今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

レジデンシーのプログラムを選ぶ基準~移動は楽か?

2007-11-30 00:23:57 | 臨床留学
STEP2CKまで1週間を切っているというのに、この2日間は滋賀医大のポリクリのお手伝いに通っています

試験直前にこのお仕事を引き受けてしまった、自分の計画性の無さが恨めしいです

電車に揺られながら考えました 

大学に属するようになって感じるのは、移動による時間、体力のロスです

大学の人間はほとんどが、食べていく為に外勤(バイト)をしています

定期的に遠くへ通っているので、移動の労力がバカになりません

一つの病院の中で忙しくしていたときには想像できなかった苦労です

旅にでも出たつもりで、エンジョイできれば良いのですが、渋滞にハマったりすると、もうだめです

「どこでもドアを出してくれ~」と叫びたくなったのは一度や二度ではありません 


アメリカの家庭医のプログラムでは3年間を通じてクリニックで継続外来の枠があります

Half day backといいますが、どこをローテーションしていても、例えば1年目は1コマ(半日を1コマと数える)、2年目3コマ、3年目4コマというように外来の日はクリニックに戻ります


さらに週に1回は、Ground Roundといってレジデントが皆集まってレクチャーやワークショップに参加する機会があります

これは大抵クリニックではなく、大学のホール等に集まります


そしてAway rotation

産婦人科、小児科、ICUなど様々なところをローテーションしますが、研修先も基幹病院とは限らず、遠くの施設に行く事もあります

とんでもなく遠ければ、逆に通うのをあきらめて、いきっぱなしになって楽なのですが、中途半端に遠いのが一番大変です

毎週、rotation先、大学、クリニックを行ったり来たり

無駄な移動にエネルギーを割かれないか?

「研修先を選ぶのに、そんな観点も大事だな~」などと考えている私は、もうおっさんでしょうか?


USMLE STEP2CKの準備1

2007-11-26 16:26:17 | USMLE
STEP2CKを直前に控えています

STEP1に時間をかけすぎたせいで、こちらは正味2ヶ月位しか準備ができず焦っています

せっかくSTEP1がまずまずだったので、大きく悪い点をとって心象を悪くしないようにしなければいけません


詳しくは試験が終わってから書きたいと思いますが、現在まで使った教材は

問題集
 
KaplanのQ Book
噂通り、簡単です

USMLE WORLDのQ Bank
STEP1ではKaplanのQ Bankを使いましたが、複数の情報で、STEP2はこちらの方が良いとの事でした。

内容は良いのかもしれませんが、正直、使いにくいです。

MACのOS10 LEOPARDを駆使して、使いこなすコツを途中で発見しましたので、後日書きたいとおもいます。


NBME
http://www.nbme.org/
 
STEP1の前にやったので、今回も直前に1つだけやる予定ですが、解説も無く見直しもできないのであまり時間をかけたくないです。

STEP1のときは、このテストから予想した点数と本番の点数が二桁スコアで10点位かけ離れていましたので、あまり信用していません


全体を通した参考書

FIRST AID for STEP2CK
一応購入しましたが一度も読んでいません。
本番前に、産婦人科だけでも通読しようとは思っています

科目ごとの参考書

産婦人科 

BlueprintsのObstetrics & Gynecology
一度通読しました
 
小児科
何も購入せず
問題をやりながらSTEP1のFIRST AIDをみるぐらい
 
内科
イヤーノートを見るくらい

外科
何も購入せず

予防医療

何も購入せず


人生は迷ったらdo 医療は迷ったらdon't

2007-11-23 20:24:11 | 臨床留学
「今更留学するのか、しないのか?」

行くとなると、

卒後10年もたったのに改めて受験勉強をしなければいけません
無事行っても、最下層の研修医になって当直最前線
収入も今の半分以下
日本食も手に入りにくいし
子供の教育も大変
治安が良い都市にいっても銃はあるし
これから5年のアメリカの経済は最悪なのが見え見え

そんなときふと目に入ったのがMark Twainの言葉です

Twenty years from now you will be more disappointed
  by the things you didn't do than by the ones you did.
    So throw off the bowlines.
      Away from the safe harbor.
        Catch the trade winds in your sails.
          Explore. Dream. Discover.
            - Mark Twain

やらずに後悔より、やって後悔しよう

そう思っています

でも医療行為は、「迷ったらするな」です

Do no harm

医者にとって一番大事な言葉だと思います

多くの病はほっておいても,人間の自然治癒力がなんとかするものです

「自分が治してあげている」と思い上がった医者は、とんでもないことをしでかします

そんな場面をけっこうみてきました

大抵の場合、本人は何故そうなったか自覚できていません

そうならないように Do no harm

スタバにみる教育への投資

2007-11-21 00:01:17 | 教育
「スタバの店員は、気持ちがよい」そう思った事はありませんか?

モーニング天国の名古屋で、高いコーヒーを買っても何もついてこないスタバを贔屓にしている名古屋人は結構います(私もその一人)

先日、ふとしたことでその秘密を知りました

BLSの会場で隣の席に座った、医学生からいわれました

「イオン千種店のスタバでよく見かけますよね」

新手の逆ナンか?と思いましたが、聞けば彼女はそこでバイトをしているという

そういえば見かけた事があるような・・・

せっかくなので、前から思っていた事を聞いてみました

「スタバの店員さんはみんな応対が気持ちよいですよね?何か特別な教育でもうけているのですか?」

「はい。合宿もあって、かなり細かく指導されます」

話をまとめると

1.形成的なフィードバックをしている
2.教育する側、される側の相互評価にかなり重点を置いている
3.アルバイトでも責任を持たされ、昇級もある
4.教育にかなりの投資をしている

これって、まるっきり医学教育における日米比較じゃないですか~

相手を大人として扱う成人教育と、教育へのしっかりとした投資

おそるべし、スタバ

ますますファンになりました

ティーチングケース~まず得るべき情報は?

2007-11-19 00:26:40 | 教育
非常勤でティーチングに行っている病院での症例(シンプルに改変してます)

基本事項のティーチングに役立ったtypicalなケースがありましたので紹介します

場面:救急当直医から朝、引き継ぎの為の申し送りを受ける
    (患者さんにはまだ会っていない)

患者プロフィール:バスの運転手をしている60歳独身男性

主訴: 動けない、食べられない

現病歴:

1ヶ月前より、足腰が立たなくなり仕事を休んでいる

両足に力が入らないため、1ヶ月間は座ったままお尻を引きずって移動している

歩けなくなってからは、友人が差し入れをしてくれるパン等を3食に分けて食べている。1食でパン1個程度

3日ほど前から座る事もできなくなり、食事も殆どできず、水分を少しとる程度となり、ついに我慢できなくなり救急車で来院

既往歴:昨年 拡張型心筋症と循環器で診断され通院中

内服:フロセミド、カルベジロール


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フロセミド、食べていない、脱力

ぱっと思いつくのは低カリウム血症

既に採血はされており、案の定、「低カリウム!」

ところがカリウム値は2.8meq/l

慢性的に2.8に下がったとしたら、単独で脱力の原因とは考えがたい

だいたい、60歳で仕事をしている男性の足腰が立たなくなるのって・・・

この情報では不十分と考え、研修医の先生に再度、病歴を取り直してもらいました

彼は「あの情報」をちゃんと聞いてくるでしょうか?

さあここで問題です

「中年独身男性」という時点でまず得るべき情報があります

この情報がpositiveであれば、最初の段階で低カリウムと並んで二つ大きな鑑別があがります

その情報と、二つの大きな鑑別は何でしょうか
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得るべき情報:アルコール摂取状況

聞いてみると

「1日に焼酎1本は軽くあけるよ!焼酎があれば、飯は食わんでも大丈夫」

もっとも、3日前からは動けないため酒も手に入らず飲んでいなかったとのこと

鑑別は「アルコール性のミオパチー」「ビタミンB1不足(ビタミンB12不足)」


診察をしてみると筋萎縮が一目瞭然!

下腿は腓腹筋をふくめ高度に萎縮しています

この時点でミオパチーがある事は確定です

この先は私の想像ですが、拡張型心筋症もアルコール性ではないでしょうか?

アルコールの情報は、ルーチンでとるべきものですが、忙しい救急では忘れられがちです

USPSTFからアメリカの頻度ですが、プライマリ・ケアの場面のアルコール問題の頻度はばかになりません。
  • Risky drinking: 4 to 29 percent
  • Harmful drinking: 0.3 to 10 percent
  • Alcohol dependence: 2 to 9 percent

本当に「独身中年男性」でアルコール多飲の頻度が多いのかどうか、数字はみつけられませんでした

ただ、もともとの頻度が高い事から考えると、自分がアルコールの事を思い出すトリガーとして

「独身中年男性にはアルコール歴を」と憶えても良いと思います

もっと言えば、事の本質は「やっぱり病歴だよね」ということなのですから

全人的医療

2007-11-15 01:49:48 | 教育
電車に揺られて、滋賀に来ています

最近、何回か滋賀医大のポリクリをお手伝いしています

滋賀医大では総合医診療部の三ッ浪先生を中心に「一般市民参加型全人的医療教育プログラム」に基づいた実習を、平成17年から行っています

その中の6年間一貫患者訪問実習というカリキュラム

それを評価する意味で、グループディスカッションが組まれています

「フォーカスグループインタビューの司会者役は外部の人間で」ということで、上司の鈴木先生がお手伝いしていたのですが、もっと人手をという事で私も参加することになりました


研究の要素もありますので、あまり詳しい内容はかけませんが、フォーカスグループインタビューの司会も結構大変です

「どうやって学生さんに気持ちよくしゃべってもらうか?」
「誘導的になりすぎていないか?」

話しやすい雰囲気をつくる目的で、アイスブレークとして自己紹介をしてもらうのですが

ソフォトボール部(何と男女混合)、ヨット部(琵琶湖が近いからでしょうか)、ハンドボール部などなど

滋賀医大にはうちの大学に無かった部活が結構あってびっくりです


ところで、フォーカスグループインタビューの司会者

うまくできているのか、いないのか?

できればネガティブフィードバックも欲しいのですが

外部協力者という事もあり、あまりつっこんだ指摘はまだいただいていません


ネガティブフィードバックと言えば、来年からレジデントをやるにあたり、とても楽しみにしている事があります

ずばり「評価をしてもらえること」

自分が学生、研修医の頃は臨床の評価をしてもらえるような時代では無く、

最近は自分が教育する側として評価をする事が多く

中間指導医としてのできばえは、けっこうしっかり評価するシステムが確立されていますが

純粋に自分の臨床能力、医療面接や身体診察等は評価された記憶がありません

「慢性評価シテシテ症候群」に陥っていましたが

来年からは嫌という程、ネガティブフィードバックをいただけるかと思うと楽しみです

今更「家庭医」の留学にどんな価値があるのか?

2007-11-13 01:13:53 | 臨床留学
ブログの題名にもなっています

「今更いくの?」

卒後10年もたってレジデントをやりなおす選択に、いろいろな人から言われます

かつては、米国の家庭医帰りといえば、それだけでもてはやされたようです

しかし、家庭医療研修を米国で終了した、もしくは研修中の日本人医師は60名を超えました。

うち20名強が日本で活動されており、その10名強がなんらかの教育活動をされているそうです。(亀田ファミリークリニック岡田先生提供の情報)

まだ質が検証されていないとはいえ、日本で家庭医療研修をできる施設も増えています

亀田では今年から家庭医のためのマタニティケアフェローシップも開始されました

東海地方でも、南生協病院の家庭医療コース後期研修は産科の研修にかなりのウェートをおいています

私のいる大学でも家庭医療の後期研修プログラムが開始され、レジデントも集まりつつあります


日本でも良い研修をできるようになってきたという事実に加え、アメリカに行きさえすればどこでもすばらしい家庭医研修が受けられるとは限らない、ということも注目されるようになってきました

この辺りの考察は、現ミシガン大学老年科フェロー(昨年までジェネシス地域医療センター家庭医療科レジデント)の吉岡哲也先生が「北米臨床留学へのパスポート」に寄稿された文章に詳しいので,是非読んでください

そうした中で、あえて米国にいく理由はあるのでしょうか?

留学を考え始めて10年。留学を決意して5年。いろいろな人に相談しながら自問自答してきました。その中で自分なりにまとまったのが以下の4点です

1. 人材が豊富

外のプログラムを実際にみてきてから、改めて自分の環境を振り返ると、上司や同僚に恵まれている事を強く再認識しました

それでもアメリカは家庭医先進国です

プログラムを選べば、巨匠ともいえる優れた指導医が大勢集まっているところがあります

様々な指導スタイル、診療スタイルの巨匠と出会ってそれを盗みたい。また将来自分が指導者になったときに彼らと交流を続ける事で、自分を高めたい

実はこれが自分の中での一番の渡米理由です

なんだかんだと日本はまだ人材不足なのです

レジデントをせずに教育や指導者のフェローのコースを選ぶという手もありました。それでも私は同じ釜の飯を食って,自分の努力やパフォーマンスで認めてもらう方法の方が自分にはあっていると思います。


2. 研修システムが確立している

これは長い歴史ときめ細かな検証に基づく研修の質の保証が大きいです。

こういうのは中で体験してみないと、そのよさ、日本における実現可能性の検証は難しいと感じています。


3. 指導者のフェローシップのコースがある

渡米の目的はレジデンシーよりも、その先の指導者としてのフェローシップにあります

勿論レジデンシーで学ぶ事もたくさんあります。特に小児、産科,整形は多く学ぶ事になると思います。

10年も臨床医(主に内科系)として経験して,今更レジデントをするのは効率が悪すぎるというアドバイスを多く受けていました

そこで渡米前には小児、産科,整形の診療機会を追求することはあえてしませんでした

それよりも、EBM、身体診察、予防医療、行動科学、FD、医学教育などジェネラリスト、指導者としてのベースを深める事を優先してきたのはその為です

4. スポーツメディスンのフェローシップがある

前回もそうでしたが、今回の渡米でも、家庭医の卓越した関節の診察には驚かされました。

家庭医によるスポーツメディスンというのは、日本では未確立の分野であり、それを追求するのもおもしろいと考えています



米国で臨床をする為に必要な条件とは?

2007-11-10 20:18:09 | 臨床留学
米国で外国人(非米国人)が臨床研修をする為には、様々なハードルがあります

プログラムにもよりますが 私がカンザスのNational Conferenceで様々なプログラムのディレクターと話をして得た情報を総合すると以下のようになります

1. 医学部卒業後5年以内である事

一応の条件だが例外も認められます


2. キャリアのブランクが無い事
 
受験勉強だけしていて,全くのブランクになっているのは良くない。子育ての短期offや研究はOK。


3. 米国での臨床経験が1年以上ある事

一応の条件ですが、英語ができて、アメリカのシステムの中で機能できるフレキシブルさが証明されればOK。推薦状次第!!


4. 米国の家庭医による推薦状が1枚以上あること

結局これが一番重要みたいです。

如何に米国人家庭医にstrong recommendation letterを書いてもらうか。

これが勝負の分かれ目だと知りました。

アメリカも何だかんだとコネ社会なのですね。


他にもいろいろありますが、これらをクリアする為によく行われているのが横須賀や沖縄の海軍病院での研修です。

海軍病院で1年間研修をすると米国での経験と見なしてくれるようです。

さらに大きいのが同時に4をクリアできる事です。

各プログラムのホームページで1-3が明記されているプログラムがかなり多く、1と3を満たさない私はかなりへこんでいました

「4をクリアして履歴書でアピールすれば何とかなるよ」とあるディレクターに言われていました。

そして前回の渡米で、ようやく米国の先生に推薦状を書いていただく事ができました。

感謝,感謝!! 

おらアメリカさ、いくだ

2007-11-08 06:47:57 | 臨床留学
「ビザもねえ、ECFMG Certificateもねえ、ましてやSTEP3も受かってねえ、そんなIMGは相手にされるわけがねえ」

ジェスチャー付きで、ある外科フェローの先生(IMGあがり)に先月いわれました、勿論英語で

IMGとはInternational Medical Graduate

アメリカ的にいって、外人です

ECFMG certificateとはSTEP1, STEP2CK, STEP2CSを全て合格してから,我々IMGが発行してもらう通行手形のようなものです

背景にあるのは昨今のIMGの供給事情

2年ほど前にイギリスが外国人を閉め出したそうで、今年になって急激にアメリカにインド人が流れ込んでいるという噂

実際、私が訪れた複数のプログラムでは軒並み過去最高の申し込み人数を記録しています

わずか10人ほどのレジデントの枠に、数百人から1000人以上が申し込んでいる状況です

インタビューに呼ぶのが60から100人ですから、その段階で5から10倍ほどの倍率です

選別する方の立場になっても、数百ものアプリケーションを一つ一つ丁寧に吟味するわけがありません

何かの基準で、足切りをするしか無いのです

そしてIMGを足切りする基準で有力なのが「ECFMG certificateをもっているかどうか?」なのです

ということで、冒頭のコメントになるわけです

今の段階でSTEP1だけ合格済み、STEP2CSは結果まち、
STEP2CKはこれからという私は、遅すぎです

「どんだけぇ~、ずうずうしい~」

と思われても仕方が無いところです

さらに、そんな厳しい状況もあり、先月アメリカで会った外科志望のIMGは50カ所以上にアプリケーションを出していました

それなのに・・・

私が申し込んだのは10カ所(少なすぎとのアドバイスを受けて、あとから追加してこの数です)

しかも大学のプログラムで、有名どころばかり・・・

この辺の事情は自分の留学の目的に大きくよるところで、いまさら仕方ありません


でも希望もあります

1.選んだのは日本人フレンドリープログラム中心

日本人採用経験がある病院は、概して日本人に好意的です

先輩方が勤勉で優秀なおかげです

2.多くの日本人は他のIMGと目的が違う

日本人以外は、ほぼ例外無く「アメリカに永住して、良い生活がしたい」というのが渡米の目的です

それに比べて、多くの日本人は「アメリカで学んで帰国する」
というキャリアプランです

私も、家庭医を学んで帰国

日本に家庭医を普及する為に私に力を貸してください!!

その点を強調すれば、受け入れの度合いはぐっと広がるようです

状況の違う外国人の言う事より、「意思あれば道あり」という日本人の言う事を信じてがんばりたいと思います

いくつのプログラムが呼んでくれるのでしょうか・・・

理想のスケジュール~米国臨床留学のための準備

2007-11-07 08:32:03 | 臨床留学
予想はしていたのですが、スケジューリングが後手に回り苦戦しています。

いろいろな本やインターネットのサイトを参考にしたのですが、情報不足もしくは、本やブログに書いてある通りに準備するとスケジュールが遅れてしまいます。

周りを見回しても、医者になってから準備している人は、遅れてしまう人が多いようです。

そこで、これから留学を目指す人の参考の為に、理想のスケジュールを書いてみました

分かりやすいように、2008年7月レジデンシー開始を想定して、理想的なスケジュール期限を、時間を逆向きに書いてみます。

あくまで私個人が感じた理想のスケジュールです。日本人にフレンドリーなプログラムは遅れていても、レジデンシー開始までにcertificateがそろえば最終的に大丈夫です。

1.  2008.7レジデンシー開始(6月下旬よりオリエンテーション)
2.  2008.3マッチング
3.  2007.10~2008.1インタビュー
4.  2007.9.1までにERASを通じてアプリケーションを提出
5.  2007.8.1までにERASへの書類を送り終わる
6.  2007.7.1までにSTEP1,STEP2CKを受け終わる
7.  2007.6.1までにSTEP2CSを受け終わる
8.  2006.10.1までにECFMGの登録をすませる


以下,詳しくその理由を書いていきます


4.  2007.9.1 ERASを通じてアプリケーションを提出

各プログラムへはERASというシステムを通じて一括してアプリケーションを提出し
ます。

申し込み期限はプログラムにもよりますが、12月や1月まで受け付けています。

ただし、遅くなればなるほどインタビューに呼んでもらえる可能性が減ります。例えば、インタビューの枠が100あったとすると、9月の1ヶ月で50、次の1ヶ月で25、次が15、最後に10といった感じにうまっていくようです。

インタビューのスケジュールが10月いっぱいまでに埋まってしまうプログラムも多いとのことです。

私はそれを分かっていたにもかかわらず、書類が全てプログラムに届いたのが10月末とかなり出遅れてしまいました。

9月1日きっかりに申し込めるように書類を送っておくのが理想です。


5. 2007.8.1 ERASへの書類を送り終わる

時期にもよりますが、郵送で処理されるMSPE(昔のDean’s letter)やLoR(推薦文)は郵送で送ってからアップロードされるのに1ヶ月ぐらいかかると見込む必要があります。

ということは、8月1日までに全ての書類を送り終わる事が必要です。

これらの書類のうち、特にLoRは書く方もかなり手間ですので、かなり早めにお願いしておく必要があります。


6. 2007.7.1 STEP1,STEP2CKを受け終わる

STEP1とSTEP2CKは結果が出るのに約1ヶ月と見込みます。IMGである日本人は、アプリケーションを出す時点(9.1)で、ECFMGのcertificateがとれているとベストです。

このcertificateは3つの試験に全て合格してから手続きを始めて、もらえるのに1ヶ月かかります。ということで、試験の結果は7.1までにそろう必要があります。


ECFMG certificateをもっていない時点で最初から相手にしてくれない(インタビューの対象外となる)プログラムもたくさんあります。

ちなみにJ1ビザではなくH1ビザが欲しい場合は、1月までにSTEP3も合格する必要があります。

米国の医学生はアプリケーションを出した時点でSTE2CKを受けていない学生がたくさんいますが、同じペースでやっていては断然不利なのです。

 

7. 2007.6.1 STEP2CSを受け終わる

STEP2CSは結果が出るのに2ヶ月みる方が無難です。

同時に試験を受けても,先に米国の医学生の答案を採点します。混んでいる時期の日本人の答案は後回しとなり、合否の発表は2ヶ月程先になるそうです。
 

8. 2006.10 ECFMGの登録の期限

ECFMGの登録作業に1~2ヶ月かかります。登録が完了して初めてSTEP2CSの予約を入れる事ができます。

込んでいる時期(夏~秋)には、STEP2CSの予約は半年先まであいていません。

2007.6.1の予約を取るには1~2月頃に予約を入れることになります。そのためには少なくとも2006.10にはECFMGの登録作業を開始する必要があります。


このように、最初のECFMGの登録が遅れると、どんどん後手に回ります。

再来年のレジデントを考えている人は,今すぐECFMGの登録作業を開始してください。




終業時間と就業時間について

2007-11-05 21:25:56 | 医療倫理
医者の終業時間と就業時間

「医師不足」と「医者の報酬が十分なのか」という話とセットにしたい話題です


「医者は夜遅くまで働くのが当たり前」

そんな世間と自分たちの常識(?!)は本当に常識なのでしょうか?

アメリカの病棟では余裕が無くてもサインアウト(引き継ぎ)の夕方(4時~5時頃)までに強引に回診を終わらせます。そして5時ピタでサヨナラです。

今までみたいくつかのプログラムでもそうでしたし、ある程度共通しているようです。

この辺の徹底ぶりはすごいです。

7時過ぎぐらいに、普通にカンファレンスや医局会が入っている日本はどうなのかと思ってしまいます。

カンファレンスや勉強会はまだ良いです。自分たちで好きにやっていますので。

患者さんの家族を呼んでの病状説明が、夜遅くに普通に入るのはどうかと思います。

もちろん、急病のときは仕方がありません。

「仕事が忙しいので20時にしかいけません」と患者さんの家族にいわれて,「はい分かりました」と当たり前のように受け入れるのが普通になっていないでしょうか?

勿論、相手あっての事ですので何事も交渉なのですが・・・

ご家族の仕事も重要かもしれませんが、医者がそれにあわせて夜中まで残るのが普通という風潮はおかしいと思います。

この辺りからの意識改革が必要だと改めて思いました。

病状説明しなくても、絶対的に忙しく、どうせ夜中まで病院に残っているので一緒だろ!という御意見には全く反論できませんが・・・

そして就業時間。

当直が就業時間にカウントされない日本の現状。普通に考えたらあり得ないです。

予告話法

2007-11-03 13:36:33 | Faculty Development

予告話法

プレゼンテーションを最後まで聞いてもらうために

「パワープレイ 気づかれずに相手を操る悪魔の心理術」 より

人間の集中力は25分が限度

相手の興味をつなぎとめて最後まで聞いてもらうには、

「最初の5分で・・・、次の10分で・・・」
と、全体の内容とだいたいの所要時間を予告します

これが予告話法


さらに予告話法のなかで、こちらの意見をあらかじめいっておくと、相手も同調しやすいという利点があります

「今日説明する検査方法は大変有用な方法です」
と予告しておくと、聞いた相手はその内容に同調しやすいそうな

これは実験的に証明されており、「予期的説得法」と名付けられています

思い返せば、今までは無意識にこれをやっていましたが、
これからも意識的に続けるともっと効果的なんでしょうね