今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

リーダーシップ:Leadership in Academic Medicine: Faculty Development Institute

2011-02-24 22:20:20 | Faculty Development

今日は一日Faculty Development のセッションでした

 

ミシガン大の家庭医療科では全5回シリーズのFDセッションがあります

 

近隣の指導医とフェローが主な対象者ですが、3年目のレジデントも希望者は無料で参加できます

 

一般参加だと数千ドルとられるそうです

 

これまでは

第1回 Classroom Teaching Skills and Principles of Adult Learning

第2回 Clinical Teaching Skills

第3回 Administrative Skills

 

 

今日は第4回の   Leadership in Academic Medicineのセッションでした

 

私の好きなトピックで、日本でもHANDSでリーダーシップのセッションを受けましたが

 

今日はまた違った切り口でSmall Group Activity も多く、practicalでした

 

 

ここから先は、自分自身への覚え書きです

 

1. Leadership; The Institutional Perspective

  Leadership requires

           A focus on purpose  何故?何が目的?を常に問いかける

           A bias for results

           A knowledge of systems

           A commitment to innovation

 

2. The Transition From Physician to Physician Manager

 

    Physician                                       Physician Manager

    Professional Identitiy                   Organizational Identity

    Value Decetralizaiton                   Value Centralization

     and Autonomy                               and Uniformity

     Individual Perspective                 System Perspecitve

     Influence Through                       Govern Through

        Professional Expertise                 Organizational Position

        and Personal Power                     and Formal Authority


3. Managing in Professional Organization: The Context for the Challenges

     医師などのprofessional 集団は組織への帰属が薄い

  Professional Values:

  • Specialized expertise
  • Personal Autonomy
  • Professional identity and commitment
  • Ethical service
  • Self-governance

 

     Medical Center はThree systemsからなる(Industryとは対象的)

  Task/Administration   vs  Governance  vs   Professional Identity

 

 

4.  Conflict: A Process to be Managed

  Thomas-Kilman conflict Mode Instrument

    Avoiding/Accommodating/Compromising/Collaborating/Competing


米国医学生による家庭医不要論

2011-02-06 23:07:57 | 家庭医療

大層な、タイトルを書きましたが

 

実はミシガン大の1人の医学生が、ふと口にした何気ない一言を、私が頭の中で増幅させただけです

 

 

ある日、クリニックで実習中の医学生と隣同士の席に座りました

 

診療の合間のわずかな時間で

 

「はじめまして◯◯です」

 

「やあ、元気?レジデントの◯◯です」

 

「僕は日本から来たんだけど、日本ではまだ家庭医がメジャーじゃなくて。ニーズはあるからこちらでトレーニングして、日本での普及に一役買いたいんだ」

 

などと話すと、医学生の彼が曰く

 

「へえ~、それはアメリカと逆ですね。アメリカでは家庭医のニーズはどんどん減っているというのに。家庭医の仕事は、どんどんナースプラクティショナー(NP)とかにとってかわられているから。」

 

「はあ?」と思ったのですが

 

彼を指導する立場でもなく、診療の合間のわずか1、2分だったので

 

ムキになって反論することもせず、それ以上に話を深める事も無く終わったのですが、ずっと頭に引っかかっていました

 

件の医学生は、バリバリの専門医志向で

 

彼の分析に私は全く同意するつもりはありませんが

 

表面的なレベルでは、彼の言っている背景も確かに理解できます

 

 

アメリカの医療現場では、何でもかんでも、分業がすすんでいます

 

それもこれも、「高額な医療費を押さえるため」です

 

すなわち、一番人件費の高い医者の仕事を「純粋に医者しかできない事」に集約させることが徹底されています

 

心臓外科の手術が良い例です

 

バイパス手術では、開胸、グラフト採取、術後管理などは人件費の安いPA(Physician Assistant)に任せて、術者である外科医は肝の部分だけに集中します

 

そうする事によって、外科医は一日に何件も手術をこなします

 

こうして考えると、家庭医の仕事には「絶対に医者じゃなければダメ?」という質問に対して

 

「う~ん、そうでもないけど」・・・という内容が結構含まれています

 

事実、アメリカの地域では半径数十キロにわたって医師が1人もおらず

 

PAが遠隔地の医師の指導のもと(という建前で)、実質上地域の健康を守っている事もあります

 

 

確かに、高度な専門手術での分業はメリットが大きいでしょうし

 

家庭医の場でも、必要に迫られての分業はあります

 

ただ、分業がすすんで「家庭医はいらなくなる」とか「ニーズが減る」という考えには全く同意できません

 

分業がすすむからこそ、

 

1人の患者さんのケアをコーディネートする医者、地域のケアをコーディネートする医者が必要で

 

それが家庭医という仕事なのです

 

今やっている仕事、業務の内容が、10年、20年後も全く同じであるとは思いませんし

 

必要に応じて、変化をしていかなければいけませんが

 

分業化の世の中だからこそ、その弊害をカバーするジェネラルなマインドの医者が、ますます必要なのです