今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

クリニックでの豚インフルエンザ対策

2009-04-30 07:47:59 | 時事ネタ
先日書いた、ミシガン州での発生例は本当は「疑い」で陰性に終わりました

ところが、今日の朝には確定例が1例

夕方には確定例が2例目

今日のカンファレンスでは、指導医とレジデント全体に対して、豚インフルエンザ対策のレクチャーがありました

ミシガン大学では今週中、卒業式やセレモニーが目白押しで

ミシガン大の学生全体でメキシコ出身者が数百人いることから、その家族が多数押し寄せることが予想されています

時々刻々と、対策のサイトがアップデートされていますが

現在のところ強調されているのは、疑わしい人はなるべく病院のERではなく、クリニックに来て下さいということ

そしてクリニックでは、来院者が下記3点のうち2つを満たしたら対策を講じることになっています

1.高熱(38度以上)

2.上気道症状(咳、鼻水など)

3.最近のメキシコ旅行歴がある、もしくはインフルエンザ様の症状の人と接触歴がある人

2つ以上満たす人は、別の入り口から別室に案内され、完全防備した職員が診療をします

両鼻腔からの培養を、州の対策本部へ送ります

書類やら何やらが必要なので、時間がかかることこの上なく

今日はさっそく、不安になった高熱患者さんが数名やってきて

私のクリニックにも1人ブッキングされていましたが、指導医がまとめてみることになりました


Outbreakが起きなければ良いのですが・・・

ちなみに

インフルエンザ発生マップ


ミシガン大の豚インフルエンザ情報


WHOの豚インフルエンザ情報


CDCの豚インフルエンザ情報


豚インフルエンザ(Swine Influenza) ミシガン州で発生

2009-04-27 22:50:20 | 時事ネタ
豚インフルエンザ問題

救急ローテーション中で、かなりsensitiveになっています

今朝までは、他州で散見されていたものの、

ミシガン州は発生ゼロで、まだ大丈夫かと思っていたのですが

昼のニュースでGMのポンティアックブランド削減計画のニュースとともに、

ミシガン州での豚インフルエンザ発生が、トップニュースでした

とりあえず、ミシガンでの発生例はアナーバーから遠く離れた地域であることと

件の患者さんは「メキシコ国境沿いのテキサスから来た人」ということで

まだ「ミシガンで流行」ではありません


ところで、前から疑問に思っていたことが、救急部門でマスクをしている人が1人もいないこと

入院後の患者さんで「RSVで咳をしている」等の場合は、厳しい基準が当てはめられ

部屋の入り口でマスクやら、防護服やらを着させられるのですが

最前線の救急で、皆が何もしていないのはとっても疑問

「咳と高熱」という患者さんがいれば、それなりの対策をするかもしれませんが

「咳」「発熱」を主訴としていなくても、実際に咳をしていたり気道感染の人はたくさんいるわけで

こちらの職員の外来における無防備さには、ちょっと?を感じることがあります

同じことをクリニックでも感じており、風邪が多い季節でも誰1人マスクをしていませんでした

私自身も無防備だったせいか、1週間前よりひどい咽頭痛と2日前からの咳に悩まされています

発熱はありません

ちなみに自分の病歴をたどってみると

  • メキシコ、テキサスへの旅行歴  なし
  • メキシコ帰りの人との接触    多分なし
  • 豚との接触   イースターのたまご拾いイベントの際にDomino's Farmをおとずれ、豚の餌付けをした

多分大丈夫でしょう・・・


ミシガン大のプロトコールには、救急でマスクをルーチンでかけろと書いていませんが、明日から個人的にマスクをしようかと考えています

ちなみに

ミシガン大の豚インフルエンザ情報


WHOの豚インフルエンザ情報


CDCの豚インフルエンザ情報



祝 ミシガン大家庭医療科 全米3位

2009-04-24 14:56:25 | 家庭医療
自分の日々の研修とは、直接関係ないことですが

U.S. News & World ReportのBest Medical Schools Specialty Rankings: Family Medicine部門

ミシガン大が見事3位!

純粋にレジデンシープログラムの質を検証したものでもなく、Community Hospitalは対象になっていませんので

レジデントが受ける教育の質と、直接の関係があるとは思えませんが

自分が一緒に働いている人達が、それなりに評価されているのはうれしいものです

日本の大学総合診療部で働いていた時に、私も思っていたことですし

現ボス(Chair)も言っていることですが

名だたる専門家がひしめき合う大学、大学病院に所属する

家庭医、家庭医療科にはそれなりの役割があり

自分たちの患者さんのために医療を行うのは勿論第一ですが

専門としての家庭医をアカデミックな面でもアピールし、

将来家庭医を目指すべき医学生を引きつけるということも大事なのです

例えそれが、商業誌のランキングだったとしても・・・


大学総合診療部の統廃合がすすんでいる」という記事を、悲しい思いで昨日読んだので

何となく、うれしいニュースでした

PAとNP

2009-04-23 13:47:37 | 医療ネタその他
最近、日本でも話題のPA(Physician Assistant)とNP(Nurse Practitioner)

先日のカンファレンスでは、アメリカにおけるPAとNPについて、家庭医プログラムのNPさんが語ってくれました

題目は 'Introduction to Mid-level Providers'

PAやNPは、医師不足を埋めるために1960年代につくられました

Mid-level Providersというように、医師が行う診療のうち比較的複雑でないものはPAやNPが担うようになっています

米国におけるプライマリケアの42%は、PAやNPが提供しているというのが現状です

外来診療としてはPA/NPが単独診療した場合、医師が受け取る85%の金額を診療報酬として請求することができ

医師の指導のもと、ということになると100%(同額)を請求することができます


過疎地でのPA/NPへの依存は特に強く、

1000人程度の村落では、数百キロ離れたところにいる医師の監督のもと

PAやNPが1人で医療を提供していることもあります

この制度が日本になじむかどうかは分かりませんが、現在の看護士の資格に、一定のトレーニングを上乗せする形でNPを設定し

もっと権限を持たせることは、理にかなっていると思います

糖尿病の指導、喘息の指導、在宅とかに絞っても良いので

その辺りから始めたらどうなんでしょうか?

通勤途中の事故に保障は無い

2009-04-21 22:56:49 | 医療ネタその他

Occupational Healthで話題になったことです


アメリカでは職場への通勤途中の事故は「保障されない」そうです


職場の敷地に入った直後から、業務になるそうな。


話題にあがった患者さんは、いったん出勤して、別の職場への移動中に事故にあったため、「業務中」とみなされたそうです


自分に置き換えると、早朝病院に出勤する途中の事故は保障されず


昼にクリニックに移動する途中は保障されます


日本では、当直明けの医師が事故をして死亡しましたが、大学院生だったという理由で労災が認められず、裁判になったことを憶えていましたので

基本は、「出勤途中は労災が認められる」と思っていましたが

調べてみると、ちょっとした経緯はあったもののあたらずとも遠からずのようです


労働災害~wikipediaより引用

通勤災害は、直接には使用者側に補償責任はないが、勤務との関連が強いという判断の元、昭和48年の労働者災害補償法の改正により、業務災害に加えて労働者災害補償保険の適用が認められたものである。(引用終わり)


当直空けの運転に改めて要注意です!




Resident Activity Profile 私のクリニック患者層

2009-04-17 22:16:19 | 家庭医療
自分の外来患者層のデータをもらいました

毎年、集計して配ってくれるらしいです

データの内訳は、外来件数、外来のコマ数、

さらにそれらのうちの以下の比率

 継続外来、HME(けんしん)、WCE(小児けんしん)、新規患者、複雑なプロブレムを持つ患者

さらに患者さんの年齢層、性別で分けた比率

以上に関する自分が担当した患者さんのデータと、同級生の平均値をが並べてあります

コピーを掲載しても文句は言われないと思うのですが、何となく気が引けたので

年齢別の患者層を、自分でエクセルに入力してグラフにしたものを載せます

縦は%

一番左が0-2歳、以降右へ行くほど年齢が上昇

青が男性、赤が女性です

左が私の患者さん   右が同級生の平均値



はっきりしているのが、私のグラフは青ばっかり

同級生の平均は、真ん中の赤が多い(突出した3本がそれぞれ20,30,40歳代女性)

これらの女性は妊婦さんを含めたwomen's healthがらみがメイン

こうなった理由は以下の二つ

1.私がチェルシー所属

2.私が男

逆にイプシランティのクリニック所属の女医さんは、真っ赤です

2年目になったら日本人クリニックで妊婦さんを主にみさせていただく希望を出していますので

個人的には是正されますが、ちょっと偏り過ぎです

面白医療現場英語

2009-04-16 08:33:01 | その他

1. grilled


 She was grilled today.


水曜日のカンファレンスのM&Mで同僚が発表した時に、厳しい質問攻めにあってしまいました

助け舟もなかなか出ずに、かわいそうな状況だったのですが

そんな彼女を表した表現

Goo辞書をみると

grill
~を厳しく尋問{じんもん}する、厳しく追及{ついきゅう}する、質問攻めにする、矢継ぎ早に質問{しつもん}する、取っちめる


この表現を聞いた時はブログの「炎上」を思い出したのですが

「じりじりと火あぶりにされる」といった感じでしょうか?


2.white cloud    


You are a white cloud!


当直などでやたらと平和な日をひきあてる人のこと


逆に、その人がきたとたんにサービスが忙しくなると


He is a black cloud.


white cloudについては、辞書はおろかググっても使用例が出てきませんので


ローカルもしくは、医者の世界だけの用語かもしれませんが


black cloudは辞書にありました


black cloud

  A person that ruins another persons' hopes, dreams,ideas or good moods by being pessimistic and having a negative attitude. 


ちょっと、私の周りでの使い方と違う気もしますが・・・


3.rock the boat


This patient is doing fine. Don't rock the boat!


必ずしも治療方針が定まっていない状態で、何となく軽快している患者さんに対して、


エビンデンスを提示して、治療薬の変更を提案した時に言われる台詞


某辞書より

rock the boat

  To disturb the balance or routine of a situation


「現状でうまく言っているのだから、よけいなことをするな」というニュアンス


ベースラインが大変悪い患者さんの細菌感染の治療で、


broadな抗生剤で開始したところ発熱はおさまりつつあり


培養の結果に基づいて、途中で抗生剤をnarrowに切り替える時などを使用例として想像してみて下さい


注意欠陥・多動性障害(ADHD)

2009-04-13 23:30:46 | 臨床留学
小児病棟研修中のネタです

注意欠陥・多動性障害(ADHD)についてのレクチャーがありました


クリニックで診療をしていると、子供だけでなく大人にもやたらとADHDの診断がついていると思っていました


やたらと多いのです


これはどうみても、過剰診断ではないかと密かに思っていたのですが


レクチャーの冒頭でいきなり


「ADHDをとりまくmyth」の一つとして


「ADHDは過剰診断されているという、勘違いがあるが、見逃しの方が遥かに多い」と一刀両断されました


ちなみにUptodateでは


The prevalence in school-age children is estimated to be between 8 and 10 percent, making it one of the most common disorders of childhood.


小学校の年齢では頻度が1割ぐらい(こんなに多いのか!?)


さらに


Among those with reported ADHD, 56 percent were being treated with medication at the time of the survey. ADHD is more common in boys than girls (male to female ratio 4:1 for the predominantly hyperactive type and 2:1 for the predominantly inattentive type)


治療が不充分であり、男女比では男に多いとのこと


ちなみに診断基準

  • The symptoms must be present in more than one setting (eg, school and home).
  • The symptoms must persist for at least six months.
  • The symptoms must be present before the age of seven years.
  • The symptoms must impair function in academic, social, or occupational activities.
  • The symptoms must be excessive for the developmental level of the child.
  • Other mental disorders that could account for the symptoms must be excluded.


アナーバーの有名人ではマイケル・フェルプスがそうらしいですね






現在、新しい小児病院を建設中ですが

老朽化した、現小児病院の屋上を、たまたま隣の駐車場から見かけて気づいたのですが

遊具がたくさんありました

病棟内でも、各フロアに最低2部屋、遊び場があります

日本ではあまり見かけなかった光景です

医療用マリファナって、エビデンスあるの?

2009-04-12 23:05:21 | 医療ネタその他

「無い」


というのが、先週のレクチャーをきいた限りの、私の現在の態度


ミシガン州でのマリファナの処方解禁にあわせて、シニアレジデントによる医療用マリファナの総論のレクチャーがありました

 

この数日だけで、日本でも中村雅俊の息子の逮捕やら、元若麒麟の公判やら、果ては映画ハリーポッターの俳優が逮捕と


マリファナは世間では「違法な麻薬」の代名詞ですが


ミシガンでは、医師によるサインがあれば、マリファナを使用するだけでなく、栽培し、持ち歩くことも出来ます


注意が必要なのは、医療用マリファナはアメリカでも13州でみとめられているにすぎず


連邦政府は未だに「違法」だとしている点


このあたりが、地方分権がすすんでいるアメリカならではなのですが


それが混乱のもとになる可能性大で


ミシガン大学病院の法律対策専門家のコメントとして、


「求められて処方をするのは良いが、医者が医療用マリファナを勧めると、あとで厄介なことになる」


つまり「処方をした患者さんが、栽培したマリファナを売るなどして逮捕された場合、法的責任が医者に及ぶ場合がある」


決して勧めてはいけないし、カルテには絶対に「患者さんが話をきり出した」と書かないとヤバそうです

 

さて、医療的な効果について簡単にまとめますと、


「吸引用マリファナ」には根拠がない(未だ証明されていない)


という結論を出さざるを得ません


適応としては、


「痛み、吐き気、食欲不振、てんかん(epilepsy)、緑内障 etc」

 

ところが、これらの効用は全て、経口剤のDronabinolやNabiloneで証明されているにすぎません


証明されていると言っても、それすらかなり不十分で


吸入用について示されているのは、「健常人で体重が増えた」ことぐらい


「絶対に処方しない」とは言いませんが、自分から話をもちかけることは絶対になさそうです


-------------------------------------------------------------------------------

 参考までにミシガン州で適応がとれているのは以下です


o Chronic debilitating disease causing

cachexia or wasting syndrome

severe or chronic pain

severe nausea

seizures (including but not limited to those caused by

epilepsy)

severe or persistent muscle spasms, including but not

limited to multiple sclerosis (MS).

o Amyotrophic lateral sclerosis (ALS)

o Alzheimer’s agitation

o Cancer

o Crohn’s disease

o Glaucoma or nail-patella syndrome (increased risk for

glaucoma)

o Hepatitis C

o HIV/AIDS

 


Defensive Medicine

2009-04-11 22:19:56 | 医療倫理
Wilson病で移植のリストにも載っている若い患者さん

ラクチュロースで便も良好にコントロールされ

利尿剤で尿も良好にコントロールされていたのですが

数日前より、徐々に腹囲が増大し、水分がとれているのに尿も濃い色調で減少、発熱無し

傾眠傾向となってきたためED受診

血圧は90/50、Shifting dullness、波動が陽性、傾眠傾向だがfocal signは、羽ばたき振戦は陰性

アンモニアを含めた採血をすると

アンモニアは上昇しているのですが、他の肝酵素と腎機能は変化無し、WBCも上昇無し

「肝性脳症」だろうけれども、腹水が急に増大した理由が今ひとつ分からないな~

SBPかな?と思いつつ

腹水穿刺前には必ずエコーをオーダーしなければいけないこともあり

腹部エコーをオーダーすると、「門脈の血流(flow)が殆どみられない」との結果

本当は自分でエコーをやりたいんですが・・・(色々うるさく、やらせてもらえません)

どうせ入院だなと思いながらシニアにプレゼンすると、シニアはきっぱりとある検査を指示しました

さて何でしょう?













答「まず頭部CTとろうか」

「・・・」

確かに肝硬変があると、出血傾向はあります

実際にこの患者さんのINRは1.7


でもgradual onsetで、focal signがなく、血圧も低い、肝硬変で腹水が増大、アンモニア上昇の患者さんで

頭蓋内の血管イベントの確率はいかほどなのでしょう・・・

どうせ入院で経過もみれるんだし・・・

思わず「え?」というリアクションをしましたが、反論するのは止めました

それまでの3日で、ED全体のかなりdefensive medicineな傾向は感じていましたので・・・

Occupational Health

2009-04-10 23:37:52 | 家庭医療

EDローテーションの間、毎週金曜日はOccupational Healthクリニックです


Occupational Healthは日本的には産業医です

 

このOccupational Health Clinic、先月まではEDの隣にあり


医者とRN(Registered Nurse)、PA(Physician Assistant)あわせて10人以上の大所帯だったのですが

 

この不景気の中での経費削減の槍玉に挙げられ


ほとんどが解雇され、場所も移動して現在はメインで働いている医者は1人


これまでは、ミシガン大の職員以外に、外部の企業(フォードなど)の職員も診ていたのですが


現在はミシガン大の学生や職員のみを対象とする部門に、縮小されてしまいました


患者さんはほとんどが、仕事中のけがによる労災で


自前の理学療法師さんと協力して、スムーズに診療の流れが作られています

チェルシーのクリニックで自分が診ている患者さんと比較すると、勤労意欲も圧倒的に高い人たちなので


痛みが軽くなってくると、皆すぐに仕事に戻りたがります


いつまでもだらだらと「麻薬をくれ」という患者さんには遭遇していません


診療自体は、大変problemにフォーカスしたシンプルな展開が多いです

 

医学的な問題から外れたことですが、今日知って興味深かったことが三つ


1.大学が警察署を持っている


警官の患者さんが受診していたので気づいたことです


アメリカの多くの大学では自前の警察署を所有しています


日本人の感覚では理解しにくいですが


公的な警官の資格を持った警察官が、大学の職員なのです


ミシガン大では40人ほどが働いているそうです


といっても、アナーバー市全体で殺人事件が数年に1件あるかどうかぐらいなので


彼らの仕事は主に、「盗難対策」らしく


コンピューター犯罪専門の職員も何人かいるそうです

 

2.ミシガン大学が運営している路線バスの運転手の半分が学生


これも、「バスの運転手をしている学生さん」が受診して気づいたこと

 

ミシガン大学は、アナーバ市内全域に施設が点在しており


それらの施設を結ぶ形で、関係者が無料で乗れる路線バスがあります

 

バイトの学生が運転していると言っても、幼稚園のマイクロバス程度のものではなく


ちゃんとした大型バスです


3.大学が運営しているゴルフ場もお得


これは患者さんに関係なく、指導医との雑談での話題


そもそもミシガン州はアメリカでも、最もゴルフ場が多いらしく(フロリダなどより多い!)


アナーバー市内にも大学所有のゴルフ場二つと、市営のゴルフ場二つ、あと私営がいくつか


自宅から車で3分の、大学のゴルフ場は結構いいコースなのですが


トワイライト(今は午後4時以降)なら20ドルでまわり放題


既に午後8時頃まで明るいですから、そこそこまわれます


他には市営のビギナー用のゴルフ場は、普通の時間にまわって、9ホールなら8ドル、18ホールでも14ドルです


さっそく10年ぶりに、ゴルフをやってみようとガレージセールで格安のクラブを手に入れました


プライマリ・ケアって何?

2009-04-07 00:12:22 | 家庭医療
卒後臨床研修で語られる「プライマリ・ケア能力の習得」

家庭医療などが掲げる「プライマリ・ケア」

実は、別のものをさしているのですが混同されているのが困ったところです

定義としては、以下に詳しいのですが


定義の違いを認識するにはIOMによる定義をみると、分かりやすいです

以下引用
<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<
  • The care provided by certain clinicians―Some proposed legislation, for example, lists the medical specialties of primary care as family medicine, general internal medicine, general pediatrics, and obstetrics and gynecology. Some experts and groups have included nurse practitioners and physician assistants (OTA, 1986; Pew Health Professions Commission, 1994);
  • A set of activities whose functions define the boundaries of primary care―such as curing or alleviating common illnesses and disabilities;
  • A level of care or setting―an entry point to a system that includes secondary care (by community hospitals) and tertiary care (by medical centers and teaching hospitals) (Fry, 1980); ambulatory versus inpatient care;
  • A set of attributes, as in the 1978 IOM definition―care that is accessible, comprehensive, coordinated, continuous, and accountable―or as defined by Starfield (1992)―care that is characterized by first contact, accessibility, longitudinality, and comprehensiveness;
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

つまり初期臨床研修における「プライマリ・ケア」とは3番目の、病院などにおける「初期対応」のことをさしています

一方で、家庭医療などで掲げるプライマリ・ケアとは1、2、4番目のことであり、地域において主にcommon diseaseを対象として、ACCCCACCCAを掲げた包括的な診療のことです

さらに言えば、後者は初期臨床研修の中では、地域医療の枠として学ぶものです

そして、前者の初期対応は、初期研修である程度習得するものですが

後者は初期研修の2年間で習得できるものでは到底無く、これ自体を「専門性」として考え、

家庭医療学会では「後期研修」としてさらに3年間の研修が必要だとしているわけです

そういった定義をふまえて、m3.comから引用です

山下先生が定義されている「ファースト・エイド」はまさに本来、初期研修が習得目標とするべき「プライマリケア」であり、

このあたりの定義の混同による、現場の混乱がみてとれますが

山下先生がおっしゃっている内容は、私も大筋賛成です

<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<(以下引用)

今の臨床研修目標はレベルが低すぎる-山形大学医学部付属病院長・山下英俊氏に聞く◆Vol.1

学ぶべきは「プライマリ・ケア」ではなく「ファースト・エイド」

2009年4月6日 聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)


 2010年度から卒後臨床研修制度の改正が予定されている。(1)必修科目を7科から、内科、救急医療、地域医療に削減、(2)都道府県別に研修医の募 集定員の上限を設定――が見直しのポイント。この見直しを研修の担い手である大学病院や臨床研修病院のトップはどう見ているのだろうか。  厚生労働省の医道審議会医道分科会医師臨床研修部会の委員を務める、山形大学医学部付属病院長の山下英俊氏に聞いた(2009年3月26日にインタ ビュー)。

写真
「総花的なプログラムのため研修目的がはっきりせず、悩んでいる研修医は多い」と指摘する山下英俊氏。

 ――まずは現行制度の評価すべき点、あるいは問題点をお教えください。

 2004年度の臨床研修の必修化以前は、各病院が独自に研修をしており、研修目的がはっきりしていなかったのですが、今の制度になり、「これを教えよう」と研修目標が明確になった点は評価できると思います。

 もう一つ、評価すべきは身分が安定したこと。2年間は給与が出るため、アルバイトをしなくても生活ができ、研修に専念できるようになりました。

 ――その研修目標自体は、適切であるとお考えでしょうか。

 そこが重要で、研修目標が明確になったことはいい点でもあり、一方で問題点でもあるのです。つまり、研修目標を低く設定しすぎたと思っています。

 社会が必要としているのは、幅広く基礎的な知識や技量を持ち、その上で高度な医療ができる医師ではないでしょうか。研修の必修化以前は、この高度、あるいは専門特化した医療しかできない医師、“専門バカ”しか育ててこなかったという反省があります。ただし、この点に異論を唱える人もいますが。

 やはり各専門分野のスペシャリスト、名医は必要です。しかし、このような医師にも、ある程度の広がりを持った医療をしてもらいましょう、というのが研修の本来の目的であるとすれば、まず「自分がどういう医師になるか」が明確になっていなければなりません。

 コモンディジーズが多い一方で、高度な医療、難しい病気も世の中には数多くあります。両者を一番頭が柔らかく、一番鍛えなければならない時期に経験する必要があります。しかし、「難しい病気はいいです。簡単な病気だけを診ていればいいです」というのが今の研修目標であり、なぜわれわれは社会のために苦労してがんばっているか、その部分が飛んでしまっています。高度な医療はチームで取り組む必要があり、多くのスタッフが手間をかけ、時には悩みながら実践しています。その姿を若い人に見せなければならない。それが次の世代を育てることにつながるのです。

 ――「ある程度の広がり」は、今の研修目標では獲得できないのでしょうか。

 今の研修目標は、「挿管ができる」「注射ができる」といった程度で済ませています。それでは、レベルが低いのです。

 当大学の嘉山孝正医学部長も言っていますが、研修理念に「プライマリ・ケアの基本的な診療能力を身に付ける」という表現を使ったからよくない。初期研修の2年間で学ぶべきは、「ファースト・エイド」(first aid)です。つまり目の前の患者さんが今、どんな状況にあり、何の治療をすべきか、脳外科医あるいは心臓内科医を呼べばいいのか、こうしたことを判断して、例えば、スペシャリストが来るまでの15分の間、初期治療を行うのがファースト・エイドです。

 ファースト・エイドを的確に行うには、コモンディジーズだけではなく、難しい病気も、自らは治療ができなくても、すべて知っておくことが必要です。コモンディジーズの患者さんだけが目の前に来るわけではありませんから。

 ――様々な疾患についての知識を持ち、鑑別診断をするのは非常に難しいことではないでしょうか。

 その通りです。高度な医療まで全部含めて教育しないと、鑑別診断ができるようにはなりません。

 もう一つ、今の制度で問題なのは、総花的に様々な研修を取り入れたプログラムになっている点。皆に、「2年間、必ず幕の内弁当を毎日食べなさい」と言っているようなものです。毎日、総花的なことをやらされていたら、「自分は何のために今、この科で研修をしているのか」、研修の目的がはっきりしません。研修医たちが今、一番、悩んでいるのはこの点です。

 医学生の時代には、「将来、こんな医師になろう」といろいろな本を読んだり、先輩たちに話を聞いたりしています。しかし、今の研修制度では、医学生時代に描いた目標が直線的に実現の方向に向かわない。「将来、これは役に立つ」という意味づけがはっきりしていれば、つらくても一生懸命研修します。自分でイノベートさせていくものです。

 しかし、今の研修制度は“横並び”でプライマリ・ケアをやらされているわけです。確かに将来の自分の専門とは関係ない分野を学ぶことは必要ですが、医学 部時代に、CBT・OSCE(共用試験)で総合的な知識を問う試験をやっています。臨床実習でも各科を回ります。さらに今の国家試験には問題はあります が、あらゆる分野を浅く広く勉強するという担保はなされています。

 それなのになぜもう一度、臨床研修で総花的な研修をやらなければならないのでしょうか。人によって食べ物に好みがあるように「私はこれをやりたい」と言ったら、それに合わせたプログラムを提供すべきでしょう。よく言われることですが、「私は昔、臨床研修で1カ月産婦人科を勉強しました」という医師に、お産を任せることができますか。

 医師になって最初の2年間は非常に大事な、クリティカルな時期。感 受性、吸収力、そして向学心に優れる。しかも元気。その時期に、知識や技術だけではなく、医師としての倫理感、人生観もたたき込まなければいけない。こん な大切な時期に、目的もなく「グルグル」、短期間でいろんな科を回る。結局、将来の目標がぼやけてしまい、落ち着いて勉強している実感がなく、だんだん無 気力になってしまうのが現実です。

 教える側も目的がはっきりしていないから、何を教えていいのか、分からない。お互いに目的が分からないのに、「研修プログラムがこうなっていますから、一緒に研修しましょう」というのでは、モチベーションは下がるばかりです。

 ――「プライマリ・ケア」という言葉は曖昧です。先生が言う、プライマリ・ケア、あるいはスペシャリストの定義は何でしょう。

 本当の意味でのプライマリ・ケアは、目の前の患者に何が必要かの見極めができること。そのためには、きちんとした研修を積む必要があります。つまり、プライマリ・ケアあるいは総合医の「専門医」ももちろんいます。この専門医は、非常に博識で、どんな病気でも診断はできる。しかも自分では治療はできない場合は、的確に別の専門医を呼ぶ。「コモンディジーズだけ診るのが、総合医」というのは大きな間違いです。

 しかし、今の2年間の研修が目指しているのは、「専門医としての総合医」とは全く違います。研修終了後も、「専門医としての総合医」のレベルまではいかなくても、ファースト・エイドができるようにもなっていない。

 ――では、ファースト・エイドの知識・技術を身に付けるためには、どんな研修をすればいいのでしょうか。

 ファースト・エイドの一番のコンセプト、つまり一番重要なのは「命を助けること」です。眼が痛いとか、腰が痛いといった訴えへの対応も重要ですが、一番大切なのは命。命を助けるための知識・技術を考えれば、必要な研修は、外科、救急、麻酔といった辺りではないでしょうか。

 今、議論されている研修の見直しでは、内科と救急医療、地域医療が必修ですが、内科ではなく、必須とすべきなのは外科。外科といっても、消化器外科、循環器外科、脳神経外科などのメジャーな外科。手術の場合は必ず、全身管理を行うからです。内科は全身管理をしているようで、意外とやっていない。「目の前で患者が倒れた」といった場合にどうするか、やはり対応できるのは外科です。内科ではダメと言っているのではなく、外科の方がよりファースト・エイドを学ぶにはふさわしいということ。厚労省の会議でも「外科ではなく、内科を必修にするのは納得できない」と何度も言ったのですが、全く相手にされなかったですね。

 命を助けるために、様々な知識や技術のインテグレートのさせ方、考え方を勉強するのが、ファースト・エイドの眼目です。そのために必要なものは何かをアレンジすればいいのです。さらに言えば、「ファースト・エイドを学ぶという目的がはっきりしていれば、必修科目を定める必要がない、どの科で学ぶかは本来関係ない」という議論もあります。

 ファースト・エイドをきちんと学んだ上で、残る研修期間は自分が将来専門とする診療科での研修やその関連分野の研修をやる。例えば、将来、糖尿病専門医を目指すとしても、糖尿病性網膜症を診るために眼科でも研修するというイメージです。

 つまり、初期研修で一番優先すべきなのは、ファースト・エイドの研修。それ以外に自分の専門分野やその関連をアレンジしていけば、おのずから研修プログラムはでき上がります。



雪のアナーバーより~EDだより

2009-04-05 23:56:31 | 臨床留学
4月だというのに、外は一面の銀世界

今夜は、猛吹雪警報が出ています





本日4月5日にして、ようやくED2回目のシフトです

ところで、ED

バイアグラをのむEDではありません

Emergency Departmentの略です

ERというと怒られます

ERというのはEmergency Room

「我々は、救急のちっぽけな部屋ではない!」

「立派な、Department(部門)なんだ!」

間違ってもERと言わないように細心の注意を払いながら

今日も、違和感満点で「EDの○○です」とあちこちに電話をしました


ところでこの大学EDでの仕事

各部門との連絡や、入院にあたっての先方との交渉

忙しいシニアに必ず相談しなければいけない効率の悪さ

ストレス要因は、多彩なのですが

個人的には大変居心地良く感じています

きっと診療内容が、久しぶりにAdult Medicine中心だからなのでしょう

この数ヶ月は、明らかに「できない君状態」で縮こまっていましたが

システムへの不慣れはともかく、診療内容に関してはかなりのびのび出来ています

あまりシニアに逆らうためか、シニアが他のシニアに引き継ぎをする際に「この優秀なインターン君が、あとは内容を説明してくれるから」とお褒めの言葉(というよりイヤミ)を言われました


ちなみに患者層ですが、外傷は少なく

銃創はまだ1人もみていません

私は担当していませんが、Assault(レイプ)の患者さんはいたようです

いまのところsyncope、presyncopeがやたらと多いのが目についています

また大学病院ならではの患者さんとして、transfer of care(転医)を求めて、州境から2時間半ドライブして、患者である自分の親を連れてきた娘さん(看護士)がいました

紹介状も無く、EDへの飛び込みで、「え~?!」とちょっとひいてしまったのですが

シニアレジデントによると「よくあるよ」とのことでした

最初の流れでは、そのまま家に帰して「じゃあ専門外来にかかってね」となりそうでしたが

入院の基準を何とか満たし、無事入院となりました

こちらでいくら便宜を図っても、専門外来となると下手をすれば1ヶ月待ちでしたから

入院となり、明日にでも専門医に診てもらえるという結果をみれば

医療システムを熟知した、看護士である娘さんの行動は

私たちからみれば顰蹙ものではありこそすれ、

家族の立場からすれば「大正解」だったのでしょう

専門医へのアクセスの悪さ、逆に救急は全く断らない(金が無くても)

ドラマのERでも伝わってくる、アメリカの医療システムのひずみを実感した症例でした

明日からマリファナ(大麻)の処方が解禁

2009-04-03 22:33:10 | 時事ネタ
2010年某月某日、私の外来風景(の想像)

患者さん1「最近眠れないんですよね~」

私「はい、マリファナどうぞ」

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患者さん2「最近、気分が落ち込み気味で、頭も痛いんですよね~」

私「はい、マリファナどうぞ」

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患者さん3「喘息が・・」

私「はい、マリファナどうぞ」

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いよいよ明日から、ミシガン州でも医療用マリファナの処方が解禁です

正直、自分の中で抵抗があるのですが

そもそも、知識が無い中での「何となく」の抵抗です

来週、レクチャーがあるらしいのでニュートラルな気持ちでのぞみたいと思っています

最近、外来で何人かの患者さんから「こちらのクリニックではマリファナ出してくれるの?」と聞かれましたが

「う~ん、よく分かんない」としか答えられていません

冷静に考えれば、モルヒネも麻薬ですから、「なんでマリファナがダメ?」という理屈は理にかなっています

以下、Wikiから医療用マリファナの利点を抜粋です

利点として大麻が医療用途に注目される理由には

  • 身体的害(副作用)が少なく、第一選択薬として望ましい。
  • 法的規制の問題を除けば、本質的には製造・入手が容易かつ安価。
  • 嗜好植物としての大麻には多くの品種が存在しており、薬効成(THC、CBDなど)のバランスが多様なため、患者の個人差・病状の差に適合した品種を見つけることができる。(一種のテーラーメイド医療と言える)
  • 既存の治療薬の効果が薄かったり、副作用が強い患者に対して別の選択肢となりうる。
  • いまだ有効な治療薬が存在しない疾患、難病に対して効果が認められることがある。

などが挙げられる。



肩こりやぎっくり腰でも気軽にモルヒネを処方する国ですから、

何の抵抗も無く、マリファナ処方は

「あると思います!

医師不足打開への切り札(テレビ取材)

2009-04-01 23:59:59 | 時事ネタ
家庭医と医師不足の打開について、米国の現状をふまえた特集ということで

某テレビ番組の取材をアナーバーで受けました



わざわざ渡米しての、取材ご苦労様でした


















という冗談は

岡田先生のブログのナイスなエイプリルフールに触発されて

何か・・・と思ったのですが、構想1時間では気の利いたネタも絞り出せず、まあこんなものです

一年後に乞うご期待下さい


ところで昨日をもって、小児科病棟研修を無事終えて、今月はERです

ERは3交代制の勤務ですが、

家庭医のインターンは、何故か昼間シフト(7:00~17:00)と準夜シフト(15:00~1:00)にしか配属されません

しかも水曜日のFMへのカンファレンス出席とクリニックは確保され

毎週金曜日は、Occupational Health外来につくスケジュールで

トータルの労働時間も多くないので、割と楽なローテーションのようです

ただしミシガン大病院ER現場に特異的なストレス要因があるらしいので、要注意です