今更留学記 Family medicine

家庭医療の実践と、指導者としての修行も兼ねて、ミシガン大学へ臨床留学中。家庭医とその周辺概念について考察する。

うれしい報告

2008-05-30 00:52:49 | 教育
とってもうれしい報告がありました ~  心は

数年前から母校のT高校で総合学習のお手伝いをしていました

縁あって「現代医療ゼミ」というセッションの講師をやっているのですが

その母校の先生から連絡をいただきました

曰く
「高校1年生のときに現代医療ゼミを受講し、私に雑誌のインタビューもしたA君が、この春東大理3に合格したとのこと。現代医療ゼミへの参加と私の話を聞いたことが、進路選択の決め手になったと本人が話していたそうです」

雑誌のインタビューというのは、高校生向けの雑誌で

私が「家庭医療という分野で留学をして、日本に家庭医をもっと浸透させたい」などと夢を語っています(恥ずかしながら

医学教育にどっぷり浸かっている上司や同僚に囲まれて

教育の喜びを少しずつ刷り込まれてきた私が

高校の総合学習で、一番伝えたかったのは

「自分がやっていることはこんなに楽しいんだよ、みんなも何か夢中になることを是非みつけて下さい」ということなのですが

去年読んだ齋藤 孝 さんの「教育力」という本に

「あこがれの伝染としての教育」という表現があって、ビビッときたのをふと思い出しました。


もし自分との交流の中で、A君が

「ああ、医者って楽しそうだな。家庭医療、面白そう~」なんて感じてくれていたとしたら(別に家庭医療じゃなくてもいいんですけど)

こんなうれしいことはありません


マスコミやネットを通じて、医者の仕事に対する夢がどんどん壊されてきているこの御時世なだけになおさらです


指導者とか、教育とか言ってますが、


はじめてなんです、こういう感動は!


「○○先生のようになりたくて、~をすることにしました」

私の
上司や同僚は本当によく言われるんですが、

私はと言えば、ポリクリ(学生実習)を担当した時の学生の評価では、結構高得点の評価をいただきながらも

「自分には何かが足りないなあ・・・」と、ず~っと感じていました

ソツなくこなすのですがクールすぎて、心が伝わらないというか、感動が無いというか

手術の腕で生きていく外科などよりも、人との関わりを重視する家庭医療を選んだり、教育を重視したりしている自分の選択は

頭が優先して、ハートが足りない自分を自覚しているからこその選択のようにも感じているだけに

端から見れば対したこと無いかも知れませんが、今回の報告は私にとっては大きな転機になりそうな予感です

わざわざ報告してくれた先生にも感謝です

ありがとうございました 

日本のイートン校になれるか?  海陽学園

2008-05-28 21:15:36 | 時事ネタ
以前、教育の特番の中で「日本のエリート養成学校」ができたととりあげていました

開校のうわさがあったころから私の地元でもあり、我が母校のT学園のライバルにもなりうるという事から注目していました

密かにホームページを何度かチェックしています

学生が来るようになってから、かなり更新されたようです

建学の精神の5をみると(前は4だったような。一つふえたのでしょうか?)

  • 日本の伝統・文化を心身の糧とし、国際社会で活躍する実力を養います
  • 世界の多様な価値観を理解し、相互に敬意を払うことのできる幅広い人格を形成します

カリキュラムでも国語、古文を重視しているようです

これですよ、これ

別にエリート養成をうんぬん言うつもりはありませんが

国際人を育てるのに英語の授業を小学校から前倒しにしようという話があります

それはそれで、まあいいかもしれませんが、

無理をして、結果として日本語や日本の文化を学ぶことがおろそかになっては本末転倒です

英語を話すのが国際人ではありません

国際人こそ、自分が日本人であることを大事にする人たちだと思います


残念ながらこの学校は男子校なので、娘しか居ない我が家にはとりあえず関係ないのですが

息子が生まれたら絶対に母校のT学園!

と昔は思っていましたが、海陽学園にも注目です

今更アメリカに行ってまで学ぶこと

2008-05-26 14:05:17 | 家庭医療
ブログの名前にしているぐらいなので、このテーマはしつこく書いていきます

ある家庭医の先輩からのアドバイス


その先生曰く、
「ITの発達した今日、研修のcontentsだけ考えれば、日本での研修でも悪くない。日本の家庭医研修施設のトップレベルにいれば、アメリカの上位20パーセンタイルぐらいの研修はできているはず。そんな状況であえて、渡米する理由をしっかり考えておきましょう。」

自分の中でも色々考えては、います

というより、受験勉強の苦労や、家族への負担その他諸々の犠牲を払っている状況に対して、説明義務が有るのです

自分のこころに対して

今更「家庭医」の留学にどんな価値があるのか?
のエントリーでも書いていますが、改めて考えてみました

前回あげていたのが
1. 人材が豊富
2. 研修システムが確立している
3. 指導者のフェローシップのコースがある
4. スポーツメディスンのフェローシップがある

他に軽い理由(メリット)として
  • 異文化にいると、日本のことがよく分かる
  • 単にアメリカでもう一度生活してみたかった
  • 名古屋の生活に飽きたので刺激が欲しい
  • 子供をバイリンガルにしたい
そんなことを考えていたおりに、ちょうど良いタイミングで、ある原稿の話題が出ました

日本内科学会雑誌の2008年4月号、p865-p871
札幌医大 山本和利先生「ジェネラリストと地域医療」

この原稿をあるメーリングリストで紹介(絶賛)され私も読みました

全てを説明するのは難しいですが、簡単に要約すると

  • 疾患(disease)と病(illness)の体験の両方を探りましょう。
  • 全人的に理解しましょう。
  • 転移,逆転移をうまく利用して、患者医師関係を強化しましょう などなど

最初の感想は、

「自分たちが大学の総合診療部で普通に実践していることだよなあ~」

山本先生や絶賛された先生に失礼かもしれませんが、最初はちょっと拍子抜けしました

そして気づいたのが、「こういうことを、声を大にして言っていくことから始めなければいけないのでしょう」ということ

さらに驚いたのは、この文章を読んだあるアメリカの家庭医レジデント経験Drからのコメント

「アメリカでもこのような問題が起こっており、家庭医療のレジデンシーではあまり教育されていないのではないか。うまくできないから専門医への紹介が増える一因にもなっているのでは?」

あくまでも個人の感想であり、局地的な傾向かもしれませんが・・・

専門医への紹介も、訴訟とのからみもあるでしょうし

それでも医師-患者関係をきちっと構築していれば、家庭医こそ、このような役割をこなせると思います

ミシガンでどのように教育されているか、実際に見てくるポイントだと思いました

そして改めて思ったのは、

「単に学びにいくのではなく、先方にもプラスをもたらせるような存在でありたい」

家庭医療先進国のアメリカでも、実は家庭医療の世界はピンチなのです

端的に言えば、「若手が家庭医にあまり入ってくれない」

また変わりゆく医療環境の中で、自分たちのidentityをどう再構築するか模索しています

そんな時期にある彼らに、日本から輸出できるものもあるはず

さらにそれを加工して逆輸入

原料を持って現地までおもむき、加工して付加価値をつけて、逆輸入

いつだったかNHKの「プロフェッショナルの流儀」でみた総合商社の新しい戦略のようなイメージです

医学部卒後すぐの渡米ではなく、日本の総合診療部である程度generalを経験した自分だからこその何かを探し続けたいです

J1ビザ取得への長い道のり~その6 ビザ発行

2008-05-23 00:00:50 | 臨床留学
ビザが発行されました

私の分だけ・・・

恥ずかしいことに、妻と面接に行ったのですが妻と娘のDS-156と妻のDS-158という書類を用意していなかったのです

妻は再度面接のために、大阪に出向かなければいけません

仕事を休んで、大阪まで同行したのに申し訳ないっす・・・


何故こんなことになったのか・・・

言い訳ではなく、同じような勘違いをする人が出るかもしれませんので、私の頭の中を開示すると

J-1の家族はJ-2ビザといって、基本的にはJ-1の人のビザに附属するような形になります

ECFMGへ提出する書類も、J-2の人、つまり家族単独の書類はほとんどなく、必要な場合は「家族の分も必要だ」と明記してあります

その延長上で、勘違いがおきたのです

大使館のサイトの説明に「家族のDS-156やDS-158も必要だ」と明記していなかったので、勝手にいらないと解釈しました

もちろん「必要でない」とは書いてありません

だから必要だったのですが・・・

みなさんも気をつけてください



ところで3/20にマッチ先が判明してから、ビザ発行までの実際のタイムスケジュールをまとめました


1.事前にMinistry of Health Letter(政府証明書)の書類を取り寄せる

2.プログラムからLetter of Offerを受け取る(コピーで良いのでメールに添付して送ってもらう)

3.Letter of Offerとその和訳をつけて、厚労省へMinistry of Health Letter(政府証明書)の申請(4/1に申請し、届いたのは4日後)

4.Ministry of Health LetterとAPPLICATION FORM FOR INITIAL SPONSORSHIPなど添えて、ECFMGにDS2019の発行を申請(4/10にプログラムからECFMGに書類を発送し、5/3にDS2019がプログラムに届き、私の自宅に転送されたのが5/9)

5.DS2019をそえて大使館にVisaの申請をして面接の予約を取る(予約は4月中旬に既に済み。大阪はすいているので、数日前でも予約枠は空いていました。)

6.面接後ビザ発行(5/15に面接して5/20に自宅へ到着)

事前に聞いていたより、それぞれのプロセスは早くすすみましたが、

もし書類不備によって、日米で書類が一往復すると1週間ロスします

ECFMGとプログラム、自分の3者で行き来すると、1工程で2週間ロスです

結局、最短で準備した場合でも、書類不備が許されるのは1回まででしょう

プライマリケアの勉強会(日経メディカル)

2008-05-21 08:54:36 | 教育
本誌連動◇今どきの医師勉強法

実践重視の“道場”に入門する医師たち

日常診療に役立つコツを学べる勉強会が好評


日経メディカルでプライマリケアの勉強会の特集として、三つの勉強会を取り上げていました

一つ目は亀井道場

ちょうど私も亀井道場に参加した報告(亀井道場~岸本暢将先生の膠原病セッション)を書いたところ


二つ目は岡山大学の勉強会

これに参加したことは有りませんが、そこで使っているテキストは

臨床能力をきたえるハワイ大学式PBLマニュアル

岸本先生がレジデントをしたハワイ大学のメンバー(岸本先生も含めて)が書かれた本です


そして三つ目は千葉大外来カンファレンス

何を隠そう、私がティーチングカンファレンスをやっている際に手本としているのが生坂先生のやられているカンファレンス

生坂先生レベルの臨床能力がないと、同じようなカンファレンスは難しいと思われるかもしれませんが

生坂先生の書かれた本やDVDをもとに、ある程度の再現は可能では無いかと思っています

めざせ!外来診療の達人―外来カンファレンスで学ぶ診断推論


見逃し症例から学ぶ日常診療のピットフォール (Meet...




症例プレゼンテーションで何を教えるか?で書いたカンファレンスの進行にも、これらの本の影響はかなり強く出ていると思います

5/17 第7回東海家庭医療ネットワークの報告

2008-05-18 00:51:18 | 家庭医療
5月17日に第7回東海家庭医療ネットワークの集まりが、協立総合病院で開催されました

タイムスケジュール
14:00 あいさつ、自己紹介
14:10 アイスブレイク、「行動変容について」 
            岐阜大学 MEDC 藤崎和彦 教授
15:00 「Motivational interviewing (動機付け面接法)」についてのWS」
     ニューメキシコ大学 Peter Barnett 准教授


30人強の方が参加されていたようです

日本の行動科学で中心的に活躍されているMEDCの藤崎先生と、行動変容に力を入れていらっしゃるBarnett先生のコラボだったので、みなさん大変勉強になったのではないでしょうか?

Barnett先生は、ニューメキシコのFMの先生だと勝手に思っていましたが、バックグラウンドは内科だそうです

プライマリケアで行動変容に興味を持っているという意味では、まあバックグラウンドはどっちでも良いのですが

これまでも沖縄中部で指導を何度かされたり、健和会大手町病院で指導されたり(同病院のブログより)、大学生の時も1年日本で勉強されていたそうで、結構日本通です

また幼少時には東南アジア各国で育ったそうです

セッション自体は、私自身が私用で少し遅れた関係で、全体のコメントはなかなかできませんが

family practiceをしている人たちの行動変容セッションと基本は同じです(当然ですが)

興味深かった点をいくつかピックアップ


行動変容への介入は忙しい救急外来で3分でもできるとの話

それに使えるのは、3 Questions
  1. What is the effect? 何が問題か?
  2. What are your going to do? どうしたらよいか?
  3. What now? 今から何する?

他にChange talk という考え

change talkとは患者が自ら、変化の理由、良さ,変化をしようとしている意思を示したりすること

行動変容に絡めて、「重要度-自信度モデルや、具体的プランを立てるべきだ」という話はよく知っていましたが、change talkそのものを引き出すことに意味が有るというのは、初めて意識した概念です

セッションの後は、アフター会でいつものように飲みニュケーションです

次回、第8回東海家庭医療ネットワークの集まりは、7月後半あたりに岐阜で行う予定です

この時も、海外の教育者の先生をゲストとして考えています

また岐阜の有名なクリニックの見学もできるよう企画を考えています!!お楽しみに!

北海道家庭医療学センターがテレビで診療所を募集

2008-05-17 08:30:48 | 家庭医療

◆家庭医必要な診療所を募集 (札幌テレビ)

画像

動画スタート 動画スタート
昔の「町医者」のような「家庭医」が、医師不足に悩む地域の診療所に派遣されることになりました。

医師の派遣を行うのは、北海道家庭医療学センターで、これまでに更別村や寿都町の診療所に「家庭医」を派遣しています。今回は新たに3人の家庭医を派遣す ることになり、希望する診療所を募っています。家庭医とは地域の住民全体のかかりつけ医のような、いわば昔のマチのお医者さん。幅広い医学的知識に加え、 患者とのコミュニケーションにも長けているとして、医師不足に悩む地域の診療所には貴重な人材として期待されています。

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家庭医3人派遣します 道医療学センター 希望診療所を募集(北海道新聞 05/15 07:51)


 幅広い症例に対応できる「家庭医」を養成する医療法人北海道家庭医療学センター(室蘭、草場鉄周理事長)は十四日、来年四月から新たに道内の自治 体立診療所一カ所に、医師三人を派遣することを明らかにした。派遣先選定には初めて公募を取り入れ、二十八日に札幌で自治体関係者対象に説明会を開く。

 今回派遣するのは、同センターで家庭医の研修を終えた医師と後期研修医を含む三人一組。派遣対象は自治体が運営する診療所で、来年四月までに病院を診療所に規模縮小する場合も対象となる。

 選定基準は今後詰めるが、草場理事長は「自治体や住民が医師を応援してくれる地域を全力でサポートしたい」と話している。

 説明会は二十八日午後二時から札幌市中央区の市教育文化会館で。問い合わせは同センター事務局のメールアドレスhiro@hcfm.jpへ。


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全文引用です。精力的ですね~

症例プレゼンテーションで何を教えるか?

2008-05-15 05:51:07 | 教育
今回を入れてあとわずか2回です

非常勤の指導医としておじゃましている市中病院にいけるのは


普段のパターンは
    午前 初診外来、救急外来の指導
    午後 前半 初期研修医用カンファ
       後半 後期研修医用カンファ なのですが

この時期は新しい研修医の先生がいますので、彼らに集中的にプレゼンテーションを学んでもらうためにスケジュールが変わります

今日は
 午前中 1年目用にプレゼンテーションを主眼とした症例発表
 午後 前半 2年目のカンファレンス
    後半 後期研修医のカンファレンス

一日中カンファレンスをすると、さすがにしんどく

午前中の終わりがけに、リクエストが有ったので心エコーで心嚢水をみるためのBSTをしたのが良いchange of paceでした


一年目のプレゼンテーションですが、今年は彼らと数回過ごしただけで、私がいなくなってしまうので、なるべく学んでほしいポイントを絞る必要が有ります

「診断に至るには病歴で7割、身体診察で2割のあたりを付け、その後の検査等は確認作業である」とよく言われますが

その通りだと思います

それは言い過ぎだと昔は思っていましたが、症例検討のカンファレンスの指導をするようになって

「本当なんだ~」と実感しています

それを何とか伝えたいのです

臨床経験が浅い人がプレゼンテーションをすると、得てして病歴が薄くなってしまいます

今回は幸い「COPDの患者さんの息切れと発熱」というケースがありました

まずはメインの息切れに対してWWQQAAA(Double Q triple A)
で病歴をのばし

下記のポイントで鑑別診断をあげ
  • コモンな疾患、緊急性の高い疾患、見逃しては行けない疾患
  • 解剖学的切り口、病態生理の切り口
  • 病態生理にはVINDICATE+P
4つのコモンな疾患、2つの緊急性の高い疾患をピックアップし
(他にも鑑別はありますが、あえてしぼって)

それらの鑑別に対応するROSでさらに病歴をつっこみ

残りの身体診察と検査の結果は、先の鑑別での話の確認作業のみ

伝えたいこと(病歴が7割、身体診察が2割)を伝えやすい展開で、最後の締めくくりにティーチングパールとして明確に伝えたつもりですが、本当にそれが伝わったかどうか?心に残ったかどうか?

自分がそのつもりでも、受け取る方が受け取っているとは限りません

いっそのこと最後のセッションは

「病歴だけプレゼンできるように濃厚に準備してください。それ以降はカルテを参照すれば良いので、用意しなくても結構」

ここまで言い切って準備してもらうのは、どうなんでしょう?

ただ選んだ症例が内分泌疾患だったりしたら、意外と病歴でしぼりこめなかったりして・・・

次回が最後なんだよな~。

Last lecture by Randy Pauschとまで大きくは有りませんが、メッセージ性の高い一日にしたいです

亀井道場~岸本暢将先生の膠原病セッション

2008-05-13 00:26:42 | 医療ネタその他

久しぶりに亀井道場に参加してきました

今回は亀田メディカルセンター リウマチ膠原病内科 
岸本 暢将先生による膠原病のセッションでした


亀井道場の簡単な紹介は

第16回日本総合診療医学会学術集会
の学会特別企画

「亀井道場スペシャル」というセッションの紹介より抜粋

「基本的な臨床的技能を学びたいという学生達の熱意に応え、スタートした亀井道場はプライマリーケアに造詣の深い各界の師範代を迎え、回を重ねこの2月に 39回を迎えた。いまや全国の大学の学生、研修医、そして看護師など多職種の集う学びの場に発展してきた。その特徴は学生主体の運営であること、異なる背景を持つ受講生の集まりであること、そして実際の患者さんの診察を通じて基本的技能の習得だけでなく医師患者関係の実際を垣間見ることが出来ることである。」

岸本先生のセッションは、前回参加した上司が

「関節診察のデモと練習がとても良かった」と絶賛されていたことと、

岸本先生の本アメリカ臨床留学大作戦には臨床留学を実現するにあたり、かなりお世話になっていたこともあり

いつかは参加したい(一度お会いしたい)と思っていたのですが、

自分が渡米してしまうため、今回を逃すといつになるか分からないので、無理矢理スケジュールを調整して参加しました

内科のジェネラルなバックグラウンドを大事にしながらも、スペシャリストとしての強みと、強烈なプロフェッショナリズムを感じさせる姿勢に感銘を受けました

自分自身のジェネラル志向が、日本のスペシャリスト(特に内科系)の現状へのアンチテーゼに立脚している部分も一部あったせいなのでしょうか?

逆に切れ味の良いスペシャリストの先生と出会って

「ああ、かなわないなあ」と脱帽してしまうと共に

こんなスペシャリストなら自分もなってみたかったなあ(みたいなあ)

と今更ながら思うのでした

勿論、ジェネラル(家庭医)を選択したことを後悔しているわけではありません

ジェネラリストとスペシャリストは相補的な関係にあり、こんなスペシャリストが1人でも増えてくれて、

自分たちもジェネラリストとして、恥ずかしくない診療を提供できれば

きっとすばらしいコラボレーションが生まれるのでしょう


家庭医3人配置の診療所を来年度開設 北海道家庭医療学センター 開設希望自治体を公募へ

2008-05-10 10:59:31 | 家庭医療
家庭医3人配置の診療所を来年度開設 北海道家庭医療学センター 開設希望自治体を公募へ

伊関友伸のブログからです

伊関さんという行政マネジメントを専門とする大学の先生のブログは、以前から面白いなあ~と思う記事が何度かあったのですが、

今回の記事は岡田先生のブログで紹介されていたので読みました

北海道家庭医療学センターが自治体と業務提携する3つ目の診療所を募集しているそうです

すばらしいと思うのは、単に医師を派遣するのではなく

「自治体の医療政策などにも踏み込んだ『提案型』の業務提携を進めていきたい」という点

医療、保健、福祉を含めた自治体の社会サービス全体に働きかけていこうということなのでしょう

瀬棚で頑張っていたが、自治体の長と意見が合わずそこを辞め、
今度はピンチの夕張に乗り込んだ村上先生を思い出しました

北海道家庭医療学センターはセンター長の草場先生はじめ、スタッフの皆さん、ほとんど私と同期か下です

みなさんHANDSで学んだことを実践されているんでしょうね~

うらやましいのと、すごいなあ~というのと半々です

さらに感心したのは「家庭医療研修医サポートシステム」

道内の初期臨床研修病院に「家庭医コース」を提案し、早速5つの病院と提携して

テレビ会議、短期のワークショップ、短期の診療所研修等を提供するとのこと

少ないマンパワーで、どうやったら最大限の効果を生み出せるか?

狭い地域だけでなく、北海道全体を見渡して何をしていけるのか?

北海道の病院で初期研修をする医師が減っているというニュースをみましたが

ニポポの活動ともども、北海道を救う存在になっていただきたいですね~

みなさん実践してますね~

なのに自分はこれから研修医と思うと、どうしても焦りが出ます

まあ長いスパンでものをみて、今の自分にしかできないことを探そうと思っています


ちなみに伊関さんのブログ、早速google リーダーに登録です

第20回 医学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー

2008-05-08 08:58:33 | 家庭医療

第20回 医学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー


毎年、8月のあたま頃に日本家庭医療学会学生・研修医部会主催のセミナーがあります

200人ぐらいの医学生と研修医が集うのです

私も過去2回、講師役で参加したことがありますが、とにかくパワフルで、エネルギーをもらって帰ってきました

そのセミナー用のブログ(第20回 夏期セミ  ~家庭医療に触れる、感じる夏~)があることを最近知り、下記の原稿を書かせてもらいました

家庭医を目指している先輩より

半ば、押し売りのように学生責任者の子に連絡をしたところ、

「まあ断る話でもないし」と思ったかどうかは知りませんが、

「じゃあ、原稿お願いします」と言う流れで書かせていただきました

今月の「東海家庭医療ネットワークの集まりの告知」も含んでいましたので、「早めにね」とお願いしたところ、速攻でアップされていました

すばらしい!仕事早いです

う~ん、でもレイアウトがちょっと・・・
  →と書いたら、すぐにすばらしいレイアウトになっていました  good jobです! 


まあ、それは置いておくとして

押し売りのように連絡をしたのには、わけがあります

岡田先生に洗脳されて、「ネット環境で色々働きかけたい」というのもありますが、

渡米するにあたって、心残りがあったのです

家庭医療学会には若手部会という集団があります

初期臨床研修を終えてから卒後10年未満までの若手で構成されているのですが

その中で「家庭医療学の普及へ向けた広報活動・後進の育成」というプロジェクトがあり、一応リーダーをさせていただいてます。

「後進の育成」ということなので、医学生の支援も活動の一環なのですが、私のシャイ(笑)な性格もあってか、今ひとつ連携がとれていませんでした

というか案の定、プロジェクトの存在も知られていませんでした

そんな中、4月にはついに卒後12年目になり、若手部会の基準からも外れていますし、渡米するということもあってプロジェクトのを他の人に引き継ぎしなければいけません

引き継ぎ前の置き土産ではありませんが、やれることはやっておこうということで、今回プロジェクトの存在を学生の皆さんにも知ってもらおうと、彼らのブログの原稿にも書かせていただいたのです

第7回東海家庭医療ネットワークの告知~5/17

2008-05-07 01:27:40 | 家庭医療
晴天

連休に渡米前の送別会、誕生日が重なり

動物園、牧場、食事会×3、買い物  大忙しの4日間でした
 

さて、代表として皆勤を続けてきた、東海家庭医療ネットワークの集まりが5月17日にあります

参加費は無料で、終了後に懇親会も予定しています

第7回東海家庭医療ネットワーク
(医療生協家庭医療学レジデンシー・東海のレジデントセミナーと共同開催です)~というより便乗で大物ゲストの恩恵にあずかります

日時:5月17日(土) 14時ー17時
場所:協立総合病院 3F 第1会議室

14:00 あいさつ、自己紹介
14:10 アイスブレイク、「行動変容について」 
            岐阜大学 MEDC 藤崎和彦 教授
15:00 「Motivational interviewing (動機付け面接法)」についてのWS」
     ニューメキシコ大学 Peter Barnett 准教授

詳細については協立総合病院のサイトでも確認できます

申込みは
お名前:
ご所属:
学習会参加のみ、懇親会も参加
をご記入のうえ

みなと医療生活協同組合 協立総合病院 医局事務 
担当:桜井メール minato99☆quartz.ocn.ne.jp まで
         (アドレスは☆を@に変えてください)

今回は、二人の大物ゲストで超お勧めですよ!!

J1ビザ取得への長い道のり~その5

2008-05-04 09:19:30 | 臨床留学
晴天の連休です

DS2019が届きます

ビザ発行までの流れ
1.Ministry of Health Letter(政府証明書)の書類を取り寄せる
2.プログラムからLetter of Offerを受け取る
3.Letter of Offerとその和訳をつけて、Ministry of Health Letter(政府証明書)の申請(1~2週間)
4.Ministry of Health LetterとAPPLICATION FORM FOR INITIAL SPONSORSHIPなど添えて、ECFMGにDS2019の発行を申請(ここで4~6週間)
5.DS2019をそえて大使館にVisaの申請をして面接の予約を取る
6.面接後ビザ発行


4/9の段階で4.の申請をしたところでしたが、昨日5/3にDS2019がプログラムに届いたようです

4~6週間との見積もりでしたが、3週間で届いたようです

早速プログラムからDS2019を転送してもらっています

すでに5.の大使館でのVisa申請のための面接の予約は来週にとってあります

面接後1~2週間でビザをもらえるようですので5月末から6月初旬にはビザ発行の見込み

6月16日からのオリエンテーションにビザが間に合わなければ

「観光ビザで入国して、オリエンテーションを受けたあと、J-1ビザを発行してもらうためにいったん帰国」

ということも想定していただけに

ほっと一安心

杞憂に終わったわけですが、これまでのプロセスの中でプログラムの秘書さんと数回のメール、直接の電話に至っては10回ぐらいしており、その中で書類が足りなかったり、記載が不備だったりということがいくつか解決されましたので

やはりぼ~っとしていたら、ECFMGからDS2019を一発で発行してもらえず、往復の書簡だけでも最低1~2週間と考えると、間に合わなかった可能性もあるわけです

いや~、良かった

家庭医のFDとMBA

2008-05-01 00:34:54 | Faculty Development
久しぶりに中学、高校の親友に会いました

きっかけはAnn Arbor行きの連絡

実は彼も昨年までAnn Arborにいたのです

銀行マンの彼は、ミシガン大学ビジネススクール(MBA)の卒業生

たまたま、東京から名古屋に久しぶりに戻るということで急遽会うことになりました

昔の話に花を咲かせつつ、Ann Arbor情報をかなり教えてもらいました

ビジネススクール関係の知り合いもたくさん紹介してもらえそうです

ちなみに彼は、Ann Arborでは日本家庭健康プログラムの神保先生にかかっていたそうです

紹介したのは、これまた高校同級生の守屋先生


Ann Arborで子供が体調を崩した時に救急にかかったらしいのですが、

「困って救急にかかっても、すぐに家庭医に連絡がされていて、神保先生がまとめて診てくれて良かった。日本もあんな風になってほしいよね。」

それだよ、それっ!!

違う分野の人に、説明をする前から家庭医が評価されるというのはうれしいものです



ちなみに自分の面接旅行の話になり、どこのプログラムの面接を受けたかという話をしていたら彼曰く

「みんなMBAの有名な所ばっかりだなあ~」

アカデミックなプログラムを選んだので、大学なのは当然として

Faculty Development(FD)に絡めた選択をすると、必然的にSchool of Businessが充実した所になるのでしょうか

ミシガン大もトップ5に入るそうです

そんな彼、帰国後はMBAで学んだことを生かしてプロジェクトを立ち上げていたそうですが、このたびヘッドハンティングにあって某有名外資の金融機関に転職するそうな

せっかく立ち上げたプロジェクトも
「日本の上層部はリスクを冒したくないから、ほとんどのってもらえない」状態で、閉塞感を感じていたそうで

日本的な風土もあるのでしょうが、「年配の人たちは頭が固い」というのも一因のようです

それに比べて家庭医療、総合診療の分野では「頭が固い」よりも「若い」「頭がやわらかい」年配の先生が多い気がするのは、私の気のせいでしょうか?

それにしても、この御時世にあえてアメリカ系外資にとってもらえるというのもすごいです

給料は・・・教えてもらえませんでした(笑)

きっと、すごいんでしょう