考えながら、飛行機で長時間過ごしていると、周りで体調を崩している人に多く目がいきました

咳をしているCOPDとおぼしき男性が数名(乾燥と低気圧)
泣き続けている赤ちゃん(耳管がせまく、気圧調整がうまくできていないのでは?)
ふらふらになりながら、トイレに何度も行くお年寄り

幸い、大事はありませんでしたが、エコノミークラス症候群だけでなく、飛行機の長時間航行をなめてはいけないんだということを、体で憶えた一日でした


プレマッチ!

2008-01-24 23:51:46 | 臨床留学
のことは、ブログに書きません


インタビューが終わり、あとは疑問に思ったこと等をプログラムに問い合わせたり、2度目の訪問をしたり

こうした行為が、お互いの駆け引き的な要素をもっています

つまり、積極的に質問したり、再訪問することによって自分の本気度をアピールすることになるわけです

私の場合、再訪問は実質上無理です

質問に関しても、同じ日にインタビューを受けたアプリカントが少なかった所は、充分聞けましたので、余りありません

が、自分の場合は家族の事情もあり

レジデントの後のフェローシップを同一施設でやりたい希望がありますので、2カ所のプログラムでは会えなかったフェローシップの責任者に疑問点をメールで問い合わせました

そしてそろそろ出始めるのが、プレマッチの話

マッチングとは、全てのプログラムと全てのアプリカントが同時に希望順位を出して、研修施設をカップリングしていくのですが

マッチングに入る前に、欲しい候補者を青田刈りすることがあります

これをプレマッチというのですが、そもそもこんなことを許すとマッチングそのものが成立しなくなります

実際プレマッチは禁止なのですが、禁止なのはUS Graduate(アメリカの医学生)のみです

つまりIMG(外人)である自分に取って、唯一有利な仕組みがここにあるのです

アンマッチ(どこにもマッチしない)リスクを負うより、意中のプログラムからオファーがあればさっさと受けた方が、精神的に救われます

ビザの手続き等を考えても、早い内定にこしたことはありません

プログラムから気に入ってもらえば、プレマッチの提示を頂ける可能性はあるわけですが、知っている人たちが大勢マッチングを控えていますので、仮にプレマッチが成立しても、ブログには書かないでおこうと考えています

後日談的に、書くかもしれませんが

こんなことを書いていると、なんか「あやしい」ですが

今日現在「決まってません」、本当に

インタビュー(ミズーリ・コロンビア)

2008-01-23 12:20:44 | 臨床留学
いよいよ最後のインタビューです

ミズーリ・コロンビアの家庭医療プログラムは日本人にはなじみが薄いと思いますが、いわゆる老舗で、家庭医の世界では教育の質や、リサーチ、他のプログラムのディレクターを多く輩出していることなどで評価が高いようです

今回のインタビューは、何と私一人でした(一人キャンセルしたらしい)

このプログラムでは、Maxで一日三人までしかインタビューに呼ばないそうです

そのほうが「お互いを良く知ることができる」というのが理由らしいのですが、一日にインタビューする人数を減らせば減らすほどプログラム側の負担は増大します

例えば、朝一番にプログラムの概略のプレゼンテーションをディレクターがしてくれたのですが、一日平均二人として、トータルで60~100人ぐらい呼んでいるはずですから

ディレクターは同じプレゼンテーションを計30から50回もするわけです

逆に言えば、それだけの労力をインタビューに惜しまないという姿勢がどこからきているか?ということを考えるのは重要です

レジデントのリクルーティングに力を入れている
→就職後もレジデントは大事にされる

と強い相関関係があるように感じます

実際、インタビューを受けた側の印象としても、同じ日にインタビューを受けた人数と、プログラムに対する親密度は反比例する傾向があるようです

このプログラムは歴史もあり、Facultyを40人も抱えている巨大なプログラムにも関わらず、

'A Resident's Residency'と謳っているだけあり、レジデントからの要望にはかなりフレキシブルに対応し、その変化も迅速だという事例をいくつか教えてもらいました

出会った人ほとんどがあたりも良かったです

Faculty DevelopmentのFellowship、Sports MedicineのFellowshipもあり、産科研修も充実しています

ただ日本環境はほぼゼロです・・・
(前述のように街の日本人は30人弱。ほとんどが学生)

さらに難点をあげるとすれば、病棟勤務(成人の内科系)のローテーションが長いことでしょうか?

ここもいわゆるP4プログラムで、1年目から継続外来のコマ数を増やしているので、内科系の病棟管理よりも外来重視の研修をしたい自分には合っていると思っていたのですが

よくみるとFamily Medicine Adult Inpatientのブロックが各年度でそれぞれ4ヶ月ずつもありました

まあそれを加味しても魅力的なプログラムには違いありません

自分のニーズに100%マッチするプログラムなどあるわけありません

ほとんど、どこにいってもハッピーになれそうですが、一つにしぼるのは、至難の業です

奇遇その2

2008-01-22 11:20:13 | 臨床留学
ピッツバーグをあとに、最後の面接の地であるミズーリ州のコロンビアに向かいました

ミズーリ州のコロンビアは人口10万人ほどの内陸の学園都市です。

ミズーリ・コロンビア大学を中心とする街で、治安が極めてよくすみやすい街らしいです

コロンビアの空港は便も少ない為、カンザスシティまで空路で行きそこから2時間半のシャトルバスです

車内でたまたま前に座ったアジア人が、突然携帯で話し始めました

「もしもし・・・」

事前調査で、コロンビアには日本人がほとんどいないと思っていましたのでびっくり

話しかけてみると、なんと同じ名古屋出身のMさん

名古屋に帰省した帰りだそうです

学生をしていたのですが、他の街で急遽就職が決まり、その夜は日本人が集まって送別会があるそうです

私も押し掛け参加で、日本人学生15人弱ほどの飲み会に混ぜていただきました

コロンビア全体で日本人が30人弱とのことなので、一気に半分ほどと会ってしまいました

医療系の夫婦がいるという情報も頂きましたが、会えませんでした

それにしても寒いです

マイナス10度くらい

年に1、2度の寒波らしいですが、雪が全くないのに寒いのは奇妙な感じです

インタビュー(ピッツバーグShadyside)~岡田伝説

2008-01-19 12:49:44 | 臨床留学
今日は、ピッツバークのUPMC Shadysideプログラムのインタビューです


病院から道を挟んだ真向かいにあるFamily Health Center
移動時間がミニマムなのがうれしい

Shadyside Hospital

8月に1週間訪れていたこと、日本人が多く在籍していることなどもあり、とても過ごしやすい一日でした

やっぱり歴代の日本人卒業生が、日本人に対する好意的な印象をしっかり形成してくれているおかげで、welcomeな空気を感じました

そうでなくてもここは、IMG(international medical graduate)フレンドリーで、facultyとresidentの人柄や関係が良いと公私ともに認めるプログラムです

Applicantは私を入れて計3名

私以外はパキスタン人の男性とニューヨークから来たアメリカ人女性(夫とカップルマッチ)でした

私にとってこのプログラムの肝は何と言ってもFaculty Develompent(FD)のfellowshipです(レジデンシーに興味が無いというわけではありません。前回1週間見ていますので心配していないということです)

インタビューの最中にFDの話をだしたところ

'Dr Okada has changed the FD program a lot, in a good way, of course.'

岡田先生がここでは伝説 'Legend'だとは小耳に挟んでいましたが、全米でも有数のFDのコースを変えさせるなんてすごい!

何歩前を歩かれているのか分かりませんが、自分も「武勇伝」を語られるぐらいの気合いが無いと追いつけそうにありません

目標があるのはうれしいことです

目標とする人がいるのもうれしいことです

ただ目標とする人の足跡をたどるのではなく、自分なりの新しい道を探すのも大事だと思います


恒例のレジデントとのディナーは、日本人の先生方と、ご家族交えてのフレンドリーな会でした

食事は、日本人向けに油の少ないアジアンメニューばかりでしたが、調子に乗って結局食べ過ぎてしまいました

ピッツバーグの食事は今まで行ったアメリカの都市の中でピカ一です

渡米する度に体重が増えていますが、今回は体重計に乗るのが特に怖いです  

インタビュー(タフツ)

2008-01-18 11:50:34 | 臨床留学
2日連続のインタビューです

昨日は夜のフライトで移動し、空港で迎えのシャトルをかなり待たされたり、宿でも遅くまで洗濯をしたりと、眠い中遅くまで起きていました

その関係か、楽しいのですが、正直しんどいです

思えば、疲れる要素満載です

  1. 楽しいとはいえ、インタビューは新しい人との出会いの連続
  2. 慣れない新しい土地
  3. 移動の連続(安くあげるため乗り継ぎ、早朝便等多い)
  4. インタビュー自体が緊張するものである
  5. 時差ぼけによる睡眠不足
  6. 連日の夕食会
  7. 重たい食事続きで胃もたれしており、夜中に目が覚めることも
  8. 渡米直前の風邪が完全に治りきっていません

今日はボストンのタフツ大学の家庭医療プログラム

比較的新しいプログラムなのですが、以下の3つの理由で応募しました

  1. P4プログラムである
  2. Information Masteryの大家がいる
  3. Faculty Developmentのフェローシップがある

クリニックは新しく移動したばかりの新品

電子カルテもなかなか快適です

プログラム全体に未完の部分はちらほら

専門医のメッカのボストンでわざわざ家庭医をやるのはどうなの?というのもありましたが

これに関しては、ボストンのちょっとはずれで、移民等も多いunderservedのエリアですからニーズはあるようです

フェローシップに関しても

「君がレジデントを終える頃にこのフェローシップそのものが存在しているかは微妙だよ」

インタビューがお見合いだとはよく言ったもので

どちらからとも無く「いまいち」オーラが出るのか、フィーリングがあわないのか分かりませんが、何となく低調な一日でした

(マッチ前なのであまり決定的なことを書くのはよろしくないですね)


雪が張り付いたHealth Center(クリニック)の看板


新品のHealth Center(クリニック)


インタビュー(ミシガン)

2008-01-16 18:43:04 | 臨床留学
ミシガン大学では、ロチェスターとうってかわってApplicantが6人います

前日の夕食会でもApplicant5人とレジデント3人のバランス

前回、注目されすぎてナーバスになったのに、逆にApplicantの比率の方が高いとテンションが落ちます

インタビューは、午前中に大学病院とYpsilantiクリニック(二つある教育クリニックの一つ)の見学

午後は郊外にあるcommunity hospitalともう一つの教育クリニックであるChelseaクリニックの見学

地域のクリニックと地域病院を確保する意味で、大学病院を中心に、YpsilantiとChelseaは全く逆方向にあり、それぞれが大学から車で20分ぐらい。距離にして20kmぐらい

渋滞はほとんどないとのことですが、移動がちょっと気になります

Applicant計6人で回ったのですが、ほとんどが最後の面接ということもあってか、あんまりみんな積極的ではありません

他の人が積極的でないので、案内役の隣を確保して好きなことが聞けました

どうやら、ロチェスターで会った医学生が特別押しが強い人だったようです

最後に4人の面接官と面接です

今回も全体にフレンドリーな面接ばかりで気楽でした

唯一あせったのがpsychologistのロマーノ先生との面接

Behavioral Scienceのカリキュラムの説明をされているときに、

「どの程度Behavioral Scienceを知っているのか?」と聞かれ

「Formalではないが、そこそこは実践している」と答えると

「それでは実際の症例を挙げてみて」

想定外の質問に戸惑いながらも、最近診た在宅の患者さんで、家族システムの話題を出したことを思い出して、何とかクリア

びっくりしたのは最後に面接したプログラムディレクター

卒業年度が何と一個下

さすがに年齢は上のはずですが、びっくりです

ディレクターというのは、プログラムの責任者ですが、感覚としては大学で言うところの教授等よりは、医局長という印象です

それにしてもよっぽど優秀なんでしょう

ちょうどディレクターが交代したばかりで、前ディレクターは別の肩書きに昇格です

過去のディレクターのうち4人(5人だったかな?)がプログラムに残っています

層の厚さは尋常ではありません

人の出入りが少ないことが、動脈硬化に繋がっていないかどうか?さすがにそこまでは分かりません

あまりにも大きなプログラムで層が厚いので、レジデントとfacultyの関係が遠いのでは無いかと危惧していましたが、そうでもなさそうです

楽しい一日でしたが、インタビューが終わったその足で空港直行

ボストンへ移動して明日もインタビューです

ミシガン入り~ついに雪がやって来ました

2008-01-14 20:36:57 | 臨床留学
第2のインタビュー地のミシガン入りです

ロチェスターからシカゴ経由でデトロイト空港入りしました

冬のシカゴ空港は雪で最悪らしいと聞いていましたので、避けたかったのですが、チケット代を安くする為に1回だけ妥協しました

シカゴ空港はアメニティーも最悪で、パソコンの電源を取るコードも見つかりません

そして気をつけないといけないのは時差

ロチェスターからシカゴで1時間巻き戻り、デトロイト入りで1時間元に戻ります

夏のsummer timeのときはさらにややこしいはずです

注意が必要なのは、空港の職員などに時差がどうなるかを教えてもらっても、信用してはいけないということ

知らなくても、適当に答えてきます

そのせいで、乗り継ぎで乗り遅れた人を知っています

自分の目で確かめましょう!


さて、デトロイトの空港についてホテルに移動するまでは良かったのですが、夜からついに雪が降り始めました 

朝起きてみると、しっかり積もっています

渡米するときはレンタカーを借りることが多いのですが、この時期に北東部のインタビュー旅行をするときはさけた方が無難です

火曜日にインタビューを終えたあと、ボストンに飛び翌日インタビューがあります

今回で最大の過密スケジュールを控え、雪が降り始めるという暗雲が立ちこめてきました


昨夜は、いつもお世話になっている、超日本人贔屓のマイク先生の一家団欒にお邪魔させていただきました

いったい、渡米を目指す何人の医師がお世話になってきたことでしょう

ありがたいです 

この感謝と義理人情がマッチング選択の際に、どれだけ影響するのでしょうか?

こちらの人は、そういうことは気にしなくても良いよと言われるんですが

やっぱり日本人ですから
マイク先生も殆ど日本人ですしね(笑)

インタビュー(ロチェスター)

2008-01-13 22:43:21 | 臨床留学
金曜日はインタビューでした

普通は4,5人のapplicant が一日に受けると思っていたのですが、行ってみると自分をいれて2人だけ

しかも、もう1人はロチェスター大学の医学生で、家庭医療科にずっと出入りしている女の子

ロチェスター家庭医療科はglobal healthに力を入れており、ホンジュラスのある地域で継続的に活動を続けています

現地で人材を育成したり、インフラを整えたりするのに加え、毎年faculty、レジデント、医学生の計十数名が訪れています

その医学生はその活動に携わっており、インタビューの前日にホンジュラスからこんがり日焼けして帰ってきたところらしく

スタッフとも軽口をたたいています

質問タイムになると矢継ぎ早に質問をして、口を挟む余地もなく、あげくの果てには話をしているfacultyの話をさえぎってまで話しています

かといって、全然感じが悪いわけではなく、「文化の違い」と言ってしまえばそれまでです

「日本人はおとなしくてまじめ」と認識されているようですし、applicantも2人だけなので、幸い聞きたいことを聞きそびれることも無かったのですが

やりにくいのなんの

彼女に邪魔されないで聞きたいタイミングで、聞きたい質問をするには、facultyがスライド等で解説しているときに割って入るしかありません

インタビュー自体は、ディレクター、副ディレクター、チーフレジデントと1対1でそれぞれ30分ずつ

これはどのプログラムもだいたい共通のようです

圧迫面接という雰囲気は皆無で、本当にベーシックな質問だけでした

なんで家庭医療なの?
なんでうちのプログラムなの?
将来どうしたいの?
CV(履歴書)やPS(personal statement)で気になるところの質問

余りもの打ち解けた雰囲気に拍子抜けです

このプログラム特有のものなのか、「家庭医」に特異的なものなのかは今後、要観察です。


Family Medicine Center(クリニック)


同クリニック
まあまあ新しいです
中はすごくきれい


嵐を呼ぶ男

2008-01-11 22:07:38 | 臨床留学
金曜日のインタビューに備えて、時差ぼけ解消のため火曜日にロチェスター入りです

以前からロチェスターの冬は雪と聞いていたのですが、私が訪れる数日前から急激に暖かくなったようです

積もっていた雪もすっかり溶けてしまいました


わずかに残る雪


古い町並みのロチェスター

時差ぼけ解消のため、水曜日は街を歩き回っていたのですが、小雨と、ものすごい暴風

傘を一度開きましたが、数秒で断念

前傾姿勢で斜めに立っても倒れないほどの強風でした

あとから聞く所によると、所々で木がなぎ倒されて、通行止めになったり停電になったところもあったようです

こんな嵐(storm)は滅多に無いことだそうです

思えば、8月にピッツバークを訪れたときも大雨が降って、道路が冠水して通行止めになったり、街のど真ん中を竜巻が襲って大変なことになっていました(これも滅多に無いこと)

そして10月ミシガンに行ったときも、異常な猛暑でびっくりしたかと思えば、翌日は息が白くなるような寒い日になって、異常気象だと言われました

地球全体レベルでの異常気象なのか、自分が嵐を呼ぶ男なのか?

ちなみにインタビュー前日、木曜日の午前中はFacultyの外来見学をさせていただいたのですが、ついたのはStephen Lurie先生

assistant professor(講師または助手に相当)なのですが、ホームページの紹介を見てびっくり

JAMAの医学教育関係のsenior editorだったとさらりと書いてあります

見た目は物腰の柔らかい、普通のおじさんなんですけどね(失礼ですみません)

奇遇です

2008-01-10 06:17:56 | 臨床留学
飛行機内で隣の隣に座っていた、件の男性

飛行機の高度が下がり、頭痛と吐き気が軽減するにつれ、頭がクリアになり、思い出しました

岐阜にいたときに、娘と同じ保育園にいた○○くんのお父さん

そういえば途中でボストンに留学されていました

顔を一、二度見かけた程度で、多分そうだと思うんだけど・・・

降り際に思い切って声をかけました

ビンゴでした

正月帰省の帰りとのことでした

その後は、お互い乗り継ぎ待ちでしたので、

日本の医療政策、医師不足、医学教育などなど妙に盛り上がって話をしました

さすがボストンは、アカデミックな街です

医師だけでなく、MBAで留学しているビジネス関係、病院経営関係、省庁の人まで、多職種の人間が集まって日本の医療について語り合う集まりがあるそうです

来週ボストンに私もインタビューでいきますが

インタビューのあるタフツ大学に、内科ですがレジデントの日本人がいらっしゃるとのことで、紹介してもらうことになりました

これも何かの出会いかもしれません

飛行機内で高山病は起きるのでしょうか?

2008-01-09 23:28:14 | 臨床留学
いよいよインタビュー旅行です

第一の目的地ロチェスターに向けて、セントレアからデトロイトを経由して長旅です

この半年で3回目の渡米となりマイレージカードもエリート会員です

その利点を生かし、座席は非常口前の足が伸ばせるところを選択

隣の隣にいる日本人男性、見たことがあるような気がします・・・

よくみるとマックの雑誌をかかえて大学病院革命を読んでいます

絶対医者に違いない!同じ大学の人だとすれば、何科?

声をかけようにも間にスパニッシュぽい女性が座っているため声をかけられません

メラトニンを服用してがんばって眠りましたが、頭痛で目が覚めました

カフェインを補充すれば楽になるかと思い、コーヒーを飲んでも一向に軽快しません

それどころか吐き気をもよおし、気分は最悪

油断するとリバースしそうです

最悪の気分の中で鑑別を考えました

3日前から風邪(上気道炎)をおこしていたので、そのストレスで胃が荒れたのか?昨日の昼には担々麺を食べたし・・・だとするとNSAIDはまずい

最後の日本食と、昨夜寿司を食べたのがまずかったか?食あたりか、ウイルス性胃腸炎?

大好物のしめさばも食べたから、アニサキスも一応考慮と・・・。腹痛がもっと前景にくるはずだが

メラトニンの副作用?頭痛は聞いたことはあるが、吐き気も出るのか?

最近出ていなかったが、持病の偏頭痛か?今回は頭痛の程度が軽いし、いつもの閃輝暗点がない。イミグランはやめておこう

結局、水を飲んでムコスタを服用しました

あとは時計とにらめっこをしながら、目をつぶって地上に降り立つまでの2時間をひたすら耐えました

「インタビューに影響しないと良いが」と心配していましたが

飛行機が地上に近づくにつれ、嘘のように楽になっていきます

「高山病??」

小学校のときに富士山に登ったときの症状に似ています

Uptodateで調べてみるも、機内での病気に高山病は入っていません

信頼度は落ちますが、様々なサイトをググってみると

高山病の症状を呈する人は実際にいるみたいです

New England Journal of Medicineにも載っていました

Effect of aircraft-cabin altitude on passenger discomfort.

N Engl J Med. 2007 Oct 4;357(14):1445-6.

人工的に作り出した環境による実験ですが、

他にも長期のフライトによる高山病は時差ぼけ等として判断されてunderestimateされているという報告もありました

自己診断:高山病 altitude sickness

実際どの程度発症しているか、はっきりしていないみたいですから、リサーチの余地がありそう

旅行医学会なんかで発表されているんでしょうか?

今まで飛行機内であまり眠なかったり、節々が痛かったのも同様の機序のようです

ちなみに高山病の場合

 予防として水分を事前に多めに摂取
 カフェインは禁忌(コーヒー、チョコレート等)

コーヒーを飲んで悪化したから、まあそういうことにしておきましょう

帰りは、万全の体制で予防したいと思います