今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

Because you were a Cardiologist

2008-07-31 00:00:01 | 臨床留学
密かにストレスに感じていることがあります

ことあるごとに'cardiologistだった'というフレーズがつくこと

新しく会うFacultyに紹介されると「ああ君があのcardiologistの」

外来でプリセプティングをうけている時に、Facultyに一緒に心音を確認してほしいので、遠回しに頼むと「Because you were a cardiologist, I'll trust you!」と勢い良く流されたのか、拒まれたのか

確かに循環器をしていた時代はありましたが、2年間ちょっと

しかも6年以上前の話です

正直、過大評価されて困っています

いつ化けの皮が剥がれるか、ヒヤヒヤしながら

「本当に昔の話で、短期だから」と言っても

「昔と言っても12歳だったわけじゃないでしょう?」と返され

謙遜だと思われている雰囲気

一般的な傾向として、日本である程度の臨床経験を積んでから渡米しても、日本でのキャリアはあまり重視されないと事前に聞いていただけに

とまどいを憶えずにはいられません

それだけ'Cardiologist'というのがこちらではStatusなのでしょうか

収入を考えれば確かに、かれらは2倍、下手すると3倍以上もらいますし

ミシガン大学病院も立派なCardiologyセンターがあり、専門医が強い病院なだけになおさらなのかもしれません

心疾患が多い国ですから、みんな循環器診療には苦労しているせいなもかもしれません

また逆に、渡米前の6年間、総合診療部で頑張ってきたことは話題にもしてもらえないのが悲しかったりします

Block month最後の週末

2008-07-30 21:50:46 | 臨床留学
長いオリエンテーションもついに終わりが近づいてきました

これまでは、実際の臨床は外来のみでしたが

いよいよ8月1日からインターンはそれぞれのローテーションに散らばっていきます

1ヶ月半に及んだオリエンテーションについては近々、「家庭医療」に報告として投稿しようと計画しています

そのオリエンテーションが終わろうとしている最後の週末

毎年恒例、前々ディレクター(JO先生)の別荘へ皆でまねかれてパーティーがありました

インターン全員と、参加できる上級レジデント、Facultyとその家族が来ていました

総勢40人くらい来ていたと思います

別荘は湖のほとりにあり、

JO先生所有のモーターボート二隻に分譲して、湖の真ん中にある島まで行って、バレーボールをしてきました

島といっても、水の上に土地は全く顔を出しておらず

膝の高さまである広い砂地の浅瀬です

そこにバレーボールの網がはってあり、水上バレーボールをしました

別荘

湖とボート


この1ヶ月半は、課外の楽しみ行事が多い期間でした

Facultyが絡んだ、公式、半公式のパーティーは3回ありましたし

同級生だけ、および他の学年も交えてのアフターの集まりは10回以上ありました

単に皆が仲良くなったので集まっているわけではなく、

カリキュラムがそのように意図してつくられている結果でもあるのです

長期オリエンテーションの間は毎日顔を合わせ,昼食も殆ど一緒にとります

結束を高めるために課外活動もありました

これもひとえに、最初にレジデント間の結束を高め、プログラム内のスタッフとの距離を縮めることがオリエンテーションの大きな目的になっていたからです

これはこの後、レジデントが散り散りになって、他科の医師に揉まれるストレスに対処するための準備なのです

事前に内部の結束を高め、自分が家庭医にこれからなるんだという強い意識付けをはかるための期間であったわけです

これをそのまま日本でやれというのは、現実的ではありませんが

日本での研修カリキュラムの改善に、参考にすべき点が大いに得られたと思います

POEM of the week

2008-07-29 07:19:30 | 時事ネタ
POEMをご存知でしょうか?

ポエム(詩)ではありません

どちらかというと、「ポ~ム」と発音します

Patient-Oriented Evidence that Matters" (POEMs)の略です


「大腸の手術後に、ガムを食べさせると退院が早まるか?」

「風邪の子供が寝る前に蜂蜜をなめさせると、咳がおさまりよく眠れるようになるか?」

「喫煙者に計算した肺年齢を伝えると、喫煙率が上がるか?」

「脳梗塞にミノマイシンを投与すると、機能予後が改善する」

答えは全てYes

これらの疑問をまとめて、定期的に送ってくれるのがInfoRetrieverで、有用なcalulatorなども含めてPDAに載せられるようにしたサービスがInfoPOEM(今はEssential Evidence Plusという名前にかわったようです)

またこれらのPOEMを今週のPOEMとして5-6分のPodcastにまとめたのがPOEM of the weekです

これはなかなかの優れもので、おすすめです

ただでダウンロードができ、運転中や運動中にボーッと5分聞いていれば

様々なPOEMに対するMeta-analysisやRCTを批判的吟味して解説してくれます

そしてこれらの内容が結構使えるのです(というより、本当に臨床に使える内容だけを吟味するのがPOEMなので、使えて当たり前です)

この解説をしてくれているのがミシガン州立大学家庭医療科のMark H. Ebellです

そしてPOEMの概念を考えだして、Mark EbellらとInfoPOEMを作り出したのがAllen F. ShaughnessyDavid C. Slawson

さらにいえば、先日も触れたInformation Masteryというカリキュラムを考えだしたのもこの二人です

そして私が留学先にApplyしていた先の二つがそれぞれAllen F. ShaughnessyDavid C. Slawsonがいたプログラムだったのです

結局、彼らのプログラムには入りませんでしたが、いつかは会ってみたいものです

そんなことを考えつつ「POEM of the week」を聞きながら、蛍の舞う夕暮れの公園を散歩してきました



この視界の範囲であれば瞬間で30匹ぐらいは蛍が見えます

真ん中やや左に光っているのですが(写真にすると分からなくなります)




ど真ん中、向かってわずか左にかすかな点として光った蛍が見えます


やっぱり写真にすると、みにくいようです

あやしいUFO写真のようです

Resident Wellness Session

2008-07-24 19:12:42 | 家庭医療
Resident Wellness Sessionという時間が定期的にあります

全てのレジデントが集まって、ディレクター以外のFaculty二人と、様々な悩みを話し合う時間が毎月とってあります

「ディレクターでない」というのが大事で、実際の担当者の1人は前々ディレクター、もう1人はレジデントを終えたばかりのフェローです

前々ディレクターの先生は、レジデンシーの観点からは役職についていない先生で、ディレクターなどには話が漏れないように「秘密厳守」となっており、話しやすい環境を作るようにしています

どこまで「ぶっちゃけ話」ができるかは微妙ですが・・・


それとは全く別に、pshycologist(臨床心理士)の先生を中心に、同じクラスのレジデントだけが集まって、様々なことを話し合うセッションも年に数回あります

今回はその臨床心理士の先生の家で、「どのようにストレスと向き合うか」について様々な話をしました

日本語にするのが難しいので、今回のセッションの目的をそのまま英語で箇条書きにします

  • To difine the components of wellness and the concept of emotional health.

  • To present a model of homeostatic response that describes an individual's response to stressors.

  • To identify internal and external sources of coping and the ways to access them

  • To create a Wellness Plan that can help residents more effectively cope during this training period and throughout their careers.

実際に話したり書いた内容は、理論的な話を交えながら、
  • どのような時にストレスを感じるか
  • 一般的にどのような方法でストレス解消するか
  • 自分がストレスを感じている時はどのような姿をしているか(周りに知ってもらうため
  • 最後に自分がこれからどのように対処していくか

夕暮れのテラスで、冷たい飲み物を飲みながらリラックスして話せるような場が設定してあり

かなりみんな自己開示をして、有意義なセッションだったと思います

セッションのあとは、他の学年のレジデントやFacultyも合流してそのままその家でパーティーです

3、40人くらいが参加していたでしょうか?

2週間のオリエンテーションに続く1ヶ月のBlock Monthがもうすぐ終わろうとしています

Block Monthはこれからきたる様々な場面での研修への導入という側面もありますが、

同じ学年のレジデントが毎日顔を合わせて、共同作業をしていくという過程を通してチームを形成していことも最も大きな目的になっています

きたるべき研修医のストレスや孤独、アイデンティティの危機に対して、同じ学年のレジデントとの仲間意識、さらには他の学年のレジデントやプログラム全体のFacultyとの距離を縮めることにかなりの労力が注がれています

それが如何に大事か、また日本での展開などについて、改めてふれたいと思います

シップの無い国

2008-07-23 23:24:55 | 臨床留学
「先生、シップくださいな」

「何枚いります?」

「出せるだけ、ちょーだい?」

こんな会話を何度したでしょう


先日ふと気づきました

アメリカでシップを見かけません

「NSAID patchは無いんですか?」と聞いてみたところ

「あるにはあるけど、滅茶苦茶高いので出したことは無い。保険がカバーするか、知らないし。」

シップは高いのですが、NSAIDのジェルは市販でもあり、まあまあの値段です

そこでEBMのセッションで発表するネタにしました

取り上げた理由は


アメリカでシップを使っていない→NSAIDの内服が第一選択→第二選択は麻薬


一方日本では、シップが第一選択となるため、アセトアミノフェンもしくはNSAIDの内服、そしてボルタレン坐薬という順に薬を出していきます


選択肢の少なさが麻薬の処方機会を増やしているのではないか?という考察です

勿論、他にも理由があることは分かっているのですが・・・


EBMcase blockmonth 2008 pptへのリンク


発表してみた、反響は・・・

う~ん、どうなんでしょう・・・

一番痩せられるダイエット法とは? 医学論文と実体験

2008-07-20 13:46:39 | 家庭医療
渡米して1ヶ月で体重が3kg減りました

もともと頑張ってダイエットをしているわけではありません

BMIが22ぐらいになって、ちょっとヤバいかなと思い始めたところです

週2回ぐらい、ウォーキングとジョギングの中間ぐらいの運動を1時間弱していますが、これは日本にいた時と変わりません

日本では自分の食事を書き出して、カロリーを計算する「レコーディングダイエット」なるものに少し手を出してみましたが

必要カロリーの1.5倍を摂取していることが判明しただけで、記録を止めてしまいました

渡米後は、当直もない快適な生活で3食きっちりとっており、間食は間違いなくふえています

外食も多く、量の多さに閉口しながら油ギトギトの食事を、頑張って完食もしています

それでも体重が減っています

唯一気をつけていることが、「炭水化物の多量摂取を避ける」こと

日本で多食していたラーメン、パスタが確実に減りました

根底には意識的に炭水化物を減らしていることがあるのですが、うまくいっている理由は至極単純

おいしいラーメン屋が無いことと、パスタがまずいこと

あとはフライドポテトをなるべく避けて、パンを余分に食べるよりもおかず(野菜)やスープを多めにとるようにしています


そしてタイムリーな記事です

ダイエットは低炭水化物法を=低脂肪法より効果大-研究チーム

7月19日5時54分配信 時事通信


 【シカゴ18日時事】ダイエットでは最も一般的な低脂肪法よりも、信頼性に疑問が持たれていた低炭水化物法の方が効果が大きい-。こんな研究報告をイス ラエルのベングリオン大学を中心とする国際研究チームが米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」最新号で発表した。
 同チームはイスラエルの322人(男性が86%)を3グループに分け、(1)低脂肪法(カロリー制限あり)(2)野菜、穀類を中心にしてオリーブ油を多 用する地中海法(同あり)(3)低炭水化物法(同なし)-の3方法に基づく食事をそれぞれ2年間続けてもらい、体重などを分析した。
 その結果、2年後の体重減少幅の平均は低脂肪2.9キロ、地中海4.4キロで、低炭水化物が4.7キロと最も良かった。低炭水化物法では、善玉コレステロールも増加したという。


もっと詳しく知りたい人ははNEJMの原文を読んで下さい

Weight Loss with a Low-Carbohydrate, Mediterranean, or Low-Fat Diet


原文は斜め読みしかしていませんが、低炭水化物法はカロリー無制限といっても結果的には、3群の中で一番カロリー摂取が減っています

この研究で用いられている低炭水化物法は、アトキンズダイエットというアメリカで大人気のダイエット法にもとづいています

脂肪やタンパク質は取り放題だといっても、肉より野菜からの摂取を指導することになります

また導入段階での炭水化物制限は尋常でなく、パスタ、パン、ケーキなどは厳しく制限されます

結果的には私がこちらでとっている食事は、ゆるいアトキンズダイエットになっているようです(ゆるいというのは炭水化物制限がとてもゆるいということ)

たらふく食べていますが、肉を少々ベースにとって+野菜やスープをたらふく食べるというパターンですので、麺類が減った分の総カロリーは減っているのかもしれません

またアメリカは味付けが濃く、油もきついので、結果的にたくさん食べられないということが幸いしているのかもしれません

いずれにせよ、個人的な経験から「パスタを避けなさい」という患者教育に自分の嗜好が傾くことになりそうです

ただ同僚にいわせると炭水化物中毒の状態になって、食欲亢進(Craving for carbohidrate)が出るから、我慢させるのは難しいとのこと

ただ、それこそがこちらの肥満の本質のような気がします

とにかくパスタや、ポテトチップス、ケーキなどの砂糖による炭水化物の摂取量が尋常ではありません

例えばLow fatやNon fatのヨーグルトなども売っていますが、よくみると砂糖が多量に入っています

先日もアナーバーでも評判のSTUCCHI’Sというアイスクリーム屋に同僚といきましたが、滅茶苦茶おいしいのですがsmall sizeが日本のトリプルぐらいのサイズで閉口しました


地域活動の日

2008-07-18 00:00:03 | 家庭医療
今日の午後は、Ronald McDonald Houseで夕食作り

といっても、何のことか分かりませんよね

まずRonald McDonald Houseとは?

説明をするために、google検索してみるとなんと!

ドナルド・マクドナルド・ハウス

あのハンバーガーのマクドナルドの財団が運営する

「入院している子どもとその家族のための宿泊施設」です

日本にもあったんですね、恥ずかしながら知りませんでした

日本の5カ所を含めて、世界30カ国274カ所にあるそうです

ここアナーバーは、ミシガン大学病院にチルドレンズホスピタルがありますので病院のすぐ横にあります




基本的に、ほとんどがボランティアの協力によって運営されています

ここアナーバーでは、家族は1人一泊10ドルを払い

子供が入院している間は、どれだけでも居てよく、そのかわり宿泊者も各自ゴミ出し、掃除など分担があります

夕食もいろいろなボランティアが作っています

うちのプログラムの前ディレクターが家族ぐるみのボランティアとして関わっている関係上、1年目レジデントがBlock Monthの企画としてここで夕食をつくることが最近の恒例になっています

企画自体は

  •  communityにかかわること
  • 協力して夕食を作る作業を通してチームワークを磨くこと

を目的として、レジデント側から自発的に出たもので、他にやりたいことがあればそれを企画しても良いのです

「ヘルシーな料理を」というコンセプトのもと、野菜たっぷりを添えたローズマリー味ローストチキンと、野菜サラダ、イチゴケーキを作りました

なかなか好評だったようです

調理にはやっぱりたっぷり油を使いますが、栄養バランスはかなり良い献立だったと思います

アメリカでは公的なセーフティーネットが乏しいためか、キリスト教の博愛精神の関係か、個人による慈善事業が盛んです

家庭医の先生は特にそのような活動を盛んにされていると思います

月に何度か、ボランティアで地域の診療所で医療を提供したり、今回のようなボランティア団体を支援したり


家庭医自体が「地域医療」という側面も持っていることも大きいですが

アメリカであえて収入の少ない家庭医を自分の仕事に選んでいる人たちは、

やっぱりボランティア精神にあふれており、人間的にも尊敬できる人が多いと思います


ちなみにどうでも良いですが

Ronald McDonaldをドナルド・マクドナルドと訳しているのは、

ゴロが良いからあえてやっているのでしょうか?

おかげで、マクドナルドと言われてもRonald(ロナルド)だったため、「あのマックと同じ名前なんて偶然だな~」と頓珍漢なことを思っていました

→後日Wikipediaで調べたところ、「ロナルド」は発音しにくいため、日本では「ドナルド」にしているそうです。トリビアの泉でも紹介されたんですね。

ドナルド・マクドナルド(Wikipedia)






コマーシャルより「野菜が嫌いでも・・・ensure」

2008-07-16 13:29:05 | 時事ネタ
メージャーリーグのオールスターは延長戦まで突入し、夜中の12時を超えてもテレビで放映していました

そのテレビでのコマーシャル

「大人になっても野菜が食べられない人のために」

「朝ご飯をちゃんと食べない人のために」

「ドーナツばかり食べている人のために」

「ensureがあれば大丈夫!!」

ensure・・・エンシュア??




Ensureのホームページを見ると、会社はAbbott




そして日本のエンシュアも製造元はAbbottじゃありませんか!!

日本でエンシュアと言えば、経管栄養に使っていたことと、どうしても食事をできないお年寄りに臨時で処方していたというイメージが強いですが

健康な若い大人が、野菜の代わりにエンシュアを飲むというのはちょっと想像し難いです・・・

「ちゃんと野菜食え!」と言いたいですが・・・

何でもありだな~

Evidence Based Practice & Information Mastery

2008-07-15 22:01:40 | 医療倫理
Evidence Based Practice & Information Masteryという6回シリーズのセッションをしています

とりあえず最初の2日が終わりました

どんな話をするかと思えば、Critical Appraisalなどのベーシックなことはほとんど話しません

Validityの、特にbiasの話がメイン

さらにいえば製薬会社などの影響による意図的なpublication, report biasなどが大きくハイライトされていました


一つの論文をじっくり読むこともトレーニングとして大事ですが、現実として一つのRCTで診療が変わることは滅多にありません

やっぱりガイドラインなど2次媒体を使うこと

しかもその二次媒体をcriticalに評価することが求められます

JAMAのUser's Guideも新しいバージョンが出て、EBMの教育も批判的吟味やJournal Club一辺倒から次のphaseへ転換する必要があると感じました。

Lee Green先生というJNC7などにも名を連ねている家庭医の先生が中心にセッションをやってくれるのですが、いかに製薬会社の影響が深刻であるかが話題の中心でした

製薬会社の影響というのは、別に彼らに不当な金銭を受け取ることが問題(これは論外として)なのではなく、「彼らと挨拶を交わす程度」の仲になるだけでも充分に影響があるというのです

Green先生自身も数えきれないほどの誘いを受けたり(全て断っているそうですが)、各種のガイドライン制作委員会で製薬会社の強烈なまでの影響力を実感しているそうです

こういった話題は、日本でも同僚とよくしていましたが

その同僚が携わったリサーチを引用します

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医師:半数が製薬会社担当者から接待

 医師の半数が、製薬会社の医薬情報担当者(MR)から職場外で食事の接待を受けていることが、文部科学省研究班(主任研究者・尾藤誠司・国立病院 機構東京医療センター臨床疫学研究室長)の医師アンケートで分かった。医師とMRとの関係についての実態調査は初めてといい、尾藤室長は「患者の利益に反 しない適切な関係作りが必要だ」と指摘している。

 調査は今年1~3月に実施。全国の病院・診療所で働く医師のうち内科、外科など医師数が多い7診療科の計2624人(病院管理職を除く)が対象で、1411人から回答を得た(回答率54%)。

 医師の73%はMRを「医師の生涯教育にとって必要」と考えており、週1回以上話をする医師も70%いた。

 一方で、職場外で食事を提供されたことがある医師が49.4%いた。ほとんどは月1回以下だったが、週1回以上も0.4%いた。

ボールペンなど文具の提供を受けている医師は96%に達した。

 製薬会社がスポンサーの勉強会に参加する際、交通費などを受け取ったことのある医師も49.4%いた。

 また、医師の1割は「MRからの贈り物は(その会社の薬を優先的に使うなど)自分の薬の処方の仕方に悪影響がある」と答えた。

 製薬業者の営業社員はかつてプロパーと呼ばれ、薬剤価格を医師らと決めていたが、値引き競争や接待など医師との不透明な関係が問題化。91年、価 格決定は医薬品卸業者に任せ、プロパーは薬品に関する学術情報などを医師に伝えることが中心のMRとして職務内容が見直されていた。

 尾藤室長は「10数年前に比べると物品や食事提供は減っていると思う。医師と製薬会社の適切な協力関係は必要だが、医師が贈り物などに影響されるようなことがあってはならない」と話している。    毎日新聞 2008年5月22日
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「自分は製薬会社の説明会と称する接待に出て、彼らのペンももらっているが自分が納得できない薬は使わないから大丈夫」

こう言っている医師は多いのではないでしょうか?

でも製薬会社の戦略からすれば、それで充分なのです

「ただ医師と仲良くなって、廊下で挨拶を交わす」それだけで彼らの投資に見合った影響が出ているというGreen先生の言葉は一度考えてみる必要があります

ところでアメリカではAAMCが製薬企業から医師への(個人的な)ギフトをいっさい禁止するという報告を最近出しました

ボールペン、カレンダーや軽食も禁止の対象になります

ただCME(生涯教育)へのサポートは直接的なものは禁止というちょっと規制を強めただけです

ちなみにミシガン大学医学部では、製薬会社がらみの勉強会はいっさいありませんし、彼らを院内で見かけたことも、薬の名前付きの小物を見かけたことも一度もありません

いっさい出入り禁止だそうです

医師不足解消のためのワークシェアリングと子育て支援

2008-07-12 11:10:59 | 家庭医療
アメリカに来て改めて思ったのが、日本の勤務医の労働環境の悪さ

もちろん私もレジデント(研修医)としてq4、つまり4日に1回の当直サイクルをこなすことになります

ただそれは1ヶ月ごとのローテーションサイクルであり、そのようなローテーションが1年目は数回あるのですが、

合間に外来だけの楽なローテーションや休暇が、うまい具合に組み込まれています

もちろん当直あけは休み

日本でも研修医は当直あけを休みにするというところもありますが、結局だらだらと残業があり、帰るのが勤務あけ数時間後ということが多いのが実状のようです(乏しいNのもとでの個人的観察によると)

そして勿論、アメリカの指導医も当直をします

それもしっかり休みと、ローテーションを組んでのことです

女性への配慮も勿論あり、結果として一番勤務がきついはずのレジデントの間でさえも、多くのレジデントが出産をします

「医師の数が多いから、こんなワークシェアリングができるんだろう。余裕が無い日本で、そんなの無理。」という意見が多いと思いますが、

始めなければ、労働環境はさらに悪化していきます

まさに悪循環

そう思っていたところタイムリーな記事を発見

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Medical Tribune、2008年7月3日

第60回日本産科婦人科学会

深刻化する産婦人科医師不足解消に向け勤務環境の整備を


徹底した子育て支援で人材を獲得

 大阪厚生年金病院では子育て中の女性医師支援,産科オープンシステム,研修医への勧誘など,産婦人科全員が一丸となって就業環境の改善を行ってきた結 果,産科撤退を考えていた状態から10人の産婦人科医が勤務する状態にまで回復した。その経緯を報告した同院産婦人科の小川晴幾部長は「危機的状況に直面 したときに,われわれが疲弊した姿だけを見せていたら研修医の獲得は困難だったかもしれない」と,前向きな姿勢で取り組むことの重要性を強調した。
 一昨年,同院の産婦人科医は50歳代男性2人,女性3人(1人は産休,2人は子育て中)の体制で一次,二次救急病院として診療を行っていた。医師の負担が増大し,人材が増えなければ産科撤退を考えざるをえない状況となった。
 このため,対策として(1)子育て中の女性医師の支援(2)産科オープンシステム(3)研修医に対する産婦人科への勧誘―に取り組むことになった。
 まず,「マンパワーを維持するためには女性医師を辞めさせない手段が必須である」との考えから,病院としての子育て支援対策を徹底的に行った。産前6週 間,産後8週間の産休が完全に確保されているのはもちろんのこと,産休に引き続き分娩後3年間は育児休業期間として,正規職員のまま勤務時間を自由に設定 できる。さらに分娩後4年目から小学校卒業までの子育て中の医師,看護師は,週30時間程度の勤務で正規職員として雇用する。これらの育児支援のもとで, 現在全科合計12人の女性医師が働いている。
 院内保育所では午前7時半から午後6時半まで子供を預かり,病児保育は小児科病棟で対応している。このほか病院内にコンビニや銀行のATMを設置,駐車場利用は子育て中の職員を最優先とするなどの支援も行っている。
 産婦人科内での対応として,子育て中の女性医師の勤務は午後5時で終了とした。例えば,担当する分娩が午後5時を超えた場合は男性医師が交代し,途中で あっても,本人が残ると主張しても必ず午後5時に退室する決まりとし,担当する手術は早い時刻に開始するようスケジュールを立てている。
 一方,女性医師も家族の協力が可能な日には居残りやオンコール,当直など男性医師に協力する。当直の7割を非常勤医師が行うようにしたため,常勤の男性医師の待遇も改善する結果となった。
 子育て支援を行うと人件費が増大するのではないかとの懸念があったが,人件費が増えても収入も増えるため,病院経営全体としてはプラスになることも判明した。
 優れた勤務条件を提示し,恵まれた勤務環境をつくる努力を産婦人科全員が一丸となって行った結果,産婦人科医10人,小児科医12人,助産師32人を確 保し,昨年7月には周産期医療センターの開設にこぎ着けた。同部長は「新たな人材確保のためには初期研修医が産婦人科で研修を受けている間に,産婦人科の 魅力を十分に体感してもらうことが肝要。現在の勤務医の待遇改善を図り,職場としてゆとりのある環境がない限り,若い世代の入局は期待できない」と指摘, 勤務医の就業環境の改善が重要であることを訴えた。

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ブラボ~

ちなみにこの記事はいつもチェックしている産婦人科の先生のブログ「ある産婦人科医のひとりごと」で知りました

このワークシェアと子育て支援の試みは、決して産婦人科、小児科だけのものではありません

内科でも外科でも同じです

そして大事だなと思ったのがこの文面

子育て中の女性医師の勤務は午後5時で終了とした。例えば,担当する分娩が午後5時を超えた場合は男性医師が交代し,途中で あっても,本人が残ると主張しても必ず午後5時に退室する決まりとし

「当直は労働時間でない」未だにそんなことを厚労省が言っている国で自覚するのは難しいですが

自分たちの仕事は労働であるという自覚が大事です

ルールを決めても、自分たちの自覚が無いと「だらだら」が常態化するのです


一方アメリカでは引き継ぎの時間の17時のあと、17時半頃にうろうろしていると「早く帰りなさい」と怒られます

指導医の外来についていたところ、17時15分頃に最後の患者をみていたその指導医に言われました

「ああ、もうこんな時間か。ごめんね、こんなに遅くまで拘束して。もう先に帰っていいよ。」

こうした割り切りと、「自分の患者さんに責任を持つ」ということが相容れないと思い込んでいると、24時間、365日の拘束が始まり、みんな疲弊していくのです

自分たちの労働時間を守り、患者さんや地域への責任を果たすことを両立できるような枠組みを構築していくには、強いリーダーシップが必要ですが、各自の自覚があってのことを改めて強調したいです

SPによる身体診察教育

2008-07-11 23:42:34 | 臨床留学
今回のお題は「SP(Simulated Patient)による身体診察教育」

「SPを交えた」、「SP参加による」の間違いではありません


今日の午前中は

前半が家庭医のFacultyによるReview of the Gynecologic Examinationというレクチャー

後半2時間がPelvic Examinationの実習

レクチャーが終わってSPのところに案内されたら、Facultyはさっさと帰ってしまいました

ここからは、SPだけが指導してくれるのです

レジデント3人につきSPが1人の割合で

SPが自分の体を張って、手取り足取り教えてくれます

私のグループを担当したSPさんはこの道20年近いベテラン(といっても50歳代)

外陰部の視診の仕方から、クスコの使い方、内診の仕方まで念入りに一人一人習います



教科書に書いていないコツや、教科書とは相反するコツまで

自分自身が患者役を何百回もこなしてきた時の痛みや感触をもとに、例えば「クスコを入れる時の角度はこっちの方が痛くない」とか「子宮口がみえなくても、ぐりぐりと探さず軽く咳払いをさせると、子宮口が勝手によってくる」などと指導してくれます

勿論、「教科書的にはこう書いてある」という内容も押さえた上での話

さすがに診察する時の患者さんの感触、痛みなどはエビデンスには限界があり、まさに患者さん役のSPさんに習うところは大きいように思いました

話には聞いていましたが、すごいですね

ミシガン大では医学生も同様の教育を受けているそうですが、それもすごいです


ちなみに、日本でも医療面接に協力するSPさんの養成はすすんでいますが、私の同僚が行ったリサーチ(*)では

身体診察に対する女性のSPさんの許容範囲は、一般的に腹部の診察までが限界で、胸部の診察はさすがに抵抗が強いという結果が出ています

* 阿部 恵子・向原  圭 ・伴 信太郎
模擬患者の持つ身体診察に対するイメージ
    ―グループインタビューによる質的分析―
『医学教育』2005年 第36巻・第2号107
 

ちなみにアメリカのSPさんはそれなりの報酬をもらったり、俳優さんだったり、かなりプロという感じなのに対して

日本ではほとんどボランティアですから、単純比較をしてもいけませんが

文化的な違いも勿論大きな要素ですね


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家の周りに蛍が乱舞しています
おそらく沼や池がたくさんあるからだと思うのですが・・・
暗くなってしか現れない蛍を、フラッシュのたけないiPHONEのカメラで撮るにはこれが限界




受診理由「○○病なんですけど」

2008-07-08 23:17:00 | 家庭医療
午後は外来(見学)2日目

<50歳代男性>

<現病歴>
2週間前にウィスコンシン州の友人を訪れて、屋外で遊んでから帰ってきた。その後、足の付け根にダニがついているのに気づき、取り除いた。

2、3日後に、体の節々が痛くなり、頭痛も出現。車でミシガンに戻る途中で我慢できなくなりモーテルに宿泊。

足の付け根をみると、足が楕円状に赤く腫れており、真ん中の色が薄くなっていたという。

ウィスコンシンの友人に電話で相談すると

「ああ、それは○○病だよ。うちの近所だけでも10人以上かかった人を知っているよ。すぐ医者にみてもらえよ。」と言われ

モーテル近くの救急医にかかったところ、ドキシサイクリンを10日分処方された。

その医師には「○○病の可能性が高いが、いま抗体検査をしてもタイミングが早すぎて検査で偽陰性になると思うので、かかりつけ医に後日かかってください」と言われたという。

抗生剤がそろそろ無くなるので、本日受診となったが

その後、改善しているとはいえ倦怠感が強く残っている。



さあ、何でしょう?

残念ながら、受診時にはその典型的な発疹は消えてしまっており、後に出現した多発性の小さな発疹があるのみでした


ちなみに典型的な発疹は下記のような感じ(のはず)





もうお分かりでしょうか?










ライム病です


ライム病は、3年間で10万人当たり29人の患者が発生していますが、主な発生地である10州が全体の93%を占めます

その発生地をプロットすると


(CDCのサイトより)

面白いことに、五大湖に面したエリアだけ見事に避けているように見えませんか?

ミシガンにはほとんどいないのです

「隣の州に遊びにいって帰ってきたあとの発症」というのが、ミシガンで診る典型例らしいです


原因となるスピロヘータ属のBorrelia bugdorferiの感染者の7~8割に典型的な発疹である遊走性紅斑(erythema migrans)がみられ、発熱、頭痛関節痛筋肉痛を初期に認めます

15%の患者ではその後、多発性の皮膚病変を認めます

抗生剤での治療がされなければ、慢性期に関節痛(主に膝)、新病変、神経病変、脳症などをきたします。

テトラサイクリンを10日というのが標準治療。20日投与も、10日も予後はかわりません。

Post-Lyme Disease Syndrome
 抗生剤で治療しても、倦怠感、関節痛などが長期に残ることがありますが、controlled studyでも長期の抗生剤使用はそれらの症状の改善に役立たないことが示されています。


以上をみてみると、今回の患者さんは抗体検査をするまでもなく極めて典型的な経過(太字と下線)をたどっているようです

抗体は感染後4~6週後にIgGが上昇します。今回の受診は、抗体検査のタイミングにはちょっと早いようですが、その点も含めて患者さんと相談して、希望が強かったので結局採血をすることになったようです

こちらにいれば当たり前の病気かもしれませんが、日本にいたら一生出会わずに終わった病気だと思います

医療安全~Patient Safety Initiatives

2008-07-08 00:37:01 | 臨床留学
今日は午前中いっぱいかけて、医療安全のセッション(Patient Safety Initiatives)がありました

オリエンテーションのPOAでもPatient Safetyというブースで同じようなことをしたり、他のブースでもSign-outのシミュレーションをしていますが

さらに手を変え品を変えで、今回は数カ所のブースにレジデント9人が別れていろいろと学びました


1. Evidence-Based Patient Safety

医療安全を改善するために、どのような方法がより確実かということを3段階に分けてあり、その概念についてビデオを見てテストを受けます

強い改善を見込めるのは、問題になっている器具自体を変えてしまう、プロセスを簡略化するなど根本を根絶する介入

逆に改善への寄与が薄いのは、ダブルチェックであったり、トレーニングなど

結局、「個人の努力に頼ってはいけない」

「人間はミスをする」ということなんですね


2.医療事故現場の再現と、その改善

マネキンや器具で、問題が起きた(おきそうな)状況を再現したブースを4つ用意し、それぞれに対して問題点と改善点を書かせるというもの

例1:インスリン用のペンの表示がデジタルで25になっているが、52か25か分からない

例2:挿管チューブ、胃管、尿路カテーテル、点滴チューブが同じようなチューブで繋がっていたり、外れやすくなっていたり

例3:酸素ボンベが二酸化炭素のボンベと並んでおり、見分けがつきくい

例4:除細動器が用意してあるが、コネクターがつなぎにくい、パッドの表示が分かりにくいなどなど


3. コミュニケーション


レジデントは二人。アシスタントナース役が1人ついて、

「COPDが増悪した患者に挿管する準備をしなさい」とミッションが下されます

酸素マスクをかぶったマネキンと、ベッドサイドの酸素や吸引機の装置、救急カートなどが置いてあります

挿管チューブの使い方は分かるのですが、ベッドサイドの吸引器の設置の仕方が分からず、

相方のレジデントも同じように、二人で右往左往

指導の先生が、挿管をする麻酔医役で時折顔を見せにくるのですが、

「じゃあ準備ができるころにまた来るよ」と去ってしまいます

結局学んだことは
  • コミュニケーションをとって分担をしっかりする
  • 自分の得意,不得意をお互いに確認して分担する
  • 分からないことはさっさと聞く
  • 皆が一つの装置にとらわれるのではなく、全体を見渡す人をつくる

当たり前のことなのですが、不慣れな装置の前に突然放り出されて、自分でも愕然とする状況に陥りました


4. Sign-out

POAの時と同じように、Sign-outをする立場と、される立場になって実践

Sign-outする時は、ご丁寧に不必要な情報を提供しすぎたところを注意されました

Sign-outされる場合は、相手のレジデントが不真面目で不十分なアセスメントで、不十分な情報しかくれないという想定で、しつこく情報を確認するということで良かったようです


5. Avoiding Misdiagnosis

胸痛のシナリオのビデオを見て、assessment, planをたてて、プレゼンです

その後、assessmentが不十分であったと仮定して、一般的にどのような要素がその原因になるかという話

Pitfallsを列挙すると

  • Anchoring=最初に典型的な症状を見つけると、その印象で一つの診断に絞って、そこから離れられない状態。Anchor(錨)の文字通り。(今回の資料ではrepresentative heuristicsをanchoringと混同しているようです)

  • Availabiliy=Availability heurisiticsもEBMの概念でよく出てきます。印象的な経験から想起されやすくなった概念に判断が偏ること。最近、印象的な褐色細胞腫をみた人は、若い高血圧をみるとすぐに褐色細胞腫を調べたくなります。

  • Base-rate neglect= 病気の疾患頻度の見積もりが、無視されること。循環器センターで働いていた循環器医が、田舎の診療所に来ても胸痛の人にすぐ心エコーをあててしまうこと。

  • Confirmation bias=いったん確定診断の方向に向かうと、それを肯定する材料を重視し、否定する材料を軽視すること。不安定狭心症を強く疑う患者で、ニトロが効いたことを重視し、息切れが出ていることを軽視する。


  • Posterior probability error=いつも頭痛でかかり、片頭痛と診断される人は、SAHを見逃されやすい。

  • Premature closure=文字通り。勝手に確定診断にたどりついたと決めつけてしまうと、思考が停止すること。

これらを避けるための対処法

  • Develop insight/awareness=上記のbiasを考えること

  • Consider alternatives=無理矢理でも他の鑑別を考える

  • Metacognition=一歩引いて考え直す。例「もう一度その胸痛について、表現し直してみてください」

  • Decrease reliance on memory=語呂合わせ、ガイドライン、アルゴリズムなどを利用

  • Specific training=ベイズの定理を勉強したり

  • Simulation=ビデオセッションなどで、思考プロセスのリハーサルをする

  • Cognitive forcing strategies=予想されるバイアスに対して、specificな戦略を立てる


休日の過ごし方

2008-07-06 09:03:47 | 臨床留学
7月1日からいよいよ診療が始まりました

といっても、私の場合はSSN(社会保障番号)がまだ手に入っていなかった関係で、診療の許可が下りず

他のレジデントが外来患者を受け持っているのを横目でみながら、見学しかできません

そんな折り、前レジデントプログラムディレクターの指導医から

「空いている時間に、クリニックの隣のチェルシー病院で病棟診療をみてきたらどうか?」と提案を受けました

ミシガンのプログラムでは大学病院の病棟以外に、地域病院であるチェルシー病院での病棟ローテーションもあります

病棟の流れを把握して、早めにシステムを把握しておいた方がストレスが少ないので、ありがたい提案なのですが

「downtimeの間に」といわれたので、てっきり「休みの日に」という意味だと解釈していました

7月4日が独立記念日で、ちょうど3連休となるため

「独り身で3日も休み要らないなあ」と思い

「○○先生に提案を受けたのですが、4日の午前中にチェルシーの病棟の見学をさせてください」とディレクターに頼んだところ

「Holiday is a holiday.」

「休みの日はちゃんと休みなさい。○○先生の提案は、平日の外来見学に飽きたら、病棟をみてきたら?という意味だと思いますよ。」

やんわりと、たしなめられてしまいました

 down・time

(機械の)運転休止期間; 休養時間; 故障時間, 動作不能時間.
(goo辞書より)


「休日じゃなくて」、「診療不能の間」という意味だったんですね

ちなみにHolidayや自分の誕生日に4時間以上働くと、ボーナスが出ます(さすがです !)


というわけで、3連休はレジデント仲間とバーベキューをしたり、カヌーで川下りをしたり

のんびりすぎる日々を過ごしています




日本で同じ状況におかれたら「休みなさい」と言われるかどうか、また自分が指導医として言うかどうか想像してみましたが

言われないし、言わない気がします

研修開始前の渡米時期~最低でも診療開始の1ヶ月前

2008-07-04 10:08:03 | 臨床留学
ようやくSSN(社会保障番号)がおりました

といっても社会保障番号がついているカードをもらえるのは2週間後で

役所で1時間待って、番号だけ教えてもらいました

これで診療許可を取る手続きが開始され、1週間後にようやく診療可能となります

結局、番号を教えてもらえるまでにかかる3週間弱とあわせると

自分が稼働したい日から逆算して、1ヶ月前には入国する必要があったわけです

私の場合、診療開始は7月1日からだったので、最低6月1日頃に渡米するのが望ましかったようです

実際は6月16日からオリエンテーションがあり、電子カルテへのアクセス許可がなければ不便をしますので

5月16日に渡米すれば、一番スムーズだったことになります

J1ビザの場合は、研修開始の1ヶ月前からしか入国できないというルールがありますが、1ヶ月という数字にはなるほどそういうわけがあったんですね