今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

リーダーシップ:Leadership in Academic Medicine: Faculty Development Institute

2011-02-24 22:20:20 | Faculty Development

今日は一日Faculty Development のセッションでした

 

ミシガン大の家庭医療科では全5回シリーズのFDセッションがあります

 

近隣の指導医とフェローが主な対象者ですが、3年目のレジデントも希望者は無料で参加できます

 

一般参加だと数千ドルとられるそうです

 

これまでは

第1回 Classroom Teaching Skills and Principles of Adult Learning

第2回 Clinical Teaching Skills

第3回 Administrative Skills

 

 

今日は第4回の   Leadership in Academic Medicineのセッションでした

 

私の好きなトピックで、日本でもHANDSでリーダーシップのセッションを受けましたが

 

今日はまた違った切り口でSmall Group Activity も多く、practicalでした

 

 

ここから先は、自分自身への覚え書きです

 

1. Leadership; The Institutional Perspective

  Leadership requires

           A focus on purpose  何故?何が目的?を常に問いかける

           A bias for results

           A knowledge of systems

           A commitment to innovation

 

2. The Transition From Physician to Physician Manager

 

    Physician                                       Physician Manager

    Professional Identitiy                   Organizational Identity

    Value Decetralizaiton                   Value Centralization

     and Autonomy                               and Uniformity

     Individual Perspective                 System Perspecitve

     Influence Through                       Govern Through

        Professional Expertise                 Organizational Position

        and Personal Power                     and Formal Authority


3. Managing in Professional Organization: The Context for the Challenges

     医師などのprofessional 集団は組織への帰属が薄い

  Professional Values:

  • Specialized expertise
  • Personal Autonomy
  • Professional identity and commitment
  • Ethical service
  • Self-governance

 

     Medical Center はThree systemsからなる(Industryとは対象的)

  Task/Administration   vs  Governance  vs   Professional Identity

 

 

4.  Conflict: A Process to be Managed

  Thomas-Kilman conflict Mode Instrument

    Avoiding/Accommodating/Compromising/Collaborating/Competing


12月は2度目のBlock month その3

2009-12-19 23:54:15 | Faculty Development
Block Monthもいよいよ、週明け月、火曜日のStep 3受験をもって終了です


12月23日からは1月3日まで年末の勤務シフトになります

レジデントは、年末12日間のうち前半、後半のどちらかをオフにしてもらえます

私は23日から3日間FMB(お産と新生児)の日勤、1日休みを挟んで2日間チェルシー病院病棟の日勤

12月29日から1月3日まで完全オフです

それではBlock Monthのスケジュールと一言コメントの続きです


December 11


8:00-noon Fracture Course

下肢の骨折について

レクチャーとレントゲンレビューのあと

Castingの実技


1:00-3:00 p.m. Suturing Workshop

縫合の基本

今まで12年診療をしていて全く学ぶことのできなかった

縫合の理論を色々学べた秀逸なセッション

ちなみに担当指導医はDr Lee Green

EBMの大家ですが、形成外科も手を出さないようなマニアックな外来小外科を日常的にやられています



December 14


Practice Management Course

8:00-10:15 a.m. The Realities of Legal Liability:  What to Do When You are Sued

一般的な医療保険の話から、ミシガン大の医療訴訟の話まで

アテンディングの実際の訴訟を例に,生々しい話が聞けました


10:30-11:30 a.m. Department of Pediatrics: Resources for children in needs

障害のある小児のための社会リソース活用についてのセッション


December 16


8:00 a.m. Conference

いつものカンファレンス


1:30-5:00 p.m. Geriatric Sessions

  • Skin Problems in the Elderly
  • Hearing and Oral Problems in the Elderly
  • Common Vision Problems in the Elderly
  • MEDICAID
午後いっぱい、老年科シリーズです



December 17

8:00 a.m.-noon PALS/NRP Renewal

PALS/NRP更新講習



December 18

8:00-noon Professional Skills Curriculum-Project Development

シニアプロジェクトの進行状況を発表し、さらに内容をつめます

私はプロジェクトとして以下の二つをやっています

「日本人クリニックでのGroup OB Visitの導入」

「UFM/CFMのティーチングカリキュラムの改善」



Noon-12:30 p.m. Evaluation Session

Block Monthの総括とフィードバック


December 21-22

USMLE STEP3


12月は2度目のBlock month その2

2009-12-18 12:25:29 | Faculty Development
12月も中盤がすぎ,Block Monthも終わろうとしています

 思ったより忙しく、ブログの更新もままなりません


各日程のスケジュールと一言コメントです


ちなみに土日は全てオフで、平日のコメントの無い枠は外来です


December 1

8:00-9:00 a.m. Orientation/Debriefing the Internship

オリエンテーションと1年目インターンの総括


9:00-10:00 a.m. Planning the HO III Year

3年目へ向けての心構え、スケジュール、チーフレジデントの話など


10:15-noon Resident as Teacher

シニアレジデントとして、どのようにインターンを教えるかというセッション


December 2

8:00 a.m.-noon  Ground Round and Conference

いつも通りのGround RoundConference


1:30-2:45 p.m. Values and Creating Your Vision

リーダーシップのセッション。リーダーとして自分なりのValueVisionを確立するためのワークショップ


2:45-4:00 p.m. “Advocacy Update and Resident Presentations”

各レジデントが医療政策などでトピックを選んで発表


December 3, 4

WOMEN’S HEALTH COURSE

終日Womens Healthに関するCMEコース

日本で言う医師会の生涯教育セミナー

ミシガン大家庭医療科と産婦人科の共同開催



December 7

8:00 a.m.-5:00 p.m. Career Planning:  From Contact to Contract


家庭医のためのPractice Managementコース

  • Making Career Decision
  • Finding and Evaluating Practice Opportunities
  • Negotiating a Fair Employment Agreement
  • Accounting
長年、同コースを医師に提供しているコンサルタントによるセッション

とてもためになりました



December 8


8:00 a.m.-noon Conference
いつも通りのカンファレンス

1:30-3:30 p.m. Evaluation and Management:  Coding for Office Visits

どのように診療報酬を設定するかというトピックス


3:45-4:45 p.m. Nutrition

栄養指導について


December 10

3:30 - 9:00 p.m. ACLS Recertification

ACLSの更新


ミシガンでのオリエンテーション研修を紹介した論文

2009-07-02 00:06:28 | Faculty Development
日本での家庭医療研修カリキュラムの更なる充実の参考になればと

ミシガンでのオリエンテーションについてまとめた拙文が

家庭医療学会誌である「家庭医療」に掲載されました

学会ホームページからダウンロードできます

「家庭医療研修におけるオリエンテーションの重要性  ~ミシガン大学家庭医療レジデンシーにおけるオリエンテーションの分析より」


時がたつのは早いもので

オリエンテーションを受けていたのがちょうど一年前


渡米直後、オリエンテーションも中盤に差し掛かり

カリキュラムの充実ぶりに

「これは是非、日本の皆にも紹介したい」と思いつき

その日には、構想を書き始め

翌日、マイク先生に「こんなことを考えているんですけど」と相談したところ二つ返事で後押しをしてもらいました

オリエンテーション修了頃には、原稿が50%ほど仕上がり

その翌月には75%

それ以降は、厳しいローテーションの時は完全停止

余裕のあるローテーションや休暇中に、推敲を重ね

1年後にようやく掲載です

以下は、英文の抄録



今のリーダー

2008-08-15 06:29:58 | Faculty Development
私にとっての渡米は、単に家庭医療をそのものを学ぶだけでなく、

家庭医療を後進に伝えるという意味で、自分が将来どのようにやっていくかを学ぶ日々でもあります

リーダーシップというのは、大きなテーマです

様々なリーダーシップがありますが、ちょうどHANDSのメーリングリストでも「サーバントリーダー」という概念で盛り上がっていると先日書きました

サーバントリーダーかどうかはさておき

今私が所属しているプログラムの、大もとの家庭医療学講座の一番偉い先生

Chairといいますが、日本語で講座長とでもいうのでしょうか

そのChairは教授だけで7人、助手以上の指導医で60人を超える大所帯を束ねています

見た目は若いですが結構年配らしいです

帰国までに、「ヘ~イ、ト~ム!」とファーストネームで呼びかけるのを密かに目標にしています

その先生をみていると、日本のボスに似ているな~と思わずにいられません

姿形ではなく、話す時の手振りとか、組織の中での振る舞いとか


二人ともあまり細かい話はされません

大まかな理想とか、組織のあり方とかを時々時間を取って話されます

いわゆるマイクロマネージャーという感じではありません

スティーブ・ジョブズ
は別として、大組織をマネージするには

権限をうまく委譲して、自分は大局をみるようにするのが一番オーソドックスなのでしょうか

自分はその前に、小さな組織をまわしていける術を身につけなければいけません

サーバントリーダーシップ

2008-08-09 22:12:50 | Faculty Development
HANDSのメーリングリストで、リーダーシップの話に花が咲いています

「サーバントリーダーシップ」という概念が出てきました

初めて聞くものだったので、ちょっとまとめてみました

サーバントリーダーシップとは、

  • ロバート・グリーンリーフが提唱
  • リーダーが大きなビジョンを提示し、その実現のために邁進する人たちをリーダーが支援する
  • リーダーはサーバント(奉仕する人)として部下につくす

サーバント・リーダーの条件
                           
1. 人の言うことがきちんと聞ける
2. 同時に共感できる
3. 困っている人がいたらそれに対して癒すことができる
4. 気づきに訴えることができる
5. 何か大きな使命や目標を訴える説得力を持つ
6. そのために自分の夢がきちんと概念化できている
7. 先見の明がある
8. 執事としての役割ができる
9. 尽くすということを通じて、人々の成長にかかわる役割を持つ
10. コミュニティを作る

外来通院している慢性期の患者さんは、

リハビリを行ったり地域の様々なリソースを利用しています

すなわち患者さんの治療には患者さん本人、家族、地域の他職種がチームとして関わり

病院内での急性期の治療と比較して、医師の役割は相対的に小さくなります

医師は患者を取り巻くコミュニティを形成し、

患者さんが一貫した長期的な治療ビジョンを構築できるように、リードする必要がありますが

あくまで、サポーターです

そういう意味では、医療の中でも特に家庭医療は「サーバントリーダーシップ」と親和性が高そうです

勿論、医療の中における医師という枠組みだけでなく

研修プログラムにおける指導医という枠組みでも有効なものです

上の条件をみていると、総合診療や家庭医療で接してきた人は、この概念を実践している人が多いように感じます

私も、先見の明がある指導医達に共感してもらいながら、成長させてもらっていると思います

願わくば自分もかくありたいものです

おすすめの本の紹介/アマゾン インスタントストアの紹介

2008-08-03 00:10:06 | Faculty Development
今回はお勧めの本の紹介 兼 ブログで使える便利な機能の紹介です

それは
Amazon.co.jp アソシエイト・セントラル
インスタントストアです

最近よくブログでも見かけるようになりましたが、自分がおすすめする本をリストアップするものです

なかなかしっくりくるシステムに遭遇せずにいたのですが

amazonのものは良さそうです

しかも形態としては「ストア」なので、閲覧者に万が一購入してもらえれば、わずかながらのマージンも入ります

私の場合は以下の方々を対象として、本を紹介しています
  • 家庭医療、総合診療をしている人、興味がある人
  • 医学留学に興味がある人
  • 医学教育に興味がある人
  • 身体診察、EBMに興味がある人

 
よろしければ下記をクリックしてご覧ください 

家庭医療で臨床留学をする医師がお薦めする本

ちなみにブログの左のメニュー、ブックマークの一番上にものっています


オリエンテーション初日~アイスブレークの仕方

2008-06-17 22:44:34 | Faculty Development
家庭医療のプログラムはあまり「お硬くない」と、インタビュー旅行の時に感じていましたが

訪れた中でミシガンのプログラムが一番「お硬い」という印象を持っていました

ところが、その印象が初日で変わってしまいました

朝一番に、1年目の研修医とディレクター、副ディレクター、ティーチングクリニックの責任者、プログラムの秘書さん、チーフレジデントなどが集まり自己紹介をしました

その自己紹介の仕方がとても良かったのです

「自分の名前の由来や物語を自己紹介で語る」というものです

様々な人種、文化、宗教の人たちが集まっているだけになおさら、それぞれの話が本当に面白く、親近感を憶えました

考えてみれば、「名前を付ける」ということには文化、宗教、家族のおもいなどが凝縮されています

それを語り合うことは、お互いを知り合って、興味を持つためには大変良い方法だと実感しました

1年目のレジデントは全部で9人で、私以外はアメリカの医学部卒なのですが、背景はバラエティーに富んでいます

タイ系アメリカ人2世、韓国系アメリカ人2世、フィリピン系アメリカ人2世、エチオピア系アメリカ人2世と白人が4人

それぞれの2世は文化的背景が色濃く名前に反映されていることが分かりました

白人が4人と書きましたが、彼らも名前から察するにロシア系だとか、イタリア系だとかがあるのですが

面白いことに、名前の由来は「俳優からつけた」や当時「人気だった」から別に語ることはあまり無いよ~という感じで

彼らがこだわりとして語るのは、結婚したあとミドルネームを変えて旧姓を残したとか、オリジナリティを出すために綴りを変えたなど

個性を出すため、こんなに簡単に名前変えちゃうんだ~と驚きです

さすが自己主張の国です

名前の紹介だけで、それぞれのナラティブを自然に聞けた最高のアイスブレークでした


ちなみに「ミシガンがおかたい」と思った、もう一つの理由が分かりました

ずばり、ディレクターの風貌

すごく生真面目な性格を反映してか、いつもパッチリとネクタイをしめています

まわりから「おまえ、硬すぎるんだよ」と揶揄されるようで、本人もなんとかフレンドリーさをだそうと頑張っている感じです

「今日からDr.クックではなくジェームスと呼んでください」と真顔で言ったり

ホームページに載せるレジデントの写真を、ディレクター自らがカメラマンになって撮影したり

カメラマンまでやるの?!と驚きでしたが、雰囲気作りにかなり気を使ってくれているおかげで、とても話しやすい環境ができあがってきました

家庭医のFDとMBA

2008-05-01 00:34:54 | Faculty Development
久しぶりに中学、高校の親友に会いました

きっかけはAnn Arbor行きの連絡

実は彼も昨年までAnn Arborにいたのです

銀行マンの彼は、ミシガン大学ビジネススクール(MBA)の卒業生

たまたま、東京から名古屋に久しぶりに戻るということで急遽会うことになりました

昔の話に花を咲かせつつ、Ann Arbor情報をかなり教えてもらいました

ビジネススクール関係の知り合いもたくさん紹介してもらえそうです

ちなみに彼は、Ann Arborでは日本家庭健康プログラムの神保先生にかかっていたそうです

紹介したのは、これまた高校同級生の守屋先生


Ann Arborで子供が体調を崩した時に救急にかかったらしいのですが、

「困って救急にかかっても、すぐに家庭医に連絡がされていて、神保先生がまとめて診てくれて良かった。日本もあんな風になってほしいよね。」

それだよ、それっ!!

違う分野の人に、説明をする前から家庭医が評価されるというのはうれしいものです



ちなみに自分の面接旅行の話になり、どこのプログラムの面接を受けたかという話をしていたら彼曰く

「みんなMBAの有名な所ばっかりだなあ~」

アカデミックなプログラムを選んだので、大学なのは当然として

Faculty Development(FD)に絡めた選択をすると、必然的にSchool of Businessが充実した所になるのでしょうか

ミシガン大もトップ5に入るそうです

そんな彼、帰国後はMBAで学んだことを生かしてプロジェクトを立ち上げていたそうですが、このたびヘッドハンティングにあって某有名外資の金融機関に転職するそうな

せっかく立ち上げたプロジェクトも
「日本の上層部はリスクを冒したくないから、ほとんどのってもらえない」状態で、閉塞感を感じていたそうで

日本的な風土もあるのでしょうが、「年配の人たちは頭が固い」というのも一因のようです

それに比べて家庭医療、総合診療の分野では「頭が固い」よりも「若い」「頭がやわらかい」年配の先生が多い気がするのは、私の気のせいでしょうか?

それにしても、この御時世にあえてアメリカ系外資にとってもらえるというのもすごいです

給料は・・・教えてもらえませんでした(笑)

きっと、すごいんでしょう


リーダーシップは教えられる(書籍紹介)

2008-04-13 00:18:44 | Faculty Development
HANDS-FDFで紹介されていた本です

リーダーシップは教えられる (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS)





ハーバード・ケネディスクールで実際に行われている、「ケース・イン・ポイント」による学習法、教授法を紹介した本です

この本は、私や皆さんの多くが持っているであろうリーダー像とは全く異なるリーダー像を示してくれました


本書の全体像を紹介する代わりに、印象的なフレーズを紹介します

  • トップダウン型のカリスマリーダー」よりも      「ダイナミックなネットワークの優れた『ノード』として、また活力の中心として新たな可能性を切り開く仲介者としてのリーダー」が求められているのです

  • リーダーシップの醍醐味は、他者の秘められた能力を発掘して活用することにあります

  • 日々の混沌とした問題を解決するには、創造性(芸術性)のあるリーダーシップ力を発揮する必要があります

この本を読んでいて、あることに似ていると思いました

それは大学の総合診療部での外来診療です

biopsychosocialな問題を抱え、多くの医療機関を受診しても解決され無い日々を過ごし、長く病に苦しむ患者さん

その病態は複雑で,混沌としており

確定診断になかなかたどりつけない不確実性に耐えつつ、様々なリソースを活用しながら、患者さんとつきあっていきます

ときには、どのような治療も役に立たず

患者さんと共に歩み、思いを共有することによって、患者さんの自己治癒力を引き出すことだけが、治療となることもあります

ということは、総合診療部の外来でトレーニングをすることは、リーダーシップを磨くことになるんでしょうか?

う~ん、もしかしたら面白いことに気づいたかも

などと悦に入っていたら、さらにあることに気づきました

この「ケース・イン・ポイント」を実践しているロナルド・ハイフェッツ教授は、精神科医なのだそうです

だとすれば、精神科医の診療プロセスが先にありきで、リーダーシップの教育の中にそのアイデアが盛り込まれたのでしょうか?


もう少し一般化してみましょう

トップダウン型のカリスマリーダー」がパターナリスティックな医師像に相当し

仲介者としてのリーダー」が患者中心の医療を行う医師像に相当する
と考えられそうです

患者中心の外来診療を行うトレーニングを総合診療部なり、家庭医療なりでやっていれば、自然と「仲介者としてのリーダーシップ」のトレーニングに繋がるというのは理屈として言えそうです

patient-centered care、 leadershipなどをmainのMESH keywordとしてPubmedで調べてみましたが、思うような論文はみあたりません

ヒットするのはほとんど全て、clinical nurse leaderというカテゴリー

昨今の日本での医療問題を考えても、医師によるリーダーシップが必要なのは明らかです

着目すると面白い領域かも知れません

マズロー第6の欲求

2008-03-17 00:03:24 | Faculty Development

マズローの欲求段階説


人間の欲求は低次元のレベルから始まって、段階を経てより高次元のものへと昇華されていく、というも のです



下位の欲求が満たされてはじめて、上位の欲求を感じるようになります


医学教育での解釈で言えば

研修医の
  1. Physiological 生存欲求(充分な睡眠や食事の確保)
  2. Safety 安全の欲求(病院や上司に守られていると感じる)
  3. Love/belonging 所属の欲求(居場所、役割があると感じたい)
  4. Esteem 評価・承認の欲求(上司からほめられたい)
がみたされてはじめて

  Self-actualization自己実現の欲求(医師として自己研鑽を積みたい)


ここまではよく聞く話

マズローは晩年になってから6段階目を付け加えようとしていたらしいです


それは
「コミュニティの発展」Need for community development

いわゆる「世のため人のため」

臆面も無く自己開示をすると、最近この欲求が強いです

そういう年頃になったという解釈もあります(The Developmental Stages)が・・・

「やっぱり、上位の欲求をもてるということは、本当に周りに恵まれているんだよな~、感謝感謝!

市橋君と以前そのようなやりとりしたことがあります

医者は社会資源であり、すべからくそのような性質をもっていますが

「家庭医療」はとくに「communityのために」を大事な柱にうたっているということで、私にとってビンゴなわけです

でも、これだけ日本の医療が疲弊しているときに、

  • 渡米準備のために、診療を数こなしていない(社会貢献が少ない)こと
  • 留学で日本を離れること
     
には自己矛盾を感じています 

できていないから、強く感じているだけかもしれません

できていない空白を将来大きく埋めるのは、やっぱり教育だよな~

幸せの種をまけるような

花咲か爺さんになって、帰国したいと思っています

Baumol's disease

2008-02-06 16:55:21 | Faculty Development
いつもお邪魔している、岡田先生のブログ

毎日精いっぱい生きる事が一番の修行なのです


自分の中でとても「へえ~」なエントリーでしたので紹介です

Baumol's diseaseについての考察なのですが、詳しくは岡田先生のブログを直接見てください

またAAFPのサイトの元論文はこちら

Baumol's disease -- Health care in general may suffer from an incurable disease. (Are you surprised?)


この考えは何となく感じていました

Web2.0の世界、テクノロジーのすすんだ世界でどのように医師として生きていくか考えたときに

自分が行う医療は結局、人対人が基本だな~

アナログな世界は無くならず、医者として、家庭医として、指導医としての自分を磨いていけば、それが自分の商品価値になるという妙な安心感、でも何か違うかもしれないという不安感

医学はサイエンスかもしれませんが、医療はアートと表現されるように、効率や生産性を超えた商品価値が有るのは確かなのですが、それはあくまで相対的なものであり

国が基本価格をつくりあげて保証しているからこその、守られた商品価値であり

真に市場原理に任せてしまえば、価値の暴落もあるわけです

医師の専門分野ごとの価格でいえば、市場原理に近いアメリカでは専門医の価格が高く、ジェネラリストは安いです

相対的に、日本におけるプライマリケア分野は守られてきました

これからは削られていくでしょう

現に削られ始めていますし、ターゲットにされています

日本のプライマリケアは、余裕のあるときに質を追求することを怠ってきたように思います

基本価格を下げられていくこれからの中で、どうやってPayしにくい「質の向上」を意識し続けられるのか?

岡田先生は下記のように書かれています

以下引用~
「黙っていてはテクノロジーの恩恵を受けられる領域ではないからこそ、今までのやり方とは全くちがう医療提供の枠組みによって、innovationを起こ すことが必要なのではないか。キーワードとしてはChronic Care Model, group visit, virtual visitというあたりだろうか」

なるほど

Rochester大学の、Idealized Medical & Micro-team Practice
などはまさにその流れに対する、アメリカでの答えの一つなんでしょうね

基本診療価格が安すぎる日本には、なじまないものだと思いましたが

これから、ずっと意識しなければいけないテーマですね

カナダ-名古屋-長崎 国際医学教育ワークショップ

2008-02-04 10:09:49 | Faculty Development
カナダ-名古屋-長崎 国際医学教育ワークショップに参加しました

Prof. Helen P. Batty(Toronto大学医学部地域家庭医学)を特別ゲストとして、名古屋大学医学部附属病院総合診療部と長崎大学医学部 へき地病院再生支援・教育機構の主催でした

地域医療の取り組みが根幹ですが、「多職種間教育Interprofessional Education(IPE)」というのが、今回のキーワードでした

Batty先生は、家庭医の世界だけでなく、カナダの医学教育の大御所の女性です

私も昨年参加したHANDSは、岡田先生が北米で行われている、Home and Away 方式のFD Felloshipを参考に日本でも企画されたものですが

Batty先生は、その元企画の一つであるカナダの5 Weekend National Family Medicine Fellowship ProgramのCo-Directorもされています

トロント大学ではInterprofessional Education(IPE)が大学をあげての最も重要なキーワードであるとのことでした

医学教育というと、「指導医」による「研修医」教育を強くイメージしていましたが

家庭医の指導医だけでなく、医師の指導医自体が不足している現状を考えると

IPEというのは、家庭医の教育の大変大きなテーマであるということに、気づかされました

つまり、医師以外の職種の人々みんな、地域全体で研修医を育てていくという考え

地域の診療所にどっぷり浸かっている人に取っては、当たり前のことかもしれませんが、この辺りが地域での経験が不十分な私にとっては、眼から鱗でした

HANDS-FDF 新聞で紹介される

2007-12-30 10:23:18 | Faculty Development
私も昨年参加させていただいた、HANDS-FDFが読売新聞の教育ルネサンスで紹介されました 

教育ルネサンス 医療人を育てる(10)指導医 合宿で鍛える

私がこんなことをさらに学びたい、教えたいという活動ですので、紹介します

主催者の岡田先生のブログにも執筆の裏話が載っています

確かに見出しはいけてないですが、HANDSの修了生からみても、上手に紹介していただいていると感じました

昨今の医療問題の報道をみるにつけ、

「全然わかってないな~」
「一方的で悪意すら感じる報道だな~」

と感じることが多かったですが、やっぱり取材対象とじっくり時間をかけて協力してすれば良い記事になるんですよね

今おじゃましている三つ葉在宅クリニックにもテレビ局が2局出入りしていますが、

けっこう長期に滞在されています

取材される舩木先生も疲れ気味

取材側も、泊まり込んだりとかなりハードなスケジュールで、「大変だなあ~」と感心しました

もちろん報道する側の力量もあるのでしょうけど、時間をかけてしっかり取材されている姿を直接見ると、違う業界の人たちへの見方もちょっと変わりますね

貯徳問答講

2007-12-24 00:25:21 | Faculty Development
竹田和平さんって知っていますか?

日本一の投資家と言われる人です

私の地元、愛知県の方なんですよね

友人の市橋亮一君にそそのかされて、その和平さんが開いている貯徳問答講というメーリングリストを介したセミナー(?)に参加しています


昨年HANDS-FDFで学習スタイルの分析をしました。

自分の学習スタイルをKolb's learning styleというもので分析したとき、

「物事を一般論に解釈して、実践する」のは得意(好き)だが、「じっくり反省したり、概念を熟考する」のは苦手

と出ていました

そんな自分にぴったりだと、「問答」に参加しています

仏教用語がよく出てきます。問答とか自己開発というと、宗教を想像されるかもしれませんが、そういう匂いは感じていません


事業をしているビジネス系の参加者が多いですが、Faculty developmentという視点で、医師が参加しても面白いです

そして分かった事

やっぱり自分は物事をじっくり考え込むのが苦手。さっさと自分なりの解釈に落とし込んで、実践につなげようとしてしまいます。

それが絶対的に悪いとは思いませんが、じっくり考える癖をもう少しつけたいものです

さらにこの数日感じているのは、

「この問答講で考えていることは、インタビューの時に役立つのではないか?」

人生観などを振り返るわけですから、自分の仕事(家庭医)に対する思いなど、結構深まっている気がします


そして、その問答講を経て最近実践していること

「ありがとう」を唱えること

アメリカでは結構「Thank you」を連発するのですが、

文化のせいなのか、日本で「ありがとう」というのは、どうしても一日10回程度がせいぜいです。

これを20回に増やそうとがんばっています

今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました